「中高一貫校に入れば塾はいらない」
そう思っていたのに、よくみると周りは塾・予備校に通っている子ばかり。
「こんなはずじゃなかったのに…」って思いますよね。
実は、中高一貫校に入れても多くの中高一貫生は塾や予備校に通っています。
塾に通わずに定期テスト(定期考査)で良い成績を取るには簡単ではないからです。
中高一貫の中学生は公立中学生と学習環境がまったく異なります。
ですから、塾選びや自宅学習の方法は中高一貫の環境にあわせたやり方が必要です。
そこで、
を確認します。
この記事は下記の方向けです。
中高一貫校は普段の定期テストで受験同様に振り分けがされていきます。
東大・理Ⅲ、京大・医学部などごく一部の最難関校志望者を除いて、まず押さえておくべきは定期テストです。
では、定期テスト対策をするためにはいつから塾に通えばいいでしょうか。
学校外での勉強の必要性を感じたら、すぐに塾探しをはじめるほうがいいでしょう。
定期テストは入試とちがって一発勝負ではありませんが、「過去の成績を変えられない」という厄介な特徴があります。そういう意味で、私立中学の定期テストは、「ずっと良い成績を取りつづける」必要があるのです。
1学期や2学期で底辺をさまよってしまうと、その成績が邪魔をして次学年からコースダウンしてしまいます。あるいはコースアップを目論んでいても、前学期の失敗が尾を引いてしまいます。
英語や数学は「積み重ねの科目」です。1度つまずいたらすぐに対策をしておくほうがいいでしょう。
つまずいた原因が分かっていて自分で対策できそうなら、まず自力でテストの点数をアップさせてみましょう。それがむずかしそうなら塾など、他人の手を借りるほうが早いです。
塾に行こうと考えている場合、定期テストが返却されたらすぐに動き出しましょう。
定期テストの2週間前などに塾探しをすると、テスト勉強がおろそかになります。テスト返却後、間髪入れずにすぐ塾の体験・入塾を決めましょう。
なお、定期テストの時期は以下の表のとおりです。年5回が普通です。
1学期中間 | 1学期期末 | 2学期中間 | 2学期期末 | 学年末 |
5月後半 | 7月はじめ | 10月後半 | 12月はじめ | 3月はじめ |
テストの返却はテスト終了の2-3日後ですから、情報収集のためにテスト期間中に動き出しておくほうがいいです。
中高一貫校では高校入試がないため、学習面の遅れに気づくのが遅くなりがちです。早めに気づいて早めに対策しておけば、大学受験対策をはじめるときに勉強がしやすくなります。
具体的に下記のような遅れが中高一貫生でよくみられます。
これらのうち1つでも当てはまれば黄色信号です。
「私立の先生はよく見てくれているはず」と思っている方もいらっしゃいますが、学校の先生は「テストの点数」と「授業態度」以外はほぼ把握できません。
同じ点数でもミスによる減点が多いのか、応用問題の間違いが多いのかなど、人によって状況はさまざまです。成績表だけでは把握できないものもありますから、早めに外部の目を入れておくほうがいいでしょう。
中高一貫校の先生はたいてい、こう言います。
「学校だけで面倒をみますから、塾には通わないでください!」
中学入試説明会でも言われたと思います。
残念ながら塾なしの子は少ないです。
まず、中高一貫生の通塾状況を確認します。
中高一貫校に入っても、塾に通わせているご家庭はとても多いです。
下記のグラフは中学生の保護者の方を対象に通塾状況を調査した結果です。
中高一貫生の2人に1人以上(54.8%)は塾に通っています。塾なしの子のほうが少数派なのです。
私立中の場合、ほとんどの学校では高校受験なしに高校に進学できます。
6年一貫教育なので、中学3年間と高校3年間があくまで一体の教育環境として捉えられているからです。
それでも中学生の間から塾に通うのは、校内の定期テストがとても重要だからです。
もちろん、東大・理Ⅲなど難関大受験に向けて中学1年生から予備校に通い、学校とは別に大学受験に向けた準備をしている子もいます。
ですが、大半の中高一貫生に影響するのは定期テストの結果です。
では中高一貫生の塾費用はどれくらいかかるのか。
下記のグラフは文部科学省による定期的な大規模調査の結果です。グラフ中にある「補助学習費」というのは、通信教育や市販教材などによる自宅学習以外に、塾などに使っている費用の総額です。
となっています。学年があがるごとに塾にかかる費用もあがっています。
公立中3は年間30万円以上かけています。
高校受験がないぶん、公立中学生にくらべればまだ少ないです。
ほとんどの中高一貫校は、無料で補習をしています。しかも高校受験なしでそのまま高校にあがれます。
それなのにわざわざ中学生のうちからお金を出して塾に行く必要はあるのでしょうか。
結論をいうと、必要性はあります。
