英検3級を受ける人向けにリスニングの出題内容を紹介し、3級リスニングで合格点を取るためのコツや勉強法を紹介します。
すぐ実践できるように、過去問をもとに大問ごとに対策法を説明しています。
リスニングを得意にして、3級を一発合格できるように対策しましょう!
※関連記事:英検3級の問題集
まず、英検3級リスニングの出題内容を確認しましょう。
日本英語検定協会のHPに掲載されている過去問を例に説明します。
3級のリスニングは大問1~大問3まであり、約25分つづきます。
下記のような問題構成です。
出題内容 | 設問数 | 放送回数 | |
大問1:会話の内容一致選択 | 会話の内容に関する質問に答える。 | 10問 | 1回 |
大問2:会話の内容一致選択 | 会話の内容に関する質問に答える。 | 10問 | 2回 |
大問3:文の内容一致選択 | パッセージの内容に関する質問に答える。 | 10問 |
音声が流れる回数が大問1は1回きりなので、放送内容を事前にある程度予想してから聞く必要があります。
大問2・3は4級までと同様に2回です。
大問1はイラストを見ながら男女2人の会話を聞き、会話の最後の発話に対する応答として最も適切なものを補う問題です。
1つの音声に対して設問数は1つで、3つの選択肢から適切なものを選びます。
例えば下記のようなイラストです。
このイラストをみて「場面」と「2人の会話内容」を予想しておきます。
2人の英語での会話を聞き、最後に英語で質問されます。解答の選択肢も英語で放送され、ふさわしい選択肢を選びます。
放送は「1回きり」です。
大問2も男女2人の会話を聞き、その会話内容に関する質問に答えます。
大問1と違ってこちらはイラストがなく、代わりに音声が2回放送されます。
下記のような選択肢が問題用紙に書かれています。
1. Buy a computer.(コンピュータを買う。)
2. Buy some tickets.(チケットを何枚か買う。)
3. Go to a fashion show.(ファッションショーに行く。)
4. Go to the town hall.(町役場に行く。)
会話が終わったあと英語で質問され、選択肢のなかから適切な解答を1つ選びます。
大問2では選択肢は問題用紙に書かれています。
大問3は1人のスピーカーが読み上げる短い文章を聞き、その後、英語の質問が流れます。
問題用紙に選択肢が4つ書かれており、質問の解答としてふさわしい選択肢を1つ選びます。
例えば下記のような選択肢です。
1. To say thank you.(ありがとうを言うため。)
2. To ask him about America.(アメリカについて彼に聞くため。)
3. To tell him about a TV show.(テレビ番組について彼に話すため。)
4.To invite him to a zoo.(彼を動物園に招待するため。)
大問2と同様に2回放送されます。
各選択肢の内容と照らし合わせながら音声を聞き取ります。
3級の一次試験は1650点で、そのうちリスニングは550点です。
一次試験の合格点は67%(1103/1650点)なので、リスニングは最低でも80%以上取りたいところです。
リスニングの得点は英検合格のカギをにぎっています。
3級はリーディングもライティングも得点が伸びづらい傾向にあります。
そこでリスニングでは8割(24/30問)以上、できれば9割(27/30問)正解しておきたいです。
3級をはじめて受ける人は4級との違いを知っておくと対策がしやすくなります。
4級にくらべて3級は単語数とトピック、テストの種類に大きな違いがあります。
3級の必要単語数は約2100語です。4級は約1200語ですから、2倍近くに増えます。
4級は「リーディング+リスニング」ですが、3級は「リーディング+ライティング+リスニング」になります。
リスニングの前にライティングが加わります。このため、3級一次試験の合格率は50%ほどにまで下がります(4級は70%近く)。
また、3級からは二次試験(スピーキングテスト)も加わります。
※関連記事:【英検3級二次試験対策】面接問題サンプル
ライティングとスピーキングが加わることで、英検対策の勉強のボリュームが増えてしまいます。
ただ、ライティングをしっかり対策すると、リスニングやスピーキングの実力も大幅に伸ばせます。
そういう意味では、3級リスニングで高得点を取るためにライティングを得意にするのが良いでしょう。
※関連記事:3級ライティング対策
※関連記事:3級ライティングの練習問題
リスニングは一次試験で最後に受けるテストです。
一次試験はリーディング・ライティング・リスニングの3パートを合計75分で解答します。
そのうちリーディング→ライティングのテストは50分で、時間配分は受検者に任されています。
そのため、ライティングまでで時間を5-10分余らせておき、リスニングの前に問題の先読みをするのが王道の解答方法です。
※関連記事:英検3級ライティングの対策
ただし、S-CBTの場合はスピーキングテストに次いで2番目に受けます。S-CBTではこの「時間をあまらせる」という解き方ができないため、受け方・練習の仕方を変える必要があります。
※関連記事:【英検S-CBT】従来型英検との違い
