高校生向けに日本史の一問一答問題と解説を用意しました。今回は南北朝時代です。
建武の新政、南北朝動乱、南北朝統一をまとめています。
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南北朝時代の流れやポイントを解説します。
南北朝時代(1336年~1392年)は、後醍醐天皇が鎌倉幕府を倒し、建武の新政を行ったことから始まりました。
この時代は、天皇中心の政権を復活させる試みと、それに対抗する足利尊氏らの武士の力が交錯しました。
建武の新政は、後醍醐天皇が1333年に樹立した新しい政治体制で、天皇中心の政治を目指しました。しかし、政治の混乱や武士の反発により、短期間で崩壊しました。
崩壊させた立役者が足利尊氏です。
建武の新政の崩壊後、南北朝動乱が始まりました。足利尊氏は光明天皇を擁立して北朝を興し、後醍醐天皇は吉野(奈良県)で南朝を興し、それぞれの勢力が日本各地で争いました。
この動乱は、武士階級の力をさらに強化することとなります。
1392年、室町幕府の3代将軍・足利義満によって南朝と北朝が統一され、足利氏による新たな幕府体制が確立しました。
この統一により、日本は比較的安定した時代を迎え、戦国時代への布石となりました。
(1)後醍醐天皇は大覚寺統と持明院統のどちらですか。
(2)配流先の隠岐から帰京した後醍醐天皇は、鎌倉幕府によって天皇位についていた人物を廃位しました。廃位されたこの天皇は誰ですか。
(3)後醍醐天皇は天皇中心の政治をこころざし、平安時代の2人の天皇の治世をモデルとしました。誰と誰ですか。
(4)後醍醐天皇が設置した建武政権の機関のなかで、政務全般を司る機関は何ですか。
(5)建武政権のなかで、所領関係の訴訟を中心に扱った機関は何ですか。
(6)土地の所有権の確認には天皇の何を必要としましたか。
(7)関東の統治のために置かれた機関は何ですか。
(8)鎌倉将軍府の将軍に任命された皇族は誰ですか。
(9)成良親王の補佐役に任命された武家は誰ですか。
(10)東北や北関東の統治のために置かれた機関は何ですか。
(11)陸奥将軍府の将軍に任命された皇族は誰ですか。
(12)義良親王の補佐役に任命された武家は誰ですか。
(13)建武新政権の混乱ぶりを揶揄(やゆ)する内容の匿名の文書が京都に立てられました。この文書を何と呼びますか。
(14)1335年に北条高時の遺児である北条時行が鎌倉で起こした反乱を何といいますか。
(15)中先代の乱を鎮圧するために鎌倉に赴き、そのまま現地で建武政権に対して反乱を起こした人物は誰ですか。
(16)京都を制圧した足利尊氏は何という天皇を擁立しましたか。
(17)京都を追われた後醍醐天皇はどの土地に逃亡しましたか。
(18)足利尊氏が擁立した京都の朝廷は北朝と南朝のどちらですか。
(19)北朝は大覚寺統と持明院統のどちらですか。
(20)吉野の南朝は大覚寺統と持明院統のどちらですか。
(21)1336年、足利尊氏は幕府の新方針を発表しました。この新方針を何と呼びますか。
(22)室町幕府は当初、2人で政治を行う二頭体制でした。誰と誰ですか。
(23)足利尊氏は配下の誰を特に中心にすえましたか。
(24)足利直義と高師直は対立し、1350年に戦争に発展しました。この戦争を何と呼びますか。
(25)南朝方の武将で、1336年に湊川の戦いで敗死した人物は誰ですか。
(26)後醍醐天皇と後村上天皇に公家のトップとして仕え、現在の三重県を中心に北朝に抵抗した人物は誰ですか。
(27)後醍醐天皇の皇子で征西将軍に任命されていた南朝方の人物が九州を一時的に治めていました。この人物は誰ですか。
(28)1371年に九州探題となって九州の南朝勢力を一掃した人物は誰ですか。
(29)南北朝の統一を成し遂げた将軍は誰ですか。
(30)南北朝統一は南朝の何という天皇が北朝の何という天皇に譲位したことで成立しましたか。
(1)大覚寺統
(2)光厳天皇
(3)醍醐天皇と村上天皇
(4)記録所
(5)雑訴決断所
(6)綸旨(りんじ)
(7)鎌倉将軍府
(8)成良親王(なりよし)
(9)足利直義
(10)陸奥将軍府
(11)義良親王(のりよし)
(12)北畠顕家
(13)二条河原落書
(14)中先代の乱
(15)足利尊氏
(16)光明天皇
(17)吉野
(18)北朝
(19)持明院統
(20)大覚寺統
(21)建武式目
(22)足利尊氏と足利直義
(23)高師直(こうのもろなお)
(24)観応の擾乱
(25)楠木正成
(26)北畠親房
(27)懐良親王(かねよし)
(28)今川貞世(了俊)
(29)3代将軍・足利義満
(30)南朝の後亀山天皇、北朝の後小松天皇
南北朝時代は半世紀あまりの短い期間です。朝廷が北朝と南朝に分かれていたので、天皇も武将もそれぞれ覚える必要があります。
