中学受験生で国語の長文読解を苦手にしている子は多いですね。
入試では算数と同程度の配点の中学が多く、国語を得意にできれば第一志望校合格にかなり近づけます。
実は、国語は集団塾ではなかなか上がらなくても個別塾や家庭教師に教わると急激に伸びていく子が多い科目なんです。
そこで、塾や家庭教師が個別指導で教えている国語の長文読解のテクニックを紹介します。
国語を得意にして志望校合格をつかみ取りましょう!
※関連記事:中学受験国語の成績アップ:塾でがんばっているのに苦手になる理由と効果的な伸ばし方完全ガイド!
国語は説明文/論説文と物語文(文学的文章)の2種類が出題されることが多いです。
ほかにも複数の人物の会話や資料を読む問題も出てきますが、ここでは「説明文/論説文」の「読む力」を伸ばすテクニック(対策)を紹介します。
説明文や論説文には「筆者の主張」が書かれています。主張は「決まった形(流れ)」で書かれます。
大まかに、下記の流れが多いです。
テーマの紹介
↓
そのテーマの通説やある人々の意見の紹介
↓
筆者の主張
↓
筆者の主張の根拠
↓
根拠の具体例
↓
筆者の主張(まとめ)
本文中のどの箇所が、論旨展開のどの範囲なのかを見やすくすると、文章の読み取りがしやすくなります。
論旨をするときには接続語がよく使われます。接続語は話の流れを維持したり変えたりするのに使われる言葉です。
たとえば下記のような言葉です。
本文中に接続語が出てきたら、その接続語の右横に線を引いておきましょう。
後で見返すと論旨がどこで展開されているかが分かりやすくなります。
代表的な接続語の種類と意味を表にまとめました。
本文の論旨展開をつかむために、これらの種類・意味をそらで言えるようにしておきましょう。
接続語の種類 | 接続語の意味 | 接続語の例 |
順接 | 前の言葉や内容がうしろの原因・理由になっている | だから、すると、それゆえ、したがって |
逆接 | 前と後ろで反対の内容になっている | しかし、けれども、だが、ところが |
並列 | 前と後ろで対等・同等な関係になっている | また、そして、および、ならびに |
添加 | 前の内容に新しい内容を付け加えている | しかも、なお、さらに、そのうえ、そして |
選択 | 前の内容と後ろの内容のどちらかであると示す | または、それとも、もしくは |
説明 | 前の内容の原因・理由を後ろで説明する | なぜなら、ただし、もっとも |
転換 | 話題を変える | ところで、さて |
例示 | 前の内容の具体例を後ろで示す | たとえば |
要約 | 前の内容をまとめたものを後ろで示す | つまり、要するに、つなわち、以上より |
つづいて、先ほど紹介した接続語の文での使用例をまとめています。
似たような例文にしていますので、接続語の意味の違いを意識しながらご確認ください。
順接 | 雨が降ってきた。だから傘をさした。 |
逆接 | 雨が降ってきた。しかし傘をささなかった。 |
並列 | 雨が降ってきた。そして夜になった。 |
添加 | 雨が降ってきた。さらに風も吹いてきた。 |
選択 | 傘をさして出かけるか。もしくは家にいるか。 |
説明 | 傘をさした。なぜなら雨が降ってきたからだ。 |
転換 | 雨が降ってきた。さて、そろそろご飯をつくろう。 |
例示 | 温かい食べ物が好きだ。たとえばコーンスープ。 |
要約 | 家族は暖かく、友だちには恵まれ、体調も良い。つまり、僕は幸せな人生を送っていると考えて良いだろう。 |
前述の接続語はすべて覚えておいてほしいのですが、なかでも下記の接続語は話の展開を把握するうえでぜひ注意しておいてほしい言葉です。
説明文・論説文では「断定している言葉」にも線を引きましょう。
下記のような言葉が断定している言葉で、こうした言葉が使われているときは「筆者の主張」=「その文章の中心部分」が書かれています。
長い文章を読んでいると、途中で迷子になります。
線を引いておけば筆者の主張をとらえやすく迷子にならずに済むので、本文を行ったり来たりして何度も同じ箇所を読む必要も減ります。
続いて、物語文(文学的文章)の読解の仕方を説明します。
まず、「出来事」と「登場人物の心情」を分けます。
出来事に一重線、登場人物の心情を表す箇所や言葉に二重線を引きましょう。
「親友が引っ越しをすると聞き、太郎はショックを受けた。」
上記の例文だと、
「親友が引っ越しをすると聞き」に一重線、
「太郎はショックを受けた」に二重線を引きます。
物語文には「場面の移り変わり」がいくつかあります。
朝、家で起きた主人公が次の場面では学校で友だちと話をしている。その話の最中に去年の修学旅行での出来事を思い出している、など。
