算数や国語にくらべて社会の勉強を後回しにしている人は多いです。
ですが、第一志望校合格に向けて社会は重要な得点源にできる科目です。
そこで、中学受験生向けに、社会の実力を今よりワンステップ・ツーステップアップさせる勉強法を紹介します。
※関連記事:中学受験社会の勉強:いつからはじめる?どの問題集を使うべき?
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中学入試の社会では、非常に細かい知識や高度な理解を求められます。
一気に知識や理解を高めるのは大変なので、段階的に実力を高める方法が有効です。
そこで、社会の実力をステップアップさせていく勉強法を紹介します。
最初のステップは、社会に出てくる大枠の理解と基本的な知識の暗記です。
参考書や図鑑でイメージをつかみ、重要なポイントをメモにまとめます。
基礎がしっかりしていると、後のステップがスムーズに進みます。
難関中学を目指す子は3年生終わりまでにこのステップを卒業するのが目安です。
具体的にどのように勉強すれば良いか、以下にまとめています。
社会の勉強のスタートは「興味」です。
丸暗記するより、興味を持って覚えるほうが理解しやすく、後々の応用力が身につきます。
下記の3点を実施しておくと、子どもが地理や歴史に興味を持つきっかけになります。
※関連記事:中学受験をする小学生におすすめの図鑑(理科、社会、国語、算数)
日本地図のパズルを使って遊びながら都道府県名や地域ごとの特産品を勉強します。小学校低学年の間に実施するのがおすすめです。
大抵の日本地図や日本地図パズルには都道府県名以外に、地域別の特産品や歴史的建造物も書かれています。
パズルで遊びながらそれらを一緒に学びます。
※関連記事:中学受験をする小学生におすすめの日本地図パズル
テレビや新聞のニュースについて、親子で話すようにします。特に政治・経済・貿易・国際情勢について話しましょう。
中学入試の社会では地理・歴史・公民の融合問題や時事問題も出てきます。最近の話題についての知っておくと時事問題に正解しやすくなります。
なかでも、現代の日本と諸外国との関係は地理・歴史とからめて出題されやすいです。
地理はエネルギー問題や災害(台風、地震など)に関係しますし、地域ごとの天気(雨量、降雪など)や特産品は歴史にも関係します。
最近のニュースを話題にすることで融合問題や時事問題、また思考力問題を解くための重要なヒントを得られます。
社会に興味を持ち、地理や歴史の大枠を把握できたら、問題集で細かく暗記していきましょう。
この時点で一度、過去問や模擬試験を解いてみるとどこまで暗記が必要そうかイメージしやすくなります。
最終ゴールのイメージをつかんでおくと、知識の定着や応用力の向上につなげられます。
このステップでは、解答を確認し、間違えた部分を再度復習することがたいせつです。
難関中学志望の子は4年生でこの段階に入りたいところです。
※関連記事:難関中学に合格できる勉強法
このステップでは、以下の方法で勉強すると効果的です。
まずは教科書を読み、各分野の基礎知識を把握します。
教科書は重要ポイントを文字や写真、イラストで具体的に解説しているので、知識のベースづくりとして便利です。
適切な難易度の問題集を選びます。
最初は基本的な問題からはじめ、徐々に難易度を上げていくと良いでしょう。
中学受験向けで、イラストや写真が豊富な参考書を選ぶと、より勉強しやすくなります。
問題は一度解くだけでなく、繰り返し解きましょう。
同じ単元の問題を繰り返し解くことで、知識が定着しやすくなります。
正解・不正解だけでなく、解説にもしっかり目をとおします。
なぜその事件が起きたのか、なぜ答えがその地域なのか、誤った選択肢はどこが間違っているのかを理解すると知識を補充できます。
問題集を解いていて間違えた問題や理解が浅い部分をみつけたら、それらをまとめた誤答ノートを作成します。
自分だけのオリジナル参考書・問題集です。
このノートを活用して、同じ間違いを繰り返さないように勉強します。
問題集での演習が進んだら、模擬試験を受けてみます。
緊張感のある雰囲気で制限時間内に問題を解くことで、実際の試験に近い状況で対応する力を養えます。
記憶があいまいになっている範囲も確認でき、その後の勉強に活かせます。
