「勉強をはじめてもすぐに休憩タイムに入ってしまう」
「もっと勉強しなきゃという気持ちはあるが、集中がつづかない」
このような悩みを感じている小中高校生や保護者の方は多いのではないでしょうか。
学校の成績を上げる、志望校に合格するには良い勉強をするのが近道(王道)です。良い勉強とは「質と量がともなった勉強」です。
そして集中力は質・量ともに影響します。ダラダラと勉強してもなかなか成果につながりませんが、集中力が長く続けば質の高い勉強を長時間できます。
質・量ともにハイレベルな勉強習慣をつくるには、「集中力」を高める・つづきやすくすることが大切です。
そこで、小・中・高校生とその保護者の方向けに、勉強に集中しやすくする・集中が続きやすくする方法と集中力を高められるおすすめのアイテムを紹介します。
勉強に集中できない原因とは?
なぜ集中できないのか?よくある理由
多くの子どもが「集中できない」と感じる背景には、以下のような理由があります。
- 気が散るものが身近にある(スマホ・テレビ・ゲーム)
- やる気が出ない・勉強の目的がはっきりしない
- 疲れや眠気がある
- 内容が難しすぎて理解できず、手が止まる
- 誘惑に負けて他のことに意識が移る
こうした原因は、集中力が「環境」「心の状態」「身体の状態」に左右されやすいことを示しています。
集中できないときの心理状態と脳の仕組み
集中力に関係するのは、前頭前野(ぜんとうぜんや)と呼ばれる脳の部位です。
この部分は「計画を立てる」「注意を向ける」「感情をコントロールする」などの役割を担っており、疲れていたり、ストレスが溜まっていたりすると働きが鈍くなります。
また、集中しようとしても他の刺激(スマホ通知など)が入ると、脳はすぐにドーパミンという「快楽ホルモン」に反応して注意をそらしてしまいます。
このように、心理的な不安・ストレスや、興味の強い誘惑があると、集中が続かなくなるのです。
(参考:集中力が続かないのはなぜ? 原因や集中力を高める方法(あすか製薬))
年齢や環境によって異なる集中の課題
集中力の悩みは年齢や生活環境によって異なります。
- 中学受験生(小学生):遊びたい気持ちが強く、長時間座って勉強することが難しい。保護者の関わり方が大きく影響する。
- 中学生:スマホやSNSの誘惑が強くなり、自己管理能力が必要になってくる。
- 高校生:受験勉強のプレッシャーや生活リズムの乱れが集中力を低下させやすい。
また、自宅か塾か、部屋に1人か家族と同室かなど、学習環境の違いも集中力に大きな影響を与えます。
【基本編】集中力を高めるための土台づくり
集中しやすい学習環境を整える
部屋・机のレイアウトのコツ
- 机の上には最低限の教材だけを置く
- 勉強に関係ない物(マンガ・ゲーム・チラシなど)は視界から消す
- 背後にテレビやドアがあると気が散りやすいので、壁を向いて座る配置が理想的
- 照明は明るめにし、姿勢が良くなるよう椅子と机の高さを調整する
デジタル機器との付き合い方
- スマホは手が届かない場所に置く(別室でもOK)
- 通知はすべてオフ、アプリの時間制限機能も活用する
- PCやタブレットを使う場合は、「目的のアプリ・教材以外には触れない」ルールを決める
生活習慣を整えることの重要性
睡眠・食事・運動が集中力に与える影響
- 睡眠不足は集中力を大きく低下させる。最低でも6〜7時間は確保
- 朝ごはんをしっかりとると脳が活性化し、午前中の集中力が高まる
- 運動(ウォーキング・軽いストレッチ)は脳内の血流を促進し、勉強前の集中力アップに効果的
ルーティン化で脳を「勉強モード」にする方法
- 毎日同じ時間に勉強を始める(例:夕食後の19時〜)
- 勉強を始める前に決まった行動を入れる(例:机を拭く、深呼吸する、音楽をかける)
