公立中高一貫校の入試制度の解説とおすすめの対策問題集を紹介:私立中学との違いとは?

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最近、公立の中高一貫校が人気になっています。

私立中とは異なる魅力があり、
公立中を第1志望校にするご家庭もふえてきています。

ですが、私立中にくらべて受検を考えている人が少ないため、
普通の公立中とどう違うのか、受検対策はどうすればいいのかがあまり知られていません。

そこで、この記事では

  • 公立中高一貫校の魅力
  • 入試制度とその対策方法

について解説します。

特に私立中入試とどう違うのかをお伝えいたしますので、進路選択の参考になればと思います。

公立中高一貫校って何?

公立中高一貫校というのは、
中学と高校がセットになった公立の学校のことで、6年一貫です。

公立ですから、運営母体は各自治体です。

下記の表のように、私立中にくらべれば学校数は少ないです。

 公立中学私立中学公立中高一貫校
(連携校除く)
公立中高一貫校
の割合
学校数9,027校780校143校1.6%
政府統計の総合窓口「令和4年度学校基本調査」をもとに作成

少ないながらも、毎年数校ずつ全国で開校されています。
500校の設置が目標となっており、全部で3タイプあります。

  • 中等教育学校
  • 併設型
  • 連携型

それぞれのタイプについて解説します。

中等教育学校

中等教育学校は、中学・高校の完全6年一貫です。

公立の学校はカリキュラムが中学と高校で別々に存在していますが、
中等教育学校は中学課程と高校課程を入れ替えることができます。

私立の中高一貫教育に近い形です。

6年間で1つの学校という扱いなので、入試は中学入試だけです。
高校入試はありません。

学校の名前に「中等教育学校」とあれば、このタイプです。

併設型

中等教育学校同様に中学と高校が6年一貫で、
私立中高一貫校のように中学課程と高校課程を入れ替えることができます。

高校入学時に外部から新たな生徒が入学します。
既存生は入学試験なしで高校にあがれます。

学校の名前に「付属中学校」とあればこのタイプの学校で、
高校からでも入試を受けられます。
※一部、高校入試のない併設型中学もあります

連携型

中等教育学校と併設型の運営母体は1つなのに対して、
連携型は複数の学校が連携して運営します。

私立中高一貫校のように中学課程と高校課程を入れ替えることができます。

中学と高校が6年一貫ですが、
連携中学から連携高校への進学時には試験と生活態度による選抜が行われます。

3タイプの比較

中等教育学校・併設型・連携型をくらべると、
下記の表のように特徴がわかれます。

               特徴中学入試高校入試
中等教育学校6年一貫。学校判断で中学課程と高校課程を入れ替えることができる。ありなし (高校からの入学はできない)
併設型6年一貫。学校判断で中学課程と高校課程を入れ替えることができる。ありあり (既存生は入試なしで高校進学できる)
連携型6年一貫。ただし、運営母体は複数の学校。なしあり

すべて6年一貫であり、
公立なので授業料が安いという点では同じですね。

公立中高一貫校の魅力とは?

何と言っても6年一貫であるという点が魅力です。

私立中同様なので、下記のようなメリットがあります。

  • 落ち着いて勉強できる
  • 大学入試に有利(早めにカリキュラムを終えて、大学入試対策に専念できる)
  • 同じ学力の子が集まっている

しかも公立ですから、私立中にくらべて学費が安いです。
下記の表をご覧ください。
中高6年間通ったときの学費の合計をくらべています。

ベネッセ教育サイト「私立中学と公立中学の学費はどう違う?中高一貫校に通わせたい時の総額を比較」より

私立にくらべて6年間で300万円も安いです!

勉強に集中するのも良し、
部活に打ち込むのも良しでこの学費はうれしいですね!