模試を受けてわからない部分や疑問点があれば、教科書や参考書を再度確認します。
社会の先生に質問をするとさらに理解を深められます。
次に、難易度の高い問題や記述対策に移ります。
参考書や実践的な問題集を使って、深い理解を目指しましょう。
人に説明できるほど理解できれば、入試の社会で高得点の可能性が広がります。
基本的な知識を覚えたら、参考書の発展的な部分(ワンポイントアドバイスなど)や特集もしっかり読みます。
そこには地理や歴史の詳細な情報や事例が含まれており、赤字や太字の用語だけでは把握しきれない知識を知ることができます。
この内容が入試社会の資料読み取り問題や思考力問題を解く力につながります。
用語や地名、人名や歴史上の出来事を単独で覚えるだけでなく、それが他の事柄とどのように関連しているかを考えましょう。
例えば、地理の範囲で伊万里焼を勉強します。佐賀県や長崎県で有名な焼き物です。
伊万里焼の発祥は、実は豊臣秀吉による朝鮮出兵です。朝鮮半島から日本に連れてこられた陶工たちが朝鮮半島の優れた焼き物技術を日本に伝え、それがきっかけで伊万里焼など現代に残る多くの有名な焼き物につながりました。
このように事象や知識の関連性を理解すると、より広範で実践的な深い理解が得られます。
学習した知識を実際の事例やニュースに結びつけてみると、理解がより深まります。
入試社会では、現代の社会との関わりが出題されやすい傾向があります。
白地図を用意し、そこに地名や特産品、その土地で起こった歴史上の出来事を書き込みましょう。
例えば兵庫県なら下記のような内容を書き込みます。
ほかにも、都道府県別に必須事項を書き込むと地理・歴史・公民の知識を整理できます。
思考力問題や記述問題に対応するため、専用の問題集で演習します。
入試社会は事象の因果関係をとらえ、論理的に書かせる問題が出てきます。
グラフや表の読み方、地形図から年間雨量や農産物の推定の仕方、歴史資料の読み取り方を練習して身につけましょう。
勉強がハイレベルになってくると、一度覚えた知識を忘れ、戦乱の名前や時代が混乱するなどしてきます。
この頃には定期的な復習が必要です。
週ごと・月ごとに、過去に解いた問題や問題集を取りだし、忘れがちなポイントを再確認します。
中学入試当日まで復習を続けることで、社会を重要な得点源にしやすくなります。
塾の授業がある日は、授業で学んだ内容を同日中に復習しましょう。
理解が追いついているか確認することが重要です。
週に一度、その週に学んだ・覚えた社会の内容をまとめて復習することで、知識が定着しやすくなります。
重要なポイントや記述問題など難しい箇所に焦点を当てて復習すると効果的です。
塾の教材や市販問題集の学習した日付を書いておけば、どこからどこまで復習すれば良いか一目瞭然です。
月ごと、あるいは祝日がくるたびに復習しましょう。
授業→その日の復習→週末の復習→月ごとの復習
上記のように、1か月の間に同じ範囲を4回勉強する計算です。
何度も勉強することで勉強時間が長くなるように感じるかもしれませんが、実際はむしろ短くなります。
一度学習してから早く復習すると短時間で勉強がすむことがわかっています(一般社団法人 日本経営心理士協会より)。
ステップ4までは「単元別に問題を解く力」を養っています。ステップ5では仕上げとして「広い範囲の問題を解く力」を養います。
単元別演習なら解けるのに範囲が広くなると解き方を思い出せない単元は、まだ理解や定着が足りていない範囲です。
そこで最終ステップとして、過去問演習と模擬試験の活用に重点を置きます。
6年生になったら月1回程度は入試過去問や模擬試験の過去問を解きましょう。
入試問題や模擬試験の問題はコンパクトにまとまった良質な総合問題です。
弱点になっている問題や苦手な範囲を探しだします。もちろん、時間配分を練習にもなります。
さらに、模擬試験の過去問題も解いて総合演習を行います。確認テストの代わりです。
苦手範囲を見つけたら、改めて単元別に演習をしましょう。
ここからは分野ごとに実力をステップアップさせるための勉強法を紹介します。
分野ごとの勉強法は下記の記事でくわしく紹介しているので、ぜひご参考ください。
中学受験社会の分野別勉強法(地理・歴史・公民):社会が苦手になる子の特徴とは?
