「18×14を10秒以内で解いてください」
こう言われると、私たち大人でも「えっ?…ちょっと待って!」と慌ててしまいますよね。
「おみやげ算」を使うと10秒以内で小学生でも解けるのです。ただし、使える問題には条件があります。
そこで、小学生や中学生向けにおみやげ算のやり方を紹介します。練習問題も用意したので、少し練習して慣れてみてください!
※関連記事:図形の面積の求め方:正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、台形、三角形、円、おうぎ形の面積を求める公式
おみやげ算は、2ケタのかけ算をわかりやすく、素早く計算できる方法のことを指します。
この方法では、大きな数を分解して計算するため、複雑に見える計算も簡単に解けるようになります。
たとえば、「12 × 13」を計算するときに、「10と2」「10と3」といったように分け、それぞれを順にかけ算してから合計を求めると、暗算でもスムーズに計算が可能になります。
おみやげ算は、17×13や54×52のように、十の位が同じ2ケタ×2ケタの計算方法です。
以下の3つのステップで解けます。
2つの数字のうち一方の数字の1の位を、もう一方の数字に渡します。
17×13の場合、13の「3」を17に渡します。すると以下のような式になります。
(17+3)×(13-3)=200
※17は3もらったので20になり、13は3渡したので10になっています。
次に、1の位の数字をおみやげの数字とかけ算します。
先ほどの17×13の場合、17の1の位は「7」で、おみやげは「3」です。
7×3=21
2つのステップで求めた数字どうしを足し算します。
200+21=221
このように、ひっ算を使わなくても暗算でケタ数の多いかけ算も解けるようになります。
何度か練習すると慣れてきて10秒以内で解けるようになります。
おみやげ算はとても便利な計算方法ですが、使えるときはちょっと限られています。以下の2つの条件が2つともそろったかけ算のときにのみ使えます。
例えば、135×35の計算で説明します。これは十の位は同じですが、一方が3ケタでもう1一方は2ケタです。ケタ数が違っているので、上記2つの条件のうち1つしか満たしていません。
おみやげ算を使わずに計算すると135×35=4725になります。
おみやげ算に当てはめて計算してみると、以下のようになります。
①1の位をおみやげとして渡す
(135+5)×(35-5)=4200
②1の位とおみやげの数字をかける
5×5=25
③①と②の数字を足す
4200+25=4225
いかがでしょうか。普通に計算すると4725で、おみやげ算に当てはめると4225になりました。
実はおみやげ算は2ケタの数字の2乗にも使えます。
762で考えてみましょう。
①1の位をおみやげとして渡す
(76+6)×(76-6)=5740
②1の位とおみやげの数字をかける
6×6=36
③①と②の数字を足す
5740+36=5776
このように、76×76をひっ算で解かなくても10秒で解けるのです。
ちなみに、2乗なら2ケタでも3ケタでも使えます。
2552だと、65025になります。
要するに、同じ数字を2回かけるときにおみやげ算を使えるのです(一の位は違っていても良い)。
おみやげ算は使う問題を間違えてしまうときもあります。
ですが、「どの問題なら使える解き方なのか」も知っておくと、非常におもしろい、便利な計算方法です。
なお、以下の記事では割り算の計算方法をくわしく解説しています。
1ケタでわるわり算の問題
2ケタ3ケタでわるわり算の問題
そもそも、なぜおみやげ算が成り立つのでしょうか。中1で習う文字式を利用するとその理由が分かります。
まず、十の位が同じ2ケタの数字をx、y、zを使うと以下のように表せます。
10x+yと10x+z
この2つの式をかけ算します。
(10x+y)×(10x+z)
=100x2+10xy+10xz+yz
オーソドックスな計算方法だと上記の結果になりました。
つづいて、おみやげ算を使う場合です。こちらも10x+yと10x+zを使って計算してみます。
①1の位をおみやげとして渡す
(10x+y+z)×10x
=100x2+10xy+10xz
②1の位とおみやげの数字をかける
y×z=yz
③①と②の数字を足す
100x2+10xy+10xz+yz
おみやげ算を使った場合の答えとオーソドックスな計算方法の答えが同じになりました。
一の位以外のケタが同じ数字ならおみやげ算を使うと速く正確に計算できます。
それでは、おみやげ算を何問か解いて練習してみましょう。
おみやげ算を使えるかどうかを見抜く練習もしておくと良いので、「おみやげ算を使えない問題」も一部含めています。
(1)15×13
(2)27×23
(3)46×44
(4)52×42
(5)67×67
(6)87×83
(7)249×241
(8)556×554
(9)235×35
(10)8×88
(1)195
①1の位をおみやげとして渡す
15×13
=(15+3)×(13-3)
=180
②1の位とおみやげの数字をかける
5×3=15
③①と②の数字を足す
180+15~195
(2)
①1の位をおみやげとして渡す
27×23
=(27+3)×(23-3)
=600
②1の位とおみやげの数字をかける
7×3=21
③①と②の数字を足す
600+21=621
(3)
①1の位をおみやげとして渡す
46×44
=(46+4)×(44-4)
=2000
②1の位とおみやげの数字をかける
6×4=24
③①と②の数字を足す
2000+24=2024
(4)2184
十の位の数字がちがうので、おみやげ算を使えません
(5)
①1の位をおみやげとして渡す
67×67
=(67+7)×(67-7)
=4440
②1の位とおみやげの数字をかける
7×7=49
③①と②の数字を足す
4440+49=4489
(6)
①1の位をおみやげとして渡す
87×83
=(87+3)×(83-3)
=7200
②1の位とおみやげの数字をかける
7×3=21
③①と②の数字を足す
7200+21=7221
(7)
①1の位をおみやげとして渡す
249×241
=(249+1)×(241-1)
=60000
②1の位とおみやげの数字をかける
9×1=9
③①と②の数字を足す
60000+9=60009
(8)
①1の位をおみやげとして渡す
556×554
=(556+4)×(554-4)
=308000
②1の位とおみやげの数字をかける
6×4=24
③①と②の数字を足す
308024
(9)8225
ケタ数がちがうので、おみやげ算を使えません。
(10)704
ケタ数がちがうので、おみやげ算を使えません。
A: 2ケタのかけ算を、10の位と1の位に分けて計算する方法です。たとえば「12 × 13」の場合、12を「10と2」、13を「10と3」に分けてそれぞれかけ算して合計します。
A: 「12 × 13」を例に、次の手順で計算します。
A: 暗算がしやすく、計算が速くなることです。特に2ケタのかけ算が苦手なときに便利です。
A: 使えます!が、1の位が0のときは以下のように「後ろに0をつける方法」のほうが楽です。
A: おみやげ算は小数では少し複雑になるので、整数に特に向いていますが、小数点の位置を合わせれば応用できます。
いかがでしょうか。
小学生や保護者の方向けに、おみやげ算のやり方を説明しました。練習問題も載せています。
おみやげ算は2ケタや3ケタのかけ算も10秒以内で解ける、速くて便利な計算方法です。中学受験でも使えます。
ただし、ケタ数や各位の数が同じときに使える解き方です。裏ワザや時短テクニックは使える問題を間違えないように気を付けましょう!
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