「語彙力が大事」とよく言われるけれど、それって一体どういうこと?
語彙力とは、言葉を知り、使いこなす力のこと。文章を読んだり、話したり、考えたりするすべての場面で、土台となるとても大切な力です。
そこでこの記事では、小学生・中学生・高校生の各年代ごとに語彙力の特徴や伸ばし方を詳しく紹介。音読や辞書の使い方から、入試対策に役立つ語彙教材まで、親子で楽しみながら語彙力を育てる実践法が満載です。
教育現場や文部科学省の資料も参考に、信頼性の高い内容でお届けします。
「語彙力=一生使える武器」を今から一緒に育てていきましょう!
※なお、小学生におすすめの国語辞典を以下の記事で紹介しています。
小学生におすすめの国語辞典
「語彙力(ごいりょく)」という言葉は、子どもの学力や入試、さらには社会人のビジネススキルまで、あらゆる場面で注目されています。
でも、そもそも語彙力とは何を指すのでしょうか?なぜそれほどまでに重要だと言われているのでしょうか?
この章では、語彙力の意味と大切さについて、文部科学省などの資料を参考にしながら、子どもにも保護者にもわかりやすく解説します。
まず「語彙(ごい)」とは、ある言語で使われる言葉の集まりを意味します。たとえば、「小学生が知っている語彙」と言えば、その年代で一般的に理解して使える単語の集合のことです。
一方、「語彙力」とは、この語彙を理解し、使いこなす能力のことを指します。
参考:三省堂「語彙力とは何か」
用語 | 意味 |
---|---|
語彙 | 言葉の集まり(知っている単語・表現) |
語彙力 | 言葉を理解し、適切に使う力(読み・書き・話す・聞く力) |
単に言葉を「知っている」だけでなく、「使いこなせる」ことが語彙力には求められます。
語彙力が高い人には次のような特徴があります:
文部科学省は、語彙力の重要性について、「言語活動の充実」を図る観点から強調しています。2020年度から完全実施された新学習指導要領では、国語を中心にすべての教科で「言葉の力」が基礎になると示されています。
語彙力は、以下の3つの力と密接に関係しています。
たとえば、「悲しい」という感情でも、「悔しい」「虚しい」「残念だ」など細かく言い分けられるとより正確に伝えることができます。
文部科学省の方針でも、語彙を正しく身につける重要性が指摘されています。
小学校では,「話す・聞く」に加えて「読む・書く」の「繰り返し練習」により,国語力の基礎となる知識を確実に身に付けさせることが重要である。特に,「読み」の学習を先行させることで,言葉の知識(特に「語彙力」)を増やすことに重点を置くべきである。
文部科学省 – 国語力を身に付けるための国語教育の在り方より
文部科学省の「国語に関する世論調査」や「学力調査結果」からもわかるように、語彙力は学力全体に強く影響することが明らかになっています。
つまり、語彙力が低いと、知識があってもそれを伝えられずに損をすることすらあります。
語彙力は学校のテストだけでは見えにくいこともあります。家庭で次のような観点から簡単にチェックしてみましょう。
チェックのコツ:
子どもが知らない言葉に出会ったときに、その意味を調べる習慣があるかどうかも大切なポイントです。
語彙力は、単なる「言葉の数」ではなく、思考力や表現力の土台になる力です。家庭での声かけや学習習慣の工夫によって、誰でも伸ばすことができます。
小学生の時期は、語彙力の土台を築くもっとも重要な時期です。語彙力は、国語だけでなく、算数・理科・社会といったすべての教科の理解にも深く関わっています。
ここでは、小学生期に語彙力がなぜ大切なのか、そして家庭でできる具体的な伸ばし方について、文部科学省の資料や漢検の内容を参考にしながら詳しく解説します。
※なお、小学生の語彙力の伸ばし方については、以下の記事でくわしく解説しています。
親子でできる語彙力アップ!小学生の言葉の力を伸ばす家庭での言葉遊び&練習法7選【国語力アップ】
小学生は、「言葉の黄金期」とも呼ばれるほど語彙を吸収する力が高い時期です。
この時期に「どれだけ多くの良質な言葉に触れたか」が、今後の読解力・学力を左右します。
小学生の語彙力は、学校だけでなく家庭での働きかけによって大きく伸ばすことができます。以下では、効果的な家庭学習の方法を具体的に紹介します。
音読のメリット:
読み聞かせのメリット:
おすすめ本:『モモ』『エルマーのぼうけん』『学研まんがでよくわかるシリーズ』など
日常の会話も、語彙力を育てる大切な場面です。
会話例の工夫:
こうした問いかけを習慣づけることで、語彙の選び方や使い方が自然に身についていきます。
語彙ノートの作り方:
ことばカード(自作・市販)の活用:
親子で「今日のことば」を共有するのも効果的!
