中学受験の勉強をしていると、どうしても成績が伸び悩むときがあります。
合格するには勉強の量も大事ですが、質も非常に重要なファクターです。
その中で、「塾と家庭教師のかけもち」は一つの手段として利用されてきました。最近では「塾と通信教育のかけもち」も注目されています。
そこでこの記事では、塾と家庭教師・通信教育のかけもちのメリット・デメリットと、かけもちをして成績が向上する子どもの特徴について探っていきます。
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中学受験で塾と家庭教師・通信教育を併用する目的
そもそも、塾と家庭教師・通信教育を併用するのは何のためか。
ご家庭によっても異なるでしょうが、一般的な併用目的をまとめました。
受験勉強の効率化
塾だけで勉強が順調にいく子は少ないです。つまずきや勉強もれも出てきます。
それらをカバーして、苦手を早く克服するのに家庭教師や通信教育の併用は向いています。
個別の学習計画と進捗管理
家庭教師も通信教育も、個別最適化を特徴にしています。
家庭教師は生徒一人ひとりの進捗を細かく把握できますし、通信教育のタブレット学習も子どもの学習状況に応じて出題される問題が自動的に変わります。
子どもが理解できていない箇所や忘れてしまっている箇所を早く見つけられるので、タイミング良く対策ができます。
学習習慣の確立
中学受験は学習量が多いので、毎日コツコツ勉強する必要があります。
塾でいくら勉強をがんばっていても、家で集中して勉強する時間を取れないと勉強の進捗は進みません。
家庭教師や通信教育を活用すると家でも勉強が進みやすくなります。
モチベーション維持
家庭教師や通信教育を活用すると、解けるようになる問題が増えます。これがモチベーションの維持/向上につながります。
長い受験勉強のどこかで勉強につまってしまう時期は必ずあります。
そんなときに「分かった!解けるようになった!」という経験を日常的に積み重ねられるのは大きいです。
中学受験で塾と家庭教師をかけもちするメリット
中学受験をする小学生が塾と家庭教師を併用するのには、いくつかのメリットがあります。
異なる切り口からの解説で理解が深まる
同じ問題でも、塾と家庭教師では教え方が異なるときがあります。
家庭教師を併用するのは、「塾で教わったけれど問題が思うように解けない場合」が多いです。
塾と同じ教え方をしてもらうより、少しずらした角度から教わるほうが理解しやすくなります。
一度理解ができてから塾のやり方で問題を解くと、今度は非常に解きやすくなります。
子どもの特徴に合わせられる
家庭教師なら子どもの性格や学習状況に応じた個別対応をしてもらえます。
子どもの強みや課題を具体的に把握し、それに合わせた指導が可能です。
これにより、勉強を最大限効率化できます。
※関連記事:【中学受験】塾に通っているのに成績が伸びない理由とは?
適切な志望校選択のサポート
家庭教師に個別サポートしてもらうと、子どもに合った志望校選択のサポートも得られます。
たいていの集団塾はターゲット校を決めており、進路選択には「子どもや保護者の希望」以外に、(〇〇中学に合格者を〇名以上出したい)といった「塾の都合」も入ってきます。
どの中学がベストかは誰にも分かりませんから、「塾の都合」が入ってくるのが悪いわけではありません。
ただ、家庭教師という「第三者に近い立場」から見て「この子にプラスになりそうな中学」を提案してもらえば、さらに納得のいく志望校選択をしやすくなります。
家庭での学習習慣の確立
「塾では勉強できるのに家では勉強に集中できない。」
こういう状況は見られませんか?こんなときにも家庭教師は効果的です。
何しろ家庭教師は「家で勉強する手段」です。家では集中できないという子も、家庭教師となら家でも集中して勉強に取りくめます。
しばらくすれば「塾でも勉強できる、家でも勉強できる」という学習姿勢が身につきます。
受験プレッシャーの軽減
6年生になると意識しはじめます。
「算数が苦手なのに合格できるかな…」
「国語の記述問題で全然点が取れない。このままじゃダメだ…」
親だけでなく子どももプレッシャーを感じます。
特に子どもはプレッシャーへの対処が苦手です。気持ちが落ち込んでしまって勉強が手につかなくなると、さらに成績が悪化して受験のプレッシャーが一段と増す結果になります。
そんなときに、「大丈夫」「一緒にがんばっていこう」と寄り添いながら励ましてくれる存在がそばにいると、非常に心強いものです。
受験のプレッシャーが軽減されて十分な準備を整えることで、受験当日も安心感を持つことができます。
苦手克服のスピードアップ
定期的な進捗チェックや塾のテスト直しなどを通じて、家庭教師は生徒の学習状況を正確に把握できます。
これにより、生徒が理解できていない箇所や課題をすみやかに見つけ、迅速に対策できます。
中学受験は時間とのたたかいです。苦手克服までの時間短縮は合否をわけるカギになります。
※関連記事:中学受験算数の成績アップ:塾で勉強しているのに伸びない原因と対策方法(図形、比と割合、速さ)
※関連記事:中学受験国語の成績アップ:塾でがんばっているのに苦手になる理由と効果的な伸ばし方完全ガイド!
