【中学受験】国語記述問題のコツと勉強方法:基本編2種類と応用編4種類

作文が書けずに苦しむ様子 中学受験の勉強法
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中学受験の国語は、記述問題が多くなってきています。特に難関中学のなかにはオール記述問題という学校もあります。

選択問題と違って自分で解答を書かないといけないため、どう答えていいか、どうすれば得点を取れるか困っている子も多いです。

ですが記述問題は難易度がたかく配点も大きいため、受験生の間で得点に差が生まれやすいです。

ここでしっかり点数を取れば、ライバルに差をつけることができます。

そこで今回は、

  1. 記述が得意になる勉強方法
  2. 国語の記述問題の書き方

をお伝えします。

この記事は下記の方向けです。

  • 国語の記述問題を得意にして点数を稼ぎたい方
  • 記述問題の対策をどうすればいいかわからなくて困っている方

記述問題はどう対策すればいいか

では記述問題を得意にするには、どのような対策をすればいいかお伝えします。
大きく3つの勉強方法があります。

語彙を増やす

記述対策の1つ目は「語彙力をあげること」です。

記述というと「書き方」に注意が行きがちですが、書くためには語彙が必要です。

知らない言葉は書けませんし、語彙が豊富だと表現力に幅ができます。

中学受験の国語では語句問題が頻出です。語句が豊富な子は学習が進みやすくなるからです。

下記のグラフをご覧ください。小学生の学習に必要な語彙数を表しています。

『児童を対象とした単語親密度実験』より
  • 「学習基本語彙」は約5,000語
  • 「学習語彙」は約25,000語

となっています。小学校の基本的な勉強に必要な語彙は5,000語ですが、さらに学習をするには25,000語も必要とされています。

「すごいと思いました」
「面白かったです」

という感想文を書く小学生は多いですが、これでは表現が乏しく読み手にあまり伝わりません。

「どの点が、どのようにすごかったのか」
「『面白い』というのは、『楽しい』と『興味深い』のどちらなのか」

といった、書くときの視点や言葉の使い分けをできるようになると、記述問題に解答しやすくなります。

そもそも、1人の人間が日常に直接体験で得られる知識や語彙は限られています。
大人でさえ、1日に使う語彙は平均800-900程度しかないと言われています(デフサポより)。

日常生活は同じことの繰り返しですから、毎日同じ語彙を使います。

語彙は増やす努力を意識してしないと、簡単には増えていかないのです。

※関連記事:【中学受験】国語辞典を使う習慣をつくって語彙力・読解力を伸ばす方法(小学校低学年・高学年)

さまざまなジャンルの本を読む

記述対策の2つ目は「さまざまなジャンルの本を読むこと」です。

本をよく読む子のほうが学力が高く、作文や記述がうまいことはよく知られています。

いろいろな種類の本を読む子はさらに学力が高いことがわかっています。

下記のグラフは、アンケートに「いろいろな種類の本をよく読む」と回答した子がどれくらい読書の効果を実感しているかを表しています。

ベネッセ教育総合研究所【小学生の読書に関する実態調査・研究】をもとに作成

いろいろな本を読む子の7-8割は下記のような効果を実感しています。

  • 「自分の考えを人に伝えられるようになった」
  • 「難しいことを考える力がついた」
  • 「自分の考えを人に伝えられるようになった」

本を読むと、その本の書き手の書き方から登場人物の心情を想像したり、情報を読み取る力が高まります。

いくつものジャンルの本を読むと新たな書き方や情報のまとまり方に触れられるので、想像する力やまとめる力がさらに高まると考えられます。

楽しいお話、悲しいお話、昔話、科学や人体を説明している本など、いろいろなジャンルの本を読むようにしましょう

読解力を高める方法あります。速読解トレーニング(オンラインあり)