場面ごとに〇をつけておくと長い文章を「場面ごと」に分けられるので、「どこを読み返せばいいか」が分かりやすいです。
いつ・どこで・何があったか・登場人物がどう感じたかを見てわかる状態にしておくと、問題を解きやすくなります。
「それ」「その」などの指示語は、示している内容に置きかえて読みましょう。
例えば以下の例文をご覧ください。
「日本と欧州の歴史は異なっている。そのため、人々の物の考え方にも違いがみられる。」
「その」という指示語が指している内容は「日本と欧州の歴史が異なっていること」です。「その」をこの内容に置きかえて読んでみます。
「日本と欧州の歴史は異なっている。日本と欧州の歴史は異なっているため、人々の物の考え方にも違いがみられる。」
いかがでしょうか。内容が重複するのでクドいと感じるかもしれません。
ですが、指示語の内容を置きかえて読むようにすると本文内容が理解しやすくなります。このほうが「人々のものの考え方にも違いがみられる理由」も分かりやすいです。
また、どの内容に置きかえれば良いか困るときもあります。そんなときは文章の内容が少しわかりづらくなっている証拠です。
少し前に戻ってもう一度読んでみましょう。
長文や1万字以上の超長文を読めるようにするには、「文章の構造」を理解する必要があります。
文章中に線を引いて印をつけておくと、これらのポイントを視覚的に把握しやすくなります。
まず、中学受験の国語で長文読解には「意識的に」伸ばすべき力がいくつかあります。ここでは大きく3つに分けて説明します。
1つ目は「読む力」です。長い文章を「正確に」「スピーディーに」読む力です。
中学入試では5000字以上、難関中学では1万字以上にもなることがよくあります。それだけ長い初見の文章を正確に読み取るには「なんとなく」では足りません。
ちゃんとした読解ルールを身につける必要があります。
2つ目は「解く力」です。設問は大きく以下の3種類に分かれます。
それぞれ、答えを出すのに知っておくべきルールや、正解にたどりつきやすくなるテクニックがあります。
3つ目は「書く力」です。先ほどの「解く力」にも挙げている「記述問題」の解答力を指します。
中学入試では記述問題がたくさんありますが、「苦手意識の強い子」や「早く終わらせたい子」は空欄にしがちです。
ですが、記述問題は配点が高いですし、力をつければ国語以外の科目にも波及効果を見込めます。
中学受験国語では「読む力」だけでなく「解く力」も問われます。
塾や家庭教師でよく説明されている「解く力」を伸ばすテクニックを紹介します。
文章を読む前に、設問に軽く目をとおしましょう。
下記の2点を把握するためです。
設問で問われる内容は文章のポイントになっていることばかりです。それを意識しながら文章を読めば、解きやすいのはもちろん、読みやすくもなります。
国語では「適切なもの(適切ではないもの)をア~オから選びなさい」といった選択問題がよく出てきます。
「適切なものを選びなさい」と指示されていても、「不適切な選択肢を消す」解き方のほうが正答率は上がりやすいです。
4年生くらいまでは本文内容とバッチリ合うか全然合わないかという、分かりやすい問題が多いです。
ですが、5-6年生で出てくる問題では、本文内容に「バッチリ合う選択肢」がなかなか出てきません。
むしろ、「ほかの選択肢よりは本文内容に合っている」という程度のものがほとんどです。
そのため、「合うもの」を選ぶよりも「合わないもの」を選ぶほうが解きやすいのです。
選択問題では、各選択肢の「不適切な箇所(本文内容に合わない箇所)」に線を引きましょう。
どこが違っているかを明確にするという意味合いもありますが、答えに迷ったときに「不適切な箇所」を再検証して考えやすくするためです。
選択肢の内容が適切かどうかを考えるには、接続語などの言葉に注目すると良いです。
選択肢に特に下記の言葉が含まれていると、選択問題の不適切な箇所を見つけやすくなります。
これらが入っていれば選択肢の内容と本文内容を照らし合わせて確認します。
など。
また、「欧米人が日本人なみに空気を読むのは絶対無理だ」のように強い断定をしている選択肢は不適切な選択肢である可能性が高いです。
「これは違う」と思った選択肢の番号には×印をつけておきましょう。
ちょっとしたひと手間ですが、選択肢の内容を検討しやすくなります。あとで見直すときも見直しやすいです。
本文のなかで設問に関係している箇所の前後を何度か読み返しましょう。
指示語や接続語の問題は意識して前後を読む子は多いですが、ほかのタイプの問題でも同様に前後を読むことが大切です。
中学入試の国語は記述問題も良く出てきます。