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※関連記事:中学受験社会の伸ばし方(地理、歴史、公民)
モチベーションの向上
塾と家庭教師がそれぞれ異なるアプローチで指導することで、子どもは多様な刺激を受けられます。
大手塾は子どもをよく激励します。
このままじゃ合格できないぞ!もっと必死にがんばろう!ライバルたちは今この瞬間も目の色を変えて勉強に取り組んでいるんだ!
こうした激励でモチベーションはグンと高まりますが、まだ子どもですから疲れてきたり慣れてきてしまってモチベーションダウンするのも早いです。
家庭教師からの冷静な声かけや寄り添った励ましを日常的に得られれば、塾からの激励を受け入れるエネルギーが充填され、モチベーションを高い状態で維持しやすくなります。
中学受験で塾と家庭教師をかけもちするデメリット
中学受験をする小学生が塾と家庭教師を併用する際には、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。
過密なスケジュールと疲労
塾と家庭教師の両方となると、その分だけ学習にかかる時間が増え、子どもは過密なスケジュールになりやすいです。
これが続くと心理的・身体的疲労が蓄積し、学習効果が逆に低下する可能性があります。
教え方の相違による混乱
塾と家庭教師で教え方が異なっている場合、生真面目な子だと混乱するときがあります。
塾の先生はこう説明していたのに、家庭教師は違う説明をしている。どちらが正しいんだ!?と。
どちらも正しいのですが、それを受け入れて「解きやすいほうを選ぶ」というやり方が苦手な子もいます。
自主性を伸ばす機会の減少
塾と家庭教師でしっかりとサポートしてくれるため、逆に子どもが自己分析して自学習する機会が減少する可能性があります。
勉強に対する自主性が高い子のほうが成績は上がりやすくなりますから、このデメリットは長期的に悪影響になりかねません。
教育費の負担増加
塾と家庭教師を併用する場合、その分だけ費用がかかります。
家庭教師は特に一対一の指導ですから、高額です。プロ家庭教師にするとさらに経済的な負担が大きくなります。
中学受験で塾と通信教育を併用するメリット
塾と家庭教師の併用について説明してきました。
つづいて、塾と通信教育の併用についても紹介します。
柔軟な学習スタイル
通信教育は場所や時間に制約を受けずに学習ができるため、子どもは自分のペースで学習を進められます。
これにより、塾の授業や宿題とのバランスをとりながら、効率的な学習習慣を確立できます。
主体性の向上
通信教育は教材もカリキュラムも網羅的に提供してくれるサービスですが、一方で「勉強する・しない」を子どもに託すスタイルでもあります。
この特徴があるため、やろうと思えばどんどん活用の幅も深さも追及でき、子どもは主体的に勉強に取り組む姿勢を身につけられます。
課題やテキストを通じて自分で学習内容を理解し、問題に取り組むことで、自己学習力が向上します。
適切な学習計画の提供
通信教育は、中学受験で必要な内容を網羅したカリキュラムを組んでいます。そのカリキュラムどおり勉強すれば、合格に必要な理解や定着ができるようになっています。
さらにタブレット学習を選択すれば、生徒の進度や理解度に合わせて学習内容をAIが提示してくれるため、さらに適切な学習計画が組まれることになります。
これにより、生徒は塾の指導と合わせて、効果的な受験勉強計画を進めることができます。
多様な教材の利用
