大学入試において「語彙力」は、現代文や英語だけでなく、小論文や面接までを支える重要な基礎力です。
しかし、多くの高校生が「何を覚えればいいのか」「どうやって語彙を定着させればいいのか」でつまずいてしまいます。
この記事では、現役講師が、偏差値別のおすすめ語彙問題集と学習法、そして毎日15分で語彙力を確実に伸ばす習慣化のコツまでを徹底解説します。
語彙に悩む受験生はもちろん、さらに得点力を高めたい人にも役立つ保存版の内容です。
※なお、語彙力とは何か、どうすれば伸びるかのかを以下の記事でくわしく解説しています。
語彙力とは?小・中・高校生別にわかる重要性と伸ばし方|親子で学べる語彙力アップ完全ガイド
大学入試では、単なる知識や暗記だけではなく、「言葉の力=語彙力」が問われます。語彙力とは、言葉の意味を理解し、正しく使いこなす力のこと。
現代文や英語などの言語科目はもちろん、数学や理科、社会でも問題文の意味を正確に読み解くためには語彙力が欠かせません。
語彙力がある受験生は、読解力・表現力・論理的思考力の3つが自然と鍛えられ、結果的に全教科の得点力が上がります。
参考:第4回 現代人の語彙に関する調査 – Literas 論理言語力検定(ベネッセ)
現代文の問題で「選択肢が全部それっぽく見える」「筆者の言いたいことがわからない」という経験はありませんか?
これは語彙力の不足=文章の核心語を理解できていないことが原因かもしれません。
たとえば、「相対化」「仮象」「概念」などの抽象語を理解していないと、評論文の主張を正確に読み取れません。
また、筆者の立場を把握する際には、接続語(しかし・つまり・ゆえに など)や表現の微妙なニュアンスの差(たとえば「批判」と「否定」)も読み分ける必要があります。
現代文では「語彙力=読解の武器」です。語彙を増やせば、文章の構造がクリアに見えるようになり、正答率が上がります。
英語でも語彙力は極めて重要です。ただし、ここで言う語彙力は「英単語力」だけではありません。
英単語と対応する日本語の意味を正しく理解する、日本語語彙の力も問われます。
たとえば、長文読解の設問で “What is the implication of this sentence?” のように「文の含意」を問われた場合、「含意」という語の意味を知らなければ日本語訳もおぼつきません。
また、和訳問題では、難しい英単語だけでなく、日本語の表現力も評価されます。語彙力がなければ「訳せたけど減点される」ことも。
さらに自由英作文では、自分の意見を論理的に述べる力=言語のアウトプット力が試されます。日本語語彙が豊かであれば、自分の考えを英語でも適切に表現しやすくなります。
大学入試の出題形式を見ていくと、語彙力の有無が得点差を生むポイントがいくつも存在します。
ここでは、特に語彙力が結果に直結しやすい試験形式を2つ紹介します。
共通テストでは、読解力と思考力を問う複雑な設問形式が増加しています。文章は会話体・図表・複数資料の比較など多様で、表現の微妙な違いや語句の正確な意味を理解する必要があります。
たとえば現代文の設問で「Aの記述と比べてBの立場はどう異なるか」と問われたとき、選択肢の中に「相違」「対照」「転換」などの語が並ぶと、その違いを正しく理解していないと迷ってしまいます。
また、英語の長文問題でも語彙の意味を知らないと文の流れがつかめず、時間ロスや読み違えにつながります。
つまり、語彙力はスピードと精度の両方を支える基礎体力なのです。
難関校では、記述式の問題が多く出題されます。たとえば「筆者の主張を100字以内で要約せよ」「次の語句を使って意見を述べよ」といった形式です。
こうした問題では、限られた字数で的確に表現する力=語彙力+表現力が求められます。
語彙力が乏しいと、「なんとなくわかっているけれど、うまく言語化できない」という状態になり、部分点しか取れないことも。
特に難関私立(早慶・上智・GMARCHなど)の国語や英語では、語彙の精度や使い方で合否が決まる場面も多く、語彙力の差がそのまま合格可能性の差に直結します。
語彙力は「一気に伸びる」ものではなく、計画的なステップで積み重ねることが重要です。
以下の3ステップで語彙学習を進めることで、無理なく、そして効率的に語彙力を高めることができます。
語彙力を伸ばすには、まず自分の現在地=語彙レベルを知ることが出発点です。
レベルを把握すれば、「何が足りないのか」「どの分野に弱点があるのか」が明確になり、対策の優先順位がつけやすくなります。
以下のような信頼性の高い語彙診断ツールを活用しましょう。
これらを使えば、定量的に語彙力を把握し、どのレベルから学習を始めればよいかの判断材料になります。
語彙力は「単語帳を開いたときだけ覚えるもの」ではありません。
日々の学習の中に語彙トレーニングを自然に組み込むことで、負担を減らしながら力を伸ばせます。
移動時間や休み時間などのスキマ時間を活用して語彙を鍛えるなら、語彙学習アプリがおすすめです。以下は特に評価が高いものです。
スマホ学習は「毎日少しずつ」でも続けることで記憶に定着しやすくなるというメリットがあります。
語彙力を「使える知識」として定着させるには、繰り返しの反復と文脈での理解が欠かせません。
