中学入試の国語には語彙力がかなり必要です。
一般的な小学生なみでは足りず、中高生ぐらいの語彙力が求められます。
ですが、普通に過ごしているだけでは語彙は急に伸びていきません。
そこで、語彙力をアップさせられるドリルを紹介します。
※関連記事:国語辞典を使う習慣をつくって語彙力と読解力を伸ばす方法
語彙力が伸びると何が変わる?小学生に語彙力が必要な理由
語彙力は「読む・書く・話す」のすべての基礎
語彙力とは、言葉の意味を理解し、正しく使える力のことです。小学生の学びにおいて、語彙力はすべての教科の土台になります。たとえば、
- 「読む」:文章を正確に理解するには、言葉の意味を知らなければなりません。
- 「書く」:自分の考えを伝えるには、適切な言葉を使って表現する必要があります。
- 「話す」:先生や友達との会話でも、語彙力が豊富な子は話が伝わりやすく、誤解も少なくなります。
このように、語彙力があることで、学習も人間関係もスムーズになります。
語彙が豊富だと学力全体が伸びる
文部科学省の調査や教育現場の実感として、語彙力が高い子どもは国語に限らず、算数や理科、社会といった他教科の成績も高い傾向があります。
理由は、どの教科でも「問題文を正確に読み取る力」が必要だからです。たとえば、算数の文章題も「語彙力」がないと意味がわからず、正解にたどりつけません。
つまり、語彙力は「学力のエンジン」。特定の教科だけでなく、学習全体の理解力と成績アップにつながる重要な力です。
中学受験や将来の表現力にも直結!
近年の中学受験では「言葉の使い方」や「読解力」「記述力」がますます重視されるようになっています。
文部科学省も語彙力をベースにした読解力・記述力の向上を方針に掲げています。
(文部科学省「これからの時代に求められる国語力について」)
そのため、早い段階で語彙力を伸ばしておくことは受験対策にも有利です。
また、語彙力は将来にわたって必要不可欠な力です。社会に出てからも、
- 相手に伝わる言葉で話す
- 場にふさわしい表現を選ぶ
- 自分の意見を説得力をもって伝える
といった「コミュニケーション力」や「思考力」に直結します。
語彙力を育てることは、将来の可能性を広げる第一歩なのです。
※なお、家庭での語彙力の伸ばし方について、以下の記事でくわしく解説しています。
子どもの語彙力を伸ばす方法と語彙力の高い子の過ごし方
語彙力ドリルの選び方|失敗しない3つのチェックポイント
① 子どもの学年と語彙レベルに合っているか
まず確認したいのは、対象年齢や学年に合った内容かどうかです。難しすぎるドリルは子どもが挫折しやすく、逆に簡単すぎると飽きてしまいます。
理想は、「ちょっと頑張ればできる」くらいのレベル感。たとえば、2年生の子に1〜2年生向けのドリルを選ぶと安心です。出版社によってレベル感に差があるので、内容サンプルやレビューをチェックするのもおすすめです。
② イラストや例文がわかりやすいか
小学生は、視覚的な情報や具体例があると学びやすくなります。たとえば、
- イラストがついていてイメージしやすい
- 例文が日常会話に近く、使う場面がわかる
- 「○○と□□の違い」などの比較がある
といった工夫があるドリルは、子どもの理解を助け、語彙が定着しやすくなります。学びを「体感」に変える視覚要素のある教材が理想的です。
③ 継続しやすい工夫がされているか
どんなに良いドリルでも、続かなければ意味がありません。継続しやすいドリルには次のような特徴があります。
- 1日1ページ・5分で終わるなど「短時間でできる」
- ステップアップ形式で「達成感」がある
- シールやごほうびつきで「モチベーション」が保てる
特に低学年では、親が隣で見守って「できたね!」と声をかけることで、楽しみながら語彙力が身についていきます。