その理由は中高一貫校ならではのカリキュラムにあります。
これらの特徴を1つ1つ説明します。
英語、数学の中学課程を2年間で終える学校が多いです。中学課程を急ぎ足で進むため、取りこぼしが多くなりがちです。
高校課程は3年かけてみっちり対策するところも多いですが、そもそも中学課程で抜けている子は高校課程の勉強に時間をかけてもポロポロと抜けていってしまいます。
公立中は定期テストのたびに提出課題があるだけです。ところが中高一貫校では毎日宿題が出ます。
宿題の量は比較的多めで、毎日1-2時間しないと終わらないくらいの量です。
学校によっては毎日小テストを実施しており、宿題よりも小テストの勉強に時間がかかる場合もあります。
勉強した内容を定着させるには、自学習が欠かせません。
など、自分で考えて勉強する必要があります。
ところが宿題や小テスト対策に追われると、それをする時間がなくなり、あやふやな定着のまま次の内容に授業がどんどん進んでしまいます。
ちなみに、中学の間は宿題が少ない学校もあります。男子校にその傾向が強いです。
中高一貫校はコース制が普通です。コ-スによって授業内容のレベルやクラスメートの勉強への熱心さが大きく変わります。
コースは1-2年に1回入れ替えがあり、特に中3→高1のときの入れ替えが大学の進学先に決定的に影響します。
普段の定期テストで点数を取らないといけないので、「自分で考えて試行錯誤する余裕」を持ちにくいです。とにかく目の前の課題を仕上げ、暗記で済ませるスタイルのほうが中学課程では効率的です。
そうなると、高校課程に入ったとき(大抵、中3から)から勉強についていけなくなっていきます。
在籍しているコースによって、現実的に目指せる大学のレベルが決まっています。
例えば、「難関国公立大進学コース」という名称のコースであれば、
コース内でトップ5%程度以内であれば、難関国公立大学を目指せます。
コース内で上位3分の1くらいまでなら、中堅国公立大学や上位の私立大学も目指せます。
同様に、「国公立大学進学コース」では、
上位5~10%くらいの生徒に国公立大学合格の芽があります。
コース内で上位10%までに入っているとそのコースのカリキュラムの恩恵を受けやすいですが、そうでない生徒だと、そのコースのカリキュラムに学力が合っていない可能性が大です。
学校外での対策に力を入れるほうがいいかもしれません。
中高一貫生は高3の1年間に大学受験対策をたっぷり行っています。多くの生徒はポテンシャルが十分に引き出されています。
医学部・獣医学部志望者でない限り、浪人してもあまり成績があがらないことが多いです。
「自分は高3であまり勉強しなかったから浪人して勉強したらもっと学力があがるはず」
そう考える中高一貫生もいますが、ほとんどの中高一貫生は浪人しても学力があがりません。
逆に下がる生徒も少なくありません。
中学・高校で補習をさんざんしてもらっても勉強しなかった子なら、
厳しい言い方になりますが、
残念ながらそういう学習習慣も含めて今の学力なのかもしれません。
あくまで現役で第一志望大学への合格を目指すほうが良い結果につながります。
前項でお伝えした中高一貫校の特徴を踏まえて、中高一貫生が塾・予備校を利用するメリットは3つお伝えします。
中高一貫校はコース内での順位がとても大切です。
上位10%がそのコースでカリキュラムの恩恵を受けやすいからです。
良い順位を取るには学校で習っている内容をきちんと解けるようにする勉強が大切です。
それができる塾を選ぶと、中高一貫生にとって大きなメリットを得られます。
高3の1年間を受験対策にあてられるので、中高一貫校は難関大学への受験に強いです。難関大学に合格するには、
の2点が必要です。
高校課程で応用問題に取り組めるようにするには、中学課程での取りこぼしがないようにする必要があります。
塾や予備校に行くと、学校の枠を超えた仲間に出会えます。
進学意識の強い学校の生徒は勉強に熱心ですし、復習もしっかり行っています。
そういう様子をみて刺激を受けられます。
また、医学部志望者なら貴重な情報交換の場にもなります。
塾は種類によって強みがことなります。塾の種類別の特徴を確認しておきましょう。
中高一貫生が通う塾は、授業形態によって大きく3つあります。
それぞれの塾の特徴やメリット、注意点を表にまとめました。
授業形態 | 授業進度 | メリット | 注意点 | |
集団指導塾・ 予備校 | 先生1人で生徒5人~20人くらいの一斉授業 | 塾・予備校固定のカリキュラムによる大学受験対策 | ・旧帝大や医学部など、ハイレベルな大学受験対策を早期に開始できる ・勉強をがんばっている学外の仲間ができるので、モチベーションがあがる | ・学校の勉強がおろそかになる ・塾や予備校が繁華街にあると、帰りに遊びに行ってしまう |