3級の出題内容や配点、合格点が分かったところで、3級リスニングのコツを紹介します。
リスニング問題は「音声が流れる前」に問題を読んでおきましょう。
どのような内容の音声が流れるのか、何を質問されるのかなどを前もって把握しておくためです。
問題文を読みながら、これから流れる音声内容を想像しましょう。
2人の会話なら、「親子なのか友人どうしなのか」など、音声が流れる前に状況を予想しておくだけでかなり聞き取りやすくなります。
選択肢では「ポイントになる箇所」に線を引いて、後で見やすいようにしておきましょう。具体的には「時期」「場所」「条件」などです。
本文内容を予想して選択肢をチェックできたら、問われ方を予想しましょう。
上記のような疑問詞が使われる可能性が高いので、それを予想しておくと質問内容も聞き取りやすくなります。
問題文を先読みできたら、いざ音声の聞き取りです。
音声が流れてきたら、細かい内容は置いておいて大まかに状況を把握するよう努めましょう。
聞こえてきた英語は和訳せず、そのまま頭のなかで映像化しましょう。
3級では放送が1回になるパートもあり、逐次和訳していると途中から音声に追いつけなくなります。
聞こえてきた内容をそのままイメージ化して、大まかに状況をつかむようにしながら聞きましょう。
聞き取れない単語があったり、単語の意味をすぐに思い出せなくても気にしないようにしましょう。
前述のように、3級のリスニングはスピードが速くなります。
「Mt.何だって…?」「人の名前はJoey?Zoey?」などと、聞き取れないときや意味をすぐに思い出せないときもあります。
そんなときに「今、何て言っていたのかな?」といくら考えても分かりません。
そこを気にしている間にも音声はどんどん先へ先へと進んでいます。
細かい部分は気にせず、ざっくり内容を捉えるようにしましょう。
3級リスニングはすべて3択か4択の問題です。
消去法(=間違っていると思われる選択肢を候補から消していく方法)で解くと正解率が上がります。
それでは、大問ごとの解き方を解説します。
大問1は「会話の応答文選択」です。
男性1人と女性1人の会話が流れ、その会話の最後の発話への応答として適切な選択肢を選びます。
このパートはイラストが問題用紙に書かれています。
イラストを見て「場面」と「会話内容」を予想しておくと解きやすくなります。
イラストをみて音声の「場面」と「会話内容」をつかむことを一番に心がけましょう。
具体的に、過去問をもとに解説します。
このイラストをみて「場面」と「2人の会話内容」を予想してみましょう。
場面:外出中の女性が家にいる夫に電話をしている?
会話内容:「〇時ごろに帰る」と連絡している?
実際の音声の原稿は以下のとおりです。
女性:Hi, Joe. It’s Sarah.
男性:Hi, Sarah. Where are you?
女性:At the station. Can you pick me up?
1. Ok, I’ll leave now.
2. My phone is new.
3. It’s open until nine.
【和訳】
女性:もしもし、ジョー。サラよ。
男性:もしもし、サラ。今どこ?
女性:駅にいるの。車で迎えに来てくれる?
1. いいよ。今から出発するね。
2. 僕の電話は新しいんだ。
3. 9時まで開いてるよ。
イラストをみて「外出中の女性が家にいる男性に電話をしている場面」を予想しました。
イラストどおり、女性と男性の電話の会話でした。
最後に女性が「車で迎えに来て(pick me up)」とお願いしています。それに対する文としては、選択肢「1」(いいよ。今から出発するね。)が適切です。
このように、大問1はイラストを見て消去法で答えを選べば、正解にたどりつきやすいです。
選択肢「2」(僕の電話は新しいんだ。)だとイラストと合いません。
選択肢「3」(9時まで開いています。)はお店の店員さんの応答のようです。店員さんがお客さんと話をするのにポケットに手を突っ込んでいるのも不自然ですから、選択肢「3」も候補から外せます。
イラストをよく見ておくと解答を選びやすいです。
続いて、大問2の解き方を説明します。
大問2は男女2人の会話を聞き、その内容についての質問に解答する問題です。
1つの音声に対して設問数は1つで、4つの選択肢から適切なものを選びます。
具体的に、過去問をもとに解説します。
下記のような選択肢が問題用紙に書かれいます。
1. Buy a computer.(コンピュータを買う。)
2. Buy some tickets.(チケットを何枚か買う。)
3. Go to a fashion show.(ファッションショーに行く。)
4. Go to the town hall.(町役場に行く。)
選択肢の内容を見ると、「buy」や「go」といった動詞が最初にきています。ということは、この問題のQuestionは「何をしますか?(What)」だろうと想像できます。
ここまで想像できたら、「何をする(してほしい)」と言っているのかを放送から聞き取ることに集中します。
放送原稿は以下のとおりです。
女性:There will be a fashion show in town next month.
