東京都は中学入試が盛んです。私立中学だけでなく公立中高一貫校も人気があり、難易度も非常に高いです。
そこで、この記事では東京都立武蔵高校附属中学校の試験情報を紹介し、適性検査の傾向と対策を説明します。
6年間の教育環境だけでなくその後の進路にも大きな影響を与える受検ですから、しっかり情報収集して対策したいですね。
※関連記事:公立中高一貫校の魅力とは:学校の種類や入試制度について解説
東京には11校の公立中高一貫校があります。
都立武蔵高校附属中学校の入試対策について、概要から紹介します。
都立武蔵高校附属中学校の偏差値は男子69、女子69です(首都圏模試センターより)。
ただし、公立中高一貫校の偏差値は参考程度にとどめておきましょう。当日の問題によって大きく得点が変わります。
±10くらいの幅で捉えるほうが良いでしょう。
都立武蔵高校附属中学校の進学実績は下記のとおりです。
国公私立大学(一部) | 現浪 | 現役 |
北海道 | 2 | 2 |
東北 | 6 | 5 |
東京 | 9 | 8 |
一橋 | 10 | 10 |
東京工業 | 7 | 6 |
横浜国立 | 5 | 5 |
早慶上理 | 169 | – |
※最新の状況はHPなどでご確認ください。
都立武蔵高校附属中学校の選抜方法を確認します。
「報告書400点」+「適性検査1200点」の「合計1600点満点」で選抜されます。
報告書というのは、5、6年生の2年間の成績です。
配点は下記のとおりです。
5年生:9教科×25点満点⇒225点
6年生:9教科×25点満点⇒225点
9教科:国語・算数・理科・社会・音楽・図画工作・家庭・体育・外国語
合計450点を400点に換算します。
当日の適性検査は下記のように分かれています。
適性検査Ⅰ:100点満点→400点に換算
適性検査Ⅱ:100点満点→400点に換算
適性検査Ⅲ:100点満点→400点に換算
合計1200点満点で計算します。
概要が分かったところで、白鴎高校附属中学校の適性検査対策を問題ごとに見てみましょう。
つづいて、東京都立武蔵高校附属中学校適性検査の対策方法を見ていきましょう。
まず適性検査Ⅰから紹介します。適性検査Ⅰは国語の長文読解です。
この試験の方針は下記のように規定されています。
文章の内容を的確に読み取ったり、自分の考えを論理的かつ適切に表現したりする力をみる。
東京都立武蔵高校附属中学校 適性検査問題等より
説明文を2つ読み(合計4ページほど)、以下の問題に答えます。
(1)本文中の傍線部について、筆者がそのように主張する理由を以下の空欄に当てはまるように20字以上30字以内で説明してください(抜き出してください)。
(2)本文中の傍線部の内容について説明してください。
(3)あなたはこれからの学校生活でどう学んでいこうと思うか400字以上440字以内で書いてください。
2種類の説明文を読んで解答を記述するため、長文ごとのポイントを整理しながら読む必要があります。
これら3点を適切に捉えながら読む練習が必要です。
前述のように、武蔵高校附属中学校では本文内容に関する問題が出されます。
これら2点を記述する練習と、そのための語彙力を高めるようにしましょう。
適性検査Ⅰでは、本文内容をもとにして受験生自身の意見を440字以内で書かせる問題も出ます。
文章を読んでその内容を捉えるだけでなく、その内容を自分のこれからの生活や意見につなげていきます。
国語の授業でも、本文をただ読んで終わりにならず、「その登場人物はなぜそのような言動を取ったのか」「自分ならどうしていたと思うか」を言葉にする練習をしましょう。
適性検査Ⅱは算数・理科・社会の資料問題です。
この試験の方針は下記のように規定されています。
資料から情報を読み取り、課題に対して思考・判断する力、論理的に考察・処理する力、的確に表現する力などをみる。
東京都立武蔵高校附属中学校 適性検査問題等より
算数的分野では以下のような図・グラフが出されます。
プログラミングやオリジナルのゲームが提示され、登場人物の会話を読みながら問題文や図に示されている条件に沿って問題を解きます。
この過去問では、ブロックを倉庫に運ぶルートの取り方を変えて作業にかかる時間を短くすることを目指しています。
前述の図のようにしたときに作業終了までに48.8秒かかっており、どのようなルートにしたのかを、そう考えた理由とともに書かせる問題です。
制限時間(45分)に比べて問題文が長いです。
設定されたルールを理解し、解答を出すまで試行錯誤をする必要があります。
計算に手間取ってしまうとその時間が足りなくなる恐れがあります。
日ごろから速く・正確に計算する練習をしておきましょう。
算数で苦手単元が1つもないようにしておきましょう。
適性検査は問題数が少なく、1問あたりの配点が高いです。速さ・割合・図形などで苦手分野が1つでもあると、その問題が影響して得点が大きく下がります。
