中学入試でほぼ必須の理科。ばねや水溶液、星座など、理科を苦手にしている中学受験生は少なくありません。
算数や国語は得意にするのに時間がかかりますが、理科は短時間・短期間の勉強で得点アップができる科目です。
そこで、理科に苦手意識のある中学受験生向けに、理科が苦手になる原因と対策方法を紹介します。
中学受験生が苦手になりやすい単元をピックアップして、その対策法も紹介しています。
理科を得意にして、塾内の模擬試験や入試で得点源にしてしまいましょう!
※関連記事:中学受験の理科でよく出る問題の一問一答
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勉強をがんばっているのに理科で良い点数が取れるようにならない。
こうなってしまうのにはいくつかの原因が考えられます。
※関連記事:【中学受験】塾に通っているのに成績が伸びない理由とは?
まず、理科の用語をしっかり暗記できているか確認しましょう。
理科は暗記が7割です。覚えないといけない用語や知識がたくさんあります。
入試傾向が変わって思考力が問われるようになっても、用語を覚えていない状態では点を取りづらいです。
覚えていないと解けない問題が多数あるからです。
しっかりと覚えるようにしましょう。
用語を覚えている、問題集の知識確認のページは解ける。それなのに問題を解けない場合、用語の意味を理解できていない可能性があります。
例えば「双子葉類」は「被子植物のなかで、子葉が2枚ある植物。根は主根と側根あり、くきの維管束は輪状で、葉脈はあみの目状」です。
「被子植物のなかで、子葉が2枚ある植物。根は主根と側根あり、くきの維管束は輪状で、葉脈はあみの目状の植物を何というか?」と問われたら「双子葉類」と解答できても、「双子葉類はどのような植物か」を説明できるでしょうか。
入試や5年生以降の模擬試験では「~は何ですか?」と問う問題はほとんど出ません。
むしろ、「双子葉類と単子葉類の特徴の違いを覚えているかを問う問題」や「特徴の違いを踏まえた思考力問題」が出ます。
用語は覚えるだけでなく、意味や違いも覚えるようにしましょう。
理科では実験・観察問題がよく出題されます。実験・観察の目的を知らないと、問題を解いていても何をしているのかよく分からず、応用問題に対応しづらくなります。
何の実験なのか、どのような状況を確認するための観察なのか、目的を確認しておきましょう。
理科では計算問題もたくさん出てきます。そのため、算数の計算力も一定程度求められます。
分数や比例式、□を使う計算式はすらすらと解けるようにしておきましょう。
理科は単元ごとに計算式が異なるため、計算式を覚えていなかったり、覚えていてもどの問題でどの式を使えば良いか分からないという子は多いです。
難関中入試なら理科はほぼ計算か記述ですし、そうでなくても計算問題次第で得点が大きく変わります。
単元ごとに式を覚えなおし、演習をしておきましょう。
※関連記事:中学入試の理科でよく出る計算問題の公式一覧とおすすめの計算問題集
※関連記事:【中学受験】理科の計算問題を解くコツ
知識があって計算問題が苦手ではないのに応用問題で苦労する場合、問題演習が足りていないかもしれません。
理科は単元ごとに出題ポイントが決まっており、問題パターンも限られています。
問題を見てすぐ「あのタイプの問題だな」と思いつくぐらい問題に慣れておくと、かなり解きやすくなります。
入試必出の思考力問題は大抵、問題文が長いです。先生と生徒の対話形式のものや、実験条件が3段階になっているものなど、問題文を読んで内容を把握するだけでもハードルが高いです。
あきらめて問題文を読まずに解いてしまう子もいますが、内容をしっかり理解してポイントを整理しながら読めるようになる必要があります。
以前解けた問題でも、しばらく復習をしていないと用語や性質などを忘れてしまいます。
理科はほかの科目と違って単元ごとにほぼ独立しているため、忘れやすい科目です。
ここからは、理科の苦手を克服するための対策をお伝えします。
理科は勉強の順番が大切です。
用語の暗記→実験・観察問題→過去問の順に解くようにしましょう。
知識をつけてから実践問題に入ると非常に解きやすくなり、苦手克服しやすいです。