南北朝時代の重要なポイントは、後醍醐天皇と足利尊氏の対立です。
もともと鎌倉幕府を倒すために協力していた彼らがなぜ分かれてしまったのか、その意図や行動を理解しておきましょう。
建武の新政の目的やその崩壊について理解しておくと、その後の流れを理解しやすくなります。
※関連記事:南北朝の動乱を解説:南北朝に分かれた理由、どちらが勝ったのか、終わらせた人物は誰か
まず、年表をみて出来事の順番を把握しましょう。
南北朝時代には中先代の乱、観応の擾乱などいくつかの重要な乱があります。いつ起こったのか、その後何の出来事につながっているのかを把握しましょう。
南朝と北朝それぞれの天皇を順に覚えましょう。
重要な天皇を2-3名覚えれば十分ですが、南朝なのか北朝なのかがややこしくなりがちです。
北朝・南朝それぞれの有力武将も覚えておきましょう。
楠木正成、新田義貞、北畠顕家、北畠親房は全員南朝方で、北畠親房だけ善戦してしばらく抵抗しました。北畠という苗字なら南朝と思っておきましょう(応仁の乱ではそうではないときもあります)。
ほかに、足利直義、高師直は一応北朝方です。この2人は観応の擾乱で互いを攻撃しあいました。
南北朝時代に書かれた軍記物や歴史物語も南朝・北朝で分けて覚えると覚えやすいです。
南朝・北朝で天皇が分かれたことで、お互いに「自分たちが正統な血筋だ」と主張しあいます。
著名なところでいえば、『神皇正統記』は南朝方で、『梅松論』は北朝方です。
南北朝時代は1336年から1392年までの半世紀ほどです。
1336年:後醍醐天皇が吉野に入る
~
1392年:将軍足利義満によって南北朝が統一される
この57年の間、北朝(足利尊氏側の光明天皇など)の持明院統と南朝(後醍醐天皇など)の大覚寺統に分かれて争いました。
南北朝時代は北朝と南朝に分かれていたため、どの天皇がどちらの血筋なのか分かりづらいです。
それぞれの血筋の天皇をまとめました。
北朝の天皇は以下のとおりです。
後小松天皇のときに南北朝統一が成立しました。以降、現代にいたるまで北朝系です。
南朝の天皇は以下のとおりです。
後亀山天皇のときに南北朝統一が成立しました。
南北朝時代の文化について以下の表にまとめています。
作品名 | 作者名 | ポイント |
神皇正統記 | 北畠親房 | 南朝の正統性を主張 |
梅松論 | – | 北朝の正統性を主張 |
太平記 | 不詳 | 鎌倉幕府滅亡から南北朝動乱までを南朝寄りで記述 |
難太平記 | 今川貞世(了俊) | 鎌倉幕府滅亡から南北朝動乱までを北朝寄りで記述 |
増鏡 | 二条良基? | 後鳥羽天皇から後醍醐天皇までの朝廷を題材 |
南朝と北朝それぞれの有力武将をまとめました。
南朝方 | 北朝方 |
新田義貞→戦死 | 足利直義→観応の擾乱で高師直を殺害 |
楠木正成→戦死(湊川の戦い) | 高師直→観応の擾乱で足利直義に殺害される |
北畠顕家→戦死 | 今川貞世(了俊)→九州探題。九州を制圧。 |
北畠親房→現在の三重県で抵抗 | |
懐良親王→九州を一時支配 |
最後に日本史のおすすめ問題集を紹介します。
※関連記事:日本史文化史の参考書と覚え方
1冊目は日本史参考書の定番、「金谷の日本史」です。古代~近現代まで3冊と文化史1冊の合計4冊に分けて解説してくれています。
内容はオーソドックスで、教科書をさらにくわしく解説してくれています。
すべてじっくり読むというより、問題集で問題を解きつつ因果関係が分かりにくいときに参考書として使う人も多いです。
特に、共通テストを受ける人は『文化史』だけでも読んでおくと役立ちます。
出版社:ナガセ
流れを理解できるようになったら、問題演習をして記憶に定着させる必要があります。
この問題集はそんなときに便利です。
「必修版」と「完全版」に分かれており、現在の学力や志望校のレベルに合わせて選べます。
出版社:ナガセ
学研が出版している「標準レベルまで」の参考書です。教科書よりも解説がくわしく、日本史探求に苦手意識を持っている人も理解しやすいです。
定期テスト対策用の問題ページもあり、定期テスト対策、中堅レベルまでに大学入試対策に便利です。
出版社:Gakken
いかがでしょうか。
高校生の日本史の勉強用に、南北朝時代のポイントを解説し、覚えるべき内容を一問一答にまとめました。
建武政権に設置された機関(記録所、雑訴決断所、鎌倉将軍府、陸奥将軍府など)、南北朝の動乱(観応の擾乱、南朝と北朝の戦い、征西将軍・懐良親王と九州探題・今川貞世)、南北朝の文化などです。
定期テストや共通テスト対策にご活用ください。
また、以下の記事では鎌倉幕府の滅亡について一問一答にまとめています。
日本史の一問一答:鎌倉幕府の滅亡のまとめと問題(正中の変、元弘の変など)
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