適性検査Ⅱではオリジナルの状況や設定がなされ、その説明文(対話文)が長々とつづきます
問題文をはやく適切に読み取り、問題ごとに設定されている状況や条件を整理しましょう。
さらに適性検査Ⅱでは、「条件を論理的に整理して解く力」が問われます。
前述の問題のように、数名の児童の発言内容とオリジナルのゲームルールから状況を整理します。
『5分で論理的思考力ドリル』(以下、AmazonのPRリンクにつながります)などで練習すると条件を整理する力がつきやすいです。
また、数字ロジックやロジックパズルを使うと楽しく論理性や集中力を養えます。
※関連記事:子ども向けロジックパズル
つづいて社会的分野では、以下のような図とともに問題が出ます。
上記は江戸の町地図です。この地図を見ながら「江戸の町づくりのために上水が必要だった理由と江戸の町の上水の特長を説明しなさい」という問題が出ています。
地理の一般的な知識と、地図を見てその地形の特徴を把握する力が必要です。
社会の問題では地図や資料が良く出てきます。地図と資料を見て、その内容を把握する練習をしておきましょう。
小学校では地元の地理や歴史も習います。校外学習やグループ学習(相談、発表)など、児童が自分たちで調べ、考える学習スタイルが取られることが多いです。
この授業に積極的に参加しましょう。
前述の出題例では江戸の地図が出てきています。
解答例は「江戸の町は埋め立て地なので飲み水を得るのに苦労したため、周辺の水源から水を引き込み、町中に網の目のように水路をつくって水がいきわたるようにした」とあります。
江戸の町の仕組みについては、一般的な入試対策問題集にほぼ出てきません。
小学校で習う地元の地理と歴史をよく勉強しておくと、こうした出題にかなり対応しやすくなります。
適性検査Ⅱの理科的分野では、以下のような図とともに問題が出ています。
雨が降ったあとに葉についた水滴の大きさをくらべています。
この問題では、葉の形や大きさで水滴に違いが出るのかを実験します。下記の表が示されています。
この結果と会話文から、「水滴が転がりやすい葉の特徴」について考察し、記述する問題が出ています。
理科的分野については前述のように、小学校で習う理科の知識をベースにして、さまざまな条件下で実験結果を論理的に予想します。
生物・地学・物理・化学の知識を満遍なくつけましょう。
知識量を問う問題ではありませんが、苦手分野が1つでもあると問題を解きづらくなります。
武蔵では身の回りの現象について考察させる問題もよく出ます。
日常生活で身の回りをよく観察し、「変化」や「違い」に注意してみましょう。
前述の問題では「降雨の後における葉の水滴の違い」がテーマです。
理科の実験・観察の問題では、このように「変化」か「違い」を問うものがほとんどです。
日ごろから「変化」と「違い」に気を配り、それらに気づいたら「なぜそうなるのか?」を考えるようにしましょう。
適性検査Ⅲは理科や算数の問題です。
この試験の方針は下記のように規定されています。
リーダーとして必要な計画する力、数理的に分析し課題を見出す力及び問題を解決する力などをみる。
東京都立武蔵高校附属中学校 適性検査問題等より
適性検査Ⅱ同様に、以下のような対話文と資料をみて問題に解答します。
お祭りのビンゴゲームで使う架空のサイコロ(図2)が提示されています。このサイコロは各面を9つの面に分け、となりあう面が異なる色になるようにぬられています。
この色ぬりの規則性を使って解く問題です。
色をぬる規則性を利用しやすくするため、以下のような展開図も提示されています。
元のサイコロは1つの面を9つに分割する線を引いています。この引き方だと「となりあう面が異なる色になるようにする」には3色必要です。
問いでは、面の分割の仕方を変えて「2色」で済むような直線の引き方を聞いています。
模範解答は下記のとおりです。
展開図を組み立てたときに面と面の隣接の仕方を変えることで、3色→2色で済むようになる線の引き方を考えます。
問題の見方を変えると、解法が思いつきやすくなります。
前述の過去問では、3色→2色で済むようにしてくださいと問われています。
「どのような引き方をすれば2色で済むのか」を考えようという問題ですが、この考え方のままだと答えが見つかりにくいでしょう。
「もともとの線の引き方だとなぜ3色必要なのか」を考えると、3色にしないといけない理由さえつぶせば2色で済む方法を思いつきやすくなります。
このように、問いに対して正攻法でいどむだけでなく、見方を変えてみると正解にたどりつきやすくなります。
適性検査Ⅲの理科の問題でも、対話文と下記のような図が出てきます。
駅のホームなどにある電光掲示板について、光の点滅で文字や矢印が動くようにみえる電球についての問題です。
この問題で「動いていないのに伝わっていく現象」が紹介され、その現象から「金属の熱伝導」の実験をする問いにつながっていきます。
