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【高校入試理科の裏ワザ】地震の計算:震源からの距離、緊急地震速報を聞いてからの時間などの求め方

中学生向けに高校入試理科の計算の裏ワザを紹介します。

理科の計算問題を苦手にしている人は多いですが、コツさえつかめれば解きやすくなります。

この記事では、中1理科の範囲から「地震の計算のコツ」を紹介します。

※関連記事:中学理科の計算問題

高校入試理科の裏ワザ:地震の計算問題

地震の範囲では、2つの地点を比較してP波・S波の速さ、震源からの距離を求める問題がよく出てきます。

算数・数学の速さを苦手にしている人が苦労しがちな問題です。

速さの公式は「はじき」「みはじ」と呼ばれ、速さの基本問題を解くのに役立ちます。ですが、理科の地震の計算だとちょっっっと使いにくいです。

そこで、速さの公式を使わずに問題を解く裏ワザを紹介します。

地震の計算は比例式を使って解く

比例式を使うと解きやすくなります。

まず、「速さ」の公式は以下のとおりでした。

  • 速さ=距離÷時間
  • 距離=速さ×時間
  • 時間=距離÷速さ

この公式を使って答えを求めますが、そのまま公式に当てはめても解けない(当てはめられない)ように問題がつくられています。

そこで、比例式を使います。

比例式とは、「A:B=2:3」のような比を使う式のことです。

比例式を使うときには、比較するものが2つ必要です。地震の計算の場合、たいてい2つの地点が出てくるのでその2地点を比例式に入れます。

例題

下記の表は12時25分0秒にある地震が起こったときのA、B地点における地震の記録です。

震源からの距離初期微動がはじまった時間主要動がはじまった時間
A地点32km12時25分04秒
B地点80km12時25分20秒

(1)①の時間を求めてください。

(2)②の時間を求めてください。

例題の解答・求め方

(1)12時25分10秒

時間発生は12時25分0秒で、32kmはなれたA地点で初期微動がはじまったのがその4秒後です。これをヒントに、80kmはなれたB地点で初期微動がはじまった時間を求めます。

震源からA地点までの距離:震源からB地点までの距離=32km:80km=2:5

これで、「A地点:B地点=2:5」と分かりました。

この比を使って、A地点とB地点それぞれで初期微動がはじまるまでの時間を比例式にします。

A地点:B地点=4秒:x秒
2:5=4秒:x秒
x×2=5×4
2x=20
x=10

(2)12時25分20秒

(1)で求めた「A地点:B地点=2:5」を使います。

A地点とB地点それぞれで主要動がはじまるまでの時間を比例式にします。

A地点:B地点=y秒:20秒
2:5=y:20
5y=100
y=20

地震の計算問題

それでは、前述の比例式を使う解き方で、地震の計算問題を解いてみましょう。

初期微動や主要動がはじまった時刻、震源からの距離、緊急地震速報を聞いてから主要動がはじまるまでの時間など、高校入試レベルの練習問題を11問用意しました。

(1)10時25分32秒に地震が発生した。以下の表はその地震を地震計で計測した記録である。以下の問題に答えてください。

地点震源からの距離初期微動がはじまった時刻主要動が始まった時刻
A20km10時25分36秒10時25分46秒
B40km
C80km

①の時刻を求めてください。

②の時刻を求めてください。

③の時刻を求めてください。

④の時刻を求めてください。

(2) 8時15分25秒に地震が発生した。以下の表はその地震を地震計で計測した記録である。以下の問題に答えてください。

地点震源からの距離初期微動がはじまった時刻主要動が始まった時刻
A24km8時15分28秒8時15分31秒
B8時15分30秒
C80km

①の距離を求めてください。

②の時刻を求めてください。

③の時刻を求めてください。

④の時刻を求めてください。

(3)地震が発生した。以下の表はその地震を地震計で計測した記録である。以下の問題に答えてください。

地点震源からの距離初期微動がはじまった時刻主要動が始まった時刻
A48km19時38分06秒19時38分10秒
B96km19時38分14秒

①の時刻を求めてください。

②地震が発生した時刻を求めてください。

③震源からの距離が120kmの地点にいる人が、この地震の緊急地震速報を同日19時38分16秒に聞いた。同じ時点で主要動がはじまるのは、緊急地震速報を聞いてから何秒後か。

解答

(1)

①10時25分40秒

A地点では、地震発生から初期微動がはじまるまでの時間が4秒。

震源からA地点までの距離とB地点までの距離は、20km:40km=1:2。

「A地点:B地点=1:2」と分かったので、この比を使って初期微動がはじまるまでの時間を比例式にする。

A地点:B地点=4秒:x秒
1:2=4秒:x秒
x=8秒

地震発生から8秒後にB地点で初期微動がはじまる。

②10時26分0秒

「A地点:B地点=1:2」を使って、主要動がはじまるまでの時間を比例式にする。

A地点:B地点=14秒:x秒
1:2=14秒:x秒
x=28秒

地震発生から28秒後にB地点で初期微動がはじまる。

③10時25分48 秒

震源からA地点までの距離CB地点までの距離は、20km:80km=1:4。

「A地点:C地点=1:4」を使って、初期微動がはじまるまでの時間を比例式にする。

A地点:C地点=4秒:y秒
1:4=4秒:y秒
y=16秒

地震発生から16秒後にB地点で初期微動がはじまる。

④10時26分28秒

「A地点:C地点=1:4」を使って、C地点で主要動がはじまるまでの時間を比例式にする。

A地点:C地点=14秒:y秒
1:4=14秒:y秒
y=56秒

地震発生から56秒後にB地点で主要動がはじまる。

(2)