専門家の視点:現役国語教員に聞いた「良い語彙ドリル」の特徴
実際に小学校で国語を教えている先生の意見として、次の3点が「良い語彙ドリル」の条件だそうです。
- 言葉の意味だけでなく「使い方」まで学べるか
意味暗記だけで終わるのではなく、例文や会話の中で実際に使えるようにする設計が大切。 - 日常生活と結びついているか
学校や家庭、友達とのやりとりなど、子どもが日常で使う言葉に焦点を当てていること。 - アウトプットの機会があるか
「〇〇という言葉を使って文を作ろう」など、書いたり話したりする練習が入っていると、語彙が定着しやすいとのことです。
このような観点から選ばれた語彙ドリルは、単なる知識習得を超えて、実践的な国語力=生きる力を育てる教材と言えます。
【2025年版】小学生におすすめの語彙力ドリル12選
低学年向け(1〜3年生)
小学生の語彙力アップ 基礎練習ドリル1200 新装版
- 対象学年:主に1〜2年生
- 特徴:ひらがなや簡単な漢字を使った語彙1200語を収録。1ページあたりの学習量が少なく、1日5分から始められます。
- おすすめポイント:言葉の意味と使い方をイラスト付きで学べ、子どもが飽きずに取り組めます。
小学生の語彙力アップ 基礎練習ドリル1200 新装版 どんな子も言葉力が伸びる! まなぶっく 小学国語 むずかしい言葉(学研プラス)
- 対象学年:2〜3年生
- 特徴:低学年でも難しい言葉を「身近な例」と「使い方」で学べる設計。音読しながら理解できるよう工夫されています。
- おすすめポイント:「難しい=大人っぽい言葉」を楽しく覚えることで、子どもの語彙への関心を広げます。
小学国語 むずかしい言葉 中学年向け(3〜4年生)
マンガ×くり返しでスイスイ身につく 1200の言葉ドリル
- 対象学年:3〜4年生
- 特徴:マンガ形式で登場人物と一緒に言葉を学ぶ構成。視覚的に語彙が記憶に残りやすくなっています。
- おすすめポイント:何度もくり返し出てくる語彙で、無理なく定着。語彙力に自信がない子にもぴったりです。
マンガ×くり返しでスイスイ身につく 1200 の言葉ドリル コンパクト版 思考力アップに不可欠! ふくしま式 小学生が最初に身につけたい語彙
- 対象学年:3〜5年生(中学年にも最適)
- 特徴:教育界で高評価の「ふくしま式」。思考の型とセットで語彙を学ぶことで、国語力・読解力も同時にアップ。
- おすすめポイント:中学受験や論理的思考の基礎固めにも使えるハイレベル教材。
思考力アップに不可欠! ふくしま式 小学生が最初に身につけたい語彙200 小学4年 語いと文法(毎日のドリルシリーズ)
- 対象学年:小学4年生
- 特徴:語彙と文法をバランスよく学べる一冊。接続語、助詞、表現の違いなど、文章力を高める力も身につきます。
- おすすめポイント:語彙と文法をセットで学びたいご家庭におすすめ。
小学4年 語いと文法 高学年向け(5〜6年生)
中学受験国語の必須語彙ドリル A【中学受験対応】
- 対象学年:5〜6年生(受験生向け)
- 特徴:中学受験で頻出の語彙に特化。語義、例文、使い方の確認ができる設計。
- おすすめポイント:受験対策に特化した本格派ドリル。難関校を目指す子に最適です。
中学受験国語の必須語彙ドリル A(基礎レベル) 漢字・語彙力ドリル 改訂版 (駿台受験シリーズ)【中学受験対応】
- 対象学年:5〜6年生
- 特徴:駿台監修。語彙と漢字を同時にトレーニングできる構成。漢字の書き取りだけでなく、意味と使い方に重点。
- おすすめポイント:国語の点数を底上げしたい受験生に◎。
漢字・語彙力ドリル〈改訂版〉 (駿台受験シリーズ) 齋藤孝の書いておぼえる語彙力アップドリル 四字熟語・ことわざ・慣用句