※なお、以下の記事で小学生向けに語彙力を伸ばす方法をくわしく解説しています。
親子でできる語彙力アップ!小学生の言葉の力を伸ばす家庭での言葉遊び&練習法7選【国語力アップ】
語彙力を高めるには、信頼できる教材やアプリを選ぶことも重要です。ここでは、漢検・文部科学省が推奨する教材からおすすめのものを紹介します。
漢検(日本漢字能力検定)は、語彙力向上に非常に有効です。特に10級(小1程度)~8級(小3程度)は、日常語彙の基礎を網羅しています。
学年別おすすめ活用法:
※漢検公式ドリルやアプリも活用可能(スマホ・タブレット対応)
文部科学省の「小学校学習指導要領」では、学年ごとに求められる言語活動と語彙のレベルが示されています。たとえば:
授業外でもこうした語彙に触れることで、学習効果がさらに高まります。
小学生は、語彙力を育てる絶好のチャンスです。毎日の読み聞かせや会話、ドリルやカード学習など、家庭でできる工夫を積み重ねることで、子どもの思考力・表現力・学力のすべてが大きく伸びていきます。
※なお、以下の記事で語彙力向上につながる小学生向けのドリルを紹介しています。
小学生におすすめの語彙力ドリル12選|国語力を伸ばす家庭学習の決定版!
中学生になると、語彙力は単なる「知っている言葉の数」ではなく、「思考や論理を支える道具」としての重要性が増してきます。
定期テストや高校入試ではもちろん、社会の出来事を理解したり、自分の考えを伝える力にも直結するのが語彙力です。
この章では、中学生にとって必要な語彙力の特徴と、その効果的な伸ばし方を詳しく解説します。
中学生になると、扱う文章やテーマの抽象度や複雑さが一気に増します。
これらの語彙は、国語の文章読解だけでなく、社会や理科の教科書、さらには英語の訳文理解にも関わってきます。
「なんとなく」ではなく、文脈に応じて意味を捉え、正しく使いこなせる力が必要です。
中学生の語彙力は、定期テスト・高校入試の成績に直結しています。
語彙力がないと、「読めるけれど理解できない」「説明はできない」という状態になりやすいのです。
語彙力=国語だけの問題と思われがちですが、数学・理科・社会・英語すべてで必要とされます。
教科 | 語彙の例 | 語彙力がないと… |
---|---|---|
数学 | 仮定・証明・誤差・概数 | 問題文の意図が理解できない |
理科 | 光合成・酸性・状態変化 | 用語の違いや説明があいまいに |
社会 | 権利・義務・市場・景気 | 歴史や公民の文章の理解に苦労 |
英語 | responsibility, evolutionなど | 和訳や英英辞書の理解に支障 |
中学生の語彙力は、「毎日のちょっとした習慣」で伸ばすことができます。以下は効果的な方法です。
新聞のコラム(天声人語・社説)やニュースサイトの記事は、豊富な語彙と論理的な文章の宝庫です。
活用のコツ:
おすすめ:
語彙マップとは、「言葉同士のつながり」を図で表す学習法です。
例:「成長」を中心に
自分で分類したり、ノートにまとめたりすると、意味を深く理解して使える語彙が増えていきます。
辞書を引いて「意味だけ書く」だけでは、語彙力は伸びません。
辞書学習のポイント:
おすすめ辞書:
中学生にとって使いやすく、効果的な語彙力向上教材を紹介します。
ツール | 特徴 |
---|---|
三省堂『例解学習国語辞典』 | 小・中学生向け定番。語義と使い方がセットでわかる |
進研ゼミ中学講座「読解力ドリル」 | 入試を意識した語彙問題。文脈の中で語彙を理解する形式 |
スタディサプリ中学講座 | 長文読解講座や語彙対策動画あり。アプリで手軽に反復学習 |
ベネッセ「語彙力強化ワーク」 | 定期テストや模試で出る語彙を精選。毎日10分で取り組める |
中学生にとって語彙力は、学力・思考力・表現力の土台です。知っている言葉が増えるだけでなく、それを正確に理解し、文脈の中で使いこなす力が問われます。
