医学部を志す高校生・浪人生にとって、小論文は壁になり得ます。英語や数学などの学力試験の対策だけでも大変です。
合格ラインを越えるには、「どのようなテーマでの出題が多いか」を知っておくと対策しやすくなります。
そこで、医学部志望の人向けに医学部小論文でよく出るテーマをまとめて紹介します。
小論文対策の仕方やおすすめの参考書も紹介しています。
この記事の内容を活かして、小論文対策を効果的に実践しましょう!
※関連記事:小論文の書き方とコツを例文付きで解説(高校生向け)
医学部小論文でよく出るテーマは大きく7つに分かれます。
※関連記事:大学別の医療学部の過去問
医師を志す受験生の「医療人としての資質(姿勢)」を問う問題が良く出てきます。
医療現場での倫理観や患者との接し方など、医療課題を題材に幅広く問われます。
島根大学・入試問題などで広く出題されています。
さまざまな医療情報も小論文のテーマとして使われています。
医療に広く興味があるか、医療に関して「自分ごと」として深く考えているかなどが問われます。
例えば、琉球大学では「生物の遺伝情報の符号化方法と遺伝情報解読の現状」や「ゲノム編集に関するある事件」など、毎年幅広い範囲で医療情報が題材として扱われています。
AI(人工知能)の医療現場での活用も大きなテーマです。
診断にどう活かすか、AIが誤診をしたらどうなるのかなどの問題が話題になっています。
鹿児島大学で臨床診断や治療方針にAIが関わる場合の医師の責任や役割を考えさせる問題が出るほか、秋田大学などではAI、VRなどが毎年のように出題されています。
医療は社会の一部であり、社会の維持や発展にも深くかかわっています。
医療人として「命」への向き合い方だけでなく、「人生(ライフスタイル)」との向き合い方にも関心を求められています。
富山大学などでそのような問題が過去に出題されています。
新型コロナウイルス感染症の流行以降、感染症対策に関する問題が多くなりました。
感染症対策としてのオンライン診療、外出を控える高齢者の健康問題など。
福井大学でパンデミックを題材に出題されたり、群馬大学で遠隔医療が題材になるなど、多くの大学での出題が目立ちます。
医療現場における「患者の権利」も頻出テーマのひとつです。
治療の方針決定に患者の意志をどれだけ反映させるのが医師として適切か。患者の希望どおりすると医療人として納得のいく医療行為ができないときもあります。逆に、医師が患者の意志に反した治療方針を決めて良いのかなど、線引きがむずかしい問題です。
医療人を志す者としての姿勢が問われるテーマです。
群馬大学など多くの大学で出題されています。
将来の病気発症の可能性を調べる遺伝子診断もよく出題されます。
医療現場ではセンシティブな問題のひとつで、出生前診断のメリット・デメリットや、医療費抑制とのバランス感覚が問われます。
医学部入試では数学や理科などの学力試験以外に小論文もひんぱんに課されます。
その理由を知っておけば、対策にも活かせます。
まず、医師としての資質をみるためというのが大きな理由です。
医師は患者に接し、命にかかわる仕事です。
他者に対しての共感性や医療への関心の強さを見られています。
つづいて、医師という仕事に必要な論理性や科学的思考力の高さをみるという理由もあります。
検査結果や問診から診断をしたり、今後の治療方針を決めるのに論理性や科学的思考力が求められます。
大学入学後にそれらの力をベースにして多くの知識や考え方を適切に身につけられるかどうかを試されています。
医学部小論文は課題文や資料を読み取って解答を書く問題がよく出てきます。
これは、文章の読解力や図表の内容を適切に読み取る力を把握するためです。
医学部小論文を書けるようにするにはどうすればいいのか、その方法を簡単にお伝えします。
※関連記事:小論文の書き方とコツを例文付きで解説(高校生向け)
まず、小論文の構成を把握しましょう。以下のような3部構成で書くと書きやすいです。
序論→本論→結論
それぞれのパートは以下のような分量で書くと書きやすく、読み手にとっても読みやすい文章になります。
序論では、設問で問われている課題について自分の意見を書きます。
ただYea/Noを書くだけでなく、本論に書く内容も含めて2-3行で簡潔に書くのがポイントです。
書き手も書きやすくなりますし、読み手も頭の準備ができるので読みやすくなります。
序論で書いた意見を裏付ける理由や根拠を2つ、本論に書きます。
設問で指定された字数が200字以内(程度)であれば、理由や根拠は1つだけ書きます。
最後に、もう1度自分の意見を主張します。小論文をしっかり締めます。
小論文の構成に沿って、一度小論文を書いてみましょう。
