英語の受動態を使うとき、動作を行った人やものを「by + 動作主」で表すことがあります。でも、いつ「by」をつけるのか、いつ省略するのかに迷うこともあるかもしれません。
そこでこの記事では、「by」をつける場合とつけない場合を簡単な例文とともに分かりやすく解説します!
最後に練習問題もつけているので、ぜひチャレンジしてみてください!
※関連記事:英語の受動態とは?意味・用法から実際の使い方まで例文つきで徹底解説!無料練習問題付き
Z会の通信教育 中学生コースまずは、受動態の基本をおさらいしましょう。受動態の文では、主語が動作を受ける側になります。
受動態は以下の形が基本です。
主語 + be動詞 + 過去分詞 (+ by + 動作主)
【例文】
能動態: My father washes the car.(父がその車を洗います。)
↓
受動態: The car is washed by my father.(その車は父によって洗われます。)
このように、「誰が(何が)」動作を行ったかを伝えたいときに「by + 動作主」を使います。
受け身の「by + 動作主」は、動作を行った人やものをはっきりと伝えたいときに使います。
動作をした人やものが大事な情報の場合、「by」をつけて伝える必要があります。
「by」をつけるのは以下のような場合です。
以下の例文をみてください。
【例文①】
The letter was written by Emily.
(その手紙はエミリーによって書かれました。)
上記の例文①には「by」がついています。「その手紙(主語)」を誰が書いたかが重要だからです。
【例文②】
The cake was made by my mother.
(そのケーキは母によって作られました。)
例文②も同様です。「ケーキ(the cake)」を作ったのが誰なのか(例文②では「母」)が大事なので、「by my mother」が書かれています。
【例文③】
The house was built by the company.
(その家は会社によって建てられました。)
上記の例文③ではいかがでしょうか。同様に、「どの会社が家を建てたか」を伝えることが重要なので、「by the company」がついています。
能動態の文を受動態に書きかえるとき、「by + 動作主」を使う場合があります。
特に、能動態の文で主語(動作を行う人やもの)と目的語(動作を受けるもの)が明確な場合、受動態にしたときに「by」をつける必要があります。
能動態から受動態に書きかえる手順を、以下の例文をつかって説明します。
【例文】
能動態:My brother plays the guitar.
(私の兄がギターを弾きます。)
この3つの手順を踏まえて、先ほどの例文を書きかえると以下のようになります。
受動態:The guitar is played by my brother.
(ギターは私の兄によって弾かれます。)
文の最後に「by my brother」をつけることで、「誰(私の兄)がギターを弾いているか」を明確にできます。能動態で主語がはっきりしている場合、受動態でもその動作主を残しておきます。
能動態の文で主語(動作主)と目的語(動作を受けるもの)が明確な場合、受動態にすると動作を受けるもの(目的語)が主語に変わりますが、動作を行った人やものも伝えたい場合があります。その場合、「by」を使って動作主を残しておきます。
【例文①】
能動態: The teacher explains the lesson.(先生が授業を説明します。)
↓
受動態: The lesson is explained by the teacher.(授業が先生によって説明されます。)
例文①では、「先生が説明している」という情報が重要なため、「by the teacher」をつけて誰がその動作を行っているのかを伝えます。
【例文②】
能動態:My father fixed the car.(私の父が車を修理しました。)
↓
受動態: The car was fixed by my father.(車は父によって修理されました。)
例文②では「誰(私の父)が車を修理したか」が重要なので、「by my father」をつけて、その動作主を明示します。
受動態の文で「by + 動作主」をつけない場面は意外と多いです。
動作主を省略すると文が簡潔になり、焦点を動作そのものに当てられるという利点があります。
ここでは、「by」をつけない場合のポイントをくわしく解説します。
誰がその動作を行ったのか分からない、あるいはそれを特に伝える必要がない場合、「by + 動作主」は省略されます。動作自体が重要で、動作主は意識されていないときに「by」をつける必要はありません。
【例文①】
The window was broken.
(窓が壊されました。)
例文①では、誰が窓を割ったか分からない、もしくは重要ではなく、「窓が割れた」という事実が重要です。そのため、「by~」はつけません。
【例文②】
My bicycle was stolen.