毎日のニュース、辞書の使い方、語彙ノートなどを工夫しながら、コツコツ積み重ねていくことが、入試でも社会に出ても活きる「ことばの力」になります。
高校生にとって、語彙力は「国語の力」にとどまらず、「思考力」「判断力」「表現力」を支える知的武器です。
大学入試(共通テスト・小論文・面接)において、語彙力が合否を分ける場面は少なくありません。
さらに、語彙力は将来の仕事、プレゼン、議論、情報収集・発信など、社会で活躍するための土台ともなります。
これらの語彙を知らなければ、文章の理解は表面的になり、設問の意図にも対応できません。
語彙が不足すると、考えが浅くなる・曖昧になる・伝えられないという現象が起こります。
例:
「環境問題についてどう思うか」に対して
語彙の質が、思考と説得力を左右するのです。
特に小論文・面接では、使う語彙が「思考の深さ・教養レベル」を判断される基準になります。
語彙力は「読む」だけではなく、「使う」ことで定着します。インプットとアウトプットの両方が必要です。
語彙力アップに有効な活動:
方法 | 内容 | 効果 |
---|---|---|
要約トレーニング | 評論文や新聞記事を100字でまとめる | 語彙を「使って構成する」練習になる |
ディベート | 社会問題や倫理問題について議論 | 抽象語・論理語の運用力が鍛えられる |
エッセイ・小論文 | テーマに沿って自分の意見を文章化 | 語彙の使い分け・多様性が育つ |
おすすめ素材:
受験や進路に応じて、適切な語彙力教材を使うことで、効率的に語彙力を伸ばすことができます。
高校生に人気の語彙教材:
教材名 | 特徴 |
---|---|
『現代文キーワード読解』(Z会) | 抽象語・評論語の理解が深まる。入試頻出語を厳選 |
『入試現代文へのアクセス』シリーズ(河合塾) | 語彙を文脈で理解しながら解ける演習形式 |
『ことばはちからダ!』(三省堂) | 思考語彙を育てるための読み物。入試・面接対策にも |
『読解を深める現代文単語〈評論・小説〉』(桐原書店) | 難関大志望者向けの抽象語・専門語対策 |
語彙力の「レベル」は志望校によって異なります。
大学の種類 | 語彙の難易度 | 出題例 |
---|---|---|
共通テスト(基礎) | 中学~高校基礎語彙中心 | 「自由」「文化」「情報」など |
中堅私立大(GMARCHなど) | 社会系語彙が多め | 「市場」「制度」「権利」など |
難関国公立(東大・京大・一橋など) | 抽象語・哲学語彙多数 | 「相対主義」「構造主義」「主体性」など |
志望校の過去問を見て、出題されている語彙に合わせて語彙集や問題集を選ぶことが重要です。
高校生にとって語彙力は、「文章を読む力」だけでなく、「考える力」「伝える力」を支える最強のツールです。
日々の読書、思考的なアウトプット、目的に合った教材を使い、語彙を知識から「使える力」へと高めていきましょう。
※なお、大学入試に向けた語彙力の伸ばし方について、以下の記事でくわしく解説しています。
【保存版】大学入試で差がつく語彙力の鍛え方|現役講師が教えるおすすめ問題集と学習法
語彙力は、読み書きの力だけでなく、思考力・表現力・人間関係力にも深く関わります。
そして子どもの語彙力は、学校だけでなく、家庭での関わり方や環境によって大きく左右されることが分かっています。
年齢や学年に応じた適切なアプローチを知ることが、保護者による語彙力サポートの第一歩です。
日常の中で「言葉に触れる機会」と「言葉を使う機会」を豊かにすることが、語彙力の土台になります。
以下のように、「無理なく読書が当たり前になる環境づくり」がポイントです。
重要なのは、「読ませようとしないこと」。親が楽しんでいれば、自然と興味を持ちます。
子どもが使う言葉や説明に違和感を感じたとき、それをただ正すのではなく、一緒に考える姿勢が大切です。
例:
こうしたやりとりを通じて、語感・文脈・意味の広がりを子ども自身が感じるようになります。