- 脳は「同じ行動のあとには勉強が始まる」と覚えるので、自動的に集中スイッチが入る
目標設定とタイムマネジメントの工夫
短期・中期・長期の目標の立て方
- 長期目標:志望校合格、学年1位など(モチベーション源)
- 中期目標:テストまでに〇点以上取る、苦手単元をマスターする
- 短期目標:今日やるページ数、1時間でやる内容など
目標はできるだけ具体的で数字があるほうが効果的です。
ポモドーロ・タイマー活用術
「ポモドーロ・テクニック」は、
- 25分集中 → 5分休憩のサイクルを繰り返す方法
- 脳が集中しやすい「短時間」に区切ることで、集中を維持できる
- 4回繰り返したら長めの休憩(15~30分)をとると効果的
スマホの「集中タイマー」アプリやキッチンタイマーを使ってもOKです。
参考:ポモドーロテクニック(勉強法)とは?(スタディサプリ)
【実践編】今すぐ使える集中力アップ法7選
1. タスクを細かく分けて取り組む
大きな課題や宿題をそのまま見ると「やる気が出ない」「どこから手をつければいいかわからない」という気持ちになりがちです。
そこで効果的なのが、タスクを小さな単位(ページごと、問題ごと、時間ごと)に細分化することです。
例:
×「英語のワークを全部やる」
○「1ページだけ」「最初の10問だけ」
こうすることで、達成感が得やすく、集中しやすくなります。
2. タイマー学習で集中の区切りをつける
人間の集中力には限界があります。
「ポモドーロ・テクニック」のように、25分勉強+5分休憩のようにタイマーを使って時間を区切ると、集中力が続きやすくなります。
タイマーを使うことで、「今は勉強する時間」と意識を切り替えられ、だらだら勉強を防げます。
おすすめのツール:キッチンタイマー、スマホアプリ「集中タイマー」「Tide」など
3. 勉強前の「儀式」を決める
集中モードに入るスイッチとして、「儀式(ルーティン)」を決めておくと効果的です。
例:
- 勉強前に机を拭く
- 目を閉じて深呼吸する
- お気に入りの音楽を1曲だけ聴く
- ペンやノートを特定の順番で並べる
毎回同じ行動をすると、脳が「これから勉強が始まる」と覚えて、自動的に集中しやすい状態に入ります。
4. 休憩をうまく取り入れる(アクティブレスト)
長時間座っていると集中力は落ちてしまいます。そこでおすすめなのがアクティブレスト(積極的休憩)です。
(参考:心身の調和が壊れる前に!コンディションに合わせて選ぼう「積極的休養(アクティブ・レスト)」と「消極的休養(パッシブ・レスト)」(医療法人 澄心会 豊橋ハートセンター))
休憩中に軽く体を動かすことで、脳の血流が良くなり、再び集中しやすくなります。
例:
- ストレッチや屈伸
- 少し歩く(ベランダ・階段)
- 軽く目を閉じて目の周りをマッサージする
ただし、スマホやゲームに手を出すと集中が途切れるので注意しましょう。
5. 音・音楽の力を活用する(BGMやホワイトノイズ)
完全な無音だと逆に集中できない人もいます。そういうときは、BGMやホワイトノイズを活用してみましょう。
おすすめ:
- カフェ音・自然音(雨音・波の音など)
- クラシック音楽やLo-Fiミュージック
- 「YouTube:集中用BGM」「Spotify:勉強プレイリスト」
ただし、歌詞がある曲は気を取られやすいので注意です。
6. 自己肯定感を高めるアファメーション
「自分ならできる」「少しずつでも成長してる」と自分に言い聞かせるアファメーション(肯定的な言葉かけ)も集中力維持に有効です。
毎日、心の中や紙にこう書いてみましょう:
- 「今日は10分でも集中できた、自分えらい」
- 「前より長く集中できた、自信がついてきた」
自己肯定感が高まると、モチベーションが続きやすくなり、集中力も上がります。
7. 勉強の成果を見える化してモチベーション維持
