中学公民で必ず学ぶ「三審制(さんしんせい)」。
裁判の仕組みを理解するうえでとても大切な内容ですが、「3回も裁判ができるの?」「どこまでが三審制?」といった疑問を持つ人も多いはず。
この記事では、三審制の意味・仕組み・流れをやさしく解説し、語呂合わせや図解で覚えやすくまとめました。
さらに、定期テストでよく出る一問一答・記述問題の出題パターンや、間違えやすいポイントも詳しく紹介!
この記事を読めば、「三審制」の基本から応用まで、バッチリ理解&暗記できるはずです!
裁判には「一度きりで終わりではない」というルールがあります。それが「三審制(さんしんせい)」です。
三審制とは、同じ事件について裁判を最大で3回まで受けることができる仕組みのことを言います。たとえば、もし第一審(最初の裁判)で納得のいかない判決が出た場合、次の裁判所に訴えることで再び裁判をしてもらうことができます。
この制度のおかげで、裁判のミスや不公平な判断を防ぎ、より正しく公正な判決を出せるようになっているのです。
三審制(さんしんせい)と読みます。
つまり「三審制」という漢字を分解して考えると、
「3回までしっかりと調べて判断できる仕組み」という意味になります。
三審制には、主に次の3つの目的があります。
裁判官も人間なので、誤った判断をしてしまうことがあるかもしれません。
三審制があることで、判決に納得がいかない場合に再び別の裁判所で見直してもらえるチャンスがあるため、ミスを正すことができます。
上の裁判所が下の裁判所の判断をチェックできるので、偏った裁判や不公平な判決を防ぐ効果もあります。
たった1回の裁判で人生が大きく左右されるのはとても重大です。三審制によって、国民が納得できるまで裁判を受ける機会を確保することができます。
これは、憲法にもある基本的人権の保障にもつながります。
三審制は、日本の憲法と裁判所法という法律に書かれています。
「第三十二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」
e-gov | 日本国憲法より
この条文は、すべての人が裁判を受ける権利をもっていることを保証しています。これが三審制の根拠のひとつです。
この法律では、裁判所の種類(地方裁判所・高等裁判所・最高裁判所など)や役割が定められています。
それぞれの裁判所が三審制のどの段階を担当しているのか、具体的なルールがこの法律に書かれています。
三審制とは、1つの事件について最大で3回まで裁判を受けられる仕組みです。
それぞれの段階には、
第一審(だいいっしん)→ 第二審(だいにしん)→ 第三審(だいさんしん)
という流れがあり、それぞれに違った役割があります。
ここでは、三審制の流れを図とともに見ていきましょう。
三審制では、それぞれの裁判が少しずつ異なる役割をもっています。
順番に詳しく見ていきましょう。
ポイント:第一審では、証人を呼んで話を聞いたり、証拠をもとに「事実」がどうだったかを中心に調べます。
ポイント:第二審は、「第一審の判断は正しかったか?」を見直す場です。
ポイント:法律の「最後の番人」が最高裁判所。国の法律に合っているかどうかを判断する役割があります。
三審制の中で使われる「控訴(こうそ)」と「上告(じょうこく)」という言葉の違いも覚えておきましょう。
用語 | 読み方 | 意味 |
---|---|---|
控訴 | こうそ | 第一審の判決に不満があるとき、第二審(高等裁判所)に訴えること。 |
上告 | じょうこく | 第二審の判決に不満があるとき、第三審(最高裁判所)に訴えること。法律の解釈が争点。 |
覚え方のコツ
公民のテストでは、「三審制」は毎年のように出題される超重要テーマです。用語の意味だけでなく、仕組みの理解や用語の使い分け、記述式での説明力も求められます。
以下は、定期テストでよく出る一問一答の出題例です。繰り返し練習して覚えましょう。
問題 | 解答 |
---|---|
日本の裁判制度で、3回まで裁判を受けられるしくみを何という? | 三審制 |
一番最初に裁判を行う裁判所を何という? | 第一審 |
第一審の判決に不服があるとき、第二審に訴えることを何という? | 控訴(こうそ) |
第二審の判決にも不服があるとき、第三審に訴えることを何という? | 上告(じょうこく) |
三審制の最終判断をする裁判所はどこ? | 最高裁判所 |
ポイント:用語の意味と流れを正確に覚える!
