「室町時代の文化は覚えることがたくさんあってややこしい」
このように、室町時代の文化を苦手に感じている高校生は多いのではないでしょうか。
室町時代の文化は北山文化と東山文化の2つに分かれており、どの作品がどの文化なのか区別する必要があります。
室町の文化は、時代ごとの特徴をとらえると覚えやすくなります。
そこで、北山文化、東山文化の2つに分けて特徴と覚えるべきことがらをまとめて紹介します。テスト対策用に練習問題も用意しました。
また、定期テストや大学入そでは南北朝時代もテスト範囲に入ることが多いため、南北朝文化も合わせて紹介します。
※関連記事:日本史文化史の参考書と覚え方
室町時代(1336年~1573年)は、日本の中世から近世への転換期に位置する時代です。この時期には、武士による政治体制が確立される一方で、文化の面では貴族(公家)と武士が融合し、新たな日本独自の文化が花開きました。
室町時代の文化は、主に2つの時代に分けられ、それぞれ北山文化と東山文化と呼ばれます。これらの文化は、建築、芸術、宗教において大きな影響を残しました。
室町時代の文化は、足利氏が京都に幕府を構え、武士による中央集権的な支配が強化されたことで発展しました。
足利尊氏が1336年後醍醐天皇に勝って室町幕府を開いた後、守護大名(各地の有力武士)が地域ごとに支配を強め、政治と文化が各地に広がりました。
特に、3代将軍足利義満の時代に幕府の権力が最も安定し、京都を中心に文化が発展しました。
平安時代から続く貴族文化(公家文化)は、優雅さや美意識が特徴です。一方、武士の文化(武家文化)は、現実的で実用的な面が強いものでした。
この二つの文化が融合した結果、華やかでありながらも実用的な文化が生まれました。例えば、建築や芸術では禅宗が影響を与え、簡素で洗練された美が追求されました。
室町時代の文化には、禅宗が大きな影響を与えました。禅宗は中国から伝わった仏教の一派で、簡素さや精神的な修行を重視します。この精神は、武士の精神性とも相性が良く、特に枯山水庭園や茶道において禅の思想が反映されています。
室町時代の文化は、以下の2つの時期に分かれます。
文化 | 時期 | 代表的な将軍 | 代表的な建築物 |
北山文化 | 14世紀後半~ 15世紀前半 | 足利義満 | 鹿苑寺金閣 |
東山文化 | 15世紀後半 | 足利義政 | 慈照寺銀閣 |
北山文化は、豪華で華やかな特徴を持ち、東山文化は、質素で洗練された美を追求しました。
南北朝文化は1336年から1392年の南北朝時代に発展した文化です。
南朝と北朝に分かれて争っていた時代であり、南北朝の動乱が反映された軍記物語や歴史物語が中心でした。
また、朝廷では後醍醐天皇を中心に「平安時代の朝廷の姿」に戻そうと有職故実が盛んでした。官位の決め方、任官手続き方法やしきたりなど、朝廷で行う業務マニュアルのようなものです。
キーワード:南北朝の動乱、歴史書・軍記物、有職故実
南北朝文化で覚えておくべき作品とその作者を以下の表にまとめました。
作品名 | 作者名 | ポイント |
神皇正統記 | 北畠親房 | 南朝の正統性を主張 |
梅松論 | – | 北朝の正統性を主張 |
太平記 | 不詳 | 鎌倉幕府滅亡から南北朝動乱までを南朝寄りで記述 |
難太平記 | 今川貞世(了俊) | 鎌倉幕府滅亡から南北朝動乱までを北朝寄りで記述 |
増鏡 | 二条良基? | 後鳥羽天皇から後醍醐天皇までの朝廷を題材 |
建武年中行事 | 後醍醐天皇 | 朝廷の年中行事を月別にまとめた書物。有職故実。 |
職原抄 | 北畠親房 | 官位の任官手続きなどをまとめた書物。有職故実。 |
五山文学 | 義堂周信、絶海中津ら | 京都や鎌倉の禅僧の間で行われた漢文学全般 |
天竜寺庭園 | 夢窓疎石 | 禅の精神を取り入れた枯山水の庭園 |
西芳寺庭園 | 夢窓疎石 | 禅の精神を取り入れた枯山水の庭園 |
