中学受験対策というと塾に通う子が多いです。
ですが、最近では塾なしで受験に臨み、見事に合格を勝ち取る子も増えています(ひまわり教育研究所より)。
塾だと時間的にもかなりしばられてしまいますが、家庭学習を中心にすれば時間の融通がききやすくなります。
そこで、塾なしで中学受験を検討されている方向けに、通信教育と市販教材を組み合わせて受験対策をする方法を紹介します。
塾以外の受験対策を検討される際の参考になれば幸いです。
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塾なしで中学受験を成功させるには、「計画的な学習」と「自己管理」が不可欠です。
まず、どの問題集を使って勉強するかを決めましょう。
算数・国語・理科・社会すべて決めておきます。
この段階ではどの問題集が子どもに合っているかは分かりづらいです。使ってみて、レベルや問題量が合うかどうかを判断します。
なお、1冊解き終えるごとに次の問題集を選択するのはとても大変です。シリーズものを選ぶとその手間を大きく減らせます。
問題集が決まれば、中学入試の日程を確認して入試日までの大まかな学習計画を立てましょう。
計画は年ごと・月ごと・週ごとに立てるのがおすすめです。
どのレベルの問題集を何年生までに終えるかを決め、ページ数を見て月ごと→週ごとの予定学習ページ数を定めます。
しばらく学習を進めると、「どれだけ解けるようになってきたか」を確かめるために模試を受けましょう。
模試は1回受けて終わりではなく、3か月に1回のペースで「同じ模試」を受け続けましょう。そうすれば学力の変化を確認しやすくなります。
勉強していると、さまざまな事情で勉強をつづけるのが難しい時期が発生します。
こういうときでも学習計画からできるだけ外れてしまわないように、毎日我慢強く勉強を続ける必要があります。
受験勉強は主体性が必要で、高いレベルでの自己管理が求められます。
モチベーションが上がらなくてもとにかくその日その日の予定内容を勉強する。間違えた問題は解きなおしをして、また同じ間違いをしないよう気をつける。
周囲の助けを借りつつ、これらの行動を毎日積み上げていきましょう。
中学受験は数年にわたる活動です。
ご覧のように「学習計画」と「自己管理」がカギです。この2点をどう乗り越えるかが中学受験対策で非常に重要です。
中学受験では、学習計画を立て、定期的に学習状況を確認し、場合によっては計画を修正する必要があります。
塾なしでこの壁を乗り越えるにはとても大変ですが、それを可能にするのが通信教育です。
以下に、通信教育をメインに中学受験に備えるアプローチ方法を紹介します。
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まず、中学受験対策で実績を出している通信教育ならしっかりしたカリキュラムが導入されています。
Z会、進研ゼミがその筆頭でしょう。
難関中学受験ならZ会、
中堅校の受験対策なら進研ゼミが強いです。
用意されているカリキュラムに沿って勉強すれば、効率よく、かつ漏れのない受験対策ができます。
※関連記事:Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
※関連記事:進研ゼミ小学講座で効果がでる利用法
通信教育は紙の教材とタブレット型に分かれています。中学受験対策でおすすめなのは断然、「タブレット型」です。
タブレット型の通信教育であれば、子どもの正答状況や学習時期に応じてAIが自動で必要な問題を提示してくれます。
速さの問題で正答率が低ければ速さの問題を多量に頻繁に提示してくれますし、一度学習した範囲も一定期間が経ったあとにAIが「要復習範囲」として提示してくれます。
それに沿って勉強すれば、「やりっぱなし」を防げます。
通信教育の教材は主に月ごとの提示です。それをもとにして、週ごとに何を学習するかを計画しましょう。
通信教育は自己管理が求められますので、進捗管理がしやすい計画を作成し、自分の進度に合わせて調整していくことが大切です。
通信教育でも定期的に模擬試験を実施しています。模擬試験を受験して、自分の実力を確認しましょう。
模擬試験を通して問題の傾向や弱点を洗い出し、対策を講じることが重要です。
模試については、通信教育だけではなく塾のものも定期的に受けましょう。理由は下記の3点です。
通信教育だと自宅受験ですから、リラックスした雰囲気で受けられます。
ですが入試本番はライバルにまじって、緊張感のある雰囲気のなかで問題を解きます。
何度もそういう場面でテストを受け、試験慣れしておく必要があります。
また、模試は、ベースとなる教材があります。塾の模試なら塾教材ですし、通信教育の模試ならその通信教育が出版している教材がベースです。
どの教材も問題の作成傾向が違っています。いつも勉強しているのと少しタイプの違う問題を解き、対応力をつけるのも大切です。
タブレット型の通信教育では要復習問題を自動で提示してくれます。
タブレットが提示してくれるタイミングで復習しても模試で正解できていなければ、改善が必要です。
復習した後に、もう1度復習するタイミングをつくるなど、復習のタイミングや頻度を工夫する必要があります。