男性:Yeah. We should get tickets.
女性:OK. I’ll do that today. I can buy them on the Internet.
男性:Great.
Question:What is the woman going to do today?
【和訳】
女性:来月、町でファッションショーがあるわ。
男性:そうだね。チケット買わなくちゃ。
女性:任せて。今日しておくわ。ネットで買えるのよ。
男性:いいね。
Question:女性は今日何をしますか?
ファッションショーのチケットを買うという話をしており、Questionでは「何をするか?」と聞いています。
そこで、正解は選択肢「2」(チケットを買う)だと分かります。
「傘を持っていくのを忘れたの?(Did you forget to take your umbrella?)」と聞かれて、「そうなんだ。(Yeah.)」と答えていることから、正解は選択肢「2」だと分かります。
先読みして内容を予想していれば、選択しやすい問題だと言えます。
大問3は1人のスピーカーが読み上げる短い文章を聞き、その内容に合致する選択肢を選びます。このパートでも4つの選択肢から適切なものを選びます。
具体的に、過去問をもとに解説します。
問題用紙には下記のような選択肢が書かれています。
1. She could go to the opera with her friend.(彼女は友だちと一緒にオペラに行くことができた。)
2. The tickets to the opera were cheap.(オペラのチケットは安かった。)
3. She bought Terry an opera ticket.(彼女はテリーにオペラのチケットを買ってあげた。)
4. Terry learned to use the computer.(テリーはコンピューターの使い方を学んだ。)
この内容から以下の2つのことが分かります。
2名の登場人物と、オペラのチケット・コンピューターがどう関係するのかを考えつつ、音声を聞きます。
Zoey wanted to go to the opera with her friend Terry. She wanted to listen to her favorite singers. She tried to order their tickets online. However, there were no seats left! She called Terry and found out that he had bought two tickets on another site earlier. Zoey was excited to hear this wonderful news!
Question:Why was Zoey excited?
【和訳】
ゾーイは友人のテリーとオペラに行きたかった。大好きな歌手の歌を聴きたかったのだ。彼女はネットでチケットを注文しようとした。しかし、席は残っていなかった!彼女はテリーに電話し、彼が以前別のサイトで2枚のチケットを買っていたことを知った。ゾーイはこの素晴らしいニュースを聞いて興奮した!
Question:なぜゾーイは興奮したのですか?
音声からは下記の2点が分かります。
この問題でポイントになるのは「there were no seats left(チケットは残っていなかった)」という表現です。過去分詞のleftを「左」と捉えてしまうと混乱してしまいます。
「no seats」という表現から「チケットがない」という大まかな状況を捉えられれば選択肢「1」を正解として選びやすいです。
このように、先読みして状況を把握しておくことと、音声の内容を「大まかに」捉えるようにしましょう。
3級のリスニングでは、単語の意味など、細かい表現に注目しすぎると余計に分かりづらくなる場合がよくあります。
ここまでは、大問ごとのリスニングのコツを紹介しました。
ここからは3級で合格点(75%以上)を取れるリスニングの勉強法を紹介します。
まず、和訳せずにリスニングする練習をしましょう。
前述のように、3級のリスニングは細かい表現にこだわるよりも「場面」や「大まかな状況」を捉えれば正解を選びやすくなります。
聞こえてきた内容を大まかに頭のなかで映像化し、場面を想像するようにしましょう。
3級は「対策」をして正答率を高めることが可能ですが、75%以上取るにはそれまで以上に音声を正確に聞き取れるほう間違いなく良いです。
前述の過去問でも大問1で「Do you have other pets?」を最後まで聞き取らないと、ダミーの選択肢に惑わされてしまいます。
最後まで集中して聞き取るためには、毎日リスニングの練習をしましょう。
リスニングには多聴と精聴の2種類あります。
電車に乗っているときや夕食前後の30分などに、毎日両方の練習を行いましょう。
リスニングの精聴でシャドーイング、ディクテーションという練習方法があります。
シャドーイングは、英語の音声を聞きながらその真似をして自分も発音する方法です。
聞く・話すの両方を同時に実行しますから、和訳をしていると間に合いません。