三審制に関する記述問題では、「なぜ三審制があるのか?」「どんな目的か?」を問われることが多いです。
Q. なぜ日本では三審制が採用されているのですか。理由を簡単に説明しなさい。
裁判で間違った判断がされないようにするため、より公正な判決を行うことができるようにするため。
コツ:
三審制は基本的な内容ながら、ひっかけ問題や誤解しやすい点も多いため注意が必要です。
ホントだけど、誤解されやすい!
→ 三審制とは「最大で3回まで 裁判を受けられる制度」です。
ただし、必ず3回裁判できるとは限らないので要注意。
例:
これはテストでよくあるひっかけ問題!
正しくはこう考える:
「三審制がある」=「3回まで裁判を受けられる可能性がある」
→ 条件によっては2回で終わることもあるし、最高裁で審理されないこともある。
間違いやすい解答例(✕):
「日本では必ず3回裁判を受けられる制度です」
正しい解答例(○):
「日本では原則として、同じ事件について3回まで裁判を受けることができる制度です」
※なお、もっと問題をたくさん解きたい人向けに、以下の記事で一問一答問題を用意しています。
【中3公民】裁判の一問一答問題
三審制は言葉の意味や流れを覚えるだけでなく、記憶に残りやすい工夫が重要です。ここでは、語呂合わせ、キャラ化イラスト、身近な例を使って、楽しみながらしっかり覚える方法を紹介します。
まずは、三審制の基本「第一審 → 第二審(控訴)→ 第三審(上告)」の流れを、語呂で覚えましょう!
地高最(ちこうさい)で三審制!」
→ 地 → 高 → 最 = 三審の順番をそのまま覚えられます!
「控えて上がる、裁判の段!」
この語呂で、控訴 → 上告の順を自然に記憶!
キャラでイメージすると、もっと覚えやすい!
キャラ名 | 審級 | 役割 | セリフ(キャラの特徴) |
---|---|---|---|
いちしん君(まじめ) | 第一審 | 最初に裁判をする | 「しっかり証拠を見て、まずはぼくが判断するよ!」 |
にしん先輩(冷静) | 第二審(控訴審) | 第一審の判断が正しかったかを見直す | 「ほんとに正しいか、もう一度よく見てみようか」 |
さいしん様(正義の女神) | 上告審(最高裁) | 法律の解釈や手続きが正しいかチェック | 「法律にちゃんと合ってるか、私が最終判断するわ」 |
法律の話は難しく感じがちですが、身近な事件に置きかえると理解が一気に深まります。
ポイント:
このように、覚えにくい制度もイメージ化・身近な例・言葉の工夫で確実に頭に入ります。テスト前には、語呂+図+例文をセットで見直すのがおすすめです!