語彙を単独で覚えるだけでは応用力がつきません。例文ごと覚えることで、語の意味・使い方・ニュアンスを一度に習得できます。
たとえば:
このように例文を通じて語彙の文脈・使いどころを学ぶと、実際の試験でも使いやすくなります。
特に英語では、熟語やコロケーション(語の結びつき)を意識すると表現力もアップします。
大学入試では、単なる読解力だけでなく、語彙の知識と運用力が大きな差を生みます。
ここでは、難易度別に現代文・英語の語彙力を鍛えるための厳選問題集を紹介し、それぞれの活用法まで解説します。
はい、英単語帳は英語だけでなく現代文読解にも通じる“抽象語感覚”を養うことができます。
たとえば:
などの単語は、英語長文だけでなく、現代文や小論文でもキーワードになります。
これらは語彙の基礎体力づくりに最適。例文暗記を並行することで語感が育ちます。
難関大学の現代文対策として有効なのが、「語彙を実際の文脈から拾う」トレーニングです。
このように、自分で語彙のデータベースを作ることが、思考力・表現力アップにもつながります。
語彙力は一夜にして身につくものではありません。短時間でも毎日続けることがカギです。
アウトプットによって「使える語彙」になり、模試や入試本番での実用力が高まります。
楽しみながら語彙を使うことで、学習のハードルが下がり、自然と語彙が記憶に定着します。
この3ステップを回すだけで、1日約30語のインプット&アウトプットが可能になります。
左ページ(インプット) | 右ページ(アウトプット) |
---|---|
【語彙】ex.「顕著」 【意味】目立ってはっきりしていること 【類義語】明白・著しい 【対義語】曖昧・不明瞭 【使い方】彼の成績の伸びは顕著だった。 【出典】全国模試2023 第4問 | 【自分の例文】 例1:彼のプレゼンは他の人と比べて顕著に優れていた。 例2:(英作文でも応用)His improvement in writing was remarkable. 【イメージ・メモ】「顕=表れる、著=あらわす」→目に見えて分かる |
日付 | 学習内容 | 復習内容(5分ずつ) | メモ・感想 |
---|---|---|---|
月曜 | 新語彙10語(Lesson 1) | ー | 理解度○△× |
火曜 | 新語彙10語(Lesson 2) | Lesson 1 | 書いて覚えると◎ |
水曜 | 新語彙10語(Lesson 3) | Lesson 1, 2 | 類義語で比較 |
木曜 | 新語彙10語(Lesson 4) | Lesson 2, 3 | スマホで例文録音 |
金曜 | 新語彙10語(Lesson 5) | Lesson 3, 4 | ○×で色分け |
土曜 | 1〜5の復習テスト | なし | 苦手語をまとめる |
日曜 | 弱点語再確認 + 休息 | Lesson 1〜5全体復習 | 目標達成度チェック |
語彙力を高めるには、短時間でも「毎日継続」することが最も大切です。一日15分の積み重ねが半年後、大きな差になります。
重要なのは「インプット」だけでなく「アウトプット」も組み込む学習習慣です。
語彙は「意味を知る」だけでは実力になりません。実際の文脈で「使える」ようになって、初めて自分の武器になります。
たとえば、新しく覚えた語彙を使って日記を書く、読んだ文章を要約する、英作文に取り入れるといった方法が効果的です。以下のような実践をおすすめします:
SNSやYouTubeでも語彙力は鍛えられます。たとえば:
続けられる語彙学習には、「時間と場所の固定」がカギです。
語彙力は、国語・英語だけでなく、面接・小論文でも圧倒的なアドバンテージになります。苦手を克服し、短期間で結果を出した事例も多数あります。
ある高校生は、語彙問題集を1冊繰り返し、読書後の要約トレーニングを週2回実施。難解な評論文も読み解けるようになり、現代文の偏差値が45→60に。模試での得点源になったことで、他科目にも余裕が生まれました。
別の生徒は、英検準1級レベルの語彙を覚えることで、英作文の表現が格段に向上。添削指導と語彙アウトプット訓練を組み合わせた結果、志望大の英語記述問題でも減点が減り、最終的に合格を勝ち取りました。
「語彙が豊か=思考の枠組みが広い」というのは受験現場でも実感されています。評論文では筆者の主張を正確に捉える語彙力が不可欠で、語彙があれば選択肢の正誤判断の精度も上がります。語彙は論理思考力の土台となるのです。
英単語だけでなく、その日本語訳の語彙も一緒に鍛えることで、語彙間のつながりを理解できます。たとえば、“significant”を覚える際、「重要な」という抽象的語彙を日本語でも使えるようにすると、現代文や小論文にも強くなれます。
語彙力は、入試に直結する「実力」であり、地道に積み重ねれば確実に成果が出ます。今日から始められる語彙学習ルーティン、偏差値別の語彙問題集、そして「使える語彙」に変えるアウトプット法を取り入れることで、あなたの文章読解力・表現力は飛躍的に伸びるはずです。
「語彙は苦手だから…」とあきらめず、まずは毎日15分の継続から始めてみましょう。受験本番で“差がつく”語彙力を、今からしっかり育てていきましょう。
This website uses cookies.