中学受験を経験した人の家には必ずと言っていいほど図鑑があります。
図鑑がなぜ中学受験に役立つのか説明し、中学受験に役立つおすすめ図鑑を紹介します。
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中学受験では、単なる暗記では対応できない応用力や思考力が求められます。その基礎となるのが、「なぜ?」「どうして?」という**知的好奇心=“興味の芽”**です。
図鑑は、写真・イラスト・図解を通じて子どもの「もっと知りたい!」という感情を自然に引き出してくれるツール。たとえば、動物図鑑を見て「ジャガーは泳ぎが得意なんだ!」と驚いたことがきっかけで、生態系や食物連鎖に関心が広がることもあります。
つまり、図鑑は学びの入口として非常に有効で、興味を持った内容ほど記憶に残りやすく、勉強のモチベーションも持続します。
教科書や問題集は要点を簡潔にまとめる反面、イメージしづらく抽象的な表現が多くなりがちです。たとえば「地層の断面図」「火山の構造」など、文字や簡略図だけではイメージが湧かず、苦手意識を持つ子も少なくありません。
そこで活躍するのが図鑑です。写真や精密なイラスト、実物に近いスケール感をもった図鑑は、教科書の内容を視覚で補い、「わかったつもり」から「本当に理解した」に引き上げてくれます。
中学受験の理科・社会では、単に用語を覚えるだけでなく、背景やつながりを理解しているかどうかが問われる出題が増えています。たとえば「火山が多い地域の特徴」や「歴史上の人物が与えた影響」など、知識の広がり=背景知識が得点力を左右するのです。
図鑑を読むことで、自然に「関連知識」や「事例のバリエーション」が増えるため、記述問題や選択肢問題でも引っかかりづらくなります。特に近年はSDGsや環境問題など、図鑑で先取りできるテーマも出題されており、入試トレンドへの対策としても有効です。
人間は視覚からの情報が最も記憶に残りやすいと言われています。文字情報だけよりも、写真やイラスト、色のついた図解の方が記憶への定着率が高くなります。たとえば「人体のしくみ」を説明する際、文章だけでは難解ですが、図鑑で血管や臓器の位置を見れば一発で理解できます。
このように、視覚と結びついた学びは、長期記憶に残りやすく、テストでも思い出しやすいのが特長です。
地学・生物・歴史などは、構造や流れを正しく理解することが重要です。たとえば地層の断面図や火山の断面、江戸時代の政治の仕組みなど、言葉で説明されてもイメージしづらいものは多いもの。
図鑑では、カラー図解や順序立てた図表を使って、子どもでもスッと理解できるようになっています。特に、「なぜそうなるのか」というプロセスを視覚的に追える構成の図鑑は、応用問題に強くなる力を育ててくれます。
図鑑は「読ませる」だけでなく、「一緒に見る」教材としても効果的です。
たとえば、子どもが「これってどういうこと?」と質問したときに、図鑑を一緒に見ながら答えることで、親子のコミュニケーションが自然と生まれます。
このようなやりとりは、子どもの思考力や表現力を伸ばす土台にもなり、家庭学習の質を高めることにもつながります。
図鑑は「ながめるだけでも楽しい」という特性を持つ教材です。そのため、子どもが自発的にページをめくり、「これって何?」「もっと知りたい」と調べ始めることが多くあります。
これは、中学受験で必要とされる「自学自習の習慣化」につながる大きなメリットです。
親が勧めなくても、図鑑を机の上やリビングに置いておくだけで、学びのサイクルが生まれることも珍しくありません。
図鑑は理科・社会の補助教材と思われがちですが、実は他教科にも良い影響を与えることが分かっています。
つまり、図鑑は全教科に通じる“土台づくり”の教材とも言えます。受験対策として効率的でありながら、子どもの知的成長も後押ししてくれる点が大きな魅力です。
世の中に図鑑はたくさんあります。そのなかで「中学受験に役立つ図鑑」をどのように選べばいいか紹介します。
まず、図鑑にはそれぞれ推奨年齢があります。
写真やイラストばかりで文字の少ないもの、漢字に必ずルビを振ってくれているもの、説明が細かくて高学年でないと理解しづらいものなどがあります。
年齢に合ったものを選ぶほうが子どももストレスなく楽しめます。
2つ目のポイントは、「子どもが見たいものから入ること」です。
「親が子どもに見せたいもの」と「子どもが見たいもの」は違っていることがよくあります。親は理科系の図鑑を見せたいのに子どもは歴史上の人物図鑑を見たがる場合もあります。
