「中高一貫に通っているが、理科のテスト勉強の仕方が分からない」
「カリキュラムの進み方が普通の中学と違っていて、どの問題集を使えばいいか教えてほしい」
中高一貫の中学生や保護者の方からはこうした相談をいただくことがよくあります。
中高一貫の理科は塾で教わるほどむずかしくありませんが、ひとりで勉強するには問題集の選び方がむずかしい科目です。
ですが、中学生の間に理科を苦手にしたくはないですよね。理系学部を考えている人ならなおさらです。
そこで、私立中高一貫生向けに理科の定期テストの勉強方法とおすすめの問題集を紹介します。
※関連記事:私立中高一貫生におすすめの社会の問題集と社会の勉強方法
前述の中高一貫校の理科の特徴を踏まえて、おすすめの問題集を紹介します。
最初におすすめするのは「新中学問題集」です。学校で使用しているところも多く、中高一貫のテストの難易度にもよく合います。
この問題集の良い点は「思考力問題」が単元ごとに用意されている点です。
定期テストで出てくる実験問題はパターンが決まっているため、ある程度まではパターン演習で点が取れます。もう1つ突き抜けた成績(90点台、10位以内)を取るには、パターン化されていない問題で「考えて解く力」をつけておく必要があります。
新中学問題集の「思考力問題」ではそうした力を養う練習ができます。
中1理科↓
中2理科↓
中3理科↓
出版社:教育開発出版
つづいて紹介するのは「新Aクラス」です。中高一貫の先生複数名で作られた問題集で、教科書に出てこない内容も掲載されています。
難易度は高いですが、難問・奇問はあまりなく、標準レベルから応用レベルまで網羅してくれています。
1分野(物理・化学)と2分野(生物・地学)に分かれており、このシリーズで中高一貫の定期テスト理科の対策はかなり済ませられます。
さらにハイレベルな対策に特化したい場合にはこの後で紹介している『最高水準問題集』を併用すると便利です。
1分野(物理・化学)↓
2分野(生物・地学)↓
出版社:昇龍堂出版
このシリーズは難関私立高校入試対策用ですが、私立高校の入試問題傾向に沿って作られているため、クセのある問題や公立中学ではあまり出てこないようなハイレベルな問題も多数掲載されています。
中高一貫の定期テスト対策にかなり使えます。
ただし、問題の難易度がかなり高いので「理科が苦手な人」にはおすすめできません。平均点プラス20点ほど取っている人におすすめです。
難関中学に所属している人なら通常版よりも「特進版」がおすすめです。
中1通常版↓
中2通常版↓
中3通常版↓
中1特進↓
中2特進↓
中3特進↓
出版社:文英堂
こちらは、前述の「最高水準問題集」よりもう少し取り組みやすいレベルの問題集です。中学3年間を1冊にまとめてくれており、基礎レベルからやや発展レベルまでカバーしています。
公立中学生にとってはやや難易度高めで、私立中学生にとってはちょうど良いくらいの問題です。
このシリーズのよいところは「参考書」と「問題集」に分かれているという点です。理科は「実験がたくさんあって分からない」という人と、「実験は分かるけど問題をもっと解きたい」という人に分かれます。
実験(あるいは各単元のポイント)をしっかり理解しなおしたい人には「参考書編」、
問題演習量を補いたい人には「問題集編」がおすすめです。
1人ひとりの状況に応じて、学校の問題集と並行して進めるのに便利な1冊です。
参考書編↓
問題集編↓
出版社:学研プラス
こちらは高校入試対策用ですが、一問一答形式になっていて使いやすいのでおすすめのリストに入れました。
前述のように、中高一貫の理科は授業前に軽く用語を覚えておくと非常にテスト勉強がしやすくなります。学校の問題集に一問一答や用語や公式・基礎内容を暗記できるページがあればそれで充分ですが、ない場合にはこちらの一問一答が活躍します。
