共働き家庭で中学受験をするケースは増えてきています。
「中学受験は親の受験」とも言われますが、親が2人とも働いていると子どもの勉強をみる時間がどうしても限られてしまいます。
そんな状況にストレスを感じている親御さんは多いのではないでしょうか。
そこで、共働き家庭が中学受験をするときにかかえる課題と、その課題に対処して中学受験を乗り切る方法を紹介します。
子どもに責任感を持たせるようにすると勉強に対して前向きに取り組みやすくなり、結果的に志望校合格にも近づけます。
※なお、家庭でできる中学受験準備の始め方について、以下の記事でくわしく解説しています。
中学受験準備:いつから始める?どういう子が中学受験で有利になる?
※Z会の中学受験コースのメリットや活用法を下記の記事で紹介しています。
Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
中学受験は「子どもだけの戦い」ではなく、「親子で取り組むプロジェクト」と言われるほど、家庭の関与が大きい教育イベントです。
現在、共働き家庭で中学受験を選択するところは増えています。厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、4分の3以上が共働きの家庭であり、中学受験率も20%となっています。
共働き家庭にとっては、限られた時間とエネルギーの中で、このプロジェクトを遂行しなければならず、さまざまな困難に直面します。
中学受験においては、親のサポートが受験の成否を左右すると言っても過言ではありません。主な関与内容には以下のようなものがあります:
共働きでフルタイム勤務の場合、こうした日常的な関与をこなす余裕が物理的に足りないことが多く、結果として子どもが孤立したり、親が無理をして疲弊することにつながります。
共働き家庭では、平日の夜に子どもの学習をじっくり見てあげる時間が限られています。以下のようなシーンが頻繁に起こります:
また、塾から出される大量の宿題や、家庭学習での復習など、日々の積み重ねが合否を分ける中学受験において、こうした「空白時間」が子どもの学習遅れに直結するリスクもあります。
中学受験を控えた子どもには、塾の授業・模試・面談・学校のイベントなど、さまざまな予定や連絡事項が日々飛び交います。特に共働き家庭にとっては、これらの管理が大きな負担になります:
このような「連絡ミス」や「情報の行き違い」が、子ども本人の準備不足や不安感にもつながることがあり、保護者の情報管理能力や調整力が常に試されるのが共働きの難しさです。
中学受験には、塾代や模試代、教材費など年間で100万円を超える支出が一般的です。共働きだからこそ経済的にはカバーできる面もありますが、その分精神的な負担が大きくなることも忘れてはなりません。
また、「子どもが失敗したら自分たちのせいだ」とプレッシャーを感じる親も少なくありません。つまり、時間・お金・感情のすべてが消耗する状態に陥りやすいのが、共働き家庭の中学受験なのです。
中学受験における共働き家庭の大変さは、時間的・精神的・経済的な負担が複雑に絡み合う点にあります。ただし、これらの困難は工夫次第で乗り越えることも可能です。
共働きという忙しいライフスタイルの中で、なぜあえて中学受験というハードルの高い選択をするのか? その背景には、子どもの将来を見据えた明確な目的意識や、「教育に妥協したくない」という家庭の理念があります。
共働き家庭の多くは、子どもの将来において「選べる自由」を与えたいという強い思いを持っています。中学受験を通じて私立中学校や国立中等教育学校などに進学することで、以下のようなメリットが得られます:
将来の進路を自分で選べる環境を整えるために、早い段階で教育環境の質を高めておくことは重要であり、それが中学受験を選ぶ理由のひとつです。
公立中学校は地域によって教育レベルや校風に差がありますが、中学受験を経て進学する私立・国立校は、教育の「質」が比較的安定しているというメリットがあります。
また、大学受験を見据えた「先取り学習」や、個性を伸ばす教育を重視する学校も多く、教育への投資効果が高いと判断する家庭も増えています。
共働き家庭は時間的に子どもの教育を家庭内で細かくサポートするのが難しいため、学校教育そのものに高いクオリティを求める傾向があるのです。
中学受験を経て入学する「中高一貫校」には、以下のような大きなメリットがあり、これが共働き家庭にとって強い動機になります:
特に共働き家庭にとっては、学校の教育力・環境が安定していることが、子どもの精神的安定や学習面のサポートに大きく影響するため、このような中高一貫校の存在は非常に魅力的です。
中学受験は確かに大きな負担を伴いますが、将来の自由な進路選択、質の高い教育、そして中高一貫校がもたらす安定した学習環境という点で、共働き家庭だからこそ「教育の質」に早い段階から投資する意義があるのです。
時間的・精神的・経済的な制約がある共働き家庭にとって、中学受験はハードルの高い挑戦です。しかし、多くの家庭が工夫と戦略でこの壁を乗り越えています。
ここでは、実際に成果を上げた家庭に共通する5つのポイントを紹介します。
忙しい共働き家庭にとって、スケジュール管理の効率化は受験成功の基盤です。
家族のスケジュールを「見える化」するために、GoogleカレンダーやTimeTreeなどの共有ツールを導入する家庭が増えています。