集中力は、勉強の「達成感」があってこそ維持できます。
そのために効果的なのが、成果の「見える化」です。
例:
- やったページに✔をつける
- カレンダーに○をつける
- 学習記録をノートやアプリに残す
成果が視覚的に分かると、「こんなに頑張った!」という満足感が得られ、次の集中にもつながります。
学年別の集中法まとめ|それぞれの特性に合ったアドバイス
中学受験生(小学生)向けの集中力アップ法
遊びと勉強の切り替え方法
小学生は「遊びたい気持ち」が強く、勉強との切り替えが難しい年齢です。
- 勉強時間と遊び時間を時間で区切る習慣をつける(例:15:30〜16:00は遊び、16:00〜16:30は勉強)
- 「遊んでから勉強」より「勉強してから遊び」の順にすると、集中しやすくなります。
また、「勉強前に着替える」「机に向かう前に水を飲む」など切り替えの合図をつくることも効果的です。
親の声かけやサポートの工夫
中学受験生は親のサポートが不可欠です。
- 「ちゃんとやりなさい!」ではなく、「このページできたら一緒に見ようね」などポジティブな声かけが効果的
- 成果を褒めてあげることで、「もっと頑張ろう」という気持ちが育ちます
- 一緒にスケジュールを作ったり、タイマーを使って勉強時間を管理するのも有効です
※なお、中学受験生向けに「勉強の集中力を高める方法」を、以下の記事でくわしく解説しています。
【中学受験生必見】勉強に集中できない悩みを解決!家庭でできる集中力アップ法とおすすめグッズ10選
中学生向けの集中力アップ法
スマホやSNSとの上手な付き合い方
中学生になるとスマホやSNSの影響が大きくなります。
- 勉強中はスマホを手元から遠ざける(できれば別室)
- SNSの通知はオフにするか、スクリーンタイムで制限をかける
- 「勉強後に○分だけスマホOK」など、メリハリのあるルールが大切です
定期テスト対策での集中法
- テスト勉強は「暗記」「演習」「見直し」と段階を分けて集中する
- 勉強範囲を1日ごとのノルマに分けて、目標を明確にする
- 理科・社会など暗記科目は、「クイズ形式」「赤シート」など飽きにくい工夫が有効です
※なお、中学生向けに「勉強の集中力を高める方法」を以下の記事でくわしく解説しています。
【中学生向け】勉強に集中する方法17選|自宅で集中力を高めるコツとおすすめグッズも紹介!
高校生向けの集中力アップ法
受験勉強の長時間集中を保つコツ
高校生になると、1〜2時間以上の集中が必要になります。
- 勉強前に今日の目的やゴールをノートに書くことで集中を維持しやすい
- 午前は暗記、午後は演習のように時間帯ごとの集中内容を分ける
- スマホやSNSは完全遮断モード(アプリで制限)を活用すると効果的
自習の質を上げる具体的なテクニック
- 自習時間の最初に「やることリスト(ToDo)」を作る
- わからない箇所を飛ばさず、「質問メモ」を作って先生や友達に聞く習慣をつける
- 時々「勉強法そのもの」を振り返り、自分に合っているか見直す
※なお、高校生向けに「勉強の集中力を高める方法」を、以下の記事でくわしく解説しています。
【高校生向け】家で集中して勉強する方法|おすすめグッズと学習習慣の付け方も紹介
集中力を高めるアイテム&サービス紹介
集中力アップに役立つ文房具・ガジェット
集中を助けてくれる文房具やガジェットは、「目の前の作業に集中できる環境づくり」に役立ちます。
●おすすめ文房具
- タイマー式のスタディタイマー:時間を意識して集中するのに便利(ポモドーロ学習に最適)
- 立てて使えるスタンド式のノート:視線を落とさずに確認できる
- マスキングシートや暗記用ペン:赤シートで隠せるなど暗記学習に集中できる
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●おすすめガジェット