菟玖波集 | 二条良基 | 準勅撰連歌集 |
応安新式 | 二条良基 | 連歌の規則をまとめた書物 |
北山文化は15世紀はじめ、3代将軍足利義満の時代にさかえた文化です。室町幕府の最盛期ともされた時代です。
南北朝が合一され、室町幕府と朝廷が良好な関係を築いていました。
公家文化と武家文化が融合された新たな文化や禅宗の影響を受けた文化が誕生しています。
北山文化は、足利義満(室町幕府第3代将軍)が主導した文化です。
義満は、武士のトップでありながらも公家文化を取り入れ、京都の北山に金閣寺(鹿苑寺)を建てました。金閣寺は、金箔を貼った豪華な建物で、武家の権威と貴族的な美意識を象徴しています。
北山文化では、僧侶と公家が協力し、芸術や文学が発展しました。例えば、連歌(和歌を即興で詠む)や書道が盛んに行われ、文化的な活動が幕府を中心に広がりました。
キーワード:武家と公家の融合、禅宗
南宋の官寺の制にならい、足利義満が臨済宗の寺を管理下に置くためにつくった制度です。
京都と鎌倉の寺を五山と十刹にまとめ、格付けします。南禅寺がトップ(「別格」)、次が「五山」、その下が「十刹」、最後に「諸山」というランク分けです。
所属する僧侶を管理し人事権を持つ「僧録」を置きました。僧録の事務所を僧録司といいます。初代僧録司は春屋妙葩(しゅんおくみょうは)です。
別格本山南禅寺 | ||
京都五山 | 鎌倉五山 | |
天竜寺 | 1位 | 建長寺 |
相国寺 | 2位 | 円覚寺 |
建仁寺 | 3位 | 寿福寺 |
東福寺 | 4位 | 浄智寺 |
万寿寺 | 5位 | 浄明寺 |
京都十刹 | 鎌倉十刹 | |
諸山 |
寺側からすると「幕府の管理下に置かれる」というデメリットがありますが、「幕府の保護を受けられる」というメリットもあります。
北山文化で覚えておくべき作品とその作者を以下の表にまとめました。
作品名 | 作者名 | ポイント |
鹿苑寺金閣 | 足利義満 | 第1層が寝殿造風、第3層が禅宗様 |
瓢鮎図(ひょうねんず) | 如拙(じょせつ) | 公案(禅で与えられる課題)を題材とした水墨画 |
寒山拾得図(かんざんじっとくず) | 周文 | 水墨画 |
能の大成 | 観阿弥・世阿弥 | 足利義満の保護 |
風姿花伝(花伝書) | 世阿弥 | 能の理論を記した書物 |
東山文化は15世紀後半の8代将軍足利義政の時代にさかえた文化です。禅の精神にもとづいた洗練された「侘(わび)」(閑寂な趣)と「幽玄(ゆうげん)」(趣が深く味わいが尽きないこと)の文化です。
キーワード:侘、幽玄
東山文化は、足利義政(室町幕府第8代将軍)の時代に生まれました。義政は、政治的には力が弱い将軍でしたが、文化の面で大きな業績を残しました。特に有名なのが、京都の東山に建てられた銀閣寺(慈照寺)です。
銀閣寺は、金閣寺と異なり、金箔を使わずに簡素で静かな美を追求しました。
東山文化では、禅宗の精神が建築や庭園に反映されました。代表的なものが枯山水庭園です。石と砂だけを使って山や川を表現するこの庭園は、物質的な豊かさではなく、精神的な深さを重視しています。京都の龍安寺の枯山水庭園が有名です。
東山文化で覚えておくべき作品とその作者を以下の表にまとめました。
作品名 | 作者名 | ポイント |
慈照寺銀閣 | 足利義政 | 下層が書院造、上層が禅宗様 |
慈照寺東求堂同仁斎(じしょうじとうぐどうどうじんさい) | – | 書院造の代表例 |
龍安寺石庭 | – | 枯山水の庭。龍安寺は世界遺産に登録。 |
大徳寺大仙院庭園 | – | 枯山水の庭 |
四季山水図巻 | 雪舟 | 水墨画 |
四季花鳥図 | 狩野元信 | 狩野派の2代目 |
新撰菟玖波集 | 宗祇 | 正風連歌の確立 |
犬菟玖波集 | 山崎宗鑑 | 正風連歌を自由なものにした俳諧連歌の確立 |
樵談治要 | 一条兼良 | 足利義尚に政治の仕方を教えるための書物 |