通信教育を進める上で、親のサポートが大切です。
子どもがいきなり一人で進めるのは大変です。「今日は勉強する気分じゃないからやらない」となる場合もあります。
勉強はしたりしなかったりでは成果につながりにくいです。
週1回、場合によっては毎日進捗や理解度を確認してあげる必要があります。
慣れてきて子どもが一人で取り組めるようになってきたら、進捗確認のペースをゆるめてみても大丈夫でしょう。
通信教育は普通、提出物があります。
受講している子どもにはそれぞれ担当者がついており、提出物を出すと担当者からのコメント付きでフィードバックされます。
1人で勉強を続けるのはとても大変ですが、毎月の提出物やそのフィードバックを活用すれば、自己管理の助けにもなります。
通信教育がいくら便利で効率良くても、それだけでは限界があります。
中学受験で求められる思考力や論理性を伸ばせる家庭学習教材はたくさんあります。
本棚に辞書を置き、壁に日本地図や歴史年表を貼り、図鑑やパズルを置いておきましょう。
リビングをまるごと「学びの場」にしてしまえば、子どもの好奇心を刺激しながら、必要なときにサッと取り出しやすくなります。
※関連記事:中学受験をする小学生におすすめの国語辞典
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通信教育をメインに勉強していて、どうしても苦手な範囲が出てきます。
苦手範囲は市販教材で補うのが便利です。
など、市販教材はテーマや使用目的が明確になっているため、必要な範囲をピンポイントで補えます。
通信教育にはいくつもメリットがありますが、そのうちの1つは「費用の安さ」です。
4~6年生の費用総額(目安) | |
大手塾(首都圏、関西) | 250万円 |
Z会 | 最大130万円 |
進研ゼミ | 20~25万円 |
大手塾なら4~6年生で総額250万円はかかります。
一方、Z会なら特別講座などすべて受けても3年間で130万円ほど、進研ゼミなら総額25万円以下で十分対策ができます。
※関連記事:中学受験の塾費用はいくらかかる?
ここまで、通信教育をメインに市販教材をフォローに使う中学受験対策の方法を紹介してきました。
そもそも、塾なし中学受験にはどのようなメリットがあるでしょうか。
塾なしで中学受験に挑戦することで、自己学習のスキルが向上します。
学習計画をたて、学習の進捗を管理する経験は、将来の自己管理能力にもつながります。
塾に通う必要がないため、学習のスケジュールを柔軟に調整できます。
習いごともできますし、送り迎えの必要もありません。
塾だと6年生夏以降は週6~7日は塾通い必須ですが、勉強さえしっかりしていれば柔軟なスケジュールで生活できます。
自分の生活リズムに合わせて学習でき、他の興味や活動にも時間を割くことができます。
前述のように、塾に通うための費用は4~6年生で総額250万円ほど必要です。
通信教育をメインにするとそこまでかかりません。
塾なしの場合、自分の学習ペースに合わせて進めることができます。
難しい箇所をじっくり理解するために時間をかけることができますし、逆に苦手な箇所はじっくり取り組めます。
塾なしで学習することで、自分に合った学習スタイルを見つけることができます。
これは将来の学習においても役立ちます。
一方、塾なし中学受験にもデメリットはあります。
塾なしでの受験は自己責任が大きいため、学習の方針があいまいになる可能性があります。
塾のように専門家による的確なアドバイスがない中、志望校合格までの計画をたてる難しさがあります。
通信教育は家庭学習が原則ですから、勉強はあくまでひとりです。
塾に通っている子と比べて、他の子と切磋琢磨する機会が乏しいです。
これが理由でモチベーションが低下するタイプの子には、通信教育はあまり向いていないかもしれません。
塾に通わないと、受験のプロからのアドバイスを受ける機会が制限されます。
特に、成績不振時の専門的な相談相手がいないと強く不安に感じる人もいます。
塾なしの場合、緊張感のある雰囲気での受験経験が乏しくなります。
普段と異なる状況での試験に慣れていないと、普段どおりの実力を発揮するのはむずかしいです。
ただし、これに関しては前述のように塾の模擬試験を定期的に受けることでかなり解消できます。
塾なしの場合、親がサポートする役割が強く求められます。
塾に通っている子に対しても親のサポートは極めて重要ですが、家庭学習メインだとその傾向はさらに強くなります。
※関連記事:中学受験成功への道:親によるスケジュール管理と勉強時間の生み出し方のコツ
勉強しない子に「とにかく塾に行って自習してきなさい!」という奥の手が使えず、親もストレスを抱えてしまうかもしれません。
親が忙しい場合には、子どもがずっとダラダラ過ごしてしてしまうリスクもあります。
ただし、こういう子の場合、塾に行かせたからといって状況が劇的に改善することは少ないです。しばらく様子を見ながら声かけをするタイミングをはかることになるでしょう。
以上のように、中学受験対策では「学習計画」と「自己管理」が不可欠です。
2点のうち「学習計画」については通信教育で十分です。
志望校の難易度に応じてZ会、進研ゼミの選択を分けておくのがおすすめです。
