東京都は中学入試が盛んです。私立中学だけでなく公立中高一貫校も人気があり、難易度も非常に高いです。
そこで、この記事では東京都立桜修館中等教育学校の試験情報を紹介し、適性検査の傾向と対策を説明します。
6年間の教育環境だけでなくその後の進路にも大きな影響を与える受検ですから、しっかり情報収集して対策したいですね。
※関連記事:公立中高一貫校の魅力とは:学校の種類や入試制度について解説
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東京には11校の公立中高一貫校があります。
桜修館中等教育学校の入試対策について、概要から紹介します。
都立桜修館中等教育学校の偏差値は男子66、女子68です(首都圏模試センターより)。
ただし、公立中高一貫校の偏差値は参考程度にとどめておきましょう。当日の問題によって大きく得点が変わります。
±10くらいの幅で捉えるほうが良いでしょう。
都立桜修館中等教育学校の進学実績は下記のとおりです。
国公私立大学(一部) | 現浪 | 現役 |
北海道 | 3 | 1 |
東北 | 2 | 1 |
東京 | 1 | 1 |
一橋 | 6 | 6 |
東京医科歯科 | 1 | 1 |
横浜国立 | 17 | 17 |
早慶上理 | 165 | 159 |
※最新の状況はHPなどでご確認ください。
都立桜修館中等教育学校の選抜方法を確認します。
「報告書300点」+「適性検査700点」の「合計1000点満点」で選抜されます。
報告書というのは、5、6年生の2年間の成績です。
配点は下記のとおりです。
5年生:9教科×25点満点⇒225点
6年生:9教科×25点満点⇒225点
9教科:国語・算数・理科・社会・音楽・図画工作・家庭・体育・外国語
合計450点を300点に換算します。
当日の適性検査は下記のように分かれています。
適性検査Ⅰ:100点満点→200点に換算(45分)
適性検査Ⅱ:100点満点→500点満点に換算(45分)
合計700点満点で計算します。
概要が分かったところで、桜修館中等教育学校の適性検査対策を問題ごとに見てみましょう。
※関連記事:都立の中学受験に合格できる問題集
つづいて、東京都立桜修館中等教育学校適性検査の対策方法を見ていきましょう。
まず適性検査Ⅰから紹介します。適性検査Ⅰは国語の長文読解です。
この試験の方針は下記のように規定されています。
文章の内容を的確に読み取ったり、自分の考えを論理的かつ適切に表現したりする力をみる。
東京都立桜修館中等教育中学校 適性検査問題等より
説明文を2つ読み(合計2ページほど)、以下の問題に答えます。
(1)本文中の傍線部について、本文で挙げられている具体例以外で考えられる場面を答え、その場面を選んだ理由を25字以内で説明してください。
(2)本文中の傍線部について、「筆者はなぜそのように主張しているのか」を100字以内で説明してください。
(3)本文内容をもとに、あなたが考える学校で学んだこと、今後学校で学びたいことを400字以上500字以内で書いてください。
文章2つを読んで問題に答えるため、長文読解力を高いレベルで求められます。
これら3点を適切に捉えながら読む練習が必要です。
前述のように、桜修館中等教育学校では本文内容に関する問題が出されます。
これら2点を記述する練習と、そのための語彙力を高めるようにしましょう。
適性検査Ⅰでは、本文内容をもとにして受験生自身の意見を500字以内で書かせる問題も出ます。
文章を読んでその内容を捉えるだけでなく、その内容を自分のこれからの生活や意見につなげていきます。
国語の授業でも、本文をただ読んで終わりにならず、「その登場人物はなぜそのような言動を取ったのか」「自分ならどうしていたと思うか」を言葉にする練習をしましょう。
適性検査Ⅱは算数・理科・社会の資料問題です。
この試験の方針は下記のように規定されています。
資料から情報を読み取り、課題に対して思考・判断する力、論理的に考察・処理する力、的確に表現する力などをみる。