公事根源 | 一条兼良 | 宮中の行事の解説書。有職故実。 |
立正治国論 | 日親 | 法華経のみを信じるべきという考え方。民衆に広まった。法華一揆、天文法華の乱につながる。 |
閑吟集 | – | 小歌の歌集 |
御伽草子 | – | 一寸法師、浦島太郎などの短編物語集 |
芸術の名称 | 大成・創出した人物 | ポイント |
水墨画 | 雪舟 | 墨の濃淡で表現する絵画 |
大和絵 | 土佐光信 | 唐絵に対して、日本の風景を描いた絵 |
狩野派 | 狩野正信・元信 | 室町幕府の御用絵師となった |
侘茶の創出 | 村田珠光 | 村田珠光が創出して、武野紹鷗が発展 |
生け花 | 池坊専慶 | |
正風連歌 | 宗祇 | |
俳諧連歌 | 山崎宗鑑 | 正風連歌より庶民的 |
唯一神道 | 吉田兼俱(かねとも) | 反本地垂迹説:神がメインで、仏はその化身であるとする考え方 |
浄土真宗中興 | 8世蓮如 | 越前吉崎道場などを創設。寺内町に発達。 |
練習問題を解いて、南北朝文化を暗記しましょう。
作品名 | 作者名 | ポイント |
( ) | ( ) | 南朝の正統性を主張 |
( ) | – | 北朝の正統性を主張 |
( ) | 不詳 | 鎌倉幕府滅亡から南北朝動乱までを南朝寄りで記述 |
難太平記 | ( ) | 鎌倉幕府滅亡から南北朝動乱までを北朝寄りで記述 |
( ) | – | 後鳥羽天皇から後醍醐天皇までの朝廷を題材 |
建武年中行事 | ( ) | 朝廷の年中行事を月別にまとめた書物。有職故実。 |
職原抄 | ( ) | 官位の任官手続きなどをまとめた書物。有職故実。 |
五山文学 | ( )、( )ら | 京都や鎌倉の禅僧の間で行われた漢文学全般 |
天竜寺庭園 | ( ) | 禅の精神を取り入れた枯山水の庭園 |
西芳寺庭園 | ( ) | 禅の精神を取り入れた枯山水の庭園 |
( ) | 二条良基 | 準勅撰連歌集 |
( ) | 二条良基 | 連歌の規則をまとめた書物 |
作品名 | 作者名 | ポイント |
神皇正統記 | 北畠親房 | 南朝の正統性を主張 |
梅松論 | – | 北朝の正統性を主張 |
太平記 | 不詳 | 鎌倉幕府滅亡から南北朝動乱までを南朝寄りで記述 |
難太平記 | 今川貞世(了俊) | 鎌倉幕府滅亡から南北朝動乱までを北朝寄りで記述 |
増鏡 | 二条良基? | 後鳥羽天皇から後醍醐天皇までの朝廷を題材 |
建武年中行事 | 後醍醐天皇 | 朝廷の年中行事を月別にまとめた書物。有職故実。 |
職原抄 | 北畠親房 | 官位の任官手続きなどをまとめた書物。有職故実。 |
五山文学 | 義堂周信、絶海中津ら | 京都や鎌倉の禅僧の間で行われた漢文学全般 |
天竜寺庭園 | 夢窓疎石 | 禅の精神を取り入れた枯山水の庭園 |
西芳寺庭園 | 夢窓疎石 | 禅の精神を取り入れた枯山水の庭園 |
菟玖波集 | 二条良基 | 準勅撰連歌集 |
応安新式 | 二条良基 | 連歌の規則をまとめた書物 |
(1)古来の先例にもとづいた、朝廷や公家の公式行事や官位・装束などを研究することを何といいますか。
(2)『神皇正統記』は北朝と南朝のどちら寄りに書かれていますか。
(3)『梅松論』は北朝と南朝のどちら寄りに書かれていますか。
(4)五山の禅僧たちによる漢字文学を何といいますか。
(5)北畠親房は北朝と南朝のどちら側の公家ですか。
(1)有職故実
(2)南朝
(3)北朝
(4)五山文学
(5)南朝
作品名 | 作者名 | ポイント |
( ) | 足利義満 | 第1層が寝殿造風、第3層が禅宗様 |
瓢鮎図(ひょうねんず) | 如拙(じょせつ) | ( )を題材とした水墨画 |
( ) | 周文 | 水墨画 |
能の大成 | 観阿弥・世阿弥 | ( )からの保護 |
風姿花伝(花伝書) | ( ) | 能の理論を記した書物 |
作品名 | 作者名 | ポイント |