(私の自転車が盗まれました。)
例文②では、自転車を誰が盗んだかは不明なので、「by~」をつけません。「誰かに(盗まれた)」と伝えるために文の最後に「by someone」(誰かによって)をつけることも可能ですが、原則不要です。「盗まれた」という事実が大切だからです。
ただし、和訳に「誰かによって(盗まれた)」と書かれていれば、英文にも「by someone」を書く必要があります。
動作主が「誰でも分かるような一般的なもの」である場合も、「by + 動作主」を省略します。
例えば、「警察」や「政府」、「人々」といった、特定の個人ではなく集団を指す場合がこれにあたります。
【例文①】
English is spoken around the world.
(世界中で英語が話されています。)
例文①では、誰が英語を話しているのかは特定せず、世界中で英語が話されている事実だけを伝えています。「by people」などの動作主は不要です。
【例文②】
The laws were changed.
(法律が変えられました。)
誰が法律を変えたかは明らかに「政府」や「議会」ですが、それは明示しなくても理解できます。「by the government」は省略します。
文全体で「動作が行われた事実」に注目したい場合、動作主を言わない方がよいことがあります。こうすることで、動作そのものに焦点が当たり、情報が明確になります。
【例文①】
The homework has been finished.
(宿題が終わりました。)
誰が宿題を終えたのかは重要ではなく、宿題が終わった事実に焦点を当てています。
【例文②】
The street is cleaned every morning.
(その通りは毎朝掃除されます。)
誰が掃除しているかは関係なく、毎朝掃除されるという事実が大事です。そのため、「by someone」(誰かによって)のような記述は省略します。
学校のテストにはあまり出てきませんが、公式文書やニュース記事でも受動態の文で動作主が省略されることがよくあります。
これは、動作主に関係なく、事実や結果を強調したい場合です。
【例文①】
A new policy was introduced.
(新しい政策が導入されました。)
誰が政策を導入したか(政府や政治家など)は明らかなので、省略します。
【例文②】
he building was completed last year.
(その建物は昨年完成しました。)
誰がその建物を建てたかは重要でなく、建物が完成した事実がニュースとして重要です。
ここまで解説してきた内容をまとめると、以下のとおりです。
能動態の文を受動態に書きかえる際に中学生が間違えやすいポイントがいくつかあります。「by + 動作主」を使う際のミスや、時制、三単現のSに関連するミスです。
ここでは、それらの間違いやすいポイントを例文とともにくわしく解説します。
受け身の文で「by」をつけるとき、「by+代名詞」になることがよくあります。このとき、使い方を間違いやすいです。
能動態の文を受動態に書きかえるとき、「he」や「she」といった主格の代名詞をそのまま使ってしまうミスが見られます。
受動態の「by + 動作主」では、目的格の代名詞を使う必要があります。
【間違い例】
能動態: He painted the picture.(彼がその絵を描きました。)
↓
間違った受動態: The picture was painted by he.
※「by he」としてしまう
上記のように、主語がheの能動態の文を受け身に書きかえるとき、「by he」としてしまいがちです。正しくは以下のとおりです。
【正しい受動態】
The picture was painted by him.
(彼によってその絵が描かれました。)
代名詞は、「he → him」や「she → her」など、「目的格」に変えなければなりません。「by + 動作主」の部分では、動作を行う人が目的語になるため、目的格を使います。
受け身への書きかえ問題で次によく見られる間違いが「時制」です。
能動態の文を受け身に書きかえる際に、動詞の時制を一致させる必要があります。違ってしまうとテストで不正解になります。
例えば、現在形で書かれた能動態を受動態にする際、過去形にしてしまうなど、時制の混乱が起こります。
【間違い例】
能動態: He cleans the room every day.(彼は毎日部屋を掃除します。)
↓
間違った受動態: The room was cleaned by him every day.
※「was cleaned」過去形としてしまう
上記のように、能動態の文では現在時制(※cleansと、三人称単数のsがついているので現在時制だと分かります)なのに、受け身にするときに過去時制に変えてしまうと間違いです。
※関連記事:三単現のsの解説:sのつけ方やつけない場合などのルールを説明します(三単現の動詞一覧つき)
正しくは以下のとおりです。
【正しい受動態】
The room is cleaned by him every day.