人気があるのもうなずけます。

公立中高一貫校の入試制度(私立中入試との違い)

連携校は中学入試がないため、
ここでは中等教育学校併設型の入試についてお伝えします。

まず公立中高一貫校入試は国語、算数といった名称では行われていません。
「適性検査」「報告書」「面接」などを組み合わせて行われます。

適性検査の内容

適性検査は思考力や判断力、表現力を中心に、
小学校で身につける総合的な力を問う問題です。

適性検査Ⅰから適性検査Ⅲまで3種類ありますが、
一部の学校では適性検査Ⅲは実施していません。

適性検査の内容は下記のとおりです。

適性検査Ⅰ国語・社会の組み合わせ
適性検査Ⅱ算数・理科の組み合わせ
適性検査Ⅲ作文や理系問題(学校独自)
※学校によって組み合わせ方は大きく異なります

試験範囲はあくまで小学校で習う内容です。
私立中学とちがって入試専門の特別な知識の習得は必要ありません。

適性検査で問われるのは思考力や知識の活用力です。

たとえば、お米の栽培方法を時期ごとに解説しているイラストと、南半球にあるオーストラリアの気温を示すグラフをみたうえで、オーストラリアでお米の栽培を行う時期について解説する文章を記述させる問題が出されます(日能研「公立中高一貫校適性検査対策テスト」ページより)。

この例だと、
理科と社会を組み合わせつつ、
国語の記述力を求めています。

このような、複数の教科にまたがった問題が出題されます。

思考力を問われる問題なため、これだけ勉強すれば合格できるという目安があいまいです。

模試もありますが、結果は参考程度にしておくほうがいいです。
問題が変われば得意・不得意もかわります。

※関連記事:公立中高一貫校の受験対策:家庭でできる勉強方法
※関連記事:公立中高一貫校の適性検査対策におすすめの問題集・参考書

作文がほぼ必須

公立中高一貫校の適性検査で特徴的なのは

「作文がほぼ必須」

という点です。

  • 「自然のすがたは地域によって異なりますが、あなたは「日本の自然」にはどのような特色があると考えますか。」
  • 「「未来に備える」という題で作文を書きなさい。」

といったテーマで出題されます。

作文は400字ほどのものがメインです。いきなりこれらのテーマで400字作文は厳しいですが、適性検査の得点源は実は作文です。

きっちりと練習すれば高得点を狙えるようになります。

適性検査対策のおすすめ問題集

適性検査対策の定番の参考書・問題集を3種類紹介します。

『5分で論理的思考力ドリル』:毎日少しずつ解いて、適性検査で求められる論理力を養います。

『小学校6年生までに必要な作文力』:作文練習に打ってつけです。

※関連記事:【中学受験国語】おすすめの記述・作文問題集:書き方の基本から難関レベル対策まで

『公立中高一貫校適性検査対策問題集』:算数的分野・理科的分野・社会的分野と、適性検査に必要な範囲が網羅されています。

これらの問題集で練習したら、最後は志望校などの過去問で対策をしておきましょう。

『5分で論理的思考力ドリル』

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出版社:学研プラス
値段:1,100円(税込)

『小学校6年生までに必要な作文力が1冊でしっかり身につく本』

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出版社:かんき出版
値段:1,320円(税込)

※関連記事:必見!小学生の文章力をアップさせるおすすめのトレーニング方法を紹介!
※関連記事:小学生におすすめの文章力をトレーニングするドリル・問題集11選

『思考力で合格! 公立中高一貫校適性検査対策問題集』シリーズ

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出版社:朝日学生新聞社
値段:1,760円(税込)
シリーズ:理科的分野』『社会的分野

1-2年の対策期間が必要

受検対策は1年あれば大丈夫ですが、
首都圏に関しては1年では足りないでしょう

関西圏含めてほとんどの地域の公立中高一貫校は偏差値50台ですが、
下記の表のように、首都圏の公立中高一貫校はのきなみ偏差値60を超えています。

専門の塾に通ってみっちりと対策しておきましょう。

学校名偏差値
小石川中等教育学校70
両国高等学校附属中学校67
桜修館中等教育学校65
武蔵高等学校附属中学校65
九段中等教育学校63
立川国際中等教育学校63
大泉高等学校附属中学校63
南多摩中等教育学校63
白鴎高等学校附属中学校62
三鷹中等教育学校62
富士高等学校附属中学校61
シリタス「東京都の公立中高一貫中学校 偏差値ランキング(2022年度)」より作成
【公立中高一貫校の適性検査】
①適性検査は複数の教科をまたがって作成されている
②作文のトレーニング必須
③ふつうは1年で間に合うが、首都圏は2年準備しておくほうがいい

