中学歴史で頻出の「後漢書」東夷伝を徹底解説します。
「漢書」「魏志」倭人伝との違いや金印の意義、テスト対策のポイントも分かりやすく説明します。効率的に覚えるコツや一問一答形式の問題も取り上げているので、歴史のテスト対策に活用ください!
「後漢書」東夷伝は、中国の歴史書『後漢書』の一部で、後漢時代(25年~220年)の東アジア諸国に関する記述を収めています。
編者は5世紀初頭の范曄(はんよう)という人物で、倭国に関する記録として、奴国が後漢に使者を送り、金印を賜ったことが記されています。
建武中元二年倭奴國奉貢朝賀使人自稱大夫倭國之極南界也光武賜以印綬
Wikisourceより引用
(建武中元二年、倭奴国奉貢朝賀す。使人自ら大夫と称す。倭国の極南界なり。光武賜うに印綬を以てす。)
「後漢書」東夷伝には、57年(建武中元二年)に倭国の奴国が後漢へ朝貢し、光武帝から「漢委奴国王」の金印を授けられた記録があります。
これは、中国と倭国の外交関係を示す重要な証拠であり、倭国が周辺諸国と積極的に交流していたことを示しています。
なお、この金印は福岡県(志賀島)で発見されています。
これら三つの文献は、いずれも古代中国で編纂され、日本(倭)に関する情報が記録されていますが、成立時期や内容、倭国に関する記述の詳細さが異なります。
それぞれの違いを解説します。
文献名 | 成立時期 | 背景と特徴 |
「漢書」地理志 | 紀元前1世紀 | 前漢時代に編纂された「漢書」の一部。地理的記録を重視し、簡素な記述が特徴。 |
「魏志」倭人伝 | 3世紀末 | 三国時代の魏を中心に記録した「三国志」の一部で、倭国の詳細な情報が記載。 |
「後漢書」東夷伝 | 5世紀初め | 後漢時代を記録した「後漢書」の中で東夷(倭など)の記録をまとめた部分。倭国の使節派遣が中心。 |
文献名 | 倭に関する記述 | 背景と特徴 |
「漢書」地理志 | 簡潔で抽象的 | 「楽浪海中に倭人あり」と述べ、倭人の存在を初めて記録。地理的情報が中心。 |
「魏志」倭人伝 | 詳細な描写 | 倭国の統治形態(女王卑弥呼)、社会風俗、魏との外交関係を詳述。 |
「後漢書」東夷伝 | 交流に焦点 | 奴国の使者が後漢に朝貢した記録(建武中元2年)。奴国が皇帝に献上物を送ったことを記す。 |
なお、「漢書」地理志や「魏志」倭人伝については以下の記事で詳しく解説しています。
漢書地理志の内容をわかりやすく解説!中学歴史テストで狙われるポイントとは?
中1歴史テスト対策|魏志倭人伝の重要ポイントをわかりやすく解説(漢書地理志や後漢書東夷伝との違い)
後漢書東夷伝は、倭国が初めて正式に中国と外交関係を築いたことを示しています。奴国が朝貢して金印を授けられた記録は、倭国が周辺国との関係性を深めていた証拠として重視されます。
中学歴史テストでは、「漢委奴国王」や金印が授与された年号(57年)などが頻出します。金印の存在は、倭国の社会的地位や中国との外交を理解する手がかりとして重要だからです。
3つの文献の順番を「漢・後・魏」と覚えると効率的です。また、「百余国(漢書)→金印(後漢書)→邪馬台国(魏志倭人伝)」と流れをまとめると、倭国の歴史を一貫して理解できます。
金印「漢委奴国王」を覚えるには、現存する金印の写真を見ると視覚的に記憶に残ります。また、「倭奴国が光武帝に朝貢した」といったストーリーで覚えるとより効果的です。
なお、以下の記事で中学生向け・高校生向けに一問一答問題を用意しています。
【中1歴史の一問一答問題】日本の成り立ち:縄文時代、弥生時代、古墳時代の問題
日本史の一問一答(旧石器時代、縄文時代、弥生時代):遺跡の一覧、中国の歴史資料とその内容一覧
中学生向けの歴史のテストで問われる後漢書東夷伝について、重要ポイントを解説しました。
まとめると、以下のとおりです。
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