中学受験の算数でよく使う比。比のなかでも苦手になる人が多いのが「逆比」です。
逆比は模試の応用問題や入試問題でよく出てくるため、使えると点を取りやすくなります。
そこで、中学受験生向けに、逆比について解説し、逆比を使えるようにするための練習問題を用意しました。逆比を得意にして算数で高得点をねらいましょう!
※関連記事:中学受験の比の問題
まず、逆比とは何かをおさらいします。
逆比とは、「逆数の比」です。
逆数というのは、その数に掛け合わせると1になる数のことです。
例えば2の逆数は1/2、3の逆数は1/3です。2に1/2をかけると1になり、3に1/3をかけると1になります。
ですので、「2と3の逆数の比」といえば、1/2と1/3の比ということになります。
1/2:1/3=3:2です。
逆比とは「逆数の比」です。2:3の逆比は1/2:1/3、つまり「3:2」になります。
これは、数字を入れ替えれば良いというわけではありません。
注意が必要なのは連比(数字が3つ以上の比)の場合です。
1:2:3の逆比を求めてみましょう。
数字を入れ替えるだけだと、3:2:1になります。ですが、答えは6:3:2です。
逆比を求めるときはまず逆数にします。
1:2:3
=1/1:1/2:1/3
=6/6:3/6:2:6
=6:3:2
このように、数字が2つの場合なら数字を入れ替えるだけで問題ありませんが、連比の場合は「逆数にする」のを忘れないようにしましょう。
逆比は積が一定の場合に使えます。
A×B=Cの式で、Cの値が変わらない場合です。
かけ算ならいつでも使えるというわけではなく、「1個100円のリンゴを5個買ったときの代金」のように比例の関係になっているものには使えません。
かけ算で一方の数字が変わっても答えが変わらない場合(一定である)の解法です。
かけ算の答えが一定の場合にのみ使えるという性質上、逆比は以下のような問題でよく用いられます。
模試や入試では「逆比を求めなさい」という問題はほぼ出ません。逆比を使えるかどうか、使えるとしてどう使えばいいかを見抜く必要があります。
そのコツをお伝えします。
まず、比になっている組み合わせを探しましょう。以下の問題を例に取って説明します。
「Aさんは普段学校に行くのに8時に出発して分速60mで歩き、8時20分に到着します。今日は寝坊をして出発が8時5分になったので分速80mで歩きました。学校に着いたのは何時何分ですか。」
比になっているものは速さです。
普段の速さ:今日の速さ=分速60m:分速80m
ここから、以下のことが分かります。
速さの比…普段:今日=60:80
↓
時間の比…普段:今日=80:60=4:3
次に、比が変わっても一定である数字を探しましょう。先ほどの問題を例に取って説明します。
「Aさんは普段学校に行くのに8時に出発して分速60mで歩き、8時20分に到着します。今日は寝坊をして出発が8時5分になったので分速80mで歩きました。学校に着いたのは何時何分ですか。」
これは速さの問題ですから、速さ・時間・距離の3つを使います。このなかで、「一定の数字」は「距離(自宅から学校までの距離)」です。
同じ距離を進むのに、かかる時間の比は以下のとおりでした。
普段:今日=4:3
この数字に〇をつけて20分、5分といった「実際の数字」と一緒に計算できるようにします。
普段は8時に出発して8時20分に到着するので、
④の時間=20分
①=5分だと分かります。
今日は③の時間かかったので、
5分×③=15分
これで、今日は15分で学校に到着したことが分かります。8時5分に出発したので、到着時間は8時20分です。
このように、比を丸数字にすると具体的な数字と同じように計算できるようになり、便利です。
逆比を使う問題のなかで、仕事算は面積図を使うと解きやすいです。
例えば以下の問題で考えてみましょう。
「ある仕事をするのにAさんは12日間かかり、Bさんは18日間かかります。この仕事を最初はAさん1人でやり、途中からBさんが1人でやったところ、合計16日間で終わりました。
Aさんはこの仕事を何日間やりましたか。」
まず、AさんとBさんの仕事量の比を求めます。
時間の比が12:18なので、1日あたりの仕事量の比はAさん:Bさん=1/12:1/18になります。
全体の仕事量を1として、AさんBさんの仕事量を面積図で表します。
全体の仕事量は上記の「赤の長方形の面積+青の長方形の面積」です。
青の長方形の面積=1/18×16=8/9
赤の長方形の面積=1-8/9=1/9
赤の長方形のたての長さが1/36なので、横の長さ(Aさんの仕事時間)は以下のように求められます。
□×1/36=1/9
□=4
これで、赤の長方形の横の長さ=Aさんの仕事日数が4日間と分かりました。
このように、仕事算では逆比→面積図にすると解きやすくなります。
それでは、逆比を使いなれるために問題を解いて練習しましょう。
以下の逆比を求めてください。
①2:3
②4:7
③5:2
①3:2
②7:4
③2:5
以下の逆比を求めてください。
①1/2:1/3
②1/3:2/5
③2/5:3/7
①3:2
1/2:1/3
=3/6:2/6
=3:2
②5:6
1/3:2/5
=5/15:6:15
=5:6
③14:15
2/5:3/7
=14/35:15/35
=14:15
以下の逆比を求めてください。
①2:3:4
②3:5:7
③4:6:9
①6:4:3
2:3:4
=1/2:1/3:1/4
=6/12:4/12:3/12
=6:4:3
②35:21:15
3:5:7
=1/3:1/5:1/7
=35/105:21/105:15/105
=35:21:15
③9:6:4
4:6:9
=1/4:1/6:1/9
=9/36:6/36:4/36
=9:6:4
以下の逆比を求めてください。