通信教育は様々な教材や問題集を提供しています。
塾の授業だけではイメージしきれない図形の動きや理科の実験の手順や結果の考察など、より幅広い知識を身につけることができます。
リアルタイムでの質問対応
通信教育においても質問対応の仕組みがあります。
生徒はオンラインやメール、LINEメッセージを通じて質問をし、担当の講師からリアルタイムで回答を受けることができます。
受験対策のバリエーション
通信教育が提供する模擬試験や過去問題の解説を通じて、受験対策を幅広く展開できます。
これにより、塾との併用でさらに徹底的な対策が可能となります。
中学受験で塾と通信教育を併用するデメリット
メリットもあれば当然デメリットもあります。
次に、中学受験で塾と通信教育を併用するデメリットを紹介します。
学習時間の負担アップ
塾と通信教育を同時に受けることで、学習時間が増加します。
あれもこれもやらなきゃと負担感が増し、疲労する可能性があります。
学習内容の重複
塾と通信教育が異なる教材やアプローチを提供してくれるので、学習の幅を広げられるというメリットがある一方、同じ内容を繰り返し学ぶこともあります。
これが逆に無駄な学習となり、子どもが「同じような問題を何度も解いても意味ない…」と感じてしまってモチベーションダウンする可能性があります。
費用の増加
通信教育によっては費用が大きくなります。
特に受験対策を本格的に行えば行うほど、オプションのコース受講も増えて言います。
受験ストレスの増加
塾と通信教育を同時に受けると、子どもによっては学習に対するプレッシャーが増加する可能性があります。
通信教育を併用したおかげで「解けるようになった問題」もたくさん出てくるでしょうが、「通信教育の教材で解けない問題」も出てきます。
「この問題が解けなかった」というネガティブな見方をしてしまうとストレスが大きくなります。
自己学習力の不足により使いこなせない
通信教育は自己学習力を重視する学習システムです。使いこなせば大きな武器になりますが、強制されないと勉強できないという子だと使いこなせません。
塾と家庭教師のかけもちが向いている子の特徴
以上の内容をふまえ、子どもの特徴に応じて塾と併用するなら家庭教師と通信教育のどちらが良いかをまとめました。
まず、塾と家庭教師の併用で成績が上がりやすい子の特徴から紹介します。
モチベーションに左右されやすい
日によってモチベーションが変わったり、問題が解けないと一気にトーンダウンしてしまう子は家庭教師との併用にかなり向いています。
家庭教師との併用の利点の1つが「半強制力」です。
授業としてスケジュールが設定されるわけですから、「今日は勉強する気分じゃない」という日でも勉強する必要があります。
また、こういう子は他者からモチベーションをコントロールしてもらうほうが安定しやすいので、親以外の他人の手を借りるというのも大きなメリットになります。
塾の教材で解けない問題が多い
塾に通っていると、範囲や教材の難易度によって解けない問題がたくさん出てくるときがあります。
そんなときは塾教材を使って家庭教師に教えてもらいます。
宿題で分からない問題がたくさんあるとイヤな気分になりますが、それが解決していくと子どもも非常に安心できます。
こうした、塾教材を使えるというメリットは家庭教師ならではです。
※関連記事:中学受験算数の成績アップ:塾で勉強しているのに伸びない原因と対策方法(図形、比と割合、速さ)
※関連記事:中学受験国語の成績アップ:塾でがんばっているのに苦手になる理由と効果的な伸ばし方完全ガイド!
