高校生向けに日本史の一問一答問題と解説を用意しました。今回は鎌倉時代の文化や経済です。
鎌倉新仏教(浄土宗、臨済宗など)、文学作品、建築物、彫刻、絵巻物などをまとめています。
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鎌倉時代(1185年~1333年)は、武士の台頭とともに、武士文化が栄えた時代です。
この時期、政治は鎌倉幕府が主導し、武士が支配的な役割を果たしました。文化面では、仏教が大きく発展し、特に禅宗や浄土宗が盛んになりました。
鎌倉時代は、仏教が庶民の間にも広がりを見せ、浄土宗や禅宗が多くの信者を集めました。
特に法然や親鸞、道元などの宗教家が登場し、新たな宗教的思想を展開しました。
この時代、和歌や物語が発展し、『平家物語』や『方丈記』などの文学作品が生まれました。また、絵画や彫刻も盛んになり、特に仏教美術が多くの作品を残しました。
鎌倉時代には、武士の住まいとしての館や、寺院の建立が進みました。特に、円覚寺や建長寺などの大寺院が建設され、庭園文化も栄えました。
鎌倉文化を覚えるにあたって、ほかの時代の文化との違いを知っておくと覚えやすいです。
鎌倉時代は武士が権力を握り、武士道や戦いを重んじる文化が形成されました。他の時代に比べ、武士階級が文学や芸術に直接的な影響を与えました。
この時代、浄土宗や禅宗が広まり、宗教が人々の生活に深く根ざしました。
浄土宗や浄土真宗、日蓮宗など、他の時代と比べて宗教が庶民文化と結びついたのが特徴です。
鎌倉時代の文学は、リアルな人間ドラマや社会問題に焦点を当てた作品が多く、特に『平家物語』が代表的です。
それまでの文学、例えば平安時代の文学は、宮廷文化や恋愛をテーマにした作品が多かったため、テーマや視点が異なります。
鎌倉時代は武士の住居や寺院の建立が進み、特に武士の実用的な住居が重視されました。平安時代の華やかな宮殿文化(寝殿造りの屋敷や平等院鳳凰堂など)に対し、実用性が求められたことが特徴です。
(1)浄土宗の開祖は誰ですか。
(2)法然は、ひたすら念仏をとなえれば極楽浄土に行けると教えを説きました。この、ひたすら念仏をとなえることを何といいますか。
(3)法然の著書は何ですか。
(4)浄土宗の中心寺院はどこですか。
(5)浄土真宗の開祖は誰ですか。
(6)親鸞は「善人はもともと救われる。悪人こそが救済の対象(いわんや、悪人をや)」と説きました。この考え方を何といいますか。
(7)親鸞の著書を答えてください。
(8)浄土真宗の中心寺院はどこですか。
(9)親鸞の弟子の唯円が書いた、親鸞の教えをまとめた著書は何ですか。
(10)時宗の開祖は誰ですか。
(11)一遍は太鼓や鉦(かね)をたたき、にぎやかに踊りながら念仏をとなえる方法を広めました。この方法を何といいますか。
(12)時宗の中心寺院はどこですか。
(13)法華宗(日蓮宗)の開祖は誰ですか。
(14)日蓮は「南無妙法蓮華経」と唱えるように教えを説きました。これを何といいますか。
(15)日蓮の著書は何ですか。
(16)日蓮宗の中心寺院はどこですか。
(17)臨済宗の開祖は誰ですか。
(18)栄西は座禅の際に問答をし、その答えを考えることで悟りに達すると説きました。この問答を何といいますか。
(19)栄西の著書は何ですか。
(20)臨済宗の中心寺院はどこですか。
(21)曹洞宗の開祖は誰ですか。
(22)道元はひたすら座禅にうちこむことで悟りに至ると説きました。これを何といいますか。
(23)道元の著書は何ですか。
(24)曹洞宗の中心寺院はどこですか。
(25)5代執権・北条時頼は南宋から僧を招来して建長寺を開山しました。招かれた僧は誰ですか。
