「水酸化ナトリウムの電気分解の仕組みがよく分からない」
このような悩みを感じている中学生、高校生は多いのではないでしょうか。
中学の理科や高校の化学で習う水酸化ナトリウムの電気分解では、化学反応式や用語など覚えることもたくさんあります。
そこで、水酸化ナトリウムの電気分解について解説し、定着のために練習問題を用意しました。
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水酸化ナトリウムの電気分解について、基本から理解しなおしたい!という人は中学で習う内容から復習すると良いです。
水酸化ナトリウムの電気分解の仕組みについて、これから勉強する中学生にもわかるように解説します。
まず、大切な用語の意味をおさらいします。
電解質は水にとかすと陽イオンと陰イオンに分かれます。陽イオンはプラスに、陰イオンはマイナスに電気を帯びています。
この状態で電解質溶液に電気を流すと、陽イオンは陰極に、陰イオンは陽極にひきつけられて化学反応を起こします。
水を電気分解すると、水素と酸素に分かれます。水素は陰極で発生し、酸素は陽極で発生します。
水→水素+酸素
塩化銅水溶液に電気を流すと、銅と塩素に分かれます。銅は陰極に付着し、塩素は陽極で発生します。
電源からスタートして、陰極に向けて電子が供給されます。陰極では陽イオンに電子を与えます。
水酸化ナトリウム水溶液にはナトリウムイオンNa+がありますが、ナトリウムはイオン化傾向が高くイオンのままのほうが安定するため水となら反応します。
そこで、ナトリウムではなく水が電子を受け取ります。すると、水素が発生します。
この結果、陰極では以下のような化学反応式になります。
2H20+2e–→H2+2OH–
つづいて、陽極での化学反応についてです。
陽極では陰イオンから電子をうばいます。水酸化ナトリウム水溶液中には水酸化物イオンOH–があります。OH–から電子を奪うと酸素が発生します。
以下のような化学反応式になります。
4OH–→O2+2H2O+4e–
まとめると、水酸化ナトリウム水溶液の電気分解では以下のような化学反応が起こります。
つまり、水酸化ナトリウム自体は電気分解されず、水が電気分解されます。
以上のように、水酸化ナトリウム水溶液の電気分解の実験では、水酸化ナトリウムに水を加えます。
これは、水酸化ナトリウムはイオン化傾向が高く、反応しないためです。水酸化ナトリウムに水を加えて電流が流れやすくし、電気分解を起こしやすくするのです。
水酸化ナトリウム水溶液電気分解の実験を行いました。このとき、以下の問題に答えてください。
①陰極における化学反応を、電子を含むイオン式で表してください。
②陽極における化学反応を、電子を含むイオン式で表してください。
③両極で発生した気体の体積を合わせると、標準状態で6.72Lでした。陰極で発生した気体の体積は何Lですか。また、陽極で発生した気体の体積は何Lですか。
①2H20+2e-→H2+2OH-
②4OH–→O2+2H2O+4e–
③陰極:4.48L、陽極:2.24L
【解説】
陰極で水素、陽極で酸素が発生します。電子4molで水素H2が2mol、酸素O2が1mol発生します。両極で発生した気体の体積が合計6.72Lなので、水素と酸素の体積を以下のように求められます。
水素:6.72L×2/(2+1)
酸素:6.72L×1/I2+1)
A1: 水酸化ナトリウム(NaOH)の水溶液に電流を流し、化学反応によって水素(H₂)と酸素(O₂)を発生させることです。陰極で水素が、陽極で酸素が生成されます。
A2:
A3:
・陰極(還元反応):水から水素が発生する
・陽極(酸化反応):水酸化物イオンから酸素が発生する
A4:
A5: 電気分解には次のような装置を使用します:
A6:
A7:
A8:
A9:
水酸化ナトリウムの電気分解の仕組みを解説しました。
水酸化ナトリウムに水を加えて電気分解すると、陰極で水素H2、陽極で酸素O2が発生します。
また、苦手な人向けに電解質、電解質溶液、電気分解といった用語の意味も解説しています。用語をしっかり覚えたうえで仕組みを読み、練習問題を解いてみてください。
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