①40km

まず、地震発生からA地点で初期微動がはじまるでの時間、B地点で初期微動がはじまるまでの時間を比で表す。

A地点:B地点=3秒:5秒

「A地点:B地点=3:5」を使って、震源からB地点までの距離を比例式にする。

A地点:B地点=24km:xkm
3:5=24:x
3x=120
x=40km

②8時15分35秒

「A地点:B地点=3:5」を使って、B地点で主要動がはじまるまでの時間を比例式にする。

A地点:B地点=6秒:x秒
3:5=6:x
x=10

地震発生から10秒後にB地点で主要動がはじまる。

③8時15分38秒

震源からA 地点までの距離とC地点までの距離を比で表す。

A地点:C地点=24km:80km
=3:10

「A地点:C地点=3:10」を使って、C地点で初期微動がはじまるまでの時間を比例式にする。

A地点:C地点=3秒:x秒
3:10=3:x
x=10

地震発生から10秒後にC地点で初期微動がはじまる。

④8時15分45秒

「A地点:C地点=3:10」を使って、C地点で主要動がはじまるまでの時間を比例式にする。

A地点:C地点=6秒:y秒
3:10=6:y
x=20

地震発生から20秒後にC地点で主要動がはじまる。

(3)

①19時38分18秒

「震源からA 地点までの距離」と「A地点からB地点までの距離」は同じ(48km)。距離が同じなので、主要動がはじまるまでの時間も同じ。

A地点では初期微動がはじまってから4秒後に主要動がはじまっている。ということは、B地点でも初期微動がはじまってから4秒後に主要動がはじまる。

②19時37分58秒

「震源からA 地点までの距離」と「A地点からB地点までの距離」は同じ48km。

ということは、地震発生からA地点で初期微動がはじまるまでの時間と、A地点で初期微動がはじまってからってからB地点で初期微動がはじまるまでの時間も同じ。

A地点で初期微動がはじまってからってからB地点で初期微動がはじまるまでの時間が8秒なので、A地点で初期微動がはじまる8秒前に地震が発生していると分かる。

③19時38分28秒

震源からA地点までの距離と、震源から120kmの地点(仮にC地点とする)を比で表す。

A地点:C地点=48km:120km
=2:5

「A地点:C地点=2:5」を使って、C地点で主要動がはじまるまでの時間を求める。

A地点:C地点=12秒:z秒
2:5=12:z
z=30秒後

地震発生から30秒後にC地点で主要動がはじまる。

地震の範囲で覚えておくべき用語の意味

前述の計算問題では「初期微動」「主要動」といった用語を使っています。

地震の範囲ではこうした「覚えておくべき用語」がいくつかあります。

初期微動とは

地震発生時に最初に起こる小さなゆれを初期微動と言います。

主要動とは

地震が起こると、小さなゆれにつづいて大きなゆれがやってきます。これを主要動といいます。

一般的に私たちが感じるゆれも主要動のほうです。主要動が来ると建物や道路に被害が発生しやすくなります。

生きていくうえでの重要な知識のひとつなので、高校入試では主要動到達までの時間を問う問題が良く出ます。

初期微動継続時間とは

初期微動継続時間とは、初期微動がはじまってから主要動がはじまるまでの時間を初期微動継続時間といいます。

前述の問題に載せている表では、「主要動がはじまった時間」から「初期微動がはじまった時間」を引いた時間になります。

P波・S波とは

初期微動を起こす波をP波、主要動を起こす波をS波といいます。

地震が起こると最初に初期微動がはじまり、つづいて主要動がはじまります。

高校入試理科の計算問題の問題集

最後に、高校入試理科の計算の勉強で役立つ問題集を紹介します。

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難易度:易~標準(★★☆)

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2冊目は「全国高校入試問題正解」シリーズの「分野別過去問」です。

その名のとおり分野別に分かれています。問題数が多く、ひととおり勉強した後に仕上げ・弱点補強に役立ちます。


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まとめ

いかがでしょうか。

中学生向けに地震の計算のコツを紹介しました。

高校入試理科の計算問題で地震はよく出てきます。

速さの公式(みはじ、はじき)が分からなくても震源からの距離やP波、S波の速さ、緊急地震速報を聞いてからの時間を求めることができます。

比例式を使う裏ワザを解説し、練習問題も載せています。

繰り返し演習して地震の計算問題を得意にしましょう!

satoru

福地 暁です。 個別指導の塾を経営しています。 これまで3000組以上のご家庭を担当させていただきました。 中学受験、高校受験、大学受験、英検・TOEIC対策、中学生・高校生の定期テスト対策など、さまざまな学習支援をしています。 みなさまの学びにプラスになる情報をお伝えしていきます! よろしくお願いします。 1男1女の父。 どうやら娘には「甘いパパ」と思われているようで、 アイスやジュースをねだるときは必ずパパのところにきます。

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