鹿苑寺金閣 | 足利義満 | 第1層が寝殿造風、第3層が禅宗様 |
瓢鮎図(ひょうねんず) | 如拙(じょせつ) | 公案(禅で与えられる課題)を題材とした水墨画 |
寒山拾得図(かんざんじっとくず) | 周文 | 水墨画 |
能の大成 | 観阿弥・世阿弥 | 足利義満の保護 |
風姿花伝(花伝書) | 世阿弥 | 能の理論を記した書物 |
別格本山:( )寺 | ||
京都五山 | 鎌倉五山 | |
( )寺 | 1位 | ( )寺 |
( )寺 | 2位 | ( )寺 |
( )寺 | 3位 | ( )寺 |
東福寺 | 4位 | 浄智寺 |
万寿寺 | 5位 | 浄明寺 |
京都十刹 | 鎌倉十刹 | |
諸山 |
別格本山:南禅寺 | ||
京都五山 | 鎌倉五山 | |
天竜寺 | 1位 | 建長寺 |
相国寺 | 2位 | 円覚寺 |
建仁寺 | 3位 | 寿福寺 |
東福寺 | 4位 | 浄智寺 |
万寿寺 | 5位 | 浄明寺 |
京都十刹 | 鎌倉十刹 | |
諸山 |
(1)五山十刹の制をはじめたのは誰ですか。
(2)五山十刹の僧を管理する役職を何といいますか。
(3)初代の僧録司は誰ですか。
(4)観阿弥・世阿弥を保護した将軍は誰ですか。
(5)室町時代に座となって諸国で活躍した4つの能の集団をまとめて何と呼びますか。
(1)足利義満
(2)僧録司
(3)春屋妙葩
(4)足利義満
(5)大和猿楽四座
作品名 | 作者名 | ポイント |
( ) | 足利義政 | 下層が書院造、上層が禅宗様 |
( )東求堂同仁斎 | – | 書院造の代表例 |
( )石庭 | – | 枯山水の庭。龍安寺は世界遺産に登録。 |
大徳寺大仙院庭園 | – | 枯山水の庭 |
四季山水図巻 | ( ) | 水墨画 |
四季花鳥図 | ( ) | 狩野派の2代目 |
新撰菟玖波集 | 宗祇 | ( )の確立 |
( ) | 山崎宗鑑 | 正風連歌を自由なものにした( )の確立 |
樵談治要 | ( ) | 足利義尚に政治の仕方を教えるための書物 |
( ) | 一条兼良 | 宮中の行事の解説書。有職故実。 |
立正治国論 | ( ) | 法華経のみを信じるべきという考え方。民衆に広まった。法華一揆、天文法華の乱につながる。 |
閑吟集 | – | 小歌の歌集 |
( ) | – | 一寸法師、浦島太郎などの短編物語集 |
(2)
芸術の名称 | 大成・創出した人物 | ポイント |
( ) | 雪舟 | 墨の濃淡で表現する絵画 |
( ) | 土佐光信 | 唐絵に対して、日本の風景を描いた絵 |
狩野派 | ( 父 )と( 子 ) | 室町幕府の御用絵師となった |
( )の創出 | 村田珠光 | 村田珠光が創出して、武野紹鷗が発展 |
生け花 | 池坊専慶 | |
正風連歌 | ( ) | |
俳諧連歌 | ( ) | 正風連歌より庶民的 |
唯一神道 | 吉田兼俱(かねとも) | ( )説:神がメインで、仏はその化身であるとする考え方 |
浄土真宗中興 | 8世法主( ) | 越前吉崎道場などを創設。寺内町に発達。 |
(1)
作品名 | 作者名 | ポイント |
慈照寺銀閣 | 足利義政 | 下層が書院造、上層が禅宗様 |
慈照寺東求堂同仁斎(じしょうじとうぐどうどうじんさい) | – | 書院造の代表例 |
龍安寺石庭 | – | 枯山水の庭。龍安寺は世界遺産に登録。 |
大徳寺大仙院庭園 | – | 枯山水の庭 |
四季山水図巻 | 雪舟 | 水墨画 |
四季花鳥図 | 狩野元信 | 狩野派の2代目 |
新撰菟玖波集 | 宗祇 | 正風連歌の確立 |
犬菟玖波集 | 山崎宗鑑 | 正風連歌を自由なものにした俳諧連歌の確立 |
樵談治要 | 一条兼良 | 足利義尚に政治の仕方を教えるための書物 |
公事根源 | 一条兼良 | 宮中の行事の解説書。有職故実。 |
