公立中高一貫校の受検では、学力だけでなく「思考力」「表現力」「意欲」など、総合的な人間力が求められます。
特に志望理由書や面接では、「自分の言葉で語れるか」が合否を左右する重要なポイント。
そしてもう一つ大切なのが、メンタル管理。小学生にとって大きな挑戦となる受検を乗り越えるには、親子での準備がカギを握ります。
この記事では、公立中高一貫校に合格するために必要な「志望理由書の書き方」「面接対策」「メンタルの整え方」を徹底解説。
さらに、親子で活用できる練習シートやチェックリストもご紹介します。
不安を自信に変え、合格に近づくための実践的なヒントをお届けします。
公立中高一貫校は、「中学校」と「高校」の6年間を一貫して学ぶ仕組みの学校です。公立なので学費は比較的安く、かつ高校受験をせずに6年間のびのびと学べることから、毎年多くの児童が受検します。
文部科学省では、以下のように公立中高一貫の指導方針を定義しています。
中学校と高等学校の6年間を接続し,6年間の学校生活の中で計画的・継続的な教育課程を展開することにより,生徒の個性や創造性を伸ばすこと
中高一貫教育Q&A:趣旨・目的に関すること(文部科学省)より引用
受検方法は、私立中学とは異なり「学力試験(国語・算数などのペーパーテスト)」ではなく、「適性検査」「内申」「面接」などが総合的に評価されるのが最大の特徴です。
※なお、以下の記事で適性検査対策の問題集を紹介しています。
公立中高一貫校の問題集:適性検査や作文の対策におすすめの問題集
ポイント:
公立中高一貫校と私立中学では、受検の目的や内容、学校の教育方針や環境が大きく異なります。
比較項目 | 公立中高一貫校 | 私立中学校 |
---|---|---|
学費 | 安い(年間5~10万円程度) | 高い(年間70万円以上も) |
試験内容 | 適性検査(思考・表現力重視) | 教科試験(国・算・理・社)中心 |
面接 | あり(重視される学校も多い) | ないorあっても形式的 |
内申 | 重要(学校によって割合あり) | 基本的に関係なし |
教育方針 | 公教育をベースとした均等な教育 | 独自カリキュラム、大学進学重視 |
通学地域 | 学区内・都道府県内が中心 | 通学範囲が広い(越境あり) |
※なお、中学生・高校生向けの補助金について、以下の記事でくわしく解説しています。
私立中学や私立高校の学費無償化:授業料支援額や所得制限を解説(東京・大阪・神奈川・埼玉・千葉・兵庫)
ここからは、文部科学省の指導方針をもとに、志望理由書の書き方や面接対策の仕方を解説します。
参考:中高一貫教育Q&A:趣旨・目的に関すること(文部科学省)
志望理由書は、次の3つの流れで書くと自然で読みやすくなります。
失敗例 | 改善ポイント |
---|---|
「頭が良くなりたい」「有名だから」などの抽象的な理由 | 学校の特色(教育方針、カリキュラム)に具体的に触れる |
保護者が書いたような内容・表現 | 子どもの言葉で、実体験や感情を交えて書く |
「どこの学校にも当てはまるような内容」 | その学校ならではの活動や取り組みを挙げる |
アドバイス:「なぜその学校なのか」に答えるには、学校の説明会やパンフレットを親子で一緒に調べることが大切です。
受検生が似たようなことを書く中で、印象に残る志望理由書にするには、「自分だけの体験やエピソード」を入れるのがコツです。
アドバイス:「自分にしか書けない文章」を目指して、子ども自身の視点や感情を中心に構成しましょう。
面接では、「志望理由」や「日常生活」について、自分の言葉で答える力が求められます。
質問 | 見られているポイント |
---|---|
「なぜこの学校を志望しましたか?」 | 動機の明確さ・学校理解 |
「最近頑張ったことは何ですか?」 | 継続力・取り組みの深さ |
「友達と意見が合わなかったとき、どうしますか?」 | 協調性・対話力 |
「この学校に入って何をしたいですか?」 | 将来の目標・意欲 |
練習法: 家庭でロールプレイをしながら、保護者が質問→子どもが答える形式で繰り返すと慣れやすいです。
公立中高一貫校の適性検査や面接では、「自分の意見を伝える力=自己表現力」が重要です。これは一朝一夕では身につかないので、日常の中でコツコツ育てていくことが大切です。
アドバイス:「考えて→言葉にして→相手に伝える」練習は、家で親子で楽しみながら続けることが成功の鍵です。
受検が近づくと、どんな子でも不安や緊張を感じます。大切なのは「感じないようにする」のではなく、「上手につきあうこと」です。
親の声かけ例:
「ドキドキするのは真剣な証拠だよ。深呼吸してみようか」
長い受検勉強の中で、気分が乗らない日も当然あります。そのときに支えになるのが家庭での「声かけ」と「環境づくり」です。
ポイント:
「結果」より「努力」に注目する声かけが、子どものやる気を支えます。
