「指定校推薦をもらえたら絶対に合格できる?」
「指定校推薦をもらったのに落ちるのはどんな場合?」
このような質問を高3生から受けることがたびたびあります。
指定校推薦はほぼ100%合格できる推薦制度ですが、それでも推薦取り消しになる場合もあります。せっかくもらった推薦が取り消されると非常に困ります。急に受験対策をはじめても「時すでに遅し」です。
そんな困った事態にならないように、指定校推薦で落ちる例と、確実に合格を取るための対策方法を紹介します。
※関連記事:指定校推薦とは?校内選考の仕組みと、推薦をもらうための評定の上げ方
指定校推薦とは、高校が大学に生徒を推薦する制度です。あらかじめ大学から各高校に少数の推薦枠が割り当てられています。
どのようにして指定校推薦が決まるか、その仕組みをおさらいします。
指定校推薦は高校が推薦する生徒を決めます。
高1はじめから高3の7月までの成績をみて、校内選考を経てどの生徒を推薦するかが決まります。
校内選考では評定平均がかなり重視されます。定員が1名かごく少数のため人気の大学・学部は競争になり、評定平均の高い生徒が推薦をもらいやすくなります。
ついで、欠席・遅刻日数も重視されます。
高校からの推薦ですから、推薦がもらえればほぼ100%合格します。
指定校推薦はほかの入試とは試験内容が異なります。
校内選考で推薦をもらえれば、後は大学での選考にうつります。基本的には面接と小論文だけで合格が決まります。
まれに学力試験が課されます。
指定校推薦は高校と大学の信頼関係から成り立つ推薦です。
この信頼構造があるわけですから、指定校推薦をもらうとほぼ100%合格確定です。それでも「ほぼ」というのは、「落ちる場合」があるからです。
指定校推薦で合格できない理由をいくつかお伝えします。
指定校推薦をもらうと、志望理由書を書いて面接を受けます。そもそも志望理由書を書いて高校に提出しないと必要書類がそろいません。
志望理由書は600~800字以内で書くケースが多く、朝飯前に書ける量ではありません。どう書いていいかわからず、また志望理由をあまり思い浮かばずに困る高校生も珍しくありません。
大学に行って面接を受けますが、面接で大失敗をしてしまうと合格をもらえない場合もあります。その例をいくつか紹介します。
面接官からは志望理由や大学でチャレンジしたいことなどを聞かれます。上手く答えられなかったり緊張したりして、「ちょっと静かにして!」などの暴言をつい吐いてしまわないよう気をつけましょう。
指定校推薦は専願です。推薦をもらえば必ず進学しないといけません。面接で「〇〇大学には進学しません」と面接官に伝えてしまうと、当然ながら進学はできません。
推薦をもらうまでは「早く大学受験を終えたい」と思っていたのに、推薦をもらうと安心して「やっぱり他の大学に行きたい」という気持ちになる人もいます。迷わないように、事前によく考えてから推薦願を提出するようにしましょう。
予定していた面接に行かなかった(忘れていた)ら、やはり合格は難しくなります。
事故やトラブルで予定時間に行けない場合は大学側と所属高校に必ず連絡を入れましょう。
万引き・暴行などの事件を起こすと合格が取り消しになる場合があります。大学側としてもそのようなリスクのある学生を受け入れることはできません。
そもそも高校が「大丈夫」と保証したはずなのに刑事事件を起こしてしまえば、大学と高校との間の信頼関係にヒビが入ります。浮かれて変なことに巻き込まれないように注意しましょう。
刑事事件だけでなく、飲酒・喫煙・カンニングなどのトラブルを起こした場合も推薦取り消しになり得ます。
最近では少なくなりましたが、かつては「推薦もらったからもう何をしても大丈夫!」と勘違いして騒ぎを起こした高校生の事例を耳にすることがたびたびありました。
以前よりも現在のほうがトラブルに対して世間の目は厳しいです。
大学進学の条件として、どの大学も募集要項に「〇〇年3月に高校を卒業予定であること」と明記しています。その条件を満たせなければ、進学できません。高校を退学しても同様に大学には進学できません。
成績や出席日数が卒業に足りなくなってしまわないように気をつけましょう。成績不足であれば、補習を受ける・レポートを提出するなどで高校が寛容に対応してくれます。ですが、出席日数は高校側で配慮できません。欠席日数を別の何かでフォローできないのです。注意しましょう。
※関連記事:【高校生】定期テストで90点以上を取れる勉強方法
