「公立中高一貫校に興味があるけど、うちの子がついていけるのかな…」
「合格するのは3年生くらいから勉強している子だけじゃないの?」
このようなご不安をお持ちの保護者の方は多いのではないでしょうか。
私立中入試だと3年生から対策塾に通う人が多く、遅れを取り返すのは確かに相当勉強が必要です。
ですが公立中高一貫校の適性検査は小学校で習う内容を越えないため、1年間対策をするだけで合格を取る子も多数います。
そこで、これから公立中高一貫校の受験勉強をはじめるか検討中の方向けに、適性検査に向いている子の特徴・向いていない子の特徴を紹介し、合格できる学力のつけ方を紹介します。
※関連記事:公立中高一貫校の魅力とは:学校の種類や入試制度について解説します
公立中高一貫校の適性検査は小学校のテストとかなり異なっています。
公立中高一貫の適性検査に向いている子の特徴をまとめて紹介します。
※関連記事:小石川中等教育学校の出題傾向と対策
適性検査は問題文が長いという特徴があります。
例えば下記は大阪府の水都国際中学校の過去問です。
図書室の本コーナーの飾りつけという身近な状況を題材にしています。
この問題では2種類の作業が行われており、面積を求める問題が2問出ています。
状況や作業方法の説明が長く、たった2問でA4用紙を1枚使っています。
これだけの長い問題文を読んで状況を適切に把握し、自分の知っている解き方のなかから適切な解法をすばやく選ぶ必要があります。
長い文章の読み取りが得意でないと試験時間が足りなくなります。
適性検査は「初めてみる資料」や「オリジナルの規則性」を使う問題が多数出題されます。これらの問題を解ける子は物事に対して興味を持って取り組めるタイプです。
興味を持つので、「この資料は何を示しているのかな?」「どうしてこのような結果になるのかな?」と考えます。
ノーベル物理学賞・梶田隆章氏も「思考力は好奇心から生まれる」と言っています(日経コンパスより)。
好奇心旺盛であることは「考えて解く問題」を解くのに必要な姿勢なのです。
※関連記事:公立中高一貫校に向いている子の特徴:好奇心や積極性を伸ばすにはどうすればいいか
適性検査は記述問題が多く、作文も出題されます。「書くこと」がとても多い試験と言えます。
特に、受験生自身の意見を書かせる問題も頻出なため、自分の考えをまとめる力に加えて「他人に伝える力」=「表現力」も高いレベルで求められます。
適性検査に限りませんが、中学入試で上手くいく子は自主性の高い子が多いです。
適性検査は小学校で習う知識を身につけるだけでなく、その知識をベースにして考えて・書くことまで要求されます。
友だちが遊んでいるなかで自分の感情や行動や受験勉強に向かわせるのは、12歳の子どもにとって決して簡単ではありません。
それができる自主性の高さは、受験勉強でも大いに役立ちます。
受験勉強中には、むずかしい問題も多数出てきます。簡単にあきらめず、何とか答えを出そうとがんばれる子は実力が伸びやすく、公立中高一貫の入試でも合格を取りやすいです。
※関連記事:勉強の集中力を高める方法
では逆に、公立中高一貫校の適性検査に向いていない子はどのようなタイプでしょうか。
特徴をまとめました。
長文読解が苦手な子は適性検査で得点を取りづらく、向いていないと言えます。
前述のように適性検査は問題文が長いです。しかも問題集で解きなれている問題ばかりではなく、初めてみる条件や状況が設定された問題も出てきます。
長い文章や対話文を読んで問題を解くには、長文の読み取りを得意にしておく必要があります。
また、興味の範囲が限られている子は目の前の問題にあまり興味を持ちません。問題を作業的に解いてしまいがちで、公立中高一貫校の適性検査にはやや苦労します。
適性検査は日常のさまざまな状況が設問化され、社会の動きを資料から読み取る問題が出されます。
決まった公式や解法を当てはめるわけではないため、初見の問題が多い適性検査では解き方を考えるのに高いハードルを感じがちです。
本文中の言葉を使って自分で説明したり、受験生自身の考えを書く記述問題や作文が適性検査ではよく出てきます。
自分の考えを明確に言語化するには、適切な語彙や表現方法を知らないとむずかしいです。
表現力(語彙力)の乏しい子は苦労しがちです。
勉強を含めて、日常生活全般で自主性の低い子(言われたからやる、言われないとやらない)は受験勉強を苦手になりやすいです。
普段の小学校の宿題以外に、長い時間勉強をする必要があります。
周囲の友だちや兄弟姉妹と一緒に遊んでいても、自分は時間を区切って遊ぶのをやめて勉強に移らないといけません。
親や塾の先生がずっとそばについて「あれしなさい、これしなさい」と言い続けられるわけではありません。
