公立中高一貫校の適性検査は小学校の問題や私立中学入試の問題ともかなり異なっています。
適切な対策をすれば5年生や6年生からでも合格を十分に勝ち取れる可能性があります。
そこで、実際の出題例をもとにその特徴と対策方法を紹介します。
※関連記事:公立中高一貫校に向いている子・向いていない子の特徴
公立中高一貫校では入試ではなく、適性検査が課されます。
どのような問題が出されるのか知っておくと対策がしやすくなります。
そこで、東京と大阪の人気の公立中高一貫校の適性検査を例に見てみます。
まず、東京都の小石川中等教育学校の適性検査を見てみましょう。
※関連記事:小石川中等教育学校の出題傾向と対策
ご覧のように、小学生の日常生活でよくある場面での2人の児童の会話がはじまります。大抵、オリジナルのルールでゲームやプログラミングをするという場面設定がされており、まずそのルールや場面をしっかり理解するところから始まります。
この問題では花子さんと太郎くんの会話がA4用紙1.5枚分つづきます。ちょっとした国語の長文ぐらいの長さです。
中学にもよりますが、多くの中学校の適性検査は問題文が長いです。
長い会話の後で下記のような問題が始まります。
問題は完全オリジナルですが、小学校で習う算数の知識だけで解けるようにできています。
私立中学の入試問題のように「特殊算」を使って解くものは出題されません。
前述の問題の解答を見てみましょう。
マグネットシートを「切る順番」と、この作業にかかる「時間」を答えさせる問題でした。
複雑な数字が出てくるわけではなく、シンプルな答えと言えます。
特徴的なのは配点の大きさです。
小学校の算数はふつう、1問あたり5-10点です。私立中学入試だと1問あたり3-5点くらいが多いですが、この例の問題は1問15点もあります。
間違えたときの合否への影響はとてつもなく大きいです。
問題文が長く読むのに時間がかかるため、1つの適性検査で出題される問題数が少ないです。
1問ずつをしっかり、確実に正答する必要があります。
つづいて、大阪府立富田林中学の適性検査の問題を見てみましょう。
先ほどの東京都立小石川中等教育学校の適性検査にくらべて問題文は短いです。
ですが、やはり小学校の問題や私立中学入試問題とはタイプが異なっています。
こちらの問題はブロックを板に並べて色をぬるという場面が設定されています。
図画工作や民間のワークショップでよくある場面です。
ブロックがいくつも並んでいるので戸惑うかもしれませんが、問われているのは「図1の図形の表面積」です。
あくまで小学校で習う知識だけで解ける問題です。
先ほどの問題を解いていくと、以下のような記述問題も出てきます。
①の問題はただ表面積を求めれば良いだけの問題ですが、③は条件がもっと複雑です。
問題に提示されていた8つの立体を組み合わせても、図3のような立方体が「つくれない」理由を書かせる問題です。
「どうすればつくれるか?」ではなく、「どうしてつくれないか?」を問われています。
「つくれない理由」を考え、それを採点者に分かるように「論理的に」「端的に」書く必要があります。
それでは、前述の①③の問題の解答を見てみましょう。
①は表面積を答える問題で、面の数を数えれば答えが出てきます。
③は8つの立体を組み合わせて1辺3cmの立方体をつくれない理由を書く問題でした。
問題文に提示されていた8つの立体はいずれも1辺1cmのブロックを「4つ」組み合わせたものです。そのため、どう組み合わせても1辺が4の倍数の長さになる立体になってしまいます。
ア~クの立体を頭のなかで組み合わせてもなかなか答えにたどり着けないでしょう。
むしろ、問題文に書かれている「1辺3cmの立方体をつくれない」という前提をもとにして考えると正解にたどり着きやすくなります。
ご覧のように、公立中高一貫校の適性検査は特徴的な問題が出てきます。
まとめると以下の3つ挙げられます。
こうした特徴になるのは、文部科学省の指導方針に沿っているためと、私立中学入試との違いを鮮明にするという2つの意図があるからです。
文部科学省では「学力」を以下のように定義しています。
知識や技能はもちろんのこと,これに加えて,学ぶ意欲や,自分で課題を見付け,自ら学び,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力等までを含めたもの
文部科学省「子どもたちに求められる学力についての基本的な考え方」より
つまり、知識の量や難解な問題の解法パターンの慣れではなく、主体性をベースにした「思考力・判断力・表現力」と言えます。
適性検査もこの力を伸ばせば合格に一段と近づけます。
適性検査対策は塾だけでなく自宅でもある程度できます。
塾に通いはじめる前や通塾中に自宅でできる適性検査対策法をまとめました。
まず、毎日の学習習慣をつけましょう。学校の宿題以外に、プラスアルファの勉強をします。
上記のように、計算や暗記といった「一人でできる勉強」をします。
最初は1日10分からでも良いです。ほぼ毎日(週4日以上)しましょう。
適性検査で点を取れるようにするには、語彙力が欠かせません。
記述問題や作文が多く、「言いかえ」や「適切な言葉選択」ができると有利です。
特に「うれしかった」「すごい」という表現ばかりになっている子は、作文で非常に苦労します。
書く内容が思い浮かんでいても、書くための適切な言葉が思い浮かびません。