出版社:旺文社
学校で使っている問題集がうすい、テストにあまり出てこないという場合にはこの「自由自在」がおすすめです。
解説と問題量が多く、基本的なレベルから難問まで幅広くカバーしています。学校の理科問題集がテスト対策にあまり使えないときに、問題量をこれでかなり補充できます。
出版社:増進堂・受験研究社
高校課程が入ってくる中高一貫の中学生におすすめなのがこの「ひとつひとつわかりやすく」シリーズです。
高校理科の基礎的な内容をイラストや図、簡単な説明文と一緒に解説してくれています。
高校理科の初学者や先取り学習向けです。
問題量も少ないですから、中学生が問題集と並行してちょいちょい見て勉強するのに便利です。
物理基礎↓
化学基礎↓
生物基礎↓
出版社:学研プラス
「ひとつひとつわかりやすく」シリーズが基礎の基礎に特化しているのに対して、この「宇宙一わかりやすい」シリーズはもう少し踏み込んだ内容(共通テスト7割を取れるレベル)まで解説しています。
図を多めに配置してくれているので初学者でもある程度分かりやすいです。
中学生の間にこのレベルまで勉強する必要はありませんが、「理科が好き」で「すでに高得点を取れている。高校課程でも上位の成績を取り続けたい」という人におすすめです。
高校理科の内容(考え方)をしっかり学べるシリーズです。
物理:力学・波動(高校物理の最初の範囲)↓
物理:電磁気・熱・原子↓
化学:理論(高校で最初に習う範囲)↓
化学:無機化学↓
化学:有機化学↓
生物基礎(生物で最初の1/3くらいの範囲です)↓
出版社:Gakken
中学生の好きな科目・嫌いな科目の調査結果(学研教育総合研究所「中学生の日常生活・学習に関する調査」)をみると、5教科のなかで理科が好きな中学生は一番少ないことが分かります。
「理科が好きな中学生」も「理科が嫌いな中学生」も非常に少なく、インパクトのうすい科目になってしまっていると言えるかもしれません。
そんな科目ですが定期テストはもちろん、数年後の大学入試では理系学部の合否を分ける1つのポイントにもなります。
そこで、定期テストで安定して高得点を取るにはどうすれば良いか考えるため、中高一貫理科のテストの特徴から振り返ります。
最初に挙げられるのは「問題量が多い」、あるいは「問題文が長い」という点です。
学年にもよりますが、問題用紙が表裏あわせて6~10ページほどあります。大問数も8~10題ほどになることが多く、大問1つを5分ほどで解答しないと間に合わないケースもしばしばです。
次に挙げられるのは「実験・観察問題の多さ」です。
用語の意味を問うような、単純な一問一答は非常に少ないです。代わりに実験や観察の問題が多いです。
光合成の実験などで条件を変えると結果がどう変わるか、なぜその結果になるかを問う問題が多く出ます。単に「覚えている」だけでなく、実験条件の設定の仕方や結果の考察のために知識を「活用する力」が求められます。
実験や観察の問題では計算して解く問題が多いです。
水蒸気量を示す表・グラフから飽和水蒸気量や湿度を求める問題など、表やグラフを使って計算して解く問題がよく出てきます。
また、電気や運動の単元でも計算問題が必出です。抵抗(Ω)や力の大きさ(N)を求める問題は、公式を暗記しておく必要があります。
実験問題では実験の目的や結果の考察が問われることもよくあります。
「条件Aの実験より条件Bの実験のほうが水滴の量が多かったのはなぜか。記述しなさい。」のように、結果の考察を書かせる問題がよく出ます。
定期テストではパターン化された実験問題も多いので、記述問題はある程度暗記で対応できます。ですが暗記だけでは解けない問題も出されるため、高得点をねらっている人は理解しながら暗記するほうが良いでしょう。
中高一貫理科の大きな特徴のひとつに、「高校課程」の存在があります。