三審制を理解するためには、よく出てくる裁判所の名前や手続きの用語の意味を知っておくことが大切です。定期テストでも頻出なので、ここでしっかりチェックしておきましょう。
参考:「ちばのやる気学習ガイド」社会3年生(千葉県教育委員会)
裁判を行う場所は「裁判所」です。日本には4つの種類の裁判所があります。
用語ポイント:「地・家・高・最」の順で、どの裁判所がどの審を担当するのかを整理しましょう。
用語ポイント:
用語ポイント:
用語 | 意味 | 対象の裁判所 | タイミング |
---|---|---|---|
控訴 | 第一審に不服の申し立て | 高等裁判所 | 裁判中 |
上告 | 第二審に不服の申し立て | 最高裁判所 | 裁判中 |
上訴 | 控訴・上告などの総称 | ― | 裁判中 |
再審 | 確定判決のやり直し請求 | 元の裁判所など | 裁判終了後 |
一審判決 | 最初の判決 | 地方 or 家庭裁判所 | 一審時 |
確定判決 | 最終的に決まった判決 | すべて | 裁判後 |
このように、意味・タイミング・裁判所の名前をセットで覚えておくと、テストで迷いません。
三審制の記述問題は、「説明力」や「用語の正確さ」が問われるため、差がつきやすい単元です。出題パターンをおさえ、模範的な表現を身につけておくことが高得点のカギになります。
定期テストでは、以下のようなパターンがよく出題されます。
例)「三審制とはどのようなしくみですか。説明しなさい。」
→ 三審制の回数(3回)と目的(慎重に判断)をふくめて答える必要あり。
例)「三審制があるのはなぜですか。目的を答えなさい。」
→ 「裁判で間違いがないようにするため」など、理由を説明する形式。
例)「第一審・第二審・第三審は、それぞれどの裁判所が担当していますか。」
→ 地方裁判所・高等裁判所・最高裁判所の順を正しく並べる必要あり。
記述問題の採点では、以下のような点がチェックされます。
採点ポイント | 内容 |
---|---|
用語の正確さ | 「三審」「慎重な裁判」「誤判の防止」などの語句が適切に使われているか |
理由の明確さ | 「なぜそうなるのか」という説明ができているか |
文章のつながり | 文がつながっていて、日本語として自然かどうか |
具体性 | 「三回まで裁判を受けることができる」など、具体的な説明があるかどうか |
「三審制とは、一つの事件について三回まで裁判を受けることができるしくみで、裁判に間違いがないように慎重に判断するためにある。」
【ポイント】
✕「三審制は、裁判が三つあること。」
【理由】
「三審制は、裁判の判断に間違いがないように慎重に判断するためにある。」
【減点NG例】
✕「三回裁判をするため。」
→「回数」は制度の説明であり、目的の答えにはなっていない
三審制は「なんとなく知ってる」だけではなく、人に説明できるかどうかが記述問題のカギになります。
定期テストの差がつくポイントなので、意味・目的・関連用語を整理しながら、一文でしっかり説明する力を身につけましょう!
中学公民では「三審制」だけでなく、裁判制度全体の仕組みや種類の違いもよく出題されます。以下でおさえておくべきポイントを解説します。
比較項目 | 三審制 | 裁判員制度 |
---|---|---|
主な目的 | 裁判を慎重に判断するため | 国民が裁判に参加するため |
対象 | 全ての裁判に関係 | 一部の重大な刑事事件のみ |
裁く人 | 裁判官だけ | 裁判官+裁判員 |
よくあるテスト問題
「三審制と裁判員制度の違いを説明しなさい」
例:家賃を払わない/交通事故の損害賠償など
例:窃盗、殺人、詐欺など
→ 民事裁判も刑事裁判も、どちらも三審制のしくみが適用される。
覚え方:最高裁判所=憲法をチェックする最後の番人!
ここでは、覚えておくべき語句や図・表を使った復習、そして予想問題を通じて、得点アップにつなげるチェックリストを紹介します。
用語 | 意味 |
---|---|
三審制 | 同じ事件について3回まで裁判を受けられる制度 |
第一審 | 裁判の最初の段階(多くは地方裁判所) |
控訴(こうそ) | 第一審の判決に不服があるとき第二審に訴えること |
上告(じょうこく) | 第二審の判決に不服があるとき第三審に訴えること |
裁判員制度 | 国民が刑事裁判に参加する制度 |
違憲立法審査権 | 法律が憲法に合っているかを判断する最高裁の権限 |
Q1:三審制の目的は何ですか?
→ 誤った判決を防ぎ、慎重に裁判を行うため。
Q2:刑事裁判と民事裁判の違いを説明しなさい。
→ 刑事裁判は犯罪についての裁判、民事裁判は人と人のトラブルを解決する裁判。
Q3:「最高裁判所は憲法に違反していないかを判断する権限がある。」この権限を何といいますか?
→ 違憲立法審査権
三審制は、単なる「3回裁判ができる制度」ではなく、「より公平で正しい判断を目指す仕組み」です。
定期テストでは用語の意味だけでなく、「なぜ必要か」「どう機能しているか」といった本質的な理解が問われます。
この記事を何度も読み返して、三審制をしっかりマスターしましょう!
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