近年、中学受験の低年齢化がみられます。早く塾に入れて、早めに合格のレールに乗せる方針です。この方針とはちがい、塾に通わずに中学受験をするご家庭もあります。
どちらが良いというのはありませんが、それぞれの方針によって効果的な方法があります。
そこで今回の記事では、塾に通わずに
家庭学習で中学受験を成功させるにはどうすればいいかをお伝えします。
※関連記事:中学受験準備:いつから始める?どういう子が中学受験で有利になる?
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※Z会の中学受験コースのメリットや活用法を下記の記事で紹介しています。
Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
塾なしで中学受験を成功させる方法
塾に通わずに志望校合格を果たそうと決めたら、どうすればいいか。ここでは親子だからできる3つの方法をお伝えします。
※関連記事:塾なし中学受験の新戦略:通信教育と市販教材で合格へのスマートな道
入試問題を親子で分析する
志望校合格を目指してまずすることは、孫氏の兵法書でいう「相手をよく知ること」です。
入試問題を親子で分析しましょう。
親だけで分析するのではなく、
できるだけ子どもも関わらせてください。
問題の分析というのは、下記の2点です。
②合格するために正解しないといけない範囲や難易度を大まかに知る
入試問題だけをみても分析しづらいです。
小学校6年生用の入試対策問題集をみて、入試問題とよく似ている問題を問題集から探します。
そうすると、入試に出ている問題とよく似た問題を問題集から見つけられます。
そういうタイプやレベルの問題を解けるようになればいいんだということがわかります。
また、ほぼどの私立中学でも、
基本問題と標準問題で9割以上正解すれば合格にかなり近づきます。
何が標準レベルで、何が発展レベルなのかも問題集をみれば一目瞭然です。
問題集に「標準問題」「発展問題」「思考問題」のように書いてくれています。
一般的な入試対策問題集(『予習シリーズ』など)であれば、「標準問題」と書かれている範囲は9割以上正解できるようにしておきたいですね。そのうえで、「発展問題」「思考問題」のような名称の問題は5割正解できれば大丈夫です。
正答率5割でいいのですから、いくら解説を読んでも理解できない問題は前向きにあきらめましょう。ほかの問題で得点すればいいです。
小学校低学年の間に学習習慣をつけておく
中学受験の勉強は量が多く、対策は3年以上におよぶことがほとんどです。毎日コツコツ勉強する習慣をつけておく必要があります。
家庭学習メインで受験対策をするなら、小学校入学前後から3年生くらいまでの間には学習習慣をつけておきましょう。
最初は1日5分からでも良く、「毎日つづけること」が重要です。
学習習慣をつけられるドリルや中学受験対策用の問題集を以下の記事で紹介しています。
小学校1年生におすすめの算数ドリル
小学校1年生におすすめの国語ドリル
小学校2年生におすすめの算数ドリル
小学校2年生におすすめの国語ドリル
小学校3年生におすすめの算数ドリル
小学校3年生におすすめの国語ドリル
子どもの自主性を育てる
中学受験成功のカギは「子どもの自主性」です。
自主性の乏しい子は問題がむずかしくなってくると、学力が伸びなくなります。
「正解できるようにしよう、解法を理解しよう」
という姿勢ではなくなり、
「勉強を早く終わらせよう」
という姿勢になってしまうからです。
勉強に限らず、日常生活で子どもに判断させるようにしましょう。
親が先回りしすぎず、子どもに任せる(子どもの判断を尊重する)ことで自主性は伸びていきます。
子どもと一緒に志望校見学に行く
受験へのモチベーションを高めるために、一緒に志望校見学にも行きましょう。
学校を見学して「この学校いいなあ、行きたいなあ」と感じると、勉強の目的・目標を視覚的に把握できるようになります。学年が上がって勉強がつらくなる時期を迎えても、「あの学校に行きたい!」という気持ちが継続し、モチベーションを保ちやすいです。
学習スケジュールを親子で作成して進捗確認する
長い受験勉強を乗り切るには「学習計画」が欠かせません。子どもの自主性やモチベーションアップのためにも、勉強のスケジュールの作成にも子どもを関わらせましょう。
※関連記事:【中学受験】親はどこまでサポートする?勉強スケジュールの作成・管理方法をお伝えします!