- 対象学年:5〜6年生
- 特徴:ことわざ・四字熟語など、表現力を豊かにする語彙を厳選。書きながら記憶に定着させます。
- おすすめポイント:文章表現に深みを加える語彙力を養いたい子にぴったり。
齋藤孝の書いておぼえる語彙力アップドリル 四字熟語・ことわざ・慣用句 語彙力アップ1300シリーズ
- 対象学年:4〜6年生
- 特徴:全1300語。「言い換え」「反対語」などのトレーニングも豊富で、語彙の広がりが自然に生まれます。
- おすすめポイント:受験対策はもちろん、日常的な国語力アップにも使える万能型教材。レベル別に1~3まであり。
語彙力アップ1300 1 小学校基礎レベル 小学校6年生までに必要な語彙力が1冊でしっかり身につく本
- 対象学年:6年生
- 特徴:文部科学省の学習指導要領をベースに構成された安心設計。語彙+読解+作文力まで網羅。
- おすすめポイント:卒業までに語彙力をしっかり固めたいご家庭におすすめ。
小学校6年生までに必要な語彙力が1冊でしっかり身につく本 全年齢OK!楽しく続けられる語彙ドリル
アプリ連動型ドリル「ことば探偵の冒険」
- 対象学年:1〜6年生(全年齢対応)
- 特徴:紙のドリルとアプリが連動。クイズ形式で語彙を探す“謎解き”感覚で学べるため、飽きずに楽しく継続できます。
- おすすめポイント:ゲーム好きの子や、自主学習に取り組みづらい子にもおすすめ。
ことば探偵の冒険 新語・流行語を追え!~小学生のミカタ~ 齋藤孝の声に出しておぼえる 四字熟語かるた 新装版(遊びながら学べる)
- 対象学年:全年齢対象(推奨は3〜6年生)
- 特徴:遊びながら四字熟語に親しめるカード教材。家族みんなで楽しめるのが最大の強み。
- おすすめポイント:家庭内コミュニケーションを通して語彙力アップができる優れもの。
幻冬舎(Gentosha)齋藤孝の声に出しておぼえる 四字熟語かるた 新装版 479077 親子での言葉の練習法
ここまで、語彙力アップに役立つドリルを紹介してきました。
最後に、対義語・類義語をドリルや辞書で覚えて親子で練習して語彙を増やす方法を紹介します。
ドリル・国語辞典を使って語彙を増やす練習方法
言葉はバラバラに覚えるよりも、関連するほかの言葉と一緒に覚えるほうが頭に残りやすいです。
ドリルや国語辞典を使って大量に覚えます。
1つの言葉から関連用語を覚える
まず、ドリルや国語辞典で言葉を1つ調べます。
その言葉の関連用語を5分ほどで覚えましょう。
対義語・類義語を1分で書き出す
5分たったらその対義語・類義語を1分以内にできるだけ多く書き出します。
書き出した言葉の数が多いほど記憶に定着しやすくなります。
親子で競争しながら書くとさらに効果的です。
例文を書く
書き出した言葉を使って例文を書いてみましょう。できるだけ自分の日常生活のいち場面を例文にします。
なかなか思い浮かばないときはドリルや辞典に載っている例文を参考にします。
これを週末に1度ずつ実施すると、使える語彙がどんどん増えていきます。
親子の会話で言葉を使う練習方法
語彙の獲得にはやはりアウトプットが欠かせません。
ドリルや国語辞典で語彙を学習しつつ、同時並行で日常生活でも使って慣れます。
「今日は学校で何があったの?」と聞く
学校から帰ってきたときや夕食時には「学校であったこと」を聞きましょう。
「学校どうだった?」でも良いですが、howよりもwhatで聞かれるほうが子どもは答えやすいです。
ポイントは「教えてもらう(教えてね)」というスタンスです。矢継ぎ早に質問すると「詰問されている」と感じる子もいます。
「~なんだね。それから?」と聞く
1つお話をしてくれたら、「~なんだね。それから?」と返します。