親のおすすめと子どもの興味が合致しない場合も、「まずは」子どもの興味に沿った図鑑を選ぶのがおすすめです。
人気の図鑑は大抵シリーズ化されています。子どもの興味に合う図鑑を選ぶと、そのシリーズの別のジャンルの図鑑にも興味を持ちやすくなります。
中学受験の理科では生物、化学、物理、地学のすべてがまんべんなく出題されます。特定の分野にだけ興味を持つよりも、さまざまな分野に興味を持つ子のほうが楽しく理科の受験勉強ができます。
そのためには、子どもが好きな図鑑から入ってそのシリーズ内で分野を広げていくほうが興味の幅を広げやすいです。
図鑑には電子版と紙の図鑑があります。どちらがいいか迷うところですが、紙の図鑑がおすすめです。
本棚に置いておくと、見飽きたはずの図鑑でもタイトルをみて気になってまた見ることがあります。
そうして繰り返し見ているうちに図鑑の中身が脳に焼きつけられます。
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図鑑といっても種類はさまざま。中学受験対策として活用するなら、「教科に直結する内容か」「入試トレンドに対応しているか」「子どもが興味を持ちやすいか」が選定のカギです。
以下では、中学受験に強い図鑑を理科・社会に分けて厳選し、家庭学習への効果とともに紹介します。
言わずと知れた定番シリーズ。小学生の図鑑市場で圧倒的シェアを誇る「図鑑NEO」は、中学受験の理科頻出分野を広くカバーしています。
また、付属DVD(NHK協力)も優秀で、映像で動きや変化が確認できるのが強みです。
「LIVE図鑑」は、臨場感・リアリティを重視した学研の最新図鑑シリーズです。全ページにわたってリアルな写真やAR動画連動が特徴。
理科の「生物」「宇宙」「大地」分野との相性がよく、体験的な学びを重視したいご家庭におすすめです。
『MOVE』シリーズは、NHKの映像と連携したビジュアル重視の図鑑で、特に男の子に人気があります。
「迫力があるから読んでみたい」と子どもが自発的に読むようになり、自然と知識が増えていく図鑑です。
見た目が似ているもの、用途が似ているものを「くらべて」整理する図鑑。思考力を鍛える上で非常に優れています。
理科だけでなく、算数(割合・単位)や社会(産業や生活)との関連性も高いのが強みです。
「どうして空は青いの?」「雷って何?」といった日常の“ふしぎ”をやさしく解説する図鑑です。
「理科が苦手な子」「知識の前に興味を持たせたい子」にとって、最高の導入図鑑です。
都道府県の特色・名産・地形・気候・歴史が網羅されており、地理の基礎がしっかり身につく図鑑。
地理に苦手意識がある子でも、遊び感覚で全国をめぐれるような構成になっており、親子学習にもおすすめです。
中学受験の歴史では「人物中心の問題」が多数出題されます。この図鑑は、時代別に重要人物を整理し、エピソードや関係性まで学べるのが特長。
単なる年号暗記ではなく、「人間ドラマとして歴史を理解する」力がつく構成です。
小学校で習う地図の基本を、ビジュアル中心にわかりやすく解説する入門図鑑。
特に、地理が苦手な子の「第一歩」としておすすめです。
グローバルな視点と文化理解を養える図鑑。世界の建造物・自然遺産・宗教や文化の成り立ちがまとめられています。
近年の中学入試で頻出のテーマであるSDGs(持続可能な開発目標)。その全体像をわかりやすく解説した現代型図鑑。
教科を超えて、「思考力・読解力・表現力」を求められる問題への備えとして、最新の時事対策として非常に有効です。
中学受験の問題集を解く際、いきなり問題に取り組むと「よくわからない」「イメージできない」とつまずくことがあります。そんなときに図鑑が役立ちます。
図鑑は、問題の背景やテーマの“全体像”を視覚的に理解する手助けをしてくれるので、苦手意識がやわらぎます。
たとえば、理科の「天体」の単元では「月の満ち欠け」「地球の自転・公転」など、立体的な動きを理解する必要があります。これを文章や簡単な図だけで理解するのは難しいですが、
図鑑の太陽系の構造図・月の動きの連続写真・星座の位置関係などを見れば、仕組みを視覚で捉えることができます。
このように、問題集と図鑑をセットで使うことで「わかる → 解ける」へのステップアップがスムーズになります。
※なお、苦手な子の多い「天体」について、以下の記事でくわしく解説しています。
【完全保存版】中学受験「天体」の解き方|よく出る問題パターンと間違えやすいポイントを徹底解説!