(26)8代執権・北条時宗は南宋から僧を招来して円覚寺を開山しました。招かれた僧は誰ですか。
(27)法然を批判して配流させた法相宗の僧は誰ですか。
(28)華厳宗を復興させ、法然を批判した華厳宗の僧は誰ですか。
(29)病人救済のために北山十八間戸を設立するなど社会事業を行った律宗の僧は誰ですか。
(30)『山歌集』の作者は誰ですか。
(31)藤原定家が編纂した和歌集は何ですか。
(32)新古今和歌集を藤原定家らに編纂させたのは誰ですか。
(33)『方丈記』の作者は誰ですか。
(34)『徒然草』の作者は誰ですか。
(35)『十六夜日記』の作者は誰ですか。
(36)『金槐和歌集』の作者は誰ですか。
(37)琵琶法師に語られた源平合戦を題材とした軍記物は何ですか。
(38)『愚管抄』の作者は誰ですか。
(39)東国の武家社会の歴史を記した書物は何ですか。
(40)公家社会では朝廷の儀式や先例の研究が盛んになりました。こうした研究を何といいますか。
(41)北条実時は書類や記録を残すために武蔵国に文庫をつくりました。この文庫を何といいますか。
(42)京都の三十三間堂は何という建築様式でつくられていますか。
(43)東大寺南大門は何という建築様式でつくられていますか。
(44)東大寺を再建した僧は誰ですか。
(45)東大寺南大門金剛力士像をつくった父子は誰ですか。
(46)時宗の開祖である一遍について描かれた絵巻物は何ですか。
(47)実物に似せて描いた絵を何といいますか。
(48)似絵の名手として知られている、「伝源頼朝像」の作者は誰ですか。
(49)禅宗で師から弟子に与えられる師の肖像画を何といいますか。
(50)尊円法親王がはじめた書道の流派は何ですか。
(1)法然
(2)専修念仏
(3)『選択本願念仏集』
(4)知恩院
(5)親鸞
(6)悪人正機説
(7)『教行信証』
(8)本願寺
(9)『歎異抄』
(10)一遍
(11)踊念仏
(12)清浄光寺
(13)日蓮
(14)題目
(15)『立正安国論』
(16)久遠寺
(17)栄西
(18)公案
(19)『興禅護国論』
(20)建仁寺
(21)道元
(22)只管打坐(しかんたざ)
(23)『正法眼蔵』
(24)永平寺
(25)蘭渓道隆
(26)無学祖元
(27)貞慶
(28)明恵
(29)忍性
(30)西行
(31)新古今和歌集
(32)後鳥羽上皇
(33)鴨長明
(34)吉田兼好
(35)阿仏尼
(36)源実朝
(37)平家物語
(38)慈円
(39)吾妻鏡
(40)有職故実
(41)金沢文庫
(42)和様
(43)大仏様
(44)重源
(45)運慶・快慶
(46)一遍上人絵伝
(47)似絵
(48)藤原隆信
(49)頂相(ちんぞう)
(50)青蓮院流
鎌倉時代に生まれた仏教の新宗派が6つあります。以下の表にまとめています。
宗派 | 開祖 | 教え | 主要な著書 | 中心寺院 |
浄土宗 | 法然 | 専修念仏 | 『選択本願念仏集』 | 知恩院(京都) |
浄土真宗 | 親鸞 | 悪人正機説、他力本願(御仏のお力で極楽に行ける) | 『教行信証』 『歎異抄』 (弟子・唯円著) | 本願寺(京都) |
時宗 | 一遍 | 踊念仏 | なし | 清浄光寺(神奈川) |
日蓮宗(法華宗) | 日蓮 | 題目 | 『立正安国論』 | 久遠寺(山梨) |
臨済宗 | 栄西 | 公案 | 『興禅護国論』 | 建仁寺(京都) |
曹洞宗 | 道元 | 只管打坐 | 『正法眼蔵』 | 永平寺(福井) |
なお、臨済宗は貴族や上級武家向け、曹洞宗は下級武家や庶民向けです。
鎌倉時代の文芸作品や建築物とその作者を以下の表にまとめています。
テストによく出るポイントも含めているので、一緒に覚えておきましょう!