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※関連記事:中学受験家庭必見:子どもの語彙力を伸ばす方法と語彙力の高い子の過ごし方
公立中高一貫校を受けると決めたら、すぐに算数の先取り学習をはじめましょう。
理由は、適性検査対策をしやすくするためです。
適性検査は知識の活用力を問います。小学校で習う内容を身につけたうえで「活用する勉強」をする時間が必要です。
学校で算数を習い終えるのは小6の2月で、入試が終わるころです。学校の授業を待たずに先取りしましょう。
先取り学習にはRISUが便利です。勉強すればするほどゲームをクリアしていく方式で、勉強した分だけ費用が発生します。
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適性検査には必ず作文も出てきます。
資料や対話文を読んで答える問題、あるテーマが与えられて(小学校でがんばったこと・中学校でがんばりたいこととその理由、など)、そのテーマに沿って300-400字程度で書きます。
作文を書き慣れるためにも、また覚えた語彙を使って定着させるためにも月1回程度作文を書くようにしましょう。
作文の練習用には下記のようなドリル(AmazonのPRリンク付き)がおすすめです。
※関連記事:【中学受験】作文の書き方やルールとおすすめの対策問題集
適性検査で求められる思考力は、問題集を解く以外に親子の会話でもかなり伸ばせます。
テレビのニュースや新聞の記事から身近な話題のものをピックアップし、それについて話し合ってみます。
これらの点について親子で会話をします。
特に「なぜそれが起こったのか」は重要です。
適性検査では資料をみて受験生自身の考えを書かせる問題がよく出てきます。
このとき、「資料が示している事実は何か」「なぜその事実が起こっているのか」がよく問われるポイントです。
普段からこの点について話し合っていると、「なぜ~なのか?」を考えるのに慣れることができ、入試で初めて見る資料も分かりやすくなります。
適性検査対策の問題演習がひととおり終わったら、過去問を解いてみましょう。
志望校の過去問だけでなく、難易度や出題傾向がよく似ている他中学の過去問も役立ちます。
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※関連記事:公立中高一貫校の対策塾にいつから通えばいいか
適性検査の対策に便利な問題集を紹介します。
前述のように適性検査では思考力・分析力・表現力が求められており、それらの力をどう活かせばいいかを、問題演習をとおして身につけます。
AmazonのPRリンクをつけているので、リンク先でお得に購入いただけます。
算数的分野↓
理科的分野↓
社会的分野↓
出版社:朝日学生新聞社
特徴:
公立中高一貫校の教育方針に、将来、国際社会で活躍できるリーダーを育てることが
Amazonより引用
あります。リーダーには、身の回りの事象を数理的に分析・考察し、課題を解決する力、
課題を総合的に解決する力などが求められます。
算数分野の適性検査では、ものごとを数理的に分析・考察し、課題を解決する能力の
基礎が問われます。問題を解くためには、次のような力が必要となります。
●問題文を正確に読む力
●条件を整理し分析する力
●問題の本質や着眼点を見つける力
●解き方を工夫する力
●なぜ、そのような考え方、解き方で答えを求められるのか、理論的に説明する力
この本では、全国の適性検査から厳選した過去問をもとに、分野ごとに系統立てて、頻出問題の傾向と対策を伝授します。
中には難しい問題もありますが、これらの問題を解くことによって、一つひとつ求められる力を養ってください。
資料問題編↓
数と図形編↓
生活と科学編↓
出版社:東京学参
特徴:
【 公立中高一貫校適性検査対策問題集 資料問題編 】解答解説付き
●全国の中高一貫校の適性検査の問題から、資料をもとにした問題(理科・社会分野)を選び出し、10パターンに分類。
●地図やグラフ・表の読み取りなど資料を用いた問題対策に。着眼点、考え方・解き方をていねいに示した例題と的確なヒントが参考になる練習問題です。
●各単元ごとに集中的に取り組み、問題のパターンを掴めるようになりましょう。苦手単元の克服にもおすすめです。自分の力で公立中高一貫校適性検査を攻略するための一冊
Amazonより引用
・公立中高一貫校適性検査必須の出題形式「資料を使って解く問題」を完全攻略
・実際の出題から良問を精選
・資料をもとにした問題を選び、10パターンに分類
・例題で考え方・解法を身につけ、豊富な練習問題で実戦力を養う
・複合問題にも対応できる力を養う
問題のボリュームが多く、6年生がさまざまなパターンをしっかり演習するのに適しています。
いかがでしょうか。
公立中高一貫校の受検者向けに、適性検査の出題例を使ってその特徴と対策方法を解説しました。
問題文が長い、記述問題が多い、小学校の知識だけで解けるという特徴があります。
東京都立小石川中等教育と大阪府立富田林中学校の過去問を使って紹介していますが、ほかの公立中高一貫校でも共通している特徴です。
過去問をもとに適切な対策を取れば、6年生からでも合格を目指せます。
また、今回の記事では紹介していませんが、作文も必ず出てきます。
作文の対策方法や問題集を下記の記事で紹介しているので、よろしければご参考ください。
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