「国語の文法がよく分からない」
「国文法で点を取れるようにしたいけど、国文法にテスト勉強の時間をあまりかけたくない」
このような中学生は多いのではないでしょうか。
日ごろの会話で文法を意識する人は少ないでしょうが、文法は言葉の基本であり重要です。定期テストにも毎回出てきますし、高校入試でも頻出です。
そこで、中学生向けに国文法の勉強法をお伝えします。
国語の文法とは、言葉の組み立て方のルールや言葉の役割をまとめたものです。
英語の文法と同様に主語などの文の成分や、動詞などの品詞があります。
国文法の一番の基本は「文節」と「単語」です。
文節…文を、自然さを失わない程度に短く区切ったもの。意味別、発音のしやすさで分けられる。
単語…文節を、言葉の意味を失わないようにさらに短く区切った最小単位。
文節は語尾に「ネ」や「サ」をつけたときに「自然に聞こえる範囲」で区切ります。単語は多少不自然になってでもそれをさらに「意味のまとまり」で区切ります。
以下の文を使って説明します。
「私の母の名前は、カオルです。」
この文を、「ネ」をつけて文節に区切ると以下のようになります。
私の(ネ)/ 母の(ネ)/ 名前は(ネ)、/ カオルです(ネ)。
さきほどの文節を、さらに単語に分けることができます。単語は「意味」で範囲をしぼります。
私/ の/ 母/ の/ 名前/ は、/ カオル/ です。
文節→単語に分けるときに「どこまで区切って良いか」が分かりにくいかもしれません。このときに役立つのが「品詞」の知識です。
文節と単語について勉強したら、次は品詞を覚えましょう。単語には役割によって以下のような「品詞」に分かれています。
これらのなかで特に重要なのは名詞、動詞、助動詞です。
最初のうちはどの単語が名詞あるいは動詞なのかを区別できるようにしましょう。
例えば、以下の文から名詞と動詞を探してみます。
「雨が降りそうだったので、私は傘を手に取った。」
名詞は名前を表すので、「雨」「私」「傘」「手」が当てはまります。特に、「富士山」「静岡」のような特定の人やものの名詞を「固有名詞」と言います。
動詞は動作を表すので、「降り」「取っ」が当てはまります。なんとも中途半端な場所で区切っているように感じるかもしれませんが、単語は「意味」で区切ります。
「降り」や「取っ」のあとにつづく言葉によって意味が変わってくるため、ここで区切ります。
名詞、動詞などの品詞が単語のなかには、「活用する単語」と「活用しない単語」があります。「活用する」とは、「文の意味によって形が変わること」です。
例えば、「食べる」という単語は「食べ+た」「食べ+ない」のように、「食べ」の後ろの言葉が変わると「食べたかどうか」の意味が変わります。
活用形は以下の6種類です。
国語の文法のなかで助詞は大きなウェイトを占めます。テストにもよく出るので、しっかり覚えておきましょう。
助詞は名詞についてその意味を補足する単語です。ほかの言葉にくっついて初めて意味をなす言葉(=付属語)で、形が変わることがありません(=活用がない)。
助詞には4つあります。
主に体言(≒主語)にくっついて、主語と述語の関係を示します。
(例文)赤ちゃんが、すやすや眠っている。
「が」が格助詞で、「赤ちゃん」という体言(名詞)にくっつき、「赤ちゃん」と「眠っている」をつないでいる。
主に活用する語(動詞、形容動詞など)にくっついて、前後の文節どうし・文どうしをつないでいます。
(例文)雨が降れば、運動会は中止です。
「ば」が接続助詞で、「降れ」という動詞にくっついて、後半の「運動会は中止です」につなげる働きをしています。なお、「雨が」の「が」と「運動会は」の「は」は格助詞です。
いろいろな語にくっついて意味を加える働きをします。
(例文)雨が降っているから、運動会は中止です。
「から」が副助詞で、「(降って)いる」にくっついて、「運動会がなぜ中止なのか」を説明する意味を加えています。
おもに文末でいろいろな語にくっついて意味を加える働きをします。
(例文)その映画は面白かったですか。
文末の「か」が終助詞で、「(面白かった)です」にくっついて、「映画が面白かったかどうか」を質問する意味をつけ加えています。
助詞を勉強するにあたって、格助詞と接続助詞を見分けられるように勉強しましょう。
前述のように助詞には4種類ありますが、そのうち副助詞と終助詞は「いろいろな語にくっついて、さまざまな意味を加える」という、雑多な役割を果たします。「格助詞でも接続助詞でもなければまあ副助詞で、文末にあるなら終助詞」と理解しておけば高確率で正解します。
国文法のなかで最も難易度が高いと言われるのが「助動詞」です。助動詞は名詞以外の単語にくっついてその意味を補足する単語です。ほかの言葉にくっついて初めて意味をなす言葉(=付属語)で、形が変わることがあります(=活用がある)。
助詞と名前が似ていますが、「形が変わる」=助動詞、「形が変わらない」=助詞で区別します。
助動詞には6種類あります。
足を踏ま「れる」、校長先生が来「られる」のように、「れる/ られる」の助動詞があります。全部で4種類の意味があります。
このうち、「受け身・尊敬・可能」の意味の区別はしやすいかと思います。その3つのどれでもなければ「自発」を選ぶようにすると、大抵正解できます。