ここでは記述問題で必須の「書く力」を伸ばすテクニックを紹介します。
まず、記述問題では答え方が決まっています。
これらの書き方は「ルール」なので覚えておきましょう。
記述問題が苦手という子は、意外とこうしたところで減点されている場合が散見されます。
たいていの記述問題には字数制限があります。
これもルールなので、覚えておきましょう。
本文中の一部に傍線が引かれ、その箇所について書かせる問題も良く出ます。
そうした問題では、傍線が引かれている箇所の内容を捉えることが解答の第一歩です。
2-3つに区切って考えましょう。
記述問題には2-3つほどの解答ポイントがあります。すべてのポイントを書ければ〇がもらえますが、1つ抜けると減点されます。
なかでも、中心的なポイントが抜けていると減点が大きくなります。
解答のメインのポイントが何なのかを意識して探しましょう。
中心ポイントが分かれば、付随するポイントも見つけやすくなります。
このとき、「このポイントに並列して書くべきものはあるかな?」「このポイントに添加が必要なポイントはあるかな?」と考えます。
このように検討する内容をピンポイントにできれば、付随するポイントをもれなく探し出しやすくなります。
記述問題の苦手な子にありがちなのが、問題と解答のズレです。問題で問われている内容と解答を合わせましょう。
答えが書けたら、問題文を読み、続いて自分の解答を読みます。このときに話がつながっているかどうかを確認すれば、問題と解答のずれを発見しやすくなります。
記述問題は「制限字数内に収めること」が難しいときもあります。
ポイントをすべて書こうとすると字数をオーバーしてしまう場合、内容そのままで短い言葉に置きかえましょう。
動詞を二字熟語にすると勉強を収めやすくなります。
毎日コツコツ勉強する→毎日の勉強 など
たった1~2文字の違いですが、それでも制限字数内に収めるのに結構役立ちます。
前述のように記述問題では本文の言葉を言いかえ、まとめる必要があります。
それができるようになるには一定の語彙力が必要です。
塾や家庭教師が教える国語の長文読解のテクニックを紹介してきましたが、家庭学習だけでも長文の読解力をつけることは可能です。
その学習方法を紹介します。
まず、漢字を毎日コツコツ覚えましょう。
意味を知らない漢字や熟語が本文中に出てくると、本文内容の理解がふわっとしたものになります。
また、記述問題でも漢字の間違いをすると減点になります。
毎日漢字の勉強をしましょう。
長文読解に活かすためにも、漢字は丸暗記ではなく「へん」や「つくり」の意味から覚えるほうが良いです。
例えばのぎへんの漢字ところもへんの漢字は間違いやすいです。
これを覚えておくだけでも漢字を正しく思い出しやすくなります。
語彙力は国語で欠かせません。
本文を読むにも記述問題を解くにも、語彙力のある子が断然有利です。
下記のような語彙問題集を使うと、中学受験に必要な語彙力をつけられます。
ことわざや慣用句も文章中に良く出てきます。
文章で出てきたときには意味だけでなくその言葉の「ニュアンス」が大切です。
例えば長男と三男がおやつを争い、腹を立てた親が次男におやつを全部あげる場面があり、「次男が漁夫の利を得た。」と出てきたとします。
漁夫の利は「第三者が利益を横取りすること」という意味ですから、「次男がおやつを全部もらった」という意味で使われています。
ですが漁夫の利は由来からすると、「争っていた二者が何も得られずあっけにとられるイメージ」もついてきます。
そこから、下記の状況をイメージできます。
「次男はおやつを全部もらってほくほく顔になっている」
「長男と三男はおやつをもらえず悔しがっている」
この情景を頭に思い浮かべて長男・次男・三男の感情や関係性をイメージできるかどうかが、点数の分かれ目になりがちです。
微妙なニュアンスを活用するには、意味の丸暗記では足りません。むしろ言葉の由来を調べるのがおすすめです。
下記の辞典がおすすめです。
いくらテクニックを知っても使いなれていないと役に立ちません。
読み方、解き方が分かったところで週2-3題は初見の文章を読んでテクニックを使い慣れましょう。
読解力を上げるには初見の文章だけでなく、読んだことのある文章の反復読解がおすすめです。
算数や理科、社会なら同じ範囲、同じページを繰り返し解きます。それと同じように国語も同じ文章を3回は解きます。
2-3回目だと答えや文章の内容をある程度覚えています。ただ解くのではなく、文章の内容や答えのポイントを解説しながら解きましょう。
選択問題で「ラスト2つまでは絞れるのに間違えてしまう」「記述問題がいつも△になる(減点される)」ということはありませんか?