志望大学の過去問を使って書いてみると、その難易度や対策にどれくらい時間がかかりそうかも把握しやすいです。
書いた文章を、模範解答をみながら添削しましょう。模範解答とまったく同じ解答でなくて大丈夫です。
以下のような観点で添削してみましょう。
医学部小論文は医療情報を題材にした問題が多いです。
医学部を志したら、学年に関係なくすぐに医療情報の収集につとめましょう。
医学部の小論文は他学部にくらべて英語力、医療への関心、科学的思考力が問われる問題が出ます。
医学部専用の対策ができるおすすめの参考書を9冊紹介します。
※関連記事:課題文型小論文の参考書
2部構成になっており、第1部では小論文の書き方など基本的な知識から解説してくれています。
第2部では、それらの解説をもとにして実践演習を積めます。
演習問題は10題あり、医学部の小論文入試で頻出のテーマばかりです。ほとんどの医系大学で出ている英文読解問題も含まれています。
出版社:河合出版
つづいて紹介するのは、小論文対策の定番である「ネタ本」シリーズです。
人文系など全学部系統を網羅しているシリーズで、医療系編ももちろんあります。
医学部の小論文は医療系のネタがほぼ必ず出てきます。
「医療人としてこの課題をどう解決すれば良いか、自身の考えを書きなさい」などの出題も多いです。
知識がないと「医療人としての視点」が分からず、多くの受験生を悩ませているタイプの問題です。
こちらの本には医療学部の小論文でよく出てくるテーマ44が収録されており、1-2周読んでおくだけでかなり小論文を書きやすくなります。
出版社:文英堂
こちらの参考書は、医学部専門予備校の講師が著者です。
多くの医学部受験生に小論文を指導されてきたそのノウハウが詰め込まれています。
医学部小論文で求められる書き方からくわしく解説してくれており、「攻めの答案より守りの答案を書こう」などと実践的な解答作成方法も教えてくれます。
面接対策の仕方も解説されていますが、小論文対策としておすすめです。
出版社:KADOKAWA
「素晴らしい答案」ではなく「合格点を越える答案」を書くことを目指している参考書です。小論文の書き方やコツ、注意点を「非常に分かりやすく」解説してくれています。
出版社:エール出版社
こちらは、「小論文の書き方はもう分かっている」という受験生に非常におすすめです。
とにかく多量の演習を積めます。14のテーマと39題の練習問題です。
大量の演習をとおして、「自分の得意な書き方・パターン」を確立できます。
出版社:教学社
こちらの参考書も医学部小論文の演習をたくさんしたい受験生向けです。
「どのような医師になりたいか」という問題以外に、最近よく問われる「AIの活用と倫理的課題のバランス」など医療現場にいる医師の視点を問う問題も多数掲載されています。
出版社:KADOKAWA
医学部受験生のなかでも、私立医の対策を重点的に行いたい受験生におすすめです。
過去10年の医学部小論文の過去問を、模範解答と一緒に掲載してくれています。
志望大学の過去問だけでなく、よく似た出題傾向の大学過去問も使って練習できます。
ちょっと高いのが難点です。毎年出版されているので、値段がどうしても気になる人は1年前のものでも良いでしょう。
出版社:ミスズ
医学部入試では小論文がよく出題されます。ですが、英語や数学など、学力試験対策だけでもかなり忙しいです。
小論文対策はいつから始めれば良いのかを紹介します。
まず、高3の春までに一度小論文の問題を解いてみましょう。過去問を使い、医学部小論文でよく出てくる「課題文読み取り型」の問題を解いてみます。
文章の構成含め、ある程度書けているならあわてて対策をはじめなくても大丈夫です。入試3か月前辺りから対策をはじめましょう。
小論文を書いてみてかなり不安の残る状態なら、小論文の書き方の練習→医学部小論文の練習の順に対策する必要があります。
入試の6か月前には対策をはじめておきましょう。
小論文は、書き方自体はそれほどむずかしくありません。ただ、医学部の場合は医学ネタの情報収集に時間がかかります。
入試3か月前、6か月前と言わず、情報収集は今からでもすぐにはじめておきましょう。
いかがでしょうか。
医学部志望の高校生・浪人生向けに、医学部小論文でよく出るテーマをまとめ、対策の仕方や参考書を紹介しました。
医師としての資質や医療情報に関する出題が多く、論理性・客観性のほかに共感力のある人柄かどうかも見られています。
医学部入試で小論文を課す理由も3つ紹介しているので、今後の小論文対策にぜひ活かしてください。
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