- ノイズキャンセリングイヤホン:周囲の雑音を遮断し、集中しやすい環境を作る
- スマホスタンド+タイムロッキングケース:スマホに手が届かない環境を物理的に作る
- タブレット用の学習アプリ付きキーボード:紙より集中しやすい人向け
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無料で使えるアプリ・Webサービス
デジタル機器は誘惑にもなりますが、正しく使えば集中力のサポーターになります。
●集中を支えるタイマー系アプリ
- Focus To-Do(ポモドーロ式):作業時間と休憩時間を自動で管理できる
- Forest:勉強中に木を育てる仕組みで、スマホの操作を防止する
●学習記録・習慣化アプリ
- Studyplus:勉強時間を記録して見える化。モチベーションが維持しやすい
- みんチャレ:他人と目標を共有して、習慣化を促す
●BGMやホワイトノイズ系
- YouTubeやSpotifyの「集中用BGM」プレイリスト
- NoisliやTide:自然音・ホワイトノイズをミックスして再生可能
市販のサプリやドリンクの注意点
市販されている集中力アップ系のサプリメントやドリンクには、一時的な覚醒効果がありますが、過信や依存には注意が必要です。
●よく使われる成分
- カフェイン(眠気覚まし)
- ビタミンB群(脳のエネルギー代謝サポート)
- DHAやGABA(脳機能サポート)
●注意点
- 即効性を期待しすぎない:習慣や睡眠の改善の方が効果的
- 体質によっては副作用も(胃が荒れる、眠れなくなるなど)
- 中高生の場合は栄養バランスの取れた食事が最優先
※使用する場合は、保護者の確認と成分チェックを忘れずに。
よくある質問Q&A|集中できないときの対処法
疲れているときでも集中するには?
疲れているときに無理に集中しようとしても、効率が落ちるだけで逆効果です。
そんなときは「短時間×軽めのタスク」がポイントです。
- 例:5分だけ単語チェック、ノート整理、復習など
- 軽いストレッチや散歩をして、体と脳をリフレッシュ
- どうしても無理なら思い切って寝る方が回復が早い
無理せず、「少しでも前に進めばOK」という気持ちで取り組みましょう。
集中が続かないときのリセット方法は?
集中が切れたと感じたら、次のような方法で「脳のリセット」を試しましょう。
- 姿勢を変える、立ち上がって歩く
- 目を閉じて1分間深呼吸
- 一度机を離れて水を飲む、顔を洗う
- 勉強内容を変える(暗記→計算など)
大切なのは、「今の状態をリセットし、新たに始め直す意識を持つこと」。
集中が切れたのは悪いことではなく、自然なことと捉え、切り替え上手になりましょう。
ごほうびは効果的?やり方のコツは?
ごほうびは、正しく使えば集中とモチベーションを高める強力な味方です。
●効果的なごほうびの与え方
- 明確な条件をつける:「このページが終わったらチョコを1つ」など
- 頻度は少なめにして、ごほうびの特別感を維持
- 勉強が終わった後の楽しみ(YouTube、ゲーム、好きな飲み物)として活用
注意点は、「最初からごほうびがないと勉強できない状態」にしないこと。
ごほうびは補助的に使うことが大切です。
まとめ|集中力は「習慣」で伸ばせる!
集中力は、もともとの才能ではなく、日々の習慣と環境の積み重ねで高められるスキルです。
- 生活リズムや勉強のやり方を整える「土台づくり」
- 学年や自分のタイプに合った「集中のコツ」
- 小さな工夫(タイマー、ごほうび、ルーティンなど)を毎日続けること
これらを意識するだけで、誰でも少しずつ集中できる時間は増えていきます。
まずは、「今日からできることを1つだけ」取り入れてみてください。
その一歩が、未来の集中力と学力アップにつながります。