読ま「せる」、覚え「させる」のように、相手に何かをさせる意味(=使役)の助動詞があります。
(例文)親が子どもに自分の部屋を片付けさせる。
片付けを「する」のは「子ども」で、片付けを「させる」のは「親」
勉強し「ない」、満天の星空を見「たい」、雨が降る「らしい」のように、「ない・たい・らしい」のように、形容詞とよく似た形の助動詞があります。
助動詞の「ない」は形容詞の「ない」と形が同じで、見分けがむずかしいです。以下の2つの方法で見分けられます。
【コツ①】「ない」を「ぬ」「ず」に言いかえる
→ 言いかえて意味が変わらなければ、助動詞
(例文)この問題はむずかしくて解け「ない」。
→ この問題はむずかしくて解け「ぬ」。
ない→ぬに言いかえても「解けない」という意味は変わらないので、「ない」=助動詞だと分かる。
【コツ②】「ない」の直前に「は」「も」を入れる
(例文)お茶はもう熱く「ない」。
→ お茶はもう熱く「は」「ない」。
「ない」の直前に「は」を入れても「お茶は熱くない」という意味は変わらないので、「ない」=助動詞だと分かる。
形容動詞とよく似た活用の仕方をする助動詞があります。そうだ、ようだ、だの3つの助動詞です。以下のような意味の違いがあります。
そうだ:
様態…~のように見える、思える。もうすぐ雨が降り「そうだ」。
伝聞…~だと聞いている。もうすぐ雨が降る「そうだ」。
ようだ:
推定…~のようだと想像する。彼は優勝した「ようだ」。
例示…同じような別ものに例える。彼の筋肉はボディビルダーの「ようだ」。彼のムキムキ筋肉はボディビルダーのムキムキ筋肉と同じカテゴリー。
たとえ(比況)…異なる種類の何かへのたとえ(比況)を表す。彼女は太陽の「ようだ」。彼女と太陽は別モノ。
だ:
~だと判断する断定。彼は弁護士「だ」。
「そうだ」には「様態」と「伝聞」の2つの意味があり、「ようだ」には「推定」「例示」「たとえ」の3つの意味があります。
また、「そうだ」「ようだ」「だ」はそれぞれ「そうです」「ようです」「です」と丁寧な言い方もあります。表記が変わるので、注意してください。
ここまでお伝えしてきたカテゴリーに入りきらない特殊なタイプの助動詞もあります。
助動詞のなかで、ほぼ終止形しかない(語形変化をしない)ものもあります。
助動詞は単独で意味をなさない単語のため、名詞や動詞などとくらべて分かりにくいです。以下の3つの手順で見分けることができます。
まず、文節分けをし、単独で意味をなす語(=自立語)を取り除きます。残った語が助詞か助動詞なので、活用する語だけ選び出せば助動詞をみつけられます。
普段日本語で話すときに文法を意識することはマレですが、正しい知識を知っておくといくつかメリットがあります。
まず、テストの点数がアップします。
国語は文章題が中心で、テストのたびに点数のアップダウンがやや大きい科目です。ですが、漢字と文法の問題は事前にしっかり勉強しておけば確実に得点を見込めます。
定期テストなら漢字と文法で10-25点くらいあり、全問正解できればかなり大きいです。
文法を正確に使いこなせると、作文や記述問題でのうっかりミスによる減点を減らせます。特に作文で、助動詞や格助詞の使い方を間違えている中学生が少なくありません。限られた時間内で解答しようとすると焦るため、普段ならあまりしないミスも出やすくなります。
事前に正しい知識や使い方を慣れておくと、そうしたミスを少なくできます。
意外に感じるかもしれませんが、国文法を得意にできれば英語の文法も理解しやすくなります。
一般的に中学生だと脳の論理性が発達してきているので、日本語の文法との違いを踏まえて英語の文法を理解する勉強法が適していると言われます。国文法を勉強しておけば、同時に英語の文法も理解しやすくなり、一石二鳥です。
特に主語・述語、名詞・動詞・形容詞は英文法でもメインなので、きっちり理解しておきましょう。
最後に、国文法のおすすめ参考書・問題集を紹介します。
文英堂から出ているテキストで、参考書と問題集が両方入っています。章ごとに解説が左ページ、問題が右ページにまとめられています。
解説を読んでなんとなく分かったらすぐに問題演習ができるので、理解→定着を早められます。
問題の難易度も、定期テスト・高校入試どちらにも使えます。
出版社:文英堂
こちらも文英堂から出ているテキストで、『これでわかる中学国文法』よりも解説がくわしいです。例文が豊富で、さらに色分けしながら解説してくれているので印象に残りやすいです。
ただし、解説が詳しい分、ページも多いです(288ページ)。短時間でササっと文法を勉強したい人は『これでわかる』、しっかり勉強したい人には『くわしい』がおすすめです。
出版社:文英堂
いかがでしょうか。
中学生向けに国文法の勉強法を紹介しました。
定期テストでも高校入試でも、国文法は確実に点をかせげる範囲です。文節・単語の区切りの勉強から始めて、品詞の区別、助詞・助動詞の種類ごとの理解を深めていけば、テストで高得点をねらえます。
文英堂から出ている国文法参考書を使うのもおすすめです。
※関連記事:国語の定期テスト勉強法【中学生向け】:テストで90点以上を取れる勉強の仕方を紹介
This website uses cookies.