子どもが自分の大事な勉強理由(なぜこの勉強をするのか、どういう問題を解けるようになればいいのか)を自分の目で見て、頭で考えて知っておくことはとても大切です。
受験勉強のモチベーションが下がってきたときに、
周囲の力を借りて自分で立てなおせるようになります。
学習スケジュールの立て方
勉強のスケジュール作成のコツは「大まか」「カスタマイズのしやすさ」です。
まず、問題集のページ数か単元数で1日(1週間)の予定を立てます。
小学校6年生の10月以降は過去問対策やプレテスト対策を中心にしたいですから、小学校6年生の9月末までに問題集の必要な範囲をすべて終えるように予定をたてます。
算数の問題集なら、(3年生用・)4年生用・5年生用・6年生用があります。この3冊で合計100単元掲載されているとします。今小学校4年生の4月だとすると30か月あります。100単元を30か月で勉強するわけですから、
100÷30=3.333…
となります。1か月に4単元ずつ勉強すれば終わりますね。1か月を4週と考えれば、毎週1単元ずつ終わらせば入試に間に合います。
このように、1週間ごとの学習計画をつくっておき、後は子どもに任せましょう。
週末の予定やその日の気分によって「今日どれくらい勉強するか」の配分をできるだけ子どもに考えさせます。自主性や責任感を養う機会にもなります。
※関連記事:【中学受験】勉強スケジュールの作成・管理方法
親は「来月予定があるから、忙しくなるね。どうする?」などの「声かけ」に徹します。
通信教育の学習計画に沿って勉強する
学習計画に不安がある、塾と同質のカリキュラムで対策したいという場合には通信教育も便利です。
移動時間がゼロですし、塾に比べて費用をかなり抑えられます。
※関連記事:塾なし中学受験で通信教育と市販教材を使って合格を勝ち取る方法
難関中学対策ならZ会
難関中学、最難関中学(首都圏御三家、灘中学、ラサール中学など)を目指しているならZ会がおすすめです。下記のような特長があります。
- トータル受講、ライトな受講(要点集中プラン)を選べる
- 1科目から受講できる
- 塾と同じかそれ以上の難易度の問題にもチャレンジできる
- 記述特訓や理科の複雑な計算対策など入試頻出分野の対策講座を取れる
※関連記事:Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
苦手、嫌いを克服するなら進研ゼミ
中学受験対策の通信教育として進研ゼミも多くの受験生に選ばれています。楽しく、自信をつけながら学べるという特徴があります。
- 視覚的に理解しやすい授業動画
- 1回15分の設計で勉強がつづけやすい
- 赤ペン先生がほめながら添削してくれる
- 合格実績は4,000名以上
※関連記事:進研ゼミ小学講座の特徴と効果的な利用法
英検3級以上を取得しておく
中学受験をされる場合の選択肢の1つとして英検があります。
英語入試を導入している私立中学が多くなり、公立中高一貫校でも英語を必須にするところも出てきています。
学校によって英語入試の難易度はちがいますが、目安として小6の6月(第1回の英検)までに「英検3級以上の取得」を目指しておくのがオススメです。ほとんどの英語入試に対応できるようになります。
ただし、慶應や西大和といった難関私立中学を目指すなら準2級を取っておきましょう。
※関連記事:【中学受験】英語入試の問題のレベルと対策方法
英検利用ができる私立中学を以下の記事で紹介しています。
入試で英検®が使える東京の私立中学一覧
入試で英検®が使える神奈川、埼玉、千葉の私立中学一覧
入試で英検®が使える関西の私立中学一覧
算数の先取り学習をはじめておく
受験算数の勉強に入るにはまず小学校で習う算数を終わらせる必要がありますが、この壁を乗り越えるのに一番苦労する人が多いです。小学校内容を先取りするので、予習になります。「なんとなく分かった」というレベルで終わってしまう子が少なくありません。
小学生はまだまだ自主性が育っていませんから、苦手な問題は苦手なまま残して次に進んでしまいがちです。早く予習しつつ、苦手を残さないように「復習しながら」進める必要があります。
算数の先取りをするのに便利な学習道具としてRISU算数という、「算数に特化したタブレット型の通信教育サービス」があります。
問題を解くにつれてAIが子どもの学習状況を分析し、「ちょうどいい」レベルに教材が自動に変化します。苦手なものを苦手なまま取り残さないようにできています。
ゲームのようにステージをクリアすればするほど算数の問題を解けるようにしていくシステムです。
小学校の勉強先取りはもちろん中学受験の問題もたくさんあり、RISUの会員で四谷大塚の全国小学生学力テストやSAPIXの模試で全国1位を取っている子も出ています。