返し方はいろいろですが、「子どもの言った内容を言いかえてあげる」「つづきをうれしそうにうながす」のがポイントです。
同じ内容を別の言い方にすると、子どものなかで話し方のレパートリーが増えます。
さらにつづきを促されると、別の内容も話そうとするのでアウトプットが増えていきます。
「~と比べるとどっちのほうがうれしかった?」と比較させる
ときには「~とどっちがうれしかった?/楽しかった?」のように、比較する質問を投げかけてみます。
中学入試の説明的文章はたいてい、対比です。
対比は「何かと何かを比べる手法」です。日常会話で比べながら話す練習をしておくと、対義語を使いなれますし、文章を対比させながら読む練習にもなります。
前のめりで会話をする
子どもが話しかけてきたら前のめりで聞くのがポイントです。
親子の会話で言葉を使う練習をするには、楽しさが欠かせません。楽しいからもっと話そう(アウトプット)、伝えたいことを表現できる言い方を学ぼうという意欲がわいてきます。
語彙力を伸ばす家庭学習のコツと習慣化のヒント
親子で一緒に取り組む「語彙クイズ」
- 解説:語彙ドリルをやらせるだけでなく、親子でクイズ形式にすることで「遊び」感覚で語彙に触れることができます。
- 具体例:「“たとえば”ってどんなときに使うの?」「“勇敢”って反対の言葉は?」など、日常会話をベースにしたクイズを出すと効果的。
- ポイント:正解・不正解にこだわらず、親がリアクションをとることで“言葉って楽しい”という感覚が育つ。
朝の10分で無理なく続ける方法
- 解説:朝は頭がすっきりしているため、語彙のインプットには最適な時間帯。短時間でも毎日の習慣にすることで大きな成果になります。
- 実践法:
- 起床後~朝食までの10分間を「語彙タイム」として固定。
- 1ページだけでもOKという「低ハードル」設定で継続しやすく。
- 補足:「朝にできた」という達成感が、子どもの自己肯定感や学習意欲にもつながる。
スマホ・ゲームより語彙遊び!習慣化のコツ
- 解説:スマホやゲームに夢中になる時間を“言葉遊びの時間”に変えるのが習慣化のコツ。
- 具体策:
- スマホやゲームをやる前に「語彙ドリルを1ページやったらOK」といった「交換ルール」を設定。
- 語彙カードや四字熟語かるたなど、遊び感覚で取り組める教材を活用。
- 効果:子どもが「学習=つまらない」というイメージを持たずに、語彙に自然と親しむ習慣が身につきます。
保護者の声|実際に使ってよかった語彙ドリル体験談
家庭での成功例① 1年生でも楽しく続けられた!
- 体験談内容(例):
- 小学1年生の娘さんが、最初は文字に苦手意識があったものの、「語彙ドリル+語彙クイズ」を導入したことで楽しんで学習。
- 毎朝1ページ、終わったらカレンダーにシールを貼るというごほうび制で習慣化に成功。
- ポイント:親子で関わる姿勢と、楽しさを重視した進め方がカギ。
家庭での成功例② 中学受験に向けた語彙力UP体験
- 体験談内容(例):
- 小学5年生の息子さんが、読解問題でつまずくことが多く、語彙力不足が原因と判明。
- 『中学受験国語の必須語彙ドリル』と『ふくしま式』を活用し、毎日15分をルール化。
- 約3か月で国語の偏差値が10ポイントアップ。
- ポイント:受験対策にも語彙ドリルが非常に効果的であることが明確に。
まとめ|語彙力ドリルは「学びの土台」づくりに最適!
- まとめポイント:
- 語彙力はすべての教科の理解と表現の基礎。
- 語彙ドリルは、「読む力」「書く力」「考える力」の3つを伸ばす土台づくりにぴったり。
- 習慣化のためには、親子で楽しむ・短時間・ゲーム感覚の3つの要素を意識することが成功の鍵。