報告書が必要

報告書とは、受検生自身の小学校での成績や生活態度などを記載した書類です

小学校の先生に作成してもらい、受検予定の中学校に提出します。

報告内容のなかで中学校側が特に注目するのは下記の3点です。

  • 出席日数
  • 各教科の成績
  • 学校での様子(授業中の態度、生活態度、クラブ活動などへの評価)

報告書の対象期間は、
多くの中学校では小学校5-6年生の2年間です。

一部の中学では4-6年生などの3年間になる場合もあります。
志望校の募集要項をみてご確認ください。

11月までに小学校の先生に受検を伝える

報告書の作成には時間がかかります。
通知表のように同じ書式ではないため、1校ごとに作成しないといけません。

さらに担任の先生が作成後、複数の先生が内容を確認することになっています。

報告書の作成は、担任の先生に通常の業務以外に結構な負担をお願いすることになります。
依頼は、願書を入手できる11月頃にはしておきましょう。

できれば、それ以前に受検を考えていることを担任の先生に伝えておくほうがいいです。
先生も人間ですから、丁寧に依頼するほうが、印象が良くなります。

子どもの活動を先生に伝える

報告書は子どものがんばりを報告する書類です。

先生が書きやすいように、

  • 「塾に週〇日通ってがんばっている」
  • 「英会話教室に通っている」
  • 「学外活動の~をしている」

といった、子どもががんばっている活動を先生に伝えておきましょう。

適性検査と報告書の配点は8:2

適性検査と報告書の配点は学校によりけりですが、おおむね、
適性検査:報告書=8:2
と見積もっておいてください。

公立中高一貫校入試では、報告書の配点も大きいです。
学校では授業中に積極的に手を挙げる、元気なのはいいがヤンチャな言動で目立たないようにするといったことを心がけましょう。

【報告書】
①報告書の作成は小学校の担任の先生に依頼する(早めに!)
②報告書対策として協調性・積極性をアピールしておこう

面接がある

面接がありますが、受検者本人(子ども)だけで保護者の面接はありません。
個人面接集団面接にわかれており、下記のような質問がよく聞かれます。

  • 志望理由
  • 得意教科
  • 将来の夢
  • 自分の長所
  • 小学校でがんばったこと

ご覧のように、面接の定番の質問が中心です。
奇抜な質問はほぼないので、事前に面接練習に取り組んでおきましょう。

※関連記事:中学受験当日、面接の服装どうする?保護者・女子・男子の気になる服装と費用も解説!
※関連記事:【中学入試】面接でよく聞かれる質問例と模範回答例

面接の受け答えの練習は箇条書きがおすすめです。回答内容を文章にしたり箇条書きにして練習しておくと、当日回答しやすくなります。

文章にすると丸暗記になってしまい不自然な受け答えになります。

ただし、緊張してガチガチになりやすい子は文章にして丸暗記しておくほうが失敗しにくいです。

報告書と面接は判定基準があいまい

なお、報告書と面接はどうすれば得点がたかくなるかの基準が不明確です。
中学校に問い合わせても「総合的な判断」としか教えてくれません。

適性検査でほかの合格者以上の高得点だったのになぜか不合格になるケースもあります。

報告書対策と面接対策を綿密に行っておくほうがいいでしょう。

【面接】
①面接は定番の質問中心
②適性検査が良くても面接で不合格になるケースが少なくない

まとめ

公立中高一貫校は6年一貫で、学費が私立の3-4割程度という魅力があります。

そのため近年人気が上がっており、特に東京都では偏差値や倍率が非常にたかくなっています。

受検対策は、東京都では2年、ほかの地域では1年ほど見積もっておきましょう。

適性検査と報告書、面接で合否が決まります。面接対策もしっかり行っておきましょう。
※関連記事:公立中高一貫校の適性検査対策
※関連記事:全国の公立中高一貫校偏差値表

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