プレッシャーを跳ね返す力は、日々の「小さな成功体験」や「自己肯定感」から育ちます。
親の関わり方:
「本番に強くなる」子は、「失敗しても大丈夫」と感じている子です。
直前期は勉強よりも「心のコンディション」が合否を左右することもあります。
アドバイス: 最後に必要なのは「新しいこと」ではなく、「自分を信じること」です。
チェック項目 | 内容 | チェック |
---|---|---|
あいさつができているか | はっきりと「よろしくお願いします」「ありがとうございました」が言えるか | □ |
声の大きさは適切か | 小さすぎず、大きすぎず、聞き取りやすい声か | □ |
姿勢が良いか | 背筋を伸ばし、足はそろえて座れているか | □ |
表情は明るいか | にこやかで自然な笑顔が出せているか | □ |
質問を聞いてから答えているか | 質問を途中で遮らず、聞き終えてから話し始めているか | □ |
質問に対して簡潔に答えているか | 長すぎず、話がまとまっているか(30秒〜1分程度) | □ |
自分の言葉で話しているか | 暗記ではなく、自分の考えで話しているか | □ |
「なぜ?」の質問に答えられるか | 「なぜこの学校を選んだの?」などの理由を説明できるか | □ |
好きなこと・得意なことを話せるか | 自分の興味や強みを伝えられるか | □ |
苦手なことや失敗から学んだことを話せるか | 弱みもポジティブに伝えられているか | □ |
質問 | 子どもの記入欄 | 保護者からのフィードバック欄 |
---|---|---|
好きな教科とその理由は? | 例:理科。実験が楽しくて、身の回りのことがわかるから。 | |
苦手なことは何?どうがんばっている? | 例:漢字を覚えるのが苦手。毎日10分ずつ練習している。 | |
最近「がんばったな」と思うことは? | 例:学級委員をやって、話し合いでみんなの意見をまとめた。 | |
将来やってみたい仕事・夢は? | 例:生き物の研究者になって、環境を守る仕事をしたい。 |
質問 | 子どもの記入欄 | 保護者からのフィードバック欄 |
---|---|---|
なぜこの学校に入りたいの? | 例:自分で調べて発表する授業があり、意見を伝える力をつけたい。 | |
学校に入ったらやってみたいことは? | 例:探究学習、理科クラブ、委員会活動など。 | |
自分のどんな力を学校で活かせそう? | 例:人の話を聞く力、まとめる力、あきらめない力など。 |
保護者が質問 → お子さんが答える → 内容や話し方について一緒にふり返りましょう。
質問 | 子どもの答え(練習用) | 保護者からのアドバイス・良かった点 |
---|---|---|
なぜこの学校を受けようと思いましたか? | ||
自分の長所と短所を教えてください。 | ||
最近読んだ本や印象に残ったニュースは? | ||
グループで何かをしたときに大切だと思うことは? | ||
この学校に入ったら、どんなことにチャレンジしたい? |
以下に〇か✕をつけてみよう。できなかったところは次の練習のときにがんばろう!
項目 | 〇 or ✕ |
---|---|
声の大きさやスピードがちょうどよかった | 〇 / ✕ |
質問をちゃんと聞いてから答えた | 〇 / ✕ |
自分の言葉で考えて話せた | 〇 / ✕ |
笑顔で話せた | 〇 / ✕ |
前よりうまく話せたと感じた | 〇 / ✕ |
このワークシートは毎週1回など定期的に繰り返すことで、お子さまの「伝える力」「自己理解」がぐんと伸びます。
私は、〇〇中等教育学校の探究型の学びに興味をもちました。特に、自分で課題を見つけ、考え、発表する活動に力を入れていることを知り、自分の考えを深めたいと思いました。
私は将来、環境問題について研究したいと考えています。この学校の理科の授業や総合学習を通して、身の回りの課題を調べ、解決方法を考える力を身につけたいです。また、科学部にも入りたいです。
私は、人の話をよく聞き、まとめるのが得意です。学校では学級委員をしていて、意見をまとめて発表することもあります。困っている友達がいたら声をかけるようにしています。
中学でも、自分の意見をはっきりと伝えながら、友達の意見にも耳を傾け、みんなが気持ちよく過ごせるようにしたいです。学校行事や委員会活動にも積極的に取り組みたいと思います。
※なお、中学受験の志望理由書について、以下の記事でくわしく解説しています。
中学受験の志望理由:志望動機の内容や書き方を親と子どもそれぞれに分けて解説します
中高一貫校受検は、子どもだけでなく親子の挑戦とも言えます。
▶ 一言アドバイス: 合格はゴールではなく、新しいスタート。その準備も一緒にしていきましょう。
試験当日は、準備してきた自分を信じるだけです。
▶ 保護者の役割:
当日は「笑顔」で送り出すことが最大の支えです。
This website uses cookies.