個別指導塾 | 先生1人で生徒1~3人までの個別授業 | 学校の進度に合わせた定期テスト対策や、英検対策・大学受験対策も可能 | ・学校の勉強の遅れを取り戻せる ・苦手な科目や単元をピンポイントイン対策できる | ・宿題の単なる質問対応になってしまう ・科目を追加すると料金がグっとあがる |
オンライン家庭教師 | 先生1人で生徒1人のオンライン個別授業 (先生と生徒は別々の場所にいる) | 学校の進度に合わせて定期テスト対策や、英検対策・大学受験対策も可能 | ・学校の勉強への遅れを取り戻せる ・苦手な科目や単元をピンポイントイン対策できる ・これらの対策授業を短時間で受けられる | ・宿題の単なる質問対応になってしまう ・自分の部屋で受講するので、勉強のオン・オフの切り替えがむずかしい |
先生1が生徒10名前後を教えるクラス授業です。
クラスごとに同じ内容の授業を受けます。
塾・予備校によってターゲットにしている大学があります。旧帝大や早慶上理などの難関大学や医学部などです。
学校とは別のカリキュラムで授業を受けて、宿題をします。予備校によっては定期テスト(構内テスト)もあります。
中高一貫校は学校の宿題や補習で忙しく、さらに別カリキュラムの授業を受けてその宿題もするのは時間的にハードです。
先生1人が生徒1-3人くらいまでを教える個別授業です。
生徒によって教材や授業内容がちがいます。
ひと昔前は学校の勉強についていけない生徒が大半でしたが、最近では状況が変わっています。
苦手科目や単元をピンポイントに扱えるので、学年上位生が個別指導塾を主体的に利用して上手に実力をたかめるケースが普通になってきています。
ただし、責任者次第では、授業が単なる宿題の質問対応に終わる場合もあります。その場合は、なかなか成績があがりません。
先生1人が生徒1-2人オンラインで教える個別授業です。
生徒は自宅のリビングや自分の部屋で受講していることが多いです。
たまに、学校の許可を得て寮で受けている子もいます。
家庭教師とはいえ、家にくるわけではありません。部屋のなかを片付ける必要も出迎える必要もありません。
ほとんどのオンライン家庭教師センターは教材が自由です(追加料金が発生する場合もあります)。学校の教科書やプリントも扱えます。
授業は「生徒が聞きたい問題の解説」になることが多く、主体的に勉強できる生徒のほうが成績をあげやすい傾向にあります。
私立中学生には定期テスト対策が1番重要ですから、個別指導塾がおすすめです。学校によって使っている教科書も進み方もちがいます。
全員同じカリキュラムで進む集団指導塾や予備校だと定期テスト対策はできません。
学校の教材を塾の授業でも使い、わからない問題をつぶしながら勉強のペースをつくっていくようにしましょう。
学校が家から遠かったり部活で帰宅が20-21時になってしまう子もいます。
塾に通う時間がない人は、オンライン家庭教師がおすすめです。自宅で受講できるので、遅い時間帯からでも授業を受けられます。
また、学校の教材を使えますから、定期テスト対策には問題がありません。
※関連記事:【中学生向け】おすすめのオンライン学習塾!選び方、成績のあげ方、裏技も解説
前述のように、中高一貫生が塾に通うメリットはたくさんあります。
では、中高一貫生は塾に行かないといけないか、学校の授業と家庭学習のみではダメなのかというと、決してはそんなことはありません。
そもそも中高一貫生は勉強の仕方が比較的うまいです。
中学受験をしなかった生徒にくらべて、小学生のころにかなり勉強をしたからです。
った子とでは、勉強方法の習熟度がまるで違ってきます。
自主的に勉強できる子にとって塾は必須ではありません。
塾なしで良い成績を取るには、下記の3つのポイントを念頭に置いて勉強に取り組むと良いです。
この3点を考えて定期テスト対策をすれば、もともと勉強はうまいのですから、結果はついてきます。
考えて勉強してけれど思うような結果を出せないときは、その問いにひとつの解決策を提示してくれる塾を探せばいいだけです。
「塾に行かなければ成績があがらない(あげられない)」と思わず、「自主的な姿勢」を大事にしていきましょう。
いかがでしょうか。
中高一貫の中学生の2人に1人は塾に通っています。
「私立に入れたから塾なしで大丈夫」
という状況ではなくなっています。
ただ、やみくもに塾に行けばいいわけでもありません。
中高一貫校のカリキュラムには独自の特徴があります。
本格的な受験対策は高校生になってからですが、定期テストで上位の成績を取ることが受験対策に直結します。
※関連記事:【中学生】塾なし・家庭学習で成績アップできる定期テスト勉強方法とは?
【中学生のためのZ会の通信教育】This website uses cookies.