「言葉の使い分け」や「状況に応じた語の選び方」が自然と身につきます。
語彙教材は、年齢や習熟度に合ったものを選ぶことで、学習効果が格段に上がります。
教材選びでチェックすべきポイントは次の通りです。
ポイント | チェック例 |
---|---|
興味を持てる構成か | イラスト・ストーリー仕立て・ゲーム感覚など |
レベルは合っているか | 難しすぎると嫌になる。1~2割わかる語がある程度が◎ |
繰り返し使える構成か | 書くだけでなく、クイズ形式、読み上げ練習など |
親がサポートしやすいか | 解説や声かけ例が載っているか |
年齢別のおすすめ教材例(目安):
学年 | 教材例 | 特徴 |
---|---|---|
小1~2 | 『ことばパーク』シリーズ(学研) | 言葉遊びで語彙を楽しく学べる |
小3~4 | 『言葉力1100』(旺文社) | ドリル形式で使える語彙を段階的に習得 |
小5~6 | 『語彙力アップトレーニング』(Z会) | 入試準備にもつながる語彙と文脈理解を育成 |
中学生 | 『中学国語力を伸ばす語彙1700』(文英堂) | 思考語彙・抽象語に慣れる練習に |
高校生 | 『ことばはちからダ!』(三省堂) | 小論文・表現力対策に最適 |
公的な教育機関や地域社会にも、語彙力育成を支える取り組みがあります。
公共図書館の活用法
市区町村の教育委員会による支援例
保育園・幼稚園との連携
自治体のホームページや、学校・園からの配布物をチェックすると、意外と多くの語彙支援情報が得られます。
語彙力を育てるのに、特別な教材や多くの時間は必要ありません。日常生活に少し意識を加えるだけで、語彙力は着実に伸びていきます。
ここでは、すぐに取り組める具体的なアクションを10個紹介します。
一日の終わりに会話を通して、語彙を思い出す=定着につながります。
遊び感覚で、語彙と意味の広がりに触れられます。
例:「“慎重”ってどんな時に使う言葉?」「“挑戦”ってどんな意味?」など。
自然な中で出会う語彙の方が、記憶に残りやすくなります。
リズムに乗せて語彙に慣れ、文章表現にも強くなります。
意味だけでなく、自分なりの説明や例文にすることで、思考力も鍛えられます。
例:「感情」→ 喜び/怒り/悔しさ など、テーマ別に広げていく。
例:「ことばのパズル」「毎日の言葉ドリル」など、ゲーム感覚のアプリが◎。
「静か」の反対語は? 類語は?という練習で、語彙の幅が広がります。
感想文やつぶやきでもOK。感じたことを言葉にする力が育ちます。
語彙力は「一夜で伸びる」ものではなく、日々の積み重ねが重要です。以下の3ステップで、無理なく習慣化していきましょう。
語彙力の変化は目に見えにくいものです。だからこそ「見える化」する工夫が効果的です。
方法 | 内容 |
---|---|
語彙ノート | 覚えた言葉、意味、自分の例文を書く |
語彙カード | 表に言葉、裏に意味と例文を書いて復習 |
語彙マップ | カテゴリー別に言葉をつなげて図にする |
シール表 | 新しい言葉を覚えたら1枚シールを貼る |
ふせんボード | 新しい語彙をふせんに書いて貼り出す(定期的に張り替える) |
成長が「目で見える」状態になると、子ども自身のやる気や達成感がぐっと高まります。
語彙学習は地道ですが、「楽しさ」や「変化」を感じられる仕組みがあれば続けられます。
重要なのは、「語彙学習=楽しい」「語彙を知る=自信になる」と思える仕掛けを作ることです。
語彙力は、受験やテストだけでなく、人と関わり、考え、表現するすべての力の土台です。
毎日数分でも言葉に触れる習慣をつくれば、語彙力は必ず伸びていきます。
そして、語彙を育てることは、子どもだけでなく大人にとっても新しい発見や学びにつながります。
親子で一緒に、ことばの世界を楽しみながら育てていきましょう。
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