立正治国論 | 日親 | 法華経のみを信じるべきという考え方。民衆に広まった。法華一揆、天文法華の乱につながる。 |
閑吟集 | – | 小歌の歌集 |
御伽草子 | – | 一寸法師、浦島太郎などの短編物語集 |
(2)
芸術の名称 | 大成・創出した人物 | ポイント |
水墨画 | 雪舟 | 墨の濃淡で表現する絵画 |
大和絵 | 土佐光信 | 唐絵に対して、日本の風景を描いた絵 |
狩野派 | 狩野正信・元信 | 室町幕府の御用絵師となった |
侘茶の創出 | 村田珠光 | 村田珠光が創出して、武野紹鷗が発展 |
生け花 | 池坊専慶 | |
正風連歌 | 宗祇 | |
俳諧連歌 | 山崎宗鑑 | 正風連歌より庶民的 |
唯一神道 | 吉田兼俱(かねとも) | 反本地垂迹説:神がメインで、仏はその化身であるとする考え方 |
浄土真宗中興 | 8世法主蓮如 | 越前吉崎道場などを創設。寺内町に発達。 |
室町文化は大学入試、特に共通テストでも頻出分野のひとつです。その理由をまとめました。
室町時代(1336年~1573年)は、鎌倉時代に続く中世の終わりであり、戦国時代を経て近世(江戸時代)へと移行する時期です。
この時代の文化は、前時代(平安時代)からの「継続」ではなく、「新しい価値観と美意識の発展」が見られました。
このように、中世の華やかさと近世の実用性・精神性の融合が起こったため、文化史において非常に重要とされています。
室町時代の文化は、単に過去のものではなく、現代の日本文化にまで深く影響を与えています。
このように、室町時代の文化は、日本の伝統芸能や美意識の根幹を成しており、歴史学習において重要視されるのです。
室町時代の文化がテストで頻出する理由をまとめると、以下の3点です。
室町文化に関して、テストで問われるポイントは大体決まっています。
室町時代の文化を語る上で欠かせないのが、3代将軍 足利義満と8代将軍 足利義政です。両者はそれぞれ異なる時期に幕府を率い、文化的にも大きな影響を与えました。
文化 | 時期 | 代表的な将軍 | 代表的な建築物 |
北山文化 | 14世紀後半~ 15世紀前半 | 足利義満 | 鹿苑寺金閣 |
東山文化 | 15世紀後半 | 足利義政 | 慈照寺銀閣 |
足利義満は、政治的にも文化的にも強力なリーダーであり、金閣寺を建ててその権威を象徴しました。
一方、足利義政は政治的な力を失いながらも、文化面では銀閣寺を中心に禅の精神を体現しました。
これらの建築物と文化政策は、頻出のテスト問題となっています。
1. 「足利義満と足利義政の文化政策の違いを説明しなさい。」
足利義満と足利義政は、それぞれ北山文化と東山文化を象徴する文化政策を行った。足利義満は公家文化と武家文化を融合するとともに、明との貿易を積極的に行って経済的・文化的に日本を国際社会に開かれた国家にした。一方、足利義政は、簡素でわび・さびを重視する美意識を育み、後の茶道や日本庭園に影響を与えた。
2. 「金閣寺と銀閣寺の建築様式の違いを述べなさい。」
金閣寺は、豪華絢爛な建築様式で、3階建てのそれぞれで寝殿造、書院造、禅宗様の異なる様式を持っており、権威と富を象徴している。一方銀閣寺は、簡素で静寂な美を追求した建築様式で、禅宗の精神に基づくわび・さびの美意識が反映されている。
東山文化は、禅宗の影響を受けたことで有名です。特に、精神性や簡素な美を重視する傾向が強まりました。
1. 「東山文化が禅宗と深く関係している理由を説明しなさい。」
東山文化が禅宗と深く関係している理由は、足利義政が禅宗思想を積極的に取り入れたことにある。東山文化が形成された15世紀後半は、応仁の乱による社会的混乱が続き、幕府権力が弱体化していた。そのため、人々は物質的な豊かさよりも精神的な安らぎを求めるようになり、禅宗の簡素・静寂・精神性を重視する思想が広まった。
2. 「枯山水庭園が東山文化の代表的なものである理由を述べなさい。」