費用のシステムが分かりにくいので、その解説も含めて下記の記事で紹介しています。
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理科・社会を得意にしておく
「中学受験といえば算数」というイメージがあるかもしれませんが、算数は得意・不得意が大きく分かれる科目です。算数があまり得意ではない子も、理科や社会で高得点を取れれば算数のビハインドを十分に補えます。
3科・4科受験をする場合には理科や社会が合格のカギになります。
ただ、中学受験の理科・社会は覚える内容が非常に多く、小学生にとってかなり大変です。語呂合わせで覚える、日本地図や歴史の年表をリビングに貼るなど、工夫しながら勉強を進めてみてください。
※関連記事:【中学受験】理科の便利な覚え方と語呂合わせの一覧
※関連記事:【中学入試理科】基本問題の一問一答
※関連記事:歴史の年号語呂合わせ一覧
※関連記事:【中学受験】歴史の流れを時代別に解説
塾なしで中学受験対策をする理由
中学受験対策では塾に通う人のほうが多いですが、塾なしを選択するご家庭も増えてきています。
どういう場合に塾なしを選ぶのがまとめました。
受験費用のコントロール
1つ目は、受験対策にかかる費用を抑えたい場合です。
大手中学受験塾の費用は4-6年生の3年間で250-300万円ほどになります。
※関連記事:中学受験の塾費用はいくらかかる?
家庭学習メインにするとこの費用を何分の1に抑えられます。
近所に良い塾がない
中学受験専門の塾が「子どもがひとりで通える範囲内」に見当たらない場合もあります。5-6年生で毎週4-6日通塾が必要ですから、親の送迎が不可欠だと家族の負担が相当大きくなってしまいます。
5-6年生から塾なしに切り替える
最初は塾で対策をしていて、成績不振や塾とのトラブルなどで塾なしに切り替えるケースも少なくありません。
塾と子どもの相性はどうしても合わない場合もあります。学年が上がると勉強のプレッシャーも強くなります。
塾の模試の最中に「もどしてしまって」、集団塾をやめた話もいくつか聞きました。
5年生や6年生から塾なしに切り替える子もおり、塾のカリキュラムの進行状況次第ではその後の対策も十分可能です。
※関連記事:中学受験生が6年生で転塾するのは大丈夫か
効果的な中学受験志望校の選び方
家庭学習のみで中学受験する場合、最後に困るのは「志望校選び」ではないでしょうか。
志望校選びはさまざまな観点から行います。下記のグラフは志望校を決めた理由を調査した結果です。
- 1番多い理由は通学時間
- 2番目に多い理由は大学進学実績
- 3番目に多い理由は偏差値
という結果です。
1つの理由だけで志望校を決めることはあまりなく、
上記のグラフにあるような「通学時間」「進学実績」など複数の項目を総合して決めることが多いです。
※関連記事:【中学受験】志望校はいつまでに・どうやって選ぶ?おすすめの決め方を紹介します!
片道1時間以内にする
6年間の行き帰りを考えると、片道1時間以内圏内にある学校がおすすめです。
毎日宿題が出ますし、次の日の予習や単語テストを毎日課している学校も多いです。
片道1時間で1日往復2時間かかります。それ以上に時間がかかると、勉強量や睡眠時間に影響が出てくるかもしれません。
合格実績は「合格者数の多い大学」をみる
志望校を選ぶときに、その学校の合格実績は気になります。
合格実績は「1番合格者数の多い大学名」を確認するようにしましょう。
学校のHPや学校説明会の資料には医学部や難関国公立大など、
「目立つ大学」が大きく載っています。
- 「医学部医学科10名合格」
- 「東大5名、京大5名」
などとあれば、県内1-2番手の中高一貫校でしょう。
ただし、その合格実績は学年トップクラスの一握りの生徒だけです。大半の生徒は「それ以外」の大学に合格しているのが普通です。
医学部医学科に行かせたいご家庭はともかく、そうでなければ一部の合格実績にあまり注目しないほうがいいかもしれません。
入学後に成績が真ん中辺りに落ち着くと、「目立つ大学」はかなり遠くなります。
中高一貫校は生徒の学力幅が非常に大きく、
トップの生徒たちと真ん中辺りの生徒は偏差値が15ほど違います。
例えば京大5名合格の中高一貫校でも、
「1番合格者数の多い大学」はその3ランクくらい下の大学です。
「1番合格している大学を参考にして、チャンスがあればトップも狙う」ほうが現実的です。
また、看護への進学を希望することもよくあります。
そうなりそうなら場合は、「医療系の大学・短大・専門学校」に合格者を多く出しているかどうかも確認しておきましょう。
医療系に合格者数が多い中高一貫校は、指定校推薦の枠をたくさん持っていることが多いです。
中学受験を塾で対策するのは当然か?