地理で何より大切なのは地図です。
「高知県四万十川」「鳥取県境港」と問題集に出てきたら、地図で場所を確認しましょう。
頭のなかで思いだすだけよりも、実際に地図をみて脳に印象づけるほうが良いです。
高知県は四万十川以外にも促成栽培や高知平野、歴史分野で土佐藩・板垣退助や愛国社なども出てきます。
「四万十川」「促成栽培」「板垣退助」など、知識を1つ1つバラバラに覚えるより、ほかの知識と結びつけて覚えるほうが入試では得点につながります。
複数の知識を結びつけるのが地図(場所)です。そのため、地図をみながら場所と一緒に各知識を覚える方法が有効です。
地理では地域ごとの産業や特産品も覚えます。
産業(農業、工業)や特産品、伝統行事はその地域の地形や気候が大きく影響しています。
例えば甲府盆地は水はけがよく、大都市に近いためモモなどの果樹園の栽培が盛んです。
また、土地が広く降雨量の多い地域では稲作が盛んです(新潟、北海道、秋田など)。
このように、地域ごとの産業をその土地の風土とからめて覚えると、単なる丸暗記よりも思いだしやすく記述問題に強くなります。
つづいて、中学受験の歴史の勉強法を紹介します。
歴史で大切なのは「歴史の流れ」です。
「いつ」「誰が」「なぜ」「何をした/何が起こった」を時系列で覚えましょう。
例えば、古代は政権が摂関政治の藤原氏に収まるまで、有力者がコロコロと変わっていました。
「蘇我氏or物部氏」(豪族)
↓(①)
「蘇我氏+厩戸皇子(聖徳太子)」(豪族+皇族)
↓(②)
「中大兄皇子+中臣鎌足」(皇族+貴族)
↓(③)
「天武天皇」(天皇)
のように、6-7世紀の100年ほどの間に最有力者だけで4パターンに変遷しています。
政権の順番と、各政権でどのような政策が行われたのかも合わせて覚えるようにしましょう。
歴史の流れは「縦(時代順)」と「横(因果関係)」の両方で覚えるようにしましょう。
上記の例では、①②③それぞれで政権担当者が交代する事件が発生しています。
①蘇我氏と物部氏の戦い(丁未の乱)
②乙巳の変
③壬申の乱
誰が政権を担い、
その政権時にどのような政策が行われ、
何が起こって新政権に変わったか、
なぜその事件が起こったのか。
この4つをセットで覚えておくと、ひとつづきのストーリーになり覚えやすいです。
中学入試の記述問題は「何があったか」よりも「なぜその事件が起こったか/なぜその政策が行われたか」を問うので、縦と横の両方で流れを追うと記述問題にも強くなります。
また、年号も一緒に覚えておきましょう。
※関連記事:【中学受験社会】歴史の流れを解説:歴史の覚え方と勉強方法
※関連記事:歴史の年号語呂合わせ一覧
中学入試では公民の出題傾向は一定です。
現代の私たちの生活にどう関連しているかを、「憲法」と「比較的身近なニュース」の2つの面から問われます。
日本国憲法の条文は丸暗記しておきましょう。穴埋め問題で頻出です。
ここで1-2問正解するだけで5-6点アップします。
もちろんすべての条文を覚える必要はありません。第一条・第九条・第二十五条・第四十一条をきっちり覚えておきましょう。
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
日本国憲法 – e-Gov法令検索より引用
ニュースについて親子で話すようにしましょう。
下記の4点について話し合ってみます。
この視点で対話形式の思考力問題も出やすく、記述問題にも使われやすいです。
最後に社会の受験対策におすすめの問題集を紹介します。
いずれもAmazonのリンクをつけているので、リンク先でお得に購入いただけます。
その名のとおり、マンガで地理や歴史を学べる学研のシリーズです。
「勉強しよう!」と言わなくても、リビングに置いておけば子どもが勝手に手に取ってくれるので、社会の勉強のスタートとして子どもに取りくませやすいです。
地理上巻↓
地理下巻↓
歴史上巻↓
歴史下巻↓
政治・国際↓
中学受験対策の定番、「自由自在」です。大容量で、毎日コツコツ、長い期間かけて勉強できます。
これ1冊仕上げれば、あとは過去問だけでも大丈夫です。
歴史の流れを理解するのに非常に便利な図鑑です。
問題集とセットで使うとかなり覚えやすく、忘れにくくなります。
難関中学対策として必須の記述問題対策です。
記述の勉強をとおして「なぜ?」から学べるので、苦手克服にも役立ちます。
つづいても、難関中学対策として定番のシリーズです。難関中学対策用につくられており、特に首都圏の受験者には必須です。
いかがでしょうか。
中学受験社会の成績をもう少し伸ばしたい人向けに、ステップアップさせる方法をお伝えしました。
社会はやみくもに暗記するより、地図を使う・歴史の流れを追う・日常生活に関連づけることで入試に対応する力を養えます。
難易度別に社会問題集も紹介しているので、ぜひ取り組んでみてください!
※関連記事:中学受験理科の苦手克服!原因と対策法を分野別に解説(てこ、ばね、かっ車、化学変化、星座など)
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