「the dogって言ったかな?a dogって言ったかな?」のように考えている余裕はなく、文脈から「the dog」だと判断して即座に英語で表現します。
これによりリスニング、スピーキング、文法の3つを同時にきたえられます。
ディクテーションとは、英語の音声を聞きながら単語を1つ1つ書きとる練習法です。
英語は文章にすると、単語と単語がつながって発音される「リエゾン」が発生します。単語帳の発音だけでインプットすると文章を聞いたときに聞き取れない単語や表現がいくつも出てきます。
同じ音声を何度も聞きかえしながら、どのように発音されているか細かい部分まで聞き取ろうとします。
この繰り返しで英語の正しい発音に慣れ、3級の長いリスニングにも対応できる力を養えます。
毎日のシャドーイング、ディクテーション以外に過去問を使っての練習を週1-2回はしておきましょう。
3級のリスニングは約25分です。25分もの間、集中を切らさず読んで・聴いて・答えるのは大変です。
過去問を使って繰り返し練習して慣れてるようにしましょう。
英検のリスニングが苦手で、音声を聞き取れないという人は多いです。
原因は「語彙」「発音」「読解」の3つです。
リスニングが苦手な大きな原因の1つは語彙力の不足です。
知らない単語を聞き取ることはできません。聞き取れない単語や表現があれば、その単語の意味や発音をしっかり覚えるようにしましょう。
リスニングが苦手な原因の2つ目は発音です。
カタカナや我流の発音に慣れていると、ネイティブの発音を聞き取りづらいです。
特に、自らも発音できないと脳がその音に慣れるのに時間がかかります。
毎日シャドーイングをして聞き慣れ、話し慣れるようにしましょう。
リスニングが苦手な原因の3つ目は速読です。
英検のリスニングは速読力も求められます。
リスニングの設問と設問の間は10秒しかありません。その短い時間に次の問題に目をとおして、「何を聞き取ればよいか」を待つ準備をする必要があります。
選択肢4つで大体25-30語ほどの長さになります。
読解の「速さ」「正確さ」の両方が必要です。
長文読解の練習もかねて、200-300語程度の短めの長文を4分以内に読む練習をしましょう。
このように、リスニングの練習のためにはリスニングだけでなく語彙と読解の対策も必要です。
英検3級では英語の総合的な実力が求められます。
単語・文法・長文・英作文・リスニング・スピーキングをバラバラに勉強するのではなく、「覚えて・理解して・読んで・書いて・聴いて・発音する練習」を心がけましょう。
毎日のリスニングの練習にはアプリが便利です。
おすすめのアプリをいくつか紹介します。
英検対策に特化した有料アプリで、リーディング・ライティング・リスニング・スピーキングの4技能すべて対策できます。
英語ニュースを題材にしているので、語彙力の向上にも役立ちます。
月額480円のEntryプランでリスニングの練習ができます。
PR含みます
大手企業のリクルートが運営する英語学習アプリで、リスニングとスピーキングの練習に特化しています。
題材がおもしろく、次を聞きたくなるので継続しやすいというメリットがあります。
以下の表のように全部で4種類に分かれています。
種類 | 内容 |
【スタディサプリENGLISH for KIDS】 | ゲームを通して英語を楽しく学べる子ども向け英語学習アプリで、毎日10分から学べます。動画学習によるインプットだけでなく、発音を行うアウトプット学習もあります。 |
TOEIC L&R TEST対策 | 大学受験やビジネスでの利用を想定した英語学習アプリで、TOEIC対策に特化したレッスンやコンテンツを利用できます。 |
スタディサプリENGLISH(新日常英会話コース) | 海外旅行など日常場面で英語を使えるようにするための英語学習アプリで、ドラマ仕立てのレッスンやコンテンツを利用できます。 |
ビジネス英語 スタディサプリEnglish | ビジネスシーンで使える英語力の養成を目指すコースで、ビジネス内容のラマ仕立てのレッスンやコンテンツを利用できます。 |
最後に、英検リスニングの練習ができるおすすめの問題集を紹介します。
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利点:単語・熟語の勉強だけでなく、リーディング・ライティング・リスニング・スピーキングすべてレベルアップできます。
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単語の聴き取りをする初級編からはじめて、対話文・絵や図表を使った完成編までステップバイステップで学習を進められます。
いかがでしょうか。
英検3級を受ける人向けに、リスニングのコツや勉強法を紹介しました。
3級は音声が1回のパートもあり、合格点も75%と高いです。1つ1つの単語にこだわりすぎると合格ラインを越えにくいです。
問題を先読みして聞き取るべき内容を把握したうえで、イメージをつかみながら音声を聞くと正解しやすくなります。
リスニングの問題集やアプリも使って対策しておきましょう。
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