中3公民で出てくる「直接民主制」と「間接民主制」。日常生活で聞きなれない言葉なので、違いが分かりにくいという中学生も少なくありません。
「政策決定への参加の仕方」を覚えておけばテストで正解しやすくなります。
そこで、直接民主制と間接民主制の違いを説明し、それぞれのメリット・デメリットも解説します。
※関連記事:【中3公民の一問一答問題】現代の民主政治
直接民主制と間接民主制はそれぞれ政治体制の違いを表しています。
法律の採決など、国民が「直接」政策決定に参加するのが直接民主制で、代表者などを通じて「間接的に」政策決定に参加するのが間接民主制です。
通常は国会での議論によって政策を決定するため、「議会制民主主義」とも呼ばれます。
また、直接民主制では重要な政策を決めるのに「国民投票」が行われることが多いです。
日本では、国会で国会議員の投票によって法律の制定や改定が決められます。従って、日本は間接民主制です。
ただし、憲法の改正には国民投票で過半数の賛成を得る必要があります。国民投票が必要なので、憲法の改正には「直接民主制」が採用されています。
なお、世界ではヨーロッパやアジアの多くの国で間接民主制が採用されています。
直接民主制を採る国の代表例としてスイスが挙げられます。重要な政策を決定するのに年数回程度は国民投票が行われています。
直接民主制は「国民全員の意思を反映させられる」というメリットがあります。国民が直接的に自分の意志を表明できるからです。
逆に、「多数の人が議論に加わるため、意思決定までに時間がかかる」というデメリットもあります。
記述問題で問われることもあるので、覚えておきましょう。
間接民主制は選ばれた少数の代表者どうしが話し合って意思決定を行うため、「意思決定までに時間がかからない」というメリットがあります。
逆に、間接民主制には「多数決で物事が決まるため、少数派の意見が反映されにくい」というデメリットもあります。そのため、「少数派の意見を取り入れた多様性のある社会」を意味する「インクルーシブ社会」を目指すという考えが広まっています。
以下の( )に入る言葉を答えてください。
(1)代表者を選び、その代表者が話し合って政策を決定する政治体制を何といいますか。
(2)間接民主制で、代表者を選ぶのに用いられる手段を何といいますか。
(3)国民から選挙でえらばれて国会に参加する人を何と呼びますか。
(4)国民が直接政策決定に参加する政治体制を何といいますか。
(5)憲法改正をするには、国会での審議の後に国民が賛成・反対を投票して決める必要があります。この国民による投票を何といいますか。
(6)日本は直接民主制と間接民主制のどちらですか。
(1)間接民主制
(2)選挙
(3)国会議員
(4)直接民主制
(5)国民投票
(6)間接民主制
つづいて、記述問題にもチャレンジしてみましょう。通常の記述問題よりやや応用レベルにしています。
問題
直接民主制と間接民主制の違いを説明し、それぞれの特徴を一つずつ挙げなさい。
解答例
直接民主制は、国民が自ら投票などを通じて政策や法律を決定する仕組みで、一方の間接民主制は、国民が選んだ代表者が議会で政策や法律を決定する仕組み。直接民主制は国民の意思が反映されやすいという特徴があり、間接民主制は意思決定が早くなるという特徴がある。
問題
直接民主制のメリットとデメリットをそれぞれ説明しなさい。
解答例
直接民主制のメリットは、国民一人ひとりが意思決定に直接関与できるため、民意が反映されやすいという点。一方、デメリットは、すべての国民が政策について十分に理解することが難しく、意思決定に時間がかかる点。
問題
間接民主制が多くの国で採用されている理由を、メリットに着目して説明しなさい。
解答例
間接民主制は、代表者が専門知識を持って政策を議論・決定するため、効率的に運営できるから。また、国民全員が頻繁に投票する必要がなく、手間がかからないため。
問題
日本の政治は直接民主制と間接民主制のどちらを主に採用していますか。また、その理由を説明しなさい。
解答例
日本の政治は主に間接民主制を採用している。その理由は、国会議員が国民を代表して政策を議論し、決定する仕組みが効率的だから。(ただし、住民投票など一部では直接民主制の要素も取り入れられている。)
問題
あなたの意見として、直接民主制と間接民主制のどちらが現代の社会に適していると思いますか。その理由を述べなさい。
解答例
私は間接民主制が現代社会に適していると考えます。その理由は、国民全員が政府の政策をこまかいところまで理解して意思決定を行うのは難しいからです。一方で、専門家が議論を行って政策のこまかい部分を決めるほうが、より正確で効率的な政策運営が可能になると考えます。
記述問題で点を取るには以下のような点がポイントです。
最後に、中学公民の勉強におすすめの参考書を紹介します。
中学の公民をイラストや図で解説してくれている参考書です。著者は大学受験の政経で大人気の蔭山克秀氏です。
教科書に合わせたつくりなので、定期テスト対策にも使えます。世の中の動きも実例として挙げられており、教科書より分かりやすいです。
出版社:かんき出版
中学社会の参考書で定番のシリーズです。分野ごとにかなりくわしい解説が掲載されています。
理解が深まるので、記述問題の対策にもなります。
出版社:KADOKAWA
前述の2冊は参考書ですが、こちらは問題集です。「理解できた、問題を解いて知識を定着させたい」という人におすすめです。
入試問題を集めたものなので、学校の実力テスト対策、模試対策にもなります。
※関連記事:模試の活用法【中学生向け】:模試の対策法や模試を受けた後の勉強の仕方などを紹介
出版社:旺文社
いかがでしょうか。
中学生向けに公民で出てくる直接民主制と間接民主制の違いを解説しました。政策決定への国民の参加の仕方が「直接的」なのが直接民主制、「間接的」なのが間接民主制です。
日本は間接民主制ですが、憲法改正には国民投票を必要とする直接民主制が採られています。直接民主制のメリット・デメリット、間接民主制のメリット・デメリットとともに、テストでよく問われるポイントです。
しっかり覚えておきましょう!
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