段落ごとに要点をまとめる練習をする

記述対策の3つ目は「段落ごとの要約」です。

国語の長文読解をして解説をよく読んだら、本文を段落ごとに1文に要約してみましょう。

1文で要約するのはなかなか大変です。文章中から重要な箇所を書き抜いてつなげただけでは、不自然な日本語になります。

意味のとおる日本語で要約するには、文章中の言葉を別の言葉に言いかえる必要があります。

この作業はとても難易度がたかく、3年生くらいまではほとんどの子はできません。

  • 語彙力
  • 頭のなかにイメージを描く力
  • 頭のなかのイメージを言葉で表現する力

の3つともハイレベルで備えている必要があります。

「ポイントを理解している長文」で練習すると、こうした力を効率よく伸ばすことができます。

記述問題の書き方6つ

国語が苦手な子は、記述問題の書き方の基本ルールを知らない場合はよくあります。

  • 必ず知っておくべき2つの書き方
  • 知っておくと書きやすくなる4つの書き方

をお伝えします。

必ず知っておくべき書き方2つ

まず、必ず知っておくべき書き方を2つ紹介します。2つともすぐできるようにしておきましょう。

質問と解答の語尾を合わせる

問題で聞かれている内容と、解答の文末を合わせるようにしましょう。

下記のようになります。

質問解答の文末
~はなぜですか。~だから
~の理由を答えなさい。~という理由
~はどういうことか説明しなさい。~(という)こと
違いを答えなさい。~という違い
どのような気持ちですか。~という気持ち
どのような状況ですか。~という状況
いつのことですか。~(する)ころ
どのようなものですか。「~もの」や名詞で終わる

解答のポイントが正解でも、語尾が合っていないと減点されます。

国語の苦手な子は5年生や6年生でもこうした間違いをよくします。

このルールを知っておくだけでも、国語のテストで5点前後アップします。

主語と述語を合わせる

書くときには読み手が読みやすい書き方をすると得点の高い答案を書けるようになります。

主語を書くことを意識してみてください。

小学生は主語を抜いてしまうときがよくあります。主語がないと、筆者の主張なのか筆者への反論なのかがわかりません。

知っておくと書きやすくなる書き方4つ

つづいて、知っておくと記述問題で答えやすくなる書き方を4つ紹介します。4つとも一気にできるようにならなくても良いので、1つずつ練習してみてください。

視座に注意する

どの立場からの意見や説明を求められているのかに注意しましょう。

例えば、

「AはなぜBが~したと思ったのですか。」

と聞かれたとき、「Bが~だったから」だと、「Bの視座で書いている」と採点者に思われます。

Aはなぜ~と思ったのですか」の問いに対しては、
「Aは~だと思ったから」という解答で書きましょう。

「Bが~だったとAは思ったから」

と書くと良いですね。

結論から記述内容を考える

記述問題が苦手な子ほど書き出しに気をつけますが、ポイントがずれてしまったり字数制限をオーバーしてしまったりすることがよくあります。

理由や状況を記述させる問題では、結論から考えるようにしましょう。

そのほうがポイントを的確に選択できますし、字数を制限内に収める書き方を考えやすくなります。

「Aが涙を流しつづけた理由は何ですか」と聞かれたら、まず「理由は何か」を考えます。

「悲しかったから」「悔しかったから」といった答えが出てきます。

次に、「なぜ悲しかった/悔しかったのか」を考えます。

後は、理由とその根拠を字数制限内に収められるかどうかシミュレーションをするだけです。

「違い」の書き方を知る

説明文ではよく、「AとBの違いを書きなさい/比較しなさい。」という問題が出ます。

「二項対立」という、説明文でよく使われる表現方法です。

「Aは~で、Bは…という違いがある」

のフォーマットで書くようにしましょう。

例えば、豚骨ラーメンと塩ラーメンの違いを聞かれたら、下記のように書きます。

「豚骨ラーメンはこってりしていて、塩ラーメンはあっさりしているという違い」

「変化」の書き方を知る

最近の中学入試の長文は語数が長くなる傾向にあります。

文章が長くなると、文章中に「変化」が見られるようになります。

  • 物語文で登場人物の心情が変化した
  • 説明文で時代の推移や新たな研究成果によって考え方や取り組み方が変化した

という内容です。

この「変化」を問う記述問題もよく出ます。

例えば、

「AくんのBさんへの態度が変わったとクラスメートが言っていますが、どのように態度が変わったのか、理由とともに説明しなさい。」

のような問いが出ます。

本文中の変化を時系列で捉え、解答も時系列で書くようにすれば大丈夫です。

「AくんはBさんからの指摘に反発していたが、~を知って素直に言うことを聞くようになった」

のように、

「~だったが、…という理由で~になった」

と書くようにしましょう。

記述問題対策はなぜ重要?