東京都立桜修館中等教育中学校 適性検査問題等より
以下のような図・グラフが出されます。
オリジナルのカードゲームが提示され、登場人物2人の会話を読みながら問題文や図に示されている条件に沿って問題を解きます。
この過去問では、ゲームのポイントを集計する以下のような表も示されていました。
これらのルールをもとにゲームをしたところ、「おさむ」「さくら」「みやこ」「ひとし」のうち「さくら」が2位になったと会話文中にあります。
これらの内容をもとに、「対戦表を完成させましょう(誰が誰に勝って、何ポイントを獲得したかを記入する)」という問題が出ます。
制限時間(45分)に比べて問題文が長いです。
計算に手間取ってしまうと時間が足りなくなる恐れがあります。
日ごろから速く・正確に計算する練習をしておきましょう。
算数で苦手単元が1つもないようにしておきましょう。
適性検査は問題数が少なく、1問あたりの配点が高いです。速さ・割合・図形などで苦手分野が1つでもあると、その問題が影響して得点が大きく下がります。
適性検査Ⅱではオリジナルの状況や設定がされ、その説明文(対話文)が長々とつづきます
問題文をはやく適切に読み取り、問題ごとに設定されている状況や条件を整理しましょう。
さらに適性検査Ⅱでは、「条件を論理的に整理して解く力」が問われます。
前述の問題のように、数名の児童の発言内容とオリジナルのゲームルールから状況を整理します。
『5分で論理的思考力ドリル』などで練習すると条件を整理する力がつきやすいです。
また、数字ロジックやロジックパズルを使うと楽しく論理性や集中力を養えます。
※関連記事:子ども向けロジックパズル
理科や社会の問題では以下のようなグラフがよく出てきます。
日常生活にも関係する内容で、グラフを見て解きます。
出てくるグラフはいずれも初見なので、事前に内容を覚えておくことはできません。普段からグラフを見慣れておく必要があります。
新聞や社会の資料集でグラフが出てきたら、以下のような視点で考えてみましょう。
理科分野については以下のような資料が提示されます。
プラスチック・金属・工作用の板の3種類の板をくっつけて斜面をすべらせる実験です。
どの板をどの順番でくっつけるか、組み合わせや順番を変えて6パターンの実験をしています。
このように、適性検査Ⅱの理科の実験は、教科書や問題集に載っていないオリジナルの実験について、実験条件が提示されて実験結果を予測したり結果の考察を書いたりします。
生物・地学・物理・化学の知識を満遍なくつけましょう。
適性検査は知識を問う問題ではありませんが、苦手分野があると問題を解きづらくなります。
実験をしてみる
試験に出てくる実験はオリジナルですから、事前に結果や考察内容を暗記しておくことはできません。
実験条件をみてそれぞれの違いや共通点を整理し、条件を論理的に整理して解く力が問われます。
日ごろから、理科の勉強では「暗記一辺倒」にならないようにしましょう。
家庭でできる科学実験もたくさんありますので、遊びながら実験条件をいろいろ変えてみて親子で話し合うのも適性検査対策になります。
以下の図鑑に家でできる科学実験がくわしく紹介されています。
また、数字ロジックやロジックパズルを使うと楽しく論理性や集中力を養えます。
※関連記事:子ども向けロジックパズル
適性検査の対策に便利な問題集を紹介します。
前述のように適性検査では思考力・分析力・表現力が求められており、それらの力をどう活かせばいいかを、問題演習をとおして身につけます。
算数的分野↓
理科的分野↓
社会的分野↓
出版社:朝日学生新聞社
特徴:
公立中高一貫校の教育方針に、将来、国際社会で活躍できるリーダーを育てることが
Amazonより引用
あります。リーダーには、身の回りの事象を数理的に分析・考察し、課題を解決する力、
課題を総合的に解決する力などが求められます。
算数分野の適性検査では、ものごとを数理的に分析・考察し、課題を解決する能力の
基礎が問われます。問題を解くためには、次のような力が必要となります。