用語や性質、実験手順などを暗記するには一問一答が便利です。覚えもれがあればすぐ発見できます。
一問一答ですべて覚えてしまいましょう。
※関連記事:中学受験の理科でよく出る問題の一問一答
用語を覚えられたら、その用語の意味を説明してみましょう。
前述の例のように、「被子植物のなかで、子葉が2枚ある植物。根は主根と側根あり、くきの維管束は輪状で、葉脈はあみの目状の植物を何というか?」という問題で「双子葉類」と答えられるようになったら、「双子葉類はどのような植物か?」を説明してみます。
この4つのポイントをすべてスラスラと言えるまでアウトプットを繰り返します。
一問一答形式などで用語を覚えたら、このように用語の意味や性質などを思いだせるよう繰り返しアウトプットします。
用語を説明できるようになったら、実験・観察問題の演習に入ります。
このとき、大問1つずつ「答え合わせ→間違いなおし」をします。
ときどき、自習中に8ページくらい問題を解いてから、「ふ~やれやれ」と言わんばかりに意気揚々と答え合わせをはじめる子がいます。
これはあまり効果的な勉強方法ではありません。
理科の問題パターンは限られているので、同じポイントで同じような形式の問題が繰り返し登場します。
何ページも解いてから答え合わせをすると、間違えていることに気づかないまま同じ間違いを2回3回と繰り返している可能性が高いです。
大問ごとに答え合わせをすれば早く間違いなおしができ、次のページで同じような問題が出てきたら正解しやすくなります。
「答え合わせ→解きなおし→次の問題で正解」
このサイクルを早く回すと、苦手を早く克服できます。
苦手分野を見つけるには、模擬試験が便利です。模擬試験の成績表をみて得点の低い大問を見つけましょう。
算数や国語だと得点の低い大問があっても、原因が計算ミスだったり比や割合の理解度不足だったり、あるいは語い不足が原因で長文読解がむずかしくなっていたりします。
※関連記事:中学受験算数の成績アップ:塾で勉強しているのに伸びない原因と対策方法
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理科は単元ごとに構成されていますから、得点をあまり取れていない大問を復習すれば次の模擬試験では点を取れるようになります。
苦手分野が分かったら、「いつ復習するか」を学習予定に組み入れましょう。
5年生や6年生では塾の宿題が忙しくなり、特に算数にかなり時間を取られてしまいます。
そのため、理科の復習は後回しにしてしまうことがよくあります。
ですが、理科は復習さえすれば即戦力になります。どの単元をいつ復習するか決めておきましょう。
そうして3~4単元も復習すると、模擬試験でも点を取りやすくなるのを感じるはずです。
復習するときには図鑑や参考書を併用すると理解しやすくなります。
問題集はどうしても文字やビーカーなどのイラストばかりです。印象に残りにくく、これが理科の苦手を生む一因になっています。
理科の図鑑や参考書はカラーのものが多く、液体の色の変化、炎の大きさ、実験手順などが分かりやすいです。
問題を解いたら、解説を読みながら図鑑・参考書も目をとおすようにしておきましょう。
※関連記事:中学受験をする小学生におすすめの図鑑(理科、社会、国語、算数)
※関連記事:中学受験理科のおすすめ参考書
中学入試で出る思考力問題は、複数のグラフや表の分析・対話文などが多いです。問題文が長くなるうえに、問題集で見たことのない問題ばかりです。
通常の問題集では対策しづらいので、思考力問題用の問題集で演習しましょう。
また、記述問題は配点が大きく、高得点を取れるかどうかの分けれ目のひとつです。
苦手意識のある人はきっちり対策しておきましょう。
※関連記事:中学受験の理科でよく出る記述問題
6年生になったら一度、志望校の過去問を解いてみましょう。
志望校の出題傾向を知り、その後どの範囲を勉強すれば良いかを知るためです。
塾に通っている人は過去問をするタイミングが決められているので、そのタイミングまで待つほうが無難です。
塾に通っていない(通信教育や家庭教師など家庭学習中心)人は3-4月から月1回のペースで解くのがおすすめです。
※関連記事:塾なし中学受験の新戦略:通信教育と市販教材で合格へのスマートな道