今何をすべきか、自分で判断する必要があります。
自主性の高さは入試合否にかなり影響します。
同様に、あきらめやすい性格の子も公立中高一貫校の入試に向いていません。
単純な計算問題や一問一答の知識問題がほとんどなく、じっくり考えて解く問題が多いからです。
問題をみてすぐに答えは出てきません。問題文の条件を整理し、資料の数字をよく比較して、自分の考えをまとめる必要があります。
適性検査はある程度忍耐が求められる試験です。
ここからは適性検査の内容を確認し、公立中高一貫校に合格できるようになるための過ごし方や対策方法を探っていきます。
まず、適性検査の内容をおさらいします。
※関連記事:公立中高一貫校「適性検査」の出題例と対策方法
繰り返しになりますが、適性検査で必要な知識は小学校で習う範囲に限定されています。
私立中入試のように特殊な解法や知識は必要ありません。
公立中高一貫校の適性検査の大きな特徴の1つとして、科目横断の融合問題であるという点があります。
算数だけの問題、理科だけの問題というのはなく、理科と社会の融合問題、文系教科どうし・理系教科どうしの融合問題などが出てきます。
複数の教科をまたいで知識を活用する力が求められます。
理科の実験結果を示す表・グラフや、社会の資料を提示している問題も多数出てきます。初めてみる資料が大半です。
受験生は資料内容を分析して「資料が示す傾向」を読み取ります。
また、なぜそのような傾向がみられるのかを考察する問題もよく出ます。
適性検査は記述問題が多いのが特徴です。
小学校では1回のテストで記述問題は1-2問くらいです。
ですが、学校によってはほとんど記述問題の場合もあります。
例えば以下は東京都立小石川中等教育学校の適性検査Ⅱ(理科・社会の融合問題)の答案用紙です。
ご覧のように記述問題が多く、また解答の字数も多いです。
思考力問題も適性検査によく出てきます。
4名の生徒の話を読んで運動会のかけっこの順位を当てる問題など、内容を整理して論理的に解答を求めます。
思考力問題のなかでも、理系の融合問題では「プログラミング的思考力」を問う問題が出ることもあります。
例えば以下は、神奈川県立中等教育学校の入試問題です。
一定のルールに則って、「どこに」「どのカード」を置くとゴールにたどり着けるかを考えます。
条件を満たすように論理的に考える力が必要です。
ほとんどの公立中高一貫校では作文が出題されます。
作文の形式はさまざまで、下記のような種類があります。
大体共通しているのは「受験生自身の考えを書かせる」という点です。
作文の書き方を身につけ、自分の考えを「書き言葉」で表現できる力が問われます。
公立中高一貫校の適性検査の内容をふまえ、合格できる子はどのような学力を身につけているか見ていきます。
まとめると、各教科の知識と算数計算力がカギです。特に語彙力は記述問題や作文で必須です。
こうした基礎学力が適性検査の土台になります。
※関連記事:中学受験家庭必見:子どもの語彙力を伸ばす方法と語彙力の高い子の過ごし方
基礎学力の高い子は小学校の成績も良いです。
通知表はテストの点数だけでなく、グループ活動の積極さや授業中の積極さのように、「態度」も評価しています。
積極的に発言し、積極的にクラス活動に参加するタイプの子は適性検査の問題で問われる思考力も伸びやすいです。
テストで分からない問題があるとき、空欄にしてしまう子と何とか答えをひねりだそうとがんばる子に分かれます。
適性検査の問題はじっくり考えて解くものが多いため、すぐに答えが分からなくてもあきらめずに取り組む子のほうが伸びやすいです。
前述のように、適性検査の問題文はとても長いです。
国語の長文読解が得意な子は適性検査でも高い実力を発揮しやすいです。
作文・感想文を書くのが得意な子も適性検査向きです。
公立中高一貫校入試では自身の意見を書く問題が良く出てきます。
特に作文は合格者の多くが得点源にしている試験科目です。
書くことに苦手意識のない子や作文を書きなれている子はかなり有利になります。
※関連記事:小学生の文章力をアップさせるおすすめのトレーニング方法
基礎学力が高く、クラスやグループの活動に積極的で、テストにも一生懸命取り組む子。
いわゆる優等生タイプの子が公立中高一貫校の適性検査に向いています。
もちろん、ここで挙げた特徴を持ち合わせていない子は公立中高一貫校に受からないというわけではありません。
子どもは大人の想像を越えて成長していきます。これからの受験対策で「適性検査に向いている特徴」を身につけていけば大丈夫です。
最後に、公立中高一貫校に合格するための勉強法を紹介します。
家庭で実践できる方法のみをまとめました。
何よりまず、小学校の先取り学習をはじめましょう。