●問題文を正確に読む力
●条件を整理し分析する力
●問題の本質や着眼点を見つける力
●解き方を工夫する力
●なぜ、そのような考え方、解き方で答えを求められるのか、理論的に説明する力
この本では、全国の適性検査から厳選した過去問をもとに、分野ごとに系統立てて、頻出問題の傾向と対策を伝授します。
中には難しい問題もありますが、これらの問題を解くことによって、一つひとつ求められる力を養ってください。
資料問題編↓
数と図形編↓
生活と科学編↓
出版社:東京学参
特徴:
【 公立中高一貫校適性検査対策問題集 資料問題編 】解答解説付き
●全国の中高一貫校の適性検査の問題から、資料をもとにした問題(理科・社会分野)を選び出し、10パターンに分類。
●地図やグラフ・表の読み取りなど資料を用いた問題対策に。着眼点、考え方・解き方をていねいに示した例題と的確なヒントが参考になる練習問題です。
●各単元ごとに集中的に取り組み、問題のパターンを掴めるようになりましょう。苦手単元の克服にもおすすめです。自分の力で公立中高一貫校適性検査を攻略するための一冊
Amazonより引用
・公立中高一貫校適性検査必須の出題形式「資料を使って解く問題」を完全攻略
・実際の出題から良問を精選
・資料をもとにした問題を選び、10パターンに分類
・例題で考え方・解法を身につけ、豊富な練習問題で実戦力を養う
・複合問題にも対応できる力を養う
問題のボリュームが多く、6年生がさまざまなパターンをしっかり演習するのに適しています。
東京では公立中高一貫校の難易度が非常にたかいです。
塾に行って対策するほうが良いのかなと気になるご家庭も多いと思います。
家庭だけで取り組むことも可能ですが、ラスト1-2年は塾に行くほうが便利でしょう。
子どもが4年生くらいまでなら、まずご家庭で対策しておきましょう。
具体的には下記の3点です。
塾に行く場合でもこれら3点は実施しておくほうが良いです。
算数の先取り学習や国語の長文読解の勉強には市販の問題集も便利です。
解説が丁寧で分かりやすく、繰り返し練習できます。
また、記述問題の解答にはルールがあるので、問題集でしっかり覚えて慣れておくと良いでしょう。
※関連記事:中学受験国語の記述問題を解くコツと自宅でできる勉強方法
※関連記事:中学受験国語の記述対策問題集
家庭学習に取り組まれていても、やはり5-6年生くらいになると塾で対策するほうが安心です。
必要な対策を網羅できますし、受検まで間に合うカリキュラムで勉強に取りくめます。
子どもによって得意・不得意は発生しますから、不得意内容については家庭で特訓するなどすると効果的に合格する力を養えます。
※関連記事:公立中高一貫校に向いている子・向いていない子の特徴:合格できる子になるための対策方法とは?
もし塾には行かず家庭学習のみで受検されるなら、Z会が便利です。
5年生から受けられる公立中高一貫校対策専用コースがありますし、4年生までに受けられる講座でも論理性や課題解決力、作文力を養う内容が豊富です。
興味のある方は以下のリンク先(Z会のHP)で公立中受検対策講座の詳細をご確認ください。
Z会 公立中高一貫校受検対策講座のご案内
※関連記事:Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
いかがでしょうか。
東京都立桜修館中等教育学校の適性検査について、過去問をもとに傾向と対策を紹介しました。
資料問題や記述問題がたくさん出てきます。論理性や記述力を高め、初見のグラフをみて内容を的確に読み取れる力を養っておきましょう。
また、問題文が長いため、速く正確に問題文を読んで解けるだけの基礎学力をつけておきましょう。
以下のリンクは難関公立中受検対策に強いZ会のHPです。リンク先で公立中受検対策講座の詳細を確認できます。
Z会 公立中高一貫校受検対策講座のご案内
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