長文読解が苦手な子や伸び悩んでいる子の多くは、解答をなんとなく出しています。
解答の根拠を明確にしながら解きましょう。
そのためには問題を解きながら「なぜこれが答えだと思うか」を説明してみることです。
最初は説明が大雑把かもしれませんが、解説と照らし合わせて解答根拠の説明を繰り返すうちに、細部まで明確で、ポイントをもらさない説明ができるようになってきます。
細かいところまで把握できる力がつけば、問題の正答率もグンと高まります。
文章読解に慣れてきたら、次はスピードアップを図ります。制限時間を設定して解きましょう。
たいていの問題集では1題何分で解けばいいか「目安解答時間」が書かれています。
その目安解答時間を意識して解きましょう。
国語の勉強に集中すると、ほかの科目の勉強に手が回らなくなることもあります。
全科目の学習計画を立て、どの科目もしっかり勉強時間を回しましょう。
特に国語の文章読解ができるようになってくると、理科や社会のような暗記モノは面倒くさくなりがちです。後回しにした結果、理科・社会を苦手にしてしまってはもったいないです。
※関連記事:スケジュール管理と勉強時間の生み出し方のコツ
長い文章を読んで問題を解くには、10-20分はじっくり集中する必要があります。
机のうえにモノが散らばっていると途中で気が散りますし、家のなかがにぎやかでも気になってしまいます。
集中して文章を読む環境を整えるのも受験勉強の効率アップの手段です。
※関連記事:勉強の集中力の上げ方
ここまで、読解テクニックをお伝えしてきました。
これらは長文読解が得意な人が実践していることばかりです。得意な人のマネをするのが、「早くできるようになるコツ」と言いかえても良いかもしれません。
もちろん、文章中に線を引かなくてもサクサク読めて高得点を取っている子もいます。
ですが、そういう子は頭のなかで文章を構造化する枠組みができており、線を引かずとも頭のなかに整理された形で入れることができるのです。
得意な人が意識してあるいは意識せずに実践している方法を実践するのが、国語の長文読解を得意にするコツです。
最後に、家庭学習におすすめの国語読解問題集を紹介します。
※関連記事:中学受験をする小学生におすすめの国語辞典
国語が嫌い、問題集なんて手に取りたくない。そんな子には「とっつきやすいマンガ」がおすすめです。ポケモンカードのイラストを手掛ける「佐久間さのすけさん」が絵を担当されています。
漢字にはルビがふってあり、3年生くらいで十分読めます。
早めに読解の仕方を大まかに知っておいてから、本格的な問題集に移ると子どもが取り組みやすいですね。
説明文編はコチラ↓
物語文編はコチラ↓
入試問題を使って文章の読み方を解説してくれるのはもちろん、文章によく出てくる語彙を取り上げ、それらの語彙の意味を丁寧に解説してくれています。
解答テクニックに偏りがちな中学受験の国語対策のなかで、異彩を放っている参考書です。国語嫌いの子に向いています。
物語文の入門編はコチラ↓
物語文の実践レベル編はコチラ↓
説明文の入門編はコチラ↓
説明文の実践レベル編はコチラ↓
最後は文章読解の定番問題集である『中学受験国語 文章読解の鉄則 増補改訂版』です。
前述の『中学受験国語の必須語彙ドリル 』シリーズと同じ著者です。
読解・解答テクニックを指南してくれる、難関中学を目指す5~6年生が必読の1冊です。これ1冊で入試で10点は拾えそうです。
中学受験をする小学生とその保護者の方向けに、個別塾や家庭教師が教える国語の長文読解のテクニックを紹介しました。
集団塾で国語が苦手な子も、これらのテクニックを実践すれば長文読解を得意にしていけます。
この記事で得た知識を積極的に活用し、テストに自信を持って臨んでください。
自宅で本格的な中学受験対策をするなら、Z会が便利です。特に国語や作文の「添削」に力を入れており、Z会だけで難関中学に合格している子も毎年多数います。
Z会 中学受験コースの案内
※Z会の中学受験コースのメリットや活用法を下記の記事で紹介しています。
Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
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