これにより、突然の塾の変更連絡や面談予定にも即対応できるようになります。
共働き家庭では、子ども自身が勉強を進める力=自走力が重要になります。
「預けて安心できる教育機関」との連携は、共働き家庭にとって非常に重要です。
※個別指導や家庭教師も検討対象になるが、「講師の継続性」「コミュニケーション力」も選定ポイント。
塾と家庭教師の併用方法について、以下の記事でくわしく解説しています。
中学受験は塾と家庭教師の併用で合格率アップ!併用のコツと成功事例を徹底解説
※なお、中学受験塾の選び方について、以下の記事でくわしく解説しています。
共働き家庭の中学受験塾選びのポイント
「全部自分たちでやろうとしない」ことが、中学受験成功のためには重要です。
これらは決して贅沢ではなく、受験期の限られた時間を最大限に活かす投資です。
家庭内での連携がうまくいっているほど、子どもも安心して受験に集中できます。
共働きだから無理…とあきらめる必要はありません。スケジュール管理・教育方針・外部リソース・夫婦の連携といった点をしっかり設計することで、共働き家庭でも十分に中学受験を乗り越えられます。
「忙しいから中学受験は難しい」と思われがちな共働き家庭ですが、実は“共働きだからこそ伸ばせる力”も数多くあります。以下にその代表的な3つの強みを解説します。
共働き家庭では、子どもが親の努力や社会での役割を日常的に目にすることができます。
このように、仕事を通じた背中の教育は、勉強への向き合い方にも良い影響を与えることがあります。
共働き家庭の子どもは、時間の大切さを早い段階から実感し、効率的に行動する力を身につけやすい傾向があります。
このような生活の中で、自然と以下のような力が育ちます。
なお、週末は家族で軽くお出かけをすると、良いリフレッシュになります。軽い運動はストレス解消になり、イライラや倦怠感を解消して気持ちを安定させやすくなります(運動がメンタルヘルスに与える影響)。
リフレッシュされた状態で学習することができれば、子どもの勉強への集中力もアップします。
共働き家庭では、親が社会と関わることで、子どももさまざまな人間関係や考え方に触れる機会が多くなります。
こうした環境の中で、子どもは自然と次のような力を養っていきます。
多様な価値観に触れながら育つことは、中学受験後のグループ活動やディスカッション型の授業でも大いに役立ちます。
実際に共働き家庭で中学受験を乗り越えたご家庭の声から、成功の裏にあった工夫や葛藤を紹介します。現実的な視点と再現性のあるヒントが詰まっています。
以下は、小6の受験生を持つ共働き家庭の平日のタイムスケジュールの一例です。
時間帯 | 内容 |
---|---|
6:30〜7:30 | 起床、朝食、学校の準備、朝学習(15分の計算や漢字練習) |
8:00〜15:30 | 学校(給食あり) |
16:00〜16:30 | 家で軽食後、塾(直行) |
17:00〜21:30 | 塾の授業あるいは宿題(自習) |
22:00〜22:30 | 夕食(親が用意できない日は作り置きや惣菜活用) |
22:30~23:00 | 宿題、家庭学習(親と少しだけ解き直し確認) |
23:00 | 就寝(家族全員での振り返り会話は毎日5分) |
※ポイント:
特に小6夏休み〜秋は“親子ともに疲労がピーク”になりやすい時期です。
つらかったこと:
乗り越え方:
→ 最後まで走り切れた理由は、「勉強の話ばかりにしない工夫」と「親が子どもの感情に寄り添う姿勢」でした。
合格はゴールではなく「家族としての達成感と、新たな出発点」だと語る家庭が多くあります。
家族の変化:
振り返っての感想:
共働き家庭にとって中学受験は、「時間」と「情報」の戦いとも言えます。現場で日々親子と接する塾講師の立場から、限られたリソースの中で成果を最大化する3つのポイントをお伝えします。
共働き家庭の場合、子どもに常時付き添うのは難しいのが現実です。そこで大切なのが、「つきっきりで教える親」ではなく、「困った時に伴走する親」を目指すこと。
このようなスタンスが、子どもの自立と安心感の両方を支えます。
中学受験では「毎日3時間勉強」が理想かもしれませんが、共働き家庭ではその“量”にばかりこだわると親子ともに疲弊します。
“頑張れる日”より“やめない仕組み”が合格を支えます。
現役講師から見ると、塾と家庭の連携がうまくいっているご家庭ほど伸びやすいです。共働きだからこそ、受け身ではなく戦略的に塾を活用することが成功のポイント。
「家庭・子ども・塾」が同じ方向を向くことで、無理なく前に進める体制が整います。
共働き家庭にとって中学受験は決して楽な道ではありませんが、「限られた時間とエネルギーをどう使うか」という戦略と、家族や塾、外部サービスとの協力体制が整えば、十分に実現可能です。
これらを意識すれば、共働きでも無理なく中学受験を乗り越えられます。大切なのは「一人で抱え込まず、チームで進む」ことです。
※Z会の中学受験コースのメリットや活用法を下記の記事で紹介しています。
Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
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