指定校推薦は高校と大学の信頼関係にうえで成り立っている制度です。推薦をもらった生徒は確実に合格しないと、所属している高校や後輩に迷惑がかかります。
具体的には、大学からの推薦枠を減らされる可能性があります。指定校推薦は「必ず入学する」という約束とセットですから、「合格できなかった=入学しなかった」となれば大学側が高校に不信感を抱きます。翌年から指定校推薦の枠を減らされると、その大学・学部に進学したいと思って勉強をがんばっている後輩がかわいそうです。
「推薦をもらえば進学できる立場」になるだけでなく、「進学しないといけない立場」になることも意識しておきましょう。
では指定校推薦をもらってから合格を確実にするために何をしておけばいいでしょうか。しておくべき対策をいくつか紹介します。
推薦をもらっても浮かれず、それまでどおりの生活を過ごしましょう。
髪の毛を染めたり、禁止されているのにバイトをはじめたり、遅刻・欠席が急にふえたりすると推薦取り消しになる可能性があります。
大学から志望理由書の提出や小論文を課されます。600~800字以内の字数制限がもうけられていることが多いです。
などを書きます。
※関連記事:【高校生】小論文の書き方とコツを例文付きで解説
大学のHPをみたり、オープンキャンパスに行ったときのことを思い出しましょう。
を洗い出します。大学が求めている学生像はHPに掲載されています。「学生像に自分が合っている理由」を具体的な根拠と一緒に志望理由書に書きます。
将来やりたいことが決まっていれば、「そのために大学で何を学びたいか」を「入学後にしたいこと」として書きましょう。
将来やりたいことが決まっていなくても、入学希望の学部について感じている魅力を書くようにしましょう。「なぜその点に魅力を感じているのか?」を考えると自己分析になり、将来やりたいことを考えるきっかけにもなります。
字数が指定されている場合、その9割以上で書かないと0点です。600字なら540字以上、800字なら720字以上です。簡単に書ける字数ではありませんし、「なんとなく」書くと支離滅裂な内容になりがちです。
小論文を書く練習を繰り返して行い、誰かに添削してもらいながら書くようにしましょう。
※関連記事:【高校生】小論文の書き方とコツを例文付きで解説(構成とメモの取り方)
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大学での面接にそなえて、数回以上は面接練習をしておきましょう。
高校の先生が2-3回面接練習をしてくれます。ほかにも、塾に通っている人は塾の先生に、また可能なら保護者の方にも面接官になって練習させてもらいましょう。
面接は「自分のことを相手に伝える場」です。本番の面接官がどのような人なのかは分かりません。3人くらいに面接官役になってもらえば、相手にきちんと伝わるかどうかを確認できます。
面接の「模範回答」はありますが、そのとおり回答する必要はありません。自分の思ったとおりに回答するか、答えやすい内容にしましょう。
難しい、言い慣れていない言葉を使おうとすると余計に言いにくくなります。普段使っている言葉を「御校」「私」「父」「母」「高校の担任の先生」などのように、もう少し丁寧な言い方をすれば大丈夫です。
面接では志望理由なども聞かれます。志望理由書を書いて提出していると、面接官は志望理由書を読んだうえで志望理由を確認します。志望理由書の内容と面接での受け答えの内容が食い違わないように、志望理由書はコピーを取っておき、手元に置いて面接練習しましょう。
多くの高校生は、日常生活で敬語を使う機会が少ないです。尊敬語、謙譲語をしっかり使い分けられるように練習しておきましょう。
それぞれ下記のような違いがあります。
特に間違いやすいのが、「内部の人間のことを外部の人に対して話すとき」です。通常であれば尊敬語を使う場合でも、外部の人と話をするときには丁寧語や謙譲語を使います。
例えば、「校長先生が言った。」と言うとき、下記のようになります。
面接の練習にはマンツーマンがおすすめです。
面接では下記の3点がとても大事です。
これらをクリアできているかどうかは自分ではよく分かりません。マンツーマンで面接練習すれば、適切なフィードバックをすぐに得られます。
指定校推薦は高3の1学期までの成績で決まります。夏休み以降の定期テストの成績は推薦に関係しません。
だからと言って、1学期まで80-90点取っていたのに2学期に入って急に20-30点になるとかなり印象は悪いです。最低でもマイナス20点程度に抑えられるよう、最低限の勉強は続けておきましょう。