①1/2:1/3:1/5
②2/3:1/2:3/8
③1/4:2/5:3/5
①15:10:6
1/2:1/3:1/5
=15/30:10/30:6/30
=15:10:6
②16:12:9
2/3:1/2:3/8
=16/24:12/24:9/24
=16:12:9
③5:8:12
1/4:2/5:3/5
=5/20:8/20:12/20
=5:8:12
Aの4倍とBの3倍が等しいとき、A:Bを求めてください。
【答え】3:4
【解説】
A:B
=1/4:1/3
=3/12:4/12
=3:4
Aの7倍とBの2倍とCの6倍が等しいとき、A:B:Cを求めてください。
【答え】6:21:7
【解説】
A:B:C
=1/7:1/2:1/6
=6/42:21/42:7/42
=6:21:7
Aの1/3倍とBの2/5倍とCの3/10倍が等しいとき、A:B:Cを求めてください。
【答え】18:15:20
【解説】
A:B:C
=3/1:5/2:10/3
=18/6:15/6:20/6
=18:15:20
Aの2倍とBの3倍が等しく、Bの4倍とCの5倍が等しいとき、A:B:Cを求めてください。
【答え】15:10:8
【解説】
A | B | C |
3 | 2 | |
5 | 4 | |
15 | 10 | 8 |
※連比の解き方は中学受験の比の問題で解説しています
同じ量の水が入る柱体の容器が2つあります。容器の底面積の比が4:7のとき、高さの比を求めてください。
7:4
ある同じ距離をAさんは20分、Bさんは15分で進みます。2人の速さを比で表してください。
【答え】3:4
【解説】
Aさん:Bさん=20分:15分
これを逆比にして、15:20=3:4。
AさんとBさんの歩く速さが4:5のとき、Aさんが2時間かかる距離をBさんは何時間何分で進みますか。
【答え】1時間36分
【解説】
速さが、Aさん:Bさん=4:5なので、
かかる時間は、Aさん:Bさん=5:4になる。
Aさん:Bさん=5:4
2時間:Bさん=5:4
Bさん=1.6時間=1時間36分
【別解】
2時間:Bさん=5:4で、⑤=2時間と分かる。
ということは①=24分なので、
24分×④=96分=1時間36分
AさんとBさんの歩く速さは5:4です。同じ距離を歩くのに、BさんはAさんの何倍の時間かかりますか。
【答え】5/4倍
【解説】
速さが、A:B=5:4なので、
かかる時間は、A:B=4:5になる。
2つのかみ合っている歯車の歯数の比が3:4のとき、回転数の比を求めてください。
【答え】4:3
【解説】
歯数×回転数は一定なので、逆比にすればいい
同じ量の水が入る柱体の容器が3つあります。容器の底面積の比が4:6:3のとき、高さの比を求めてください。
【答え】3:2:4
【解説】
3つの容器をA、B、Cとすると、高さの比は以下のようになる。
A:B:C
=1/4:1/6:1/3
=3/12:2/12:4/12
=3:2:4
ある仕事をするのにAさんは10時間かかり、Bさんは8時間かかり、Cさんは5時間かかります。3人の仕事量を比で表してください。
【答え】4:5:8
【解説】
Aさん:Bさん:Cさん=10:8:5
これを逆比にして計算する。
Aさん:Bさん:Cさん
=1/10:1/8:1/5
=4/40:5/40:8/40
=4:5:8
ある仕事をするのにAさんは8日間かかり、Bさんは10日間かかります。この仕事を最初はAさん1人でやり、途中からBさんが1人でやったところ、合計9日間で終わりました。
Aさんはこの仕事を何日間やりましたか。
【答え】4日間
【解説】
まず、AさんとBさんの仕事量の比を求めます。
時間の比が8:10なので、仕事量の比はAさん:Bさん=1/8:1/10になります。
つまり、Aさんは1日で1/8の仕事をし、Bさんは1/10の仕事をします。
全体の仕事量を1として、AさんBさんの仕事量を面積図で表します。
全体の仕事量は上記の「赤の長方形の面積+青の長方形の面積」です。
青の長方形の面積=1/10×9=9/10
赤の長方形の面積=1-9/10=1/10
赤の長方形のたての長さが1/40なので、横の長さ(Aさんの仕事時間)は以下のように求められます。
□×1/40=1/10
□=4
Aさん、Bさん、Cさんの所持金の合計は4400円です。3人で同じケーキを買いに行きました。Aさんは所持金の3/4を使って3個買い、Bさんは所持金の8/9を使って4個買い、Cさんは所持金の4/5を使って2個買いました。
このとき、Cさんのはじめの所持金はいくらでしたか。
【答え】1000円
【解説】
ケーキ1個の値段を所持金の比で表します。
Aさんは所持金の3/4で3個→1個は所持金の3/12倍(1/4倍)
Bさんは所持金の8/9で4個→1個は所持金の8/36倍(2/9倍)
Cさんは所持金の4/5で2個→1個は所持金の4/10倍(2/5倍)
⇒Aさん×1/4=Bさん×2/9=Cさん×2/5
これを逆比にして、
Aさん:Bさん:Cさん
=4/1:9/2:5/2
=8/2:9/2:5/2
=8:9:5
22=4400円なので、
1=200円
Cさん=5なので、
200円×5=1000円
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いかがでしょうか。
中学受験生向けに逆比の使い方を説明し、練習問題を用意しました。練習問題には入試レベルの応用問題も含めています。
塾だと逆比は小5で習います。逆比が分からないために算数が苦手になりやすい時期です。逆比は一定である数をみつけ、丸数字や面積図を使って解くのがコツです。
コツをつかみ、算数を得意にしましょう!
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