枯山水庭園が東山文化の代表的なものである理由は、禅宗の精神を具現化した独特の庭園形式であるためである。枯山水は、水を使わずに自然の景観を表現しており、禅の「無常観」や「静寂の美」を象徴している。東山文化が発展した時代は、「わび・さび」の精神に代表されるように質素さや内面の精神性が重視されたため、枯山水のような無駄を排し、自然の本質を見つめる庭園が理想とされた。
文化史は、時代ごとで覚える内容が異なっているため、苦手にしている人が多いです。
そこで、文化史を効率よく覚えられる勉強法を紹介します。
なお、日本史文化史のおすすめ参考書を以下の記事で紹介しています。
大学受験の日本史文化史に特化したおすすめ参考書4選|効率的な勉強法と選び方を解説
まず、時代ごとの背景から覚えましょう。
文化は人の営みですから、時代の特徴によって文化も変わります。
例えば室町時代なら以下のように時期によって時代の特徴が異なります。
時代背景から覚えると、文化の特徴をとらえやすくなり、どの芸術作品がどの時代のものなのか区別しやすくなります。
文化史を勉強するときには資料もみましょう。
特に絵画や建築物や作品の写真をみると視覚効果で覚えやすいです。共通テストなどでも資料をみて答える問題が多く、資料をみなれておくと解きやすくなります。
室町時代は武家文化と公家文化の区別をすると覚えやすいです。
例えば南北朝文化の有職故実は公家文化なので、『建武年中行事』や『職原抄、『応安新式』などは朝廷に関係する内容です。
時代がくだっていくにつれて武家文化と公家文化が融合していくので、武家である足利義満が寝殿造を一部取り入れた鹿苑寺金閣を建てます。お寺の支配下に置くために五山十刹の制をつくったのも武家である足利義満です。
武家と公家で別々だったものが次第に合わさっていく様子をイメージすると、どの作品がどの時代なのかを区別しやすくなります。
東山文化になると、武家・公家という区別はほぼなくなり、代わりに身分の高い人の文化と庶民の文化に分かれていきます。
宗祇によって正風連歌が生み出されてすぐ、それが庶民むけに俳諧連歌としてアレンジされます。こうした、身分の高い人向け・庶民向けで分けるとイメージしやすくなります。
A:
室町時代の文化は、北山文化(14世紀後半~15世紀前半)と東山文化(15世紀後半)の2つに大きく分類されます。
A:
A:
A:
室町時代には以下の芸術・芸能が発展しました。
A:
東山文化が禅宗の影響を強く受けた理由は、足利義政が禅宗に深く傾倒していたことに加え、応仁の乱後の社会的混乱の中で、精神的な安定を求める人々が増えたためです。
禅宗は、質素・簡素な生活や精神修養を重視するため、わび・さびの美意識と結びつきました。これにより、銀閣寺や枯山水庭園といった、精神性を重視した文化が生まれました。
A:
枯山水庭園は、水を使わずに、白砂や石を配置して山や川の風景を象徴的に表現した庭園形式です。
A:
能楽が室町時代に重要とされた理由は、武士階級の精神的な教養として重視されたからです。
A:
室町時代の文化がテストで頻出する理由は、中世から近世への文化的な転換点であり、日本の伝統文化の多くがこの時代に形成されたからです。
特に、北山文化と東山文化の違いや、足利義満と足利義政の政策、能楽や禅宗の影響などは、日本史の重要なテーマとして扱われます。また、現代にも続く文化要素が多いため、理解が求められます。
いかがでしょうか。
室町時代の文化について、南北朝文化・北山文化・東山文化それぞれの特徴と覚えておくべく芸術作品をまとめ、覚えやすいように練習問題を用意しました。
文化史はテストにもよく出る範囲で、どの作品がどの時代なのかも覚える必要があります。複数の文化史を「特徴の違い」を意識しながら勉強すると記憶に残りやすくなります。
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