神奈川にある公立中高一貫校の適性検査対策をお伝えします。
神奈川では私立中学だけでなく公立中高一貫校も人気があり、難易度も非常に高いです。
そこで、この記事では横浜市立南高等学校附属中学校の入試情報を紹介し、適性検査の傾向と対策を説明します。
6年間の教育環境だけでなくその後の進路にも大きな影響を与える受検ですから、しっかり情報収集して対策したいですね。
※関連記事:公立中高一貫校の魅力とは:学校の種類や入試制度について解説
神奈川には5校の公立中高一貫校があります。
横浜市立南高等学校附属中学校の入試対策について、概要から紹介します。
横浜市立南高校附属中学校の偏差値は男子69、女子69です(首都圏模試センターより)。
ただし、公立中高一貫校の偏差値は参考程度にとどめておきましょう。当日の問題によって大きく得点が変わります。
±10くらいの幅で捉えるほうが良いでしょう。
横浜市立南高校附属中学校の進学実績は下記のとおりです。
国公私立大学(一部) | 現浪 | 現役 |
北海道 | 2 | 2 |
東京 | 12 | 11 |
一橋 | 7 | 7 |
東京工業 | 3 | 3 |
横浜国立 | 14 | 14 |
横浜市立 | 11 | 11 |
京都 | 1 | 1 |
早慶上理 | 160 | 160 |
GMARCH | 244 | 240 |
※最新の状況はHPなどでご確認ください。
横浜市立南高校附属中学校の選抜方法を確認します。
「報告書180点」+「適性検査400点」の「合計580点満点」で選抜されます。
報告書というのは、5、6年生の2年間の成績です。
配点は下記のとおりです。
5年生:9教科×10点満点⇒90点
6年生:9教科×10点満点⇒90点
9教科:国語・算数・理科・社会・音楽・図画工作・家庭・体育・外国語
合計180点です。
当日の適性検査は下記のように分かれています。
適性検査Ⅰ:100点満点→200点に換算
適性検査Ⅱ:100点満点→200点に換算
合計400点満点で計算します。
概要が分かったところで、南高等学校附属中学校の適性検査対策を問題ごとに見てみましょう。
横浜市立南高等学校附属中学校の適性検査の出題方針は主に以下のとおりです。
主に科学・論理的思考力及び社会生活実践力の基礎的な力をみること
神奈川県立中等教育学校入学者決定検査問題 出題のねらいより
つづいて、横浜市立南高等学校附属中学校適性検査の対策方法を見ていきましょう。
まず適性検査Ⅰから紹介します。
適性検査Ⅰは国語や理科・社会といった教科を横断する問題が中心です。説明文や歴史を題材にした長文・対話文・資料を読み、その内容に関する問題を解きます。作文も出題されます。
なかでも、地元の横浜を題材にした問題がたくさん出るのも特徴のひとつです。
下記のような問題が出ます。
・説明文の内容について、「人が意識的につくりあげたもの」に分類されるものをすべて選ぶ問題
・夜空を守るための条例をいくつか読み、条例に沿って、下記の図1から図2や図3のようなライトに変えた理由を20字以内で記述する問題
・横浜ベイブリッジ周辺の地図と、その周辺で撮影した写真(以下の画像)を4枚見くらべて、各写真が地図中のどの地点で撮影されたものかを選択する問題
・横浜の町づくりの戦略に関する文章を読み、横浜の町の写真2枚(以下の画像)からその写真中の地形の特徴や成り立ちを150字以内で記述する問題
出題:横浜を題材にした問題が多い
前述のように、南高校附属中学校は「横浜の町づくり」「横浜の地形」「横浜の歴史」など、横浜の地形図や歴史、町並みなど、横浜を題材にした問題がよく出ます。
南高校附属中学校の適性検査Ⅰは地図や歴史など、社会の資料をベースにした問題が多く出ます。
なかでも普段の生活で地図をみる機会は少ないため、地図の見方に慣れていない小学生が多いです。
Google Mapのような「分かりやすく加工してくれた地図」ではなく、「作成方法がルール化されている紙の地図」を見ておきましょう。
自宅周辺の地図を見てみると、外で見る状況と地図とを照らし合わしやすくなります。
Google Mapで通常モードの地図とストリートビューを見比べてみるのも良い練習になります。
適性検査Ⅰでは150-300字以内の記述問題も1題出てきます。
「資料や説明文本文の内容」について説明するものが多いです。
通常の30-50字程度の記述問題にくらべて字数がかなり多いため、記述対策だけでなく作文の練習も月に1回程度しておくと良いでしょう。
小学校では地元の地理や歴史も習います。校外学習やグループ学習(相談、発表)など、児童が自分たちで調べ、考える学習スタイルが取られることが多いです。
この授業に積極的に参加しましょう。
前述の出題例では横浜の町づくりについて出題されています。
地域学習で学んだ内容が入試に出るとは限りませんが、地域学習で発表をがんばると「物事の捉え方」や「考察の仕方」を学べます。
問題集を解くだけでは得られない生の体験ですから、小学校の授業に前向きに取り組