※関連記事:難関中学に合格できる勉強法:家庭でできる取り組み方法
入試に出やすいのに中学受験生が苦手になりやすい単元がいくつかあります。
各単元の勉強法を紹介します。
まず、ばねの勉強法を紹介します。
ばねは重さを扱う単元です。
まず、下記の2つの用語を区別しましょう。
ばねに重りをつるすと、重さに応じてばねが伸びます。
1gで1cm伸びるばねなら、2kgつるすと2cm伸びます。
下記の表のようになります。
重りの重さ | 1kg | 2kg | 3kg | 4kg |
ばねの伸び | 1cm | 2cm | 3cm | 4cm |
このように、重さが2倍になると伸びも2倍になっていく関係を「比例」といいます。
逆に、重さが2倍になると伸びる長さが半分になっていく関係を「反比例」といいます。
ばねの問題では、比例の関係になっているのか反比例の関係なのかを区別するのがポイントです。
ばねにはもともとの長さがあります。「ばねの長さを求めましょう」と問う問題では、下記のように求めます。
ばねの元の長さ+伸びたばねのながさ=ばねの長さ
10cmのばねで、1kgの重りで1cm伸びるばねなら下記の表のようになります。
重りの重さ | 1kg | 2kg | 3kg | 4kg |
ばねの伸び | 11cm (10cm+1cm) | 12cm (10cm+2cm) | 13cm (10cm+3cm) | 14cm (10cm+4cm) |
ばねを2本つないで重りをつるすと、ばねののびる長さが変わります。
ばねのつなぎ方には2種類あり、直列つなぎと並列つなぎです。
2つのばねを縦につなぐ方法を「直列つなぎ」と言います。
直列つなぎの場合、ばねののびる長さは2倍になります。
直列つなぎで4本つなぐと、4本のばねののびる長さは4倍になります。
直列つなぎなら比例の関係になります。
2つのばねを横につなぐ方法を「並列つなぎ」と言います。
並列つなぎの場合、1本ごとのばねののびる長さは半分(1/2)になります。
4本のばねを並列につなぐと1本ごとのばねののびる長さは1/4になります。
並列つなぎなら反比例の関係になります。
つづいて、かっ車の勉強法を紹介します。
かっ車の問題を解くには定かっ車と動かっ車の違いを区別します。
(1)100gの重りを10gの定かっ車3つと組み合わせたとします。
ひもを何gの力で引けばつり合うでしょうか?
(答え)130g
(重り100g+10gの定かっ車3つ)
(2)100gの重りを動かっ車と組み合わせて、重りを20cm動かしたいとします。
ひもを何gの力で何cm引っ張れば良いでしょうか?
(答え)50gの力で40cm
(力は半分:100g→50g、引く長さは2倍:20cm→40cm)
次に、電流の勉強法について紹介します。
まず、電気をとおすものととおさないものを区別しましょう。
電気をとおすもの | 金属:金、銀、銅、アルミニウムなど 金属以外:半導体、炭素 |
電気をとおさないもの | 紙・木・プラスティック・ゴム・ガラス |
電気をとおさない水溶液 | 砂糖水・アルコール水溶液・デンプン水溶液 |
この違いを区別できていないと解けない問題も多数出てきます。
中学入試でよく出る豆電球の問題。電池のつなぎ方やつなぐ数で豆電球の明るさが変わります。
以下の表をしっかり覚えておけばかなり解きやすくなります。
直列 | 並列 | |
電池のつなぎかた | 2つ・3つつなぐと、 2倍・3倍明るくなる | 変わらない |
豆電球のつなぎかた | 2つ・3つつなぐと、 明るさは1/2倍・1/3倍に | 変わらない |
2つ以上の抵抗を組み合わせて1つの回路にする合成抵抗。中学入試で多くの受験生を悩ませる問題です。
解き方が複雑に感じられるのは、解く手順が複数に分かれているからです。
抵抗が1つしかない回路では、抵抗→電流を求めれば終わりです。
ですが合成抵抗の場合、「全体の抵抗」「全体の電流」が加わります。
下記の手順で解くと解きやすくなります。
水溶液の問題や酸性・アルカリ性などの問題も良く出てきます。
覚えることも多く、苦手にしている人が多いです。
覚えるべきポイントや勉強法をお伝えします。
まず、水溶液の名前から何の物質が溶けているのかを見分けます。