道具の特徴が一覧で紹介され、金属の熱の伝わりやすさの違いを調べるにはどのような方法で実験を行えばよいか、実験に用いることができる道具を全て用いて説明しなさいという問いが出てきます。
試験に出てくる実験はオリジナルですから、事前に結果や考察内容を暗記しておくことはできません。
実験条件をみてそれぞれの違いや共通点を整理し、条件を論理的に整理して、結果を良そうする力が問われます。
日ごろから、理科の勉強では「暗記一辺倒」にならないようにしましょう。
家庭でできる科学実験もたくさんありますので、遊びながら実験条件をいろいろ変えてみて親子で話し合うのも適性検査対策になります。
以下の図鑑に家でできる科学実験がくわしく紹介されています(AmazonのPRリンク付き)。
また、数字ロジックやロジックパズルを使うと楽しく論理性や集中力を養えます。
※関連記事:子ども向けロジックパズル
適性検査の対策に便利な問題集を紹介します。
前述のように適性検査では思考力・分析力・表現力が求められており、それらの力をどう活かせばいいかを、問題演習をとおして身につけます。
AmazonのPRリンクをつけているので、リンク先でお得に購入いただけます。
算数的分野↓
理科的分野↓
社会的分野↓
出版社:朝日学生新聞社
特徴:
公立中高一貫校の教育方針に、将来、国際社会で活躍できるリーダーを育てることが
Amazonより引用
あります。リーダーには、身の回りの事象を数理的に分析・考察し、課題を解決する力、
課題を総合的に解決する力などが求められます。
算数分野の適性検査では、ものごとを数理的に分析・考察し、課題を解決する能力の
基礎が問われます。問題を解くためには、次のような力が必要となります。
●問題文を正確に読む力
●条件を整理し分析する力
●問題の本質や着眼点を見つける力
●解き方を工夫する力
●なぜ、そのような考え方、解き方で答えを求められるのか、理論的に説明する力
この本では、全国の適性検査から厳選した過去問をもとに、分野ごとに系統立てて、頻出問題の傾向と対策を伝授します。
中には難しい問題もありますが、これらの問題を解くことによって、一つひとつ求められる力を養ってください。
資料問題編↓
数と図形編↓
生活と科学編↓
出版社:東京学参
特徴:
【 公立中高一貫校適性検査対策問題集 資料問題編 】解答解説付き
●全国の中高一貫校の適性検査の問題から、資料をもとにした問題(理科・社会分野)を選び出し、10パターンに分類。
●地図やグラフ・表の読み取りなど資料を用いた問題対策に。着眼点、考え方・解き方をていねいに示した例題と的確なヒントが参考になる練習問題です。
●各単元ごとに集中的に取り組み、問題のパターンを掴めるようになりましょう。苦手単元の克服にもおすすめです。自分の力で公立中高一貫校適性検査を攻略するための一冊
Amazonより引用
・公立中高一貫校適性検査必須の出題形式「資料を使って解く問題」を完全攻略
・実際の出題から良問を精選
・資料をもとにした問題を選び、10パターンに分類
・例題で考え方・解法を身につけ、豊富な練習問題で実戦力を養う
・複合問題にも対応できる力を養う
問題のボリュームが多く、6年生がさまざまなパターンをしっかり演習するのに適しています。
東京では公立中高一貫校の難易度が非常にたかいです。
塾に行って対策するほうが良いのかなと気になるご家庭も多いと思います。
家庭だけで取り組むことも可能ですが、ラスト1-2年は塾に行くほうが便利でしょう。
子どもが4年生くらいまでなら、まずご家庭で対策しておきましょう。
具体的には下記の3点です。
塾に行く場合でもこれら3点は実施しておくほうが良いです。
算数の先取り学習や国語の長文読解の勉強には市販の問題集も便利です。
解説が丁寧で分かりやすく、繰り返し練習できます。
また、記述問題の解答にはルールがあるので、問題集でしっかり覚えて慣れておくと良いでしょう。
※関連記事:中学受験国語の記述問題を解くコツと自宅でできる勉強方法
※関連記事:中学受験国語の記述対策問題集
家庭学習に取り組まれていても、やはり5-6年生くらいになると塾で対策するほうが安心です。
必要な対策を網羅できますし、受検まで間に合うカリキュラムで勉強に取りくめます。
子どもによって得意・不得意は発生しますから、不得意内容については家庭で特訓するなどすると効果的に合格する力を養えます。
※関連記事:公立中高一貫校に向いている子・向いていない子の特徴:合格できる子になるための対策方法とは?
もし塾には行かず家庭学習のみで受検されるなら、Z会が便利です。
5年生から受けられる公立中高一貫校対策専用コースがありますし、4年生までに受けられる講座でも論理性や課題解決力、作文力を養う内容が豊富です。
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