中学生向けの授業に高校課程の理科を一部加えられるケースがよくあります。難関国公立大学や医学部への合格実績を毎年2ケタ人数以上輩出している中高一貫校でよくみられる現象です。
学校の先生のオリジナルプリントを使って授業が行われるところもあり、対応する問題集がないためどう勉強していいか困る中高一貫生が少なからず出ます。
先ほどお伝えした中高一貫理科のテストの特徴を踏まえて、定期テストの勉強法をお伝えします。
※関連記事:私立中学の勉強についていけない場合の対策
筋肉食堂から宅食サービス開始!【筋肉食堂DELI】理科に限らず中高一貫の勉強の鉄則ですが、授業直前か前日に教科書に目を通しておきましょう。
予習なので10~15分程度で十分ですが、下記の3点は把握しておきましょう。
理科は実験や観察が多く出てきます。何を確認するための実験・観察なのかを必ず把握しておきましょう。
目的を意識せずに勉強すると「丸暗記」の勉強になりかねません。暗記で正解できる問題も多数ありますが、計算問題や記述問題が解きづらくなります。
理科では「仕事」「上皿天びん」「反射・屈折」など、日常生活であまり使わない用語が多数出てきます。
用語の意味がよく分からないまま授業を聞いても、いまいちピンときません。
このとき頭のなかでは2つの作業を同時並行させています。
「この用語はどういう意味だろう?」
「この単元で大事なことは何だろう?」
PCやスマホでもそうですが、作業を同時並行すると能率が落ちます。特に人間の脳だとどちらも中途半端で終わってしまいかねません。
授業前に、大体で良いので用語の意味を知っておくだけで脳のスペックを「単元のポイントを考えること」にだけ回せるようになります。これだけで授業内容を理解しやすくなります。
授業で解説を聞いたら、忘れないうちに問題集を解いて知識を整理しておきましょう。
授業で「あ~なるほど」と納得しても、まだ頭のなかはぐちゃぐちゃな状態であることがよくあります。問題を解いてアウトプットすると頭の中の理科知識を整理できます。
忘れないうちに、授業を受けた日か翌日には一度問題集を解いておきましょう。
理科が苦手な人(平均点以下)はここまで紹介してきた勉強法だけでかなり得点アップが見込めます。
ですが、これだけでは80-90点台を安定して取るには不十分です。理科は単元によって得意・不得意が分かれやすいので、不得意単元がテスト範囲のときにはもう少し手厚めに勉強するほうが良いです。
すでに平均点以上を取っていて、学校の教科書や問題集だけでは勉強が十分にしづらいという人は別の問題集も併用しましょう。
一部の中高一貫校では中学生にも高校課程の範囲を一部教えます。学校の先生の個人的なこだわりが強い場合や、医学部など難関大の進学実績を重視する学校でそうしたケースがよく見られます。
授業中にプリントが配られていたらそれをしっかりやりこみつつ、高校課程用の参考書を併用するようにしましょう。定期テストに出てくるわけではない内容も含めて、周辺知識を頭に入れておくと非常に理解しやすくなります。
ただし勉強する範囲が広くなるため、勉強時間が長くなります。中学生用の問題集に出てくる問題を先に解けるようにしておき、さらに得点アップを果たしたいときに高校の参考書を使うようにしましょう。
※関連記事:難関大学に合格するために高1、高2、高3で必要な勉強時間や勉強法
Z会 中高一貫コースのご案内私立中高一貫校の中学生向けに、理科の問題集と定期テスト対策の仕方を紹介しました。
『新中学問題集』『新Aクラス中学理科』などの定番問題集をはじめ、高校課程の勉強がしやすい『ひとつひとつわかりやすく』もおすすめです。
また、学校の授業前には実験や観察の内容を教科書で予習しておき、実験の目的や条件を把握しておきましょう。
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