分野 | 作品・建築物 | 作者・編者 | ポイント |
和歌 | 『山家集』 | 西行 | 西行はもと北面の武士 |
『新古今和歌集』 | 藤原定家ら | 後鳥羽上皇の命で編纂 | |
『金槐和歌集』 | 源実朝 | – | |
随筆 | 『方丈記』 | 鴨長明 | – |
『徒然草』 | 吉田兼好 | – | |
紀行文 | 『十六夜日記』 | 阿仏尼 | 所領紛争の訴訟のために鎌倉に行く道中の紀行文 |
軍記物 | 『平家物語』 | – | 源平合戦、琵琶法師 |
歴史書 | 『愚管抄』 | 慈円 | 神武天皇以来の天皇記と道理 |
『吾妻鏡』 | – | 鎌倉の御家人の記録 | |
文庫 | 金沢文庫 | 北条実時 | 武家の記録保管 |
建築 | 三十三間堂 | – | 和様 |
東大寺南大門 | 重源・陳和卿 | 大仏様 | |
円覚寺舎利殿 | – | 禅宗様 | |
彫刻 | 東大寺南大門金剛力士像 | 運慶・快慶 | – |
東大寺僧形八幡神像 | 快慶 | – | |
興福寺無著・世親像 | 運慶 | – | |
六波羅蜜寺空也上人像 | 康勝 | – | |
絵巻物 | 蒙古襲来絵巻 | – | 竹崎季長が描かせた |
伝源頼朝像 | 藤原隆信 | 似絵 | |
鷹巣帖 | 尊円入道親王 | 青蓮院流 | |
工芸 | 瀬戸焼 | – | 現在の愛知県 |
鎌倉文化は覚えることがとても多いです。分野も多岐にわたります。
なかでも仏教は新たな宗派が6つも生まれています。鎌倉文化は仏教史とそれ以外に分けると覚えやすいです。
鎌倉時代は「末法思想」(仏法がすたれて極楽にいけなくなるという考え方)が広まり、庶民も上流階級も不安にかられていました。
仏教の各宗派は人々の不安をやわらげるために、上流階級と庶民それぞれの特徴に合わせて教え方を工夫しました。
鎌倉時代は仏教各派が上流階級向けと庶民向けに分かれていきました。このことから、鎌倉時代の仏教を上流階級向けと庶民向けに分けて覚えると、色分けができて印象に残りやすくなります。
以下のような特徴の違いがあります。
「上流階級向け」と「庶民向け」で分けましょう。以下のように分けられます。
宗派・寺院など | |
庶民向け | 浄土宗・浄土真宗・時宗・日蓮宗・曹洞宗 |
上流階級向け | 臨済宗、蘭渓道隆の建長寺、無学祖元の円覚寺、奈良の旧仏教(南都仏教)、法相宗・貞慶、華厳宗・明恵 |
覚えることが多いですが、仏教宗派、著作物など種類に分けて覚えるとインプットしやすいです。
表にまとめるなどして軽く覚えたら、一問一答で繰り返しアウトプットしましょう。
インプットとアウトプットの比率は3:7(アウトプットが7)と言われています(study hackerより)。
個人差もありますし、覚える内容によってもこの比率は変わるでしょう。「アウトプットを多めにする」「インプットしたらすぐアウトプットする」という2点を意識して勉強してみましょう。
最後に日本史のおすすめ問題集を紹介します。
※関連記事:日本史文化史の参考書と覚え方
1冊目は日本史参考書の定番、「金谷の日本史」です。古代~近現代まで3冊と文化史1冊の合計4冊に分けて解説してくれています。
内容はオーソドックスで、教科書をさらにくわしく解説してくれています。
すべてじっくり読むというより、問題集で問題を解きつつ因果関係が分かりにくいときに参考書として使う人も多いです。
特に、共通テストを受ける人は『文化史』だけでも読んでおくと役立ちます。
出版社:ナガセ
流れを理解できるようになったら、問題演習をして記憶に定着させる必要があります。
この問題集はそんなときに便利です。
「必修版」と「完全版」に分かれており、現在の学力や志望校のレベルに合わせて選べます。
出版社:ナガセ
学研が出版している「標準レベルまで」の参考書です。教科書よりも解説がくわしく、日本史探求に苦手意識を持っている人も理解しやすいです。
定期テスト対策用の問題ページもあり、定期テスト対策、中堅レベルまでに大学入試対策に便利です。
出版社:Gakken
いかがでしょうか。
高校生の日本史の勉強用に、鎌倉時代の文化史を一問一答にまとめました。
鎌倉新仏教6つ(開祖、教え、著書、寺院)、蘭渓道隆や無学祖元を招いた執権、和歌集や随筆、軍記物などの著作物と作者名、建築様式や運慶・快慶の彫刻など。
鎌倉時代の文化史は覚えることが多いですが、上流階級向けと庶民向けに分けると印象に残りやすくなります。
また、以下の記事では鎌倉幕府の仕組みや鎌倉時代の出来事を一問一答にまとめています。
日本史の一問一答:鎌倉幕府の仕組み(鎌倉幕府の成立過程、侍所別当、御恩と奉公など)
日本史の一問一答(鎌倉時代):初代執権北条時政から5代目北条時頼までの武士社会
鎌倉時代の一問一答:8代執権・北条時宗の元寇や9代執権・北条貞時の得宗専制政治
鎌倉幕府の滅亡のまとめと問題(正中の変、元弘の変など)
室町時代の文化の特徴と練習問題:南北朝文化、北山文化、東山文化
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