例えば食塩水なら、食塩と水に分けられるので、溶けている物質は「食塩」だと分かります。
つづいて、その溶けている物質の液性(酸性・アルカリ性・中性)を見分けます。
丸暗記でも良いのですが、下記の2点である程度覚えられます。
次に、水溶液に溶けている物質のにおいを覚えましょう。
中学入試に出てくる水溶液は限られているので、ほぼ丸暗記で対応するのが早いです。
物質名 | 液性 | におい (ある:〇 ない:×) |
塩化水素 | 酸性 | 〇 |
す(酢) | 〇 | |
二酸化炭素 | × | |
ホウ酸 | × | |
アルコール | 中性 | 〇 |
砂糖 | × | |
食塩 | × | |
アンモニア | アルカリ性 | 〇 |
アンモニア | 〇 | |
水酸化ナトリウム | × | |
水酸化カルシウム | × | |
炭酸水素ナトリウム | × |
リトマス紙やBTB溶液など指示薬による色の変化も中学入試に頻出です。
変化の一覧下記の表にまとめています。覚えておきましょう。
指示薬 | 強い酸性 | 弱い酸性 | 中性 | 弱いアルカリ性 | 強いアルカリ性 |
リトマス紙 | 青→赤 | 変化なし | 赤→青 | ||
BTB溶液 | 黄 | 緑 | 青 | ||
フェノールフタレイン溶液 | 無色 | うすい赤 | 赤 | ||
万能試験紙 | オレンジ | 黄 | 緑 | 青 | 紫 |
ムラサキキャベツの汁・ブドウなど | 赤 | 赤紫 | 紫 | 緑 | 黄 |
理科の問題は実験結果を示すグラフや表が必ず出てきます。
特に化学分野は実験中心です。
液体や気体の性質を暗記できたら、グラフや表の問題をたくさん解いて慣れましょう。
星座は覚えることが多く、興味のない人には敬遠されがちです。
ですが、しっかり覚えておけば誰でも高得点を取れる範囲です。
おすすめの勉強法を紹介します。
まず、春・夏・冬の大三角を構成する星座と星をすべて覚えておきましょう。
また、以下の図鑑には上記の大三角を覚えるための歌も収録されています。
すごく覚えやすいかというと必ずしもそうではありませんが、優しい歌声とメロディが耳に残ります。
大三角を構成する星はほとんど一等星ですが、しし座の二等星デネボラだけ二等星です。
合わせて覚えておきましょう。
中学入試では北極星の見つけ方も出題されるときがあります。
星は時間の経過とともに東→西へと動いていますが、北極星は常に真北にあります。
そのため、方角を把握するのにもつかわれます。
北斗七星を使うと北極星がどこにあるか見つけやすいです。北斗七星はひしゃくの形をしており、以下の手順で見つけられます。
カシオペヤ座を使っても北極星を見つけられます。
下記の手順を覚えておくと便利です。
最後に、理科の苦手克服に役立つ問題集を紹介します。
AmazonのPRリンクをつけているので、Amazonリンク先で内容を確認いただけます。
タイトルどおり、それまで苦労していた理科の問題をスラスラ解けるようになるコツがたくさん掲載されています。
計算問題対策、グラフ・表の対策を解くコツがたくさん掲載されています。
対象は中堅校~上位校をねらう人や難関校志望者で理科が苦手な人です。
表・グラフの問題集はコチラ↓
入試前の実践力アップならコチラ↓
こちらは過去に入試問題のなかから出題頻度の高い問題を厳選して掲載しています。
出る順のようなコンセプトで、対象も中堅校~上位校までです。
こちらは問題集ではなく、中学受験生向けの理科の読み物です。
光合成の仕組みなど、150ほどのテーマについてサクっと解説してくれています。
理科の勉強に疲れてきたときにちょっと手に取って読むと、理科への興味がわいて勉強のモチベーションが復活するかもしれません。
いかがでしょうか。
理科が苦手な中学受験生向けに、苦手克服できる勉強法を紹介しました。
また、てこ・ばね・かっ車・化学変化・星座など、入試で差がつく単元を解けるようになるコツも紹介しています。
単元ごとに計算問題の解き方を覚え、反復演習して解きなれましょう。
理科を得意にして、志望校合格を勝ち取りましょう!
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