※関連記事:予備校と塾の違い:部活と定期テスト・大学入試対策の両立にはどちらがいいか
指定校推薦をもらえるかどうかは、評定平均が大きく左右します。まず評定を上げることに取りくみましょう。
※関連記事:評定の出し方・上げ方
評定平均で大きな比重を占めるのは、「定期テストの点数」です。定期テストで高得点を取るようにしましょう。
評定は高1の1学期から入ります。大学受験を意識しだしたのは高校2年生ごろが一番多いという調査結果もありますが(ベネッセ教育総合研究所 大学進学を意識し始めた時期・受験対策を始めた時期より)、高1の最初から意識して対策しましょう。
80点以上、できれば90点を目指して取り組んでおくことをおすすめします。そうすれば評定平均4.5以上にもなり、よほど強いライバルが現れない限り指定校推薦をもらいやすくなります。
※関連記事:【高校生】定期テストで90点以上を取れる勉強方法
定期テストで高得点を取れば高い評定を得られます。高得点を取るには、高校で所属するコースを下げておく(コースアップしない)のも1つの手です。
現在のコースで定期テスト90点前後を取っている人なら、上位コースに上がるかどうかを高校から打診されるでしょう。ですが、上位コースにあがればせいぜい平均点くらいしか取れません。そうなると高1では評定4.5だった人が高2で3.5くらいになり、評定平均が4.0になってしまうかもしれません。
評定平均が下がってしまうくらいなら、現在のコースで上位の成績を取りつづけるほうが有利な場合はよくあります。
コースアップできそうな人は、所属している高校の指定校推薦の出し方を先生に確認しておきましょう。
定期テストの点数の次に重要なのは出席状況です。遅刻・早退・欠席は大きなマイナスになります。できれば皆勤を目指しましょう。
大学によって年間の欠席日数何日以内と指定している場合もあります。希望する大学があれば、学校の先生に確認しておきましょう。
評定には、授業態度や課題の提出有無も重要です。
無理に先生に愛想笑いをする必要はありませんが、授業中に先生の解説に大きめにうなずいたり、顔を上げて説明を聞いたりするようにしましょう。
生徒会の活動も指定校推薦に重要です。大学によっては、生徒会役員をしたかどうかを評価項目に明示しているところもあります。
特に生徒会会長は加算点が一番大きいです。選挙があるので、希望すればなれるわけではありませんが、積極的に検討してみましょう。
部活動の状況も評定に関わります。ただ部活をしていただけでは不十分ですが、全国大会に出場したり、部活のキャプテンをしていたりすると加算されます。
強い部活に所属していてレギュラーを目指せそうなら、必死に取りに行きましょう。ただし、部活動だけで評定を大きく上げるのは難しいので、勉強とのバランスを取るようにしてください。
英語の資格取得など、学校外の活動状況を学校の先生に伝えるようにしましょう。
評定を決めるのは学校の先生です。せっかくボランティア活動や英検などの資格取得をがんばっていても、その活動状況を先生が知らなければ評定にプラスされません。
定期懇談などの機会に、いつ・何をしたかをしっかりと先生に伝えておきましょう。
指定校推薦の枠は限られています。評定が足りないとそもそも推薦をもらえません。
「うちの高校は推薦枠をたくさん持っています」とアピールしている学校でも、有名大学・学部の推薦枠は他校と同程度です。推薦できる大学の数が多いというだけです。
こうした努力を怠らないようにしましょう。
特に高校受験をした人の場合、「高校受験から解放された」という安心感から1年間ほとんど勉強せずに過ごしがちです。
前述のように、評定は高1から入ります。入学直後から気持ちを切り替えて目の前の勉強にコツコツ取り組みましょう。
指定校推薦で落ちる例や理由を紹介しました。
指定校推薦はほぼ100%合格する制度です。それでも、書類の不備や面接での暴言、刑事事件、留年などで合格できない場合もあります。
確実に合格・入学を取れるように、志望理由書の添削や面接練習をしておきましょう。
また、指定校推薦を獲得してからも勉強を一定以上は続けて、周囲の受験生に配慮した生活を心がけましょう。
※関連記事:【高校生】定期テストで90点以上を取れる勉強方法
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