(部屋は彼によって毎日掃除されます。)
このように能動態の時制に合わせて、受動態でもbe動詞の時制を正しく使うことが大切です。この例では、能動態が現在形なので、受動態でも「is cleaned」と現在形にします。
能動態を受け身に書きかえるとき、主語が変わります。このとき、主語が単数なのか複数なのかで動詞が変わります。この点の間違いもよく起こります。
受け身の文ではbe動詞を使いますが、be動詞は主語によって変わります。受け身で主語が複数ならareかwere、単数ならisかwasを使います。
【間違い例】
能動態: They watch TV every night.(彼は毎晩テレビを見ます。)
↓
間違った受動態: The TV are watched by them every night.
※「are」 を使ってしまう
上記の例文で、能動態の文の主語は「they」という複数形です。そのため受動態に書きかえたときにも主語を複数扱いにして「are」を使ってしまうケースがあります。
正しくは以下のとおりです。
【正しい受動態】
The TV is watched by him every night.
(テレビは彼によって毎晩見られます。)
主語の「the TV」は単数扱いなので、be動詞はisになります。
このように、受動態でも主語に合わせて「is/are」「was/were」を使いわけることを忘れないようにしましょう。
※関連記事:be動詞am、is、areの使い分け
※関連記事:be動詞was、wereの使い分け
中学生が受動態で間違えやすいポイントをしっかり押さえておきましょう。
以下に、間違いやすいポイントをまとめておきます。
それでは、ここまで解説してきた「by」の内容をふまえて、受動態の練習問題を解いてみましょう。
次の能動態の文を受動態に書きかえ、必要なら「by + 動作主」をつけてください。
(1)My mother cooks dinner every evening.
(2)The students will submit the report tomorrow.
(3)People use the internet around the world.
(4)My brother painted the picture.
(5)The police caught the thief.
(6)He plays the guitar.
(7)She cleaned the kitchen.
(8)They will finish the project tomorrow.
(9)My brother washes the cars every week.
(10)The women teach English.
(1) Dinner is cooked by my mother every evening.
母が毎晩夕食を作ります。→ 夕食は毎晩母によって作られます。
「by my mother」を使い、時制は現在のままにします。
(2) The report will be submitted by the students tomorrow.
生徒たちが明日レポートを提出します。→レポートは明日生徒たちに提出されます。
「by the students」を使い、時制は未来のままにします。
(3) The internet is used by people around the world.
人々が世界中でインターネットを使います。→インターネットは世界中で使われます。
能動態の文で「people」とあるので、受け身の文では「by people」をつけます。ただし、インターネットを使う人々は「一般的な意味での人々」であって、「特定の誰か」を指していません。なので、学校のテスト以外なら「by people」をつける必要はありません。
(4) The picture was painted by my brother.
私の兄がその絵を描きました。→その絵は私の兄によって描かれました。
「by my brother」を使い、時制は過去のままにします。
(5) The thief was caught by the police.
警察が泥棒を捕まえました。→泥棒は警察に捕まえられました。
「by the police」を使い、時制は過去のままにします。
(6)The guitar is played by him.
彼がギターを弾きます。→ギターは彼によって弾かれます。 「by him」を使い、時制は現在のままにします。
(7) The kitchen was cleaned by her.
彼女が台所をきれいにしました。→台所は彼女によってきれいにされました。
「by her」を使い、時制は過去形です。
(8) The project will be finished by them tomorrow.
彼らはそのプロジェクトを明日終わらせる予定です。→そのプロジェクトは明日彼らによって終わらされる予定です。
未来形の「will be finished」を使います。
(9) The cars are washed by my brother every week.
私の兄は毎週車を洗います。→車は毎週兄によって洗われます。
現在形「are washed」を使います。受け身の文では主語(the cars)が複数なので、be動詞が「are」になります。
(10) English is taught by the women.
その女性たちが英語を教えています。→英語はその女性たちによって教えられています。
「by the women」を使います。受け身の文では主語(English)が単数なので、be動詞が「is」になります。
英語の受動態では、「by + 動作主」を使うときと使わないときがあります。動作主が重要な場合や、誰がその動作を行ったかを伝えたいときには「by」をつけます。
一方で、動作主が明らかだったり、特に重要でない場合には「by」を省略しても問題ありません。
文全体の意味を考えながら、動作主が必要かどうかを判断するのがポイントです。
また、もっと練習問題を解きたい人には以下の問題集がおすすめです。
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