算数・国語・理科・社会のいずれも「1学年上の内容」まで進めておくほうが良いです。
そうすれば「入試までのラスト1年」は、適性検査対策の専用問題集でみっちり受験勉強ができます。
なお、算数は5-6年生の内容が特に高度なため、ひとりで勉強するのに苦労する子が多いです。
そんなときはRISUという通信教育がおすすめです。RPGのゲーム性を取り入れており、勉強すればするほどストーリーが進んでいきます。
ゲーム性がやや強いのでご家庭によって好き嫌いは分かれると思います。
ただ、算数が苦手だった子たちが平均して学校より1年ほど先に勉強が進んでいるようで、本格的な勉強の伴走者として便利です。
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テレビのニュースや新聞記事から身近な話題をピックアップし、その内容について親子で話してみましょう。
これらのポイントについて話してみます。
決まった正解はなく、「自分ならどう考えるか」が大切です。
上記2つ目の「なぜそれが起こったか」を考えると資料の読み取り問題の対策になりますし、
上記3つ目の「自分が当事者ならどう対応するか」を考えると受験生自身の意見を書かせる問題の対策になります。
ニュースや家族の会話で地名が出たら地図をみて場所を確認するようにしましょう。
例えば北九州が朝鮮半島に近くて海沿いであること、長野県が内陸で山地であることなどを地図で印象づけておくと、思考力問題や資料問題で解答を考えやすくなります。
同様に、知らない言葉が出たときには辞書を引いて意味や使い方を調べるようにします。
できればその言葉をすぐ使ってみると、意味を知っているだけの語彙から「記述問題や作文で使える語彙」にランクアップさせられます。
※関連記事:【中学受験】小学生向けの語彙力向上ドリル・国語辞典:選び方と親子でできる言葉の練習法を紹介
定期的に作文を書いて、作文を得意にしましょう。
公立中高一貫校に合格する子も多くは作文で高得点を取っています。
作文に対して苦手意識を持っている子もいますが、練習すればだれでもある程度書けるようになります。
小説家や詩人のように人を感動させる文章を書く必要はありません。
書き方のルールを身につけ、文章の構成や結論の出し方を学びましょう。
※関連記事:【中学受験】作文の書き方やルールとおすすめの対策問題集
志望校の学校説明会には親子で行きましょう。受験勉強のモチベーション維持につながります。
「1-2年後にこの学校に通うかもしれない」
「今目の前を通って行った人が自分の先輩になるかもしれない」
そう思うと受験を実感しやすくなり、やるぞ!という気持ちがわき起こりやすいです。
説明会に行ってもシラ~っとしている子もいますが、それでも頭の片隅に学校の印象が残ります。
以前より勉強に前向きになった、中学校のことを家で聞いてくることが増えた。
こうした変化が出てきやすくなります。
英語入試が課されている公立中高一貫校を志望している方は英検5級の対策をしておきましょう。
私立中なら英検3-4級くらいの英語力が求められますが(2級目安の学校もあります)、公立中高一貫校なら5級までで十分です。
あくまで小学校の授業範囲を越えないからです。
小学校では英検5級相当くらいまでしか習いませんから、5級に合格できるかどうかくらいのレベルまで伸ばせれば十分です。
※関連記事:小学生向け英検5級対策:おすすめ勉強方法と問題集・アプリ完全ガイド!
6年生になったら一度過去問を解いてみましょう。入試到達点を把握するためです。
この時点ではあまり解けなくても特に問題ありません。
どのような問題が出て、どれくらいむずかしいか(どれくらい解けそう)を実感できれば十分です。
その後、受験勉強をしながら月1回程度過去問を解いてみます。
すると、勉強の成果を手ごたえや点数で実感しやすくなりますし、合格までどれくらい近づいてきたか分かってモチベーションアップにもつながります。
過去問対策には以下の銀本もおすすめです。志望校と同じような出題傾向の中学校の問題を探し出して対策に使えます。
ただし、解説がないので志望中学校のものは赤本を別に購入しておくほうが良いです。
いかがでしょうか。
公立中高一貫校に合格する子、向いていない子の特徴をまとめました。
好奇心旺盛で自主性が高く、基礎学力の高い子が中高一貫校の適性検査に向いています。
子どもにその特徴がみられなくても、これからの対策次第で十分合格をねらえます。親子の会話で思考力はきたえられますし、作文は慣れれば高得点を取れます。
さらに詳しい対策方法を下記の記事で紹介しています。
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