少子化の影響もあり、中学受験は小学生の進路の1つとしてすっかり定着しています。中学受験を経験した人の割合は、1987年は全国で3.1%だけでした。この頃は中学受験をする人は珍しい存在でした。
徐々に増加し、2007年に初めて7%を超えました。以降は7%台をキープしています。毎年全国で14人に1人が受験をしている計算になります。
受験する人が多くなり、受験対策をする塾もより専門的になっていきました。その結果、入試問題の難易度があがりました。1980年代に御三家の1つである開成中学で出された算数の難問が、現在は中堅校で出されるほどです。
難化した受験に対応するためにみんな塾に通うのかというと、そうでもありません。下記の表をご覧ください。
2022年に偏差値60以上の私立中学に通っている人を対象に、中学受験で塾にいつ頃通い出したかを調査した結果です。小学校3、4年生で通塾を開始する人が多い一方で、塾に通わずに中学受験をした人も20.7%もいました。
※関連記事:中学受験の塾費用はいくらかかる?:家庭教師・通信教育との費用比較と塾代を抑える方法を紹介
塾に通うメリット
中学受験で塾に通うメリットは下記の4つあります。
- 周囲の雰囲気でモチベーションをアップさせる
- 勉強がうまくいかないときの改善策をみつけられる
- 算数などで難問に対応する力を身につけられる
- 中学受験の最新情報や中学校の雰囲気を教えてもらえる
まだ小学生ですから、1人で勉強しつづけるのは簡単ではありません。
気持ちがダレてきたり、わからない問題につまったりして、勉強がはかどらないときも出てきます。
そうしたときに同じように中学受験をする仲間がいると励みになりますし、塾の先生と具体的な対策を相談できます。
前述のように、中学受験の問題はむずかしくなっています。
小学校では習わないレベルの問題がたくさん出ます。
※関連記事:【中学受験】家庭でできる「算数の伸ばし方」
※関連記事:【中学受験】国語の勉強法と入試出題傾向を解説
なかでも、難問と呼ばれる問題はいくら解説を読んでも解き方がわかりづらいです。
生徒の手が止まってしまっているのを見たら、
教え慣れている先生ならどこでわからなくなっているのかを見抜いて的確に説明してくれます。
また、中学校の情報収集ができるのも、志望校を決めるうえでとても大きなメリットです。
塾に通うデメリット
メリットばかりではなく、通塾にはデメリットも発生します。
- 勉強内容を自分で考えないので、受け身になりがち
- 解けなくても合否に関与しない難問に時間を割かざるを得ない
- 復習したい内容を復習する時間を持ちにくい
- 費用がかかる(年間70-90万円)
入試で6-7割の得点を取れば、たいていの場合志望校に合格できます。
3-4割の問題には間違えてもいいわけです。
つまり、中学受験の勉強を「志望校合格の手段」としてとらえれば、
「入試問題で7割取る勉強」だけすればいいことになります。
塾に通うほうがいいかどうかは一概にいえません。
ですが、入試問題で7割取るのに塾が必須かどうかを考えるのに、
上記の「塾に通うデメリット4つ」は判断材料になります。
塾に通うのは志望校合格の後押しになりますが、塾に通わないと志望校に合格できないかというと、決してそうではありません。
情報収集はある程度ネットでもできますし、お子様の様子とご家庭の都合で判断してみてもいいですね。
※関連記事:いつから塾に通う?知っておくべき「塾の選び方」
まとめ
いかがでしょうか。中学受験は進路の1つとして定着しています。だからこそ、受験の仕方は多様化してきています。
今回の記事では市販の問題集をベースに親ができることをお伝えしました。進研ゼミやZ会などのタブレット学習を活用すると、もっと便利に実践できるようになるはずです。
①入試問題を親子で分析する
②小学校低学年の間に学習習慣をつけておく
③模試も含めた勉強スケジュールを親子で作成・進捗確認する
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※Z会の中学受験コースのメリットや活用法を下記の記事で紹介しています。
Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
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