学習状況を見てフォローが必要そうな範囲は、市販教材を追加投入すれば十分に補えます。
苦手な範囲を克服するのにおすすめの問題集を紹介します。いずれもAmazonのPRリンクをつけているので、リンク先でお得に購入いただけます。
中学受験算数は割合と比、図形との戦いでもあります。
割合、比、図形の苦手を克服できる問題集を紹介します。
中学入試算数を分野別に対策するためにつくられており、標準レベルの問題をしっかり演習できます。
解説が見やすいので通常の問題集だと分かりづらく感じる子も、ひとりで勉強しやすいです。
平面図形↓
立体図形↓
中堅校までの私立中学対策におすすめです。
割合や比、速さを基本から標準レベルまで解説してくれており、「絶対に必要なもの」が網羅されています。
つづいて、国語の苦手を克服しやすい問題集の紹介です。
Amazonへのリンク(PR)をつけています。
最初は語彙を豊富にするためのドリルです。
中学受験国語の読解対策で有名な『鉄則』の著者である井上秀和先生による著書です。
中学受験に必要な語彙が「必要なものすべて」載っており、その解説もくわしいです。
後半はドリル形式で演習もできるため、「読んで終わり」にならないのも家庭学習でありがたいポイントです。
国語が嫌い、問題集なんて手に取りたくない。そんな子には「とっつきやすいマンガ」がおすすめです。ポケモンカードのイラストを手掛ける「佐久間さのすけさん」が絵を担当されています。
漢字にはルビがふってあり、3年生くらいで十分読めます。
早めに読解の仕方を大まかに知っておいてから、本格的な問題集に移ると子どもが取り組みやすいですね。
説明文編はコチラ↓
物語文編はコチラ↓
つづいては、『合格する国語の授業 (中学受験 「だから、そうなのか! 」とガツンとわかる)』です。
入試問題を使って文章の読み方を解説してくれるのはもちろん、文章によく出てくる語彙を取り上げ、それらの語彙の意味を丁寧に解説してくれています。
入試問題を使って文章の読み方を解説してくれるのはもちろん、文章によく出てくる語彙を取り上げ、それらの語彙の意味を丁寧に解説してくれています。
解答テクニックに偏りがちな中学受験の国語対策のなかで、異彩を放っている参考書です。国語嫌いの子に向いています。
4年生~6年生におすすめです。
物語文の入門編はコチラ↓
物語文の実践レベル編はコチラ↓
説明文の入門編はコチラ↓
説明文の実践レベル編はコチラ↓
理科の苦手克服に便利な問題集を紹介します。
最初のおすすめは「魔法ワザ」シリーズです。
中学受験の大家である西村先生監修で、特に中堅中学で理科を高得点にしたい人や、難関中学の理科で苦手を克服したい人におすすめです。
計算問題編はコチラ↓
思考力問題対策編はコチラ↓
表とグラフの対策はコチラ↓
「最強」とタイトルにありますが、理科がすでに得意な人だけでなく「これから理科を得意にしたい人」にもおすすめです。
論述問題に解答するには「なぜそうなるのか?」を理解しておく必要があります。この問題集には小学生にとって盲点になりやすい(「言われてみればなぜそうなるのか分からない」と感じるような)ポイントがたくさん詰まっています。
毎日少しずつこなせば徐々に理解が進み、理科を得意にしやすくなります。
最後に、社会の苦手克服いに便利な問題集や図鑑を紹介します。
最初に紹介するのは、イラストで分かりやすく日本史の流れやポイントを解説してくれている図鑑です。
中高生向けにつくられたそうですが、イラストが多いので小学生にも分かりやすく、中学受験で問われる内容をしっかり網羅してくれています。
歴史が苦手で、人物の相関関係や出来事の内容が良く分からない子に特におすすめです。
つづいて、「わかる社会」シリーズです。
教科書と資料集を足して2をかけたような詳しさです。これ1冊で中学入試の社会を広くカバーできます。
併用して勉強しやすい「問題集」もあります↓
難関中学受験対策用の定番参考書です。問題数はやや少ないですが、資料による解説が豊富です。
1冊を最初から最後まで読むというより、別の問題集を解いていて分からないときや知識を補充したいときに使うと便利です。
難関中学対策として必須の記述問題対策です。
難関中学受験者だけでなく、社会をある程度覚えたけれどいまひとつ高得点を取れないという人にもおすすめです。
覚えたのにテストで思い出せないのは「用語や人名などのつながりや背景」の知識が不足していることが原因です。
記述の勉強をとおして「なぜそうなるのか?」を学べるので、ストーリー性を持って覚えることができます。
いかがでしょうか。
中学受験をする保護者の方向けに、塾なしで通信教育をメインにした受験対策の方法を紹介しました。
中学受験には学習計画と自己管理が重要です。通信教育には優れた学習計画があり、自己管理をサポートできるツールもあります。
費用も塾に比べてとても安く、習い事など柔軟なスケジュール調整が可能です。
また、苦手範囲は市販の問題集を使って克服しましょう。
子どもの性格やご家庭の方針に合う中学受験対策ができることを祈っています!
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