学習管理を他人にしてもらうほうが動きやすい
学習管理を自分でするより誰かにしてもらうが勉強に集中しやすいという子は家庭教師に向いています。
受験勉強では学習計画やその進捗管理がとても効果的です。自分でする子もいますが、まだ小学生ですから親か他人の大人がある程度手を貸してあげるのが一般的です。
※関連記事:スケジュール管理と勉強時間の生み出し方のコツ
納得いくまで質問したい・考えたい
子どもによって性格はまちまちです。早く答えを知りたい子もいれば「なぜそうなるのか?」を納得いくまで知りたい子もいます。
納得いくまで知りたい・考えたいという子は家庭教師にかなり向いています。
1対1での授業ですから、ほかの生徒に気兼ねせずに何度も質問できます。
この質疑応答の繰り返しで理解が深まっていき、長期的に成績が伸びやすくなります。
塾と通信教育のかけもちが向いている子の特徴
つづいて、塾と通信教育の併用が向いている子の特徴を紹介します。
モチベーションに左右されにくい
家庭教師の併用に向いている子とは逆に、日によってモチベーションの上下が少ないか、モチベーションが上下しても勉強自体は続けられる子は通信教育とのかけもちに向いています。
自主性が高い
勉強に対して自主的に取り組める子、言われなくても勉強しているような子は通信教育に向いています。
通信教育の特徴として、「何をすれば良いかを提示してくれる」「勉強するかどうかは本人次第」というものがあります。
何を勉強すべきなのかは通信教育の教材にお任せで大丈夫ですから、毎日勉強に向かう習慣のある子であれば、かなり効果的に通信教育で学力を伸ばせるでしょう。
また、中学受験の通信教育でおなじみのZ会は学習する順番も子どもがカスタマイズできます。
「どの内容を勉強するかも自分で考えたい子」に特に合っていると言えます。
※関連記事:Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法を解説:Z会はどれだけ難しいか、塾と併用が可能か
自分のペースで勉強したい
誰かに半ば強制されるより、自分の判断で勉強したい子もいます。そういう子は通信教育に向いています。
通信教育はいつ勉強するかを子どもに託している学習システムです。毎日夕ご飯の後、朝学校に行く前など、子どもにとって都合の良い続けやすいタイミングが選ばれています。
また、1回の学習でどれだけ勉強するかも子ども次第です。
1回15-30分以内という短時間で終えられるような範囲設定がされていますが、子どもによっては一度に2回分(30-60分)勉強する子もいます。
家庭教師や通信教育の併用はいつからが良いか
塾と家庭教師や通信教育を併用するならいつからが良いかまとめました。
通塾開始前
家庭教師や通信教育をはじめる一番のおすすめ時期は「塾に入る前」です。
下記の理由があります。
- 家庭での学習習慣をつくりやすい
- 勉強の仕方を身につけられる
塾で勉強できるようになっても、家で勉強できる習慣や姿勢がないと勉強の量や質が伸びてきません。
そこで、入塾前にその習慣をつけておきます。
塾に慣れてきたころ
2つ目のおすすめ時期は「入塾後、塾に慣れてきたころ」です。塾に入って半年~1年ほど経ったころが目安です。
- 塾の宿題で分からない問題が出てきたら家庭教師で解決し、
- 塾の予習・復習をしっかりしたいなら通信教育が便利です。
5年生から
3つ目のおすすめ時期は「5年生ごろ」です。
中学受験の勉強が本格的になり、問題の難易度がグンと上がる時期です。
塾の宿題で解けない問題や、授業を聞いても理解が十分ではない範囲が出てきます。
そのままにしておくとこの穴が広がっていき修復するのが大変になります。
この「穴」を家庭教師や通信教育で補うと勉強が回りやすくしましょう。
6年生の夏から
4つ目のおすすめ時期は「6年生の夏」です。
中学受験で必要な内容をすべて習い終え、後は個別に必要な内容の学習に集中する時期です。
Z会の特別講座が効果を発揮する時期にもなります。
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※Z会の中学受験コースのメリットや活用法を下記の記事で紹介しています。
Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
塾との併用におすすめの通信教育
最後に、塾との併用におすすめの通信教育を3つ紹介します。
Z会
1つ目はZ会です。
Z会の特徴は下記のとおりです。
- 難問が多い(難関中学受験対策に適している)
- アニメーションが少なく、問題に集中できる
- 6年生対象の特訓講座が豊富(記述対策、理科の複雑な計算など)
※関連記事:Z会中学受験コースを活用して志望校に合格する方法
RISU
2つ目はRISUです。
RISUの特徴は下記のとおりです。
- 算数嫌いの子がハマる
- 算数の先取り学習に非常に便利
- 中学受験算数の問題も豊富にある
- 料金は勉強した分だけ
※関連記事:RISUで先取り学習をして志望校に合格する方法
進研ゼミ
3つ目は進研ゼミです。
進研ゼミはZ会とRISUと間くらいの特徴です。
子どもを飽きさせないようなイラストやアニメーションをある程度そろえつつ、問題は良問ぞろい。費用はZ会に比べて安価。
また、学習できる幅がかなり広く、英語、プログラミングも標準装備しています。
※関連記事:進研ゼミを活用して志望校に合格する方法
まとめ
いかがでしょうか。
中学受験生やその保護者の方向けに、塾と家庭教師のかけもち、塾と通信教育のかけもちのメリット・デメリットと、併用が向いている子の特徴を紹介しました。
上手にかけもちをすれば勉強の質が上がり、塾の勉強も順調な軌道に乗せられます。この繰り返しで第一志望校合格にたどりつきやすくなります。
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※Z会の中学受験コースのメリットや活用法を下記の記事で紹介しています。
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