中学受験では、単なる暗記では対応できない記述問題・思考力問題が増えています。こうした問題では、「知っている知識をどう活用するか」が問われるため、自分で調べてまとめる力=調べ学習力が不可欠です。
図鑑は、辞書のように“調べる教材”としても非常に優秀です。例えば、「火山の種類について自分の言葉で説明しなさい」といった記述問題に向けて、図鑑で以下のようなことを調べられます:
また、夏休みの自由研究や発表課題では、図鑑からテーマを広げていく方法もおすすめです。「昆虫」「宇宙」「歴史人物」などの図鑑をもとに、興味あるテーマを選び、調査・まとめ・発表という流れを家庭で経験できるため、表現力・探究力を鍛える実践学習にもなります。
図鑑は「勉強道具」ではなく、「気軽に楽しめる読み物」としての側面もあります。そのため、勉強の合間にストレスなく読める教材として活用できます。
朝の5分間や、週末の30分を「図鑑タイム」と決めておくことで、無理なく学習習慣が身につきます。この「見る習慣」が、自然と知識を増やし、後の応用学習の基盤をつくってくれます。
また、図鑑の内容が日常生活やニュースと結びつくと、子ども自身が「これ、図鑑で見たやつだ!」と記憶を強化できる点も魅力です。
図鑑には、「未就学児向け」「小学生向け」「中学生以上向け」など、難易度や情報量に大きな違いがあります。
中学受験対策で選ぶ場合は、「小学校高学年~中学生向け」で、入試頻出テーマをカバーしているものがベストです。
ただし、まだ図鑑に慣れていないお子さんには、「NEOは難しそう…」ということもあるため、写真が多くて直感的に楽しめるタイプから始めるのがおすすめです。
近年の中学入試では、社会課題・環境問題・国際的な視点を扱う問題が増加しています。たとえば:
これらは教科書では扱いが浅い分野ですが、図鑑なら最新のトピックをカラーで詳しく学べるため、入試対策+現代知識の教養として非常に有効です。
「SDGs図鑑」「未来を考える地球環境図鑑」など、トレンドを押さえた図鑑を選ぶことが合格のカギになります。
現在の図鑑には、以下の2タイプがあります:
どちらが良いかは、お子さんの学習スタイルやご家庭の教育方針によります。動画や音声で理解が進むお子さんにはデジタル連動型がおすすめですが、読書習慣を育てたい場合は紙が最適です。
いずれにしても、子どもが「自分で使いたくなる」図鑑かどうかを軸に選ぶのが成功のポイントです。
図鑑を最大限活用するには、「子どもだけに任せる」のではなく、親も一緒に楽しめる内容であることが重要です。親が関心を持って読める構成だと、会話が自然に生まれ、学習効果が高まります。
また、信頼できる図鑑を選ぶには、「監修者の専門性」「出版社の信頼度」「最新情報にアップデートされているか」もチェックポイントです。
たとえば、以下のような図鑑は信頼性が高いとされます:
図鑑は「読む」教材ではなく、“見ることで学ぶ”力を育てる学習ツールです。中学受験では、限られた時間の中で「いかに効率よく、深く理解し、長く記憶に残すか」が勝負の分かれ目になります。
その点、図鑑は短時間でも学習効果が高く、楽しみながら知識を吸収できる万能教材です。特に、理科・社会の出題で問われる背景知識や思考力を自然に伸ばしてくれる点で、図鑑を使う家庭と使わない家庭では“理解の深さ”に差がつきます。
また、図鑑の力は学力アップだけにとどまらず、子どもの「好き」を見つけ、将来の進路や夢につながるヒントをくれる存在でもあります。
図鑑は「テスト対策」の道具としてだけではなく、子どもの根本的な学習力=知的好奇心・探究心・思考力を育てる教材です。
子どもが「これ、もっと知りたい!」「自分で調べてみようかな」と感じる瞬間を作ることができれば、それは学力以上に価値のある成長です。
受験が終わっても、図鑑で得た知識や「調べる習慣」は人生のさまざまな場面で活きてきます。図鑑は一時的な教材ではなく、生きる力を育てる“知の土台”になるのです。
図鑑を活用するために、特別な準備や教材は必要ありません。まずは、1冊でも子どもの興味に合った図鑑を選び、リビングや机の上に置いておくことから始めてみましょう。
「これ何?」「こんなのあるんだ!」という親子のちょっとした会話が、勉強への関心や学習習慣につながっていきます。
▼今日からできる図鑑活用の第一歩
そうした小さな習慣の積み重ねが、中学受験の成功だけでなく、「学ぶことが楽しい」と思える子どもの土台づくりにつながります。
※Z会の中学受験コースのメリットや活用法を下記の記事で紹介しています。
Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
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