「国語の記述問題は読解ができるようになってから」
「記述問題はむずかしいから取り組んでいる時間的余裕はない」

のように、記述問題は後回しにしたり、ちょっと手を付けるだけで終えてしまったりしがちです。

ですが、実は国語で高得点を取るには記述問題のたいさくが欠かせないのです。

配点が高い

まず、記述問題は1番配点が高いです。

中学受験の国語の問題は大きくわけて3種類にわかれています。
下記の表をご覧ください。

問題のタイプ難易度1問あたりの配点
知識問題易しい~標準小(100点満点で1-2点)
読解問題―選択式標準中(100点満点で3-5点)
読解問題―記述式標準~むずかしい大(100点満点で7-10点)

上記の表のように知識問題読解問題にわかれ、読解問題はさらに選択式問題記述式問題にわかれています。

知識問題は難易度が低いため、配点も低いです。
選択式の読解問題はもう少し難易度があがるので配点もやや大きくなります。

ですが、これら2種類の問題は記述問題にくらべると配点が小さいです。

記述問題が100点満点のテストなら1問10点ほどもあります。
知識問題や選択問題3-4問ほどの大きさです。

上位校は記述問題中心

中学入試の合格ラインはほとんどの中学で6割です。
100点満点の試験で1問10点の記述問題3つで0点だと、残りすべての問題に正解しても70点までにしかなりません。

しかも難関中学になると、そもそも記述問題中心になる学校が多いのです。

以下の画像は、
首都圏女子御三家の1つである桜蔭中学校の2022年度入試の答案用紙と、
関西最難関中学の1つである西大和学園中学校の2022年度入試の答案用紙です。

東京学参ホームページより
西大和学園中学校ホームページより

解答欄の広いところやマス目がたくさんある解答欄はすべて記述問題です。

桜蔭中学校は問題の半分が記述問題です。
配点が大きいですから、記述問題が解けないと点数がほとんどありません。

ちなみに男子御三家の開成中学は毎年ほぼすべて記述問題です。

西大和学園はそこまで記述問題ばかりではありませんが、記述問題が3問あります。答案用紙の半分くらいのスペースを埋めていますね。

関西圏の中学入試に詳しい方ならご存知かと思いますが、西大和学園の記述問題は合否をわけるポイントの1つになっています。

記述式問題の割合は中学によってもかわりますが、難関中学の場合、
「国語で点数が取れる=記述問題で点数が取れる」
を指します。

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私立中堅校の場合は記述問題がそこまで合否に決定的な影響を与えませんが、得意にしておくと相当有利になるのは間違いありません。

公立中高一貫校は記述力が必須

また、最近人気の公立中高一貫校では記述力が必須です。

※関連記事:全国の公立中高一貫校偏差値表
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下記の画像は東京の小石川中等教育学校の2022年度適性検査Ⅰ~Ⅲの答案用紙です。

東京都立小石川中等教育学校ホームページより
東京都立小石川中等教育学校ホームページより
東京都立小石川中等教育学校ホームページより

ご覧のようにほぼ記述問題や作文です。

これは、小石川中等教育学校に限った問題構成ではありません。どの公立中高一貫校も同様の傾向です。

というのも、文科省の学習指導要領で、思考力・判断力・表現力を重視すると明記されているからです。

第30条

2 前項の場合においては,生涯にわたり学習する基盤が培われるよう,基礎的な知識及び技能を習得させるとともに,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくみ,主体的に学習に取り組む態度を養うことに,特に意を用いなければならない。

(太字・傍線はブログ作成者)

文部科学省 学習指導要領「生きる力」より引用

公立中高一貫校を志望される場合は、私立中以上に記述力が必要です。

塾で受けられる記述対策

ここまでは、自宅でできる記述対策をお伝えしました。大手の中学受験塾であれば、どこも記述対策の講座をもうけています。

SAPIXのように早い学年の授業から記述問題をたくさん取り入れて、記述に対する抵抗感をなくすようにしている塾もあります。

それぞれの塾のターゲット校に応じた対策を取っていますので、各塾の合格実績もみながら通塾プランを考えるようにしましょう。

※関連記事:【首都圏】大手中学受験専門塾
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まとめ

いかがでしょうか。

国語などの記述問題は、

  • 難関校入試なら「書けて当然」
  • 中堅校入試なら「書けると有利」
  • 公立中高一貫校入試なら「書けないと点数がない」

です。

いずれの場合もきちんとした対策を取っておくほうがいいですね。

また、記述力は読解力がベースです。書くことを念頭に読解力をきたえる練習をしておけば一石二鳥です。

かの科目の勉強方法や問題を下記の記事で案内しています。ぜひ、ご覧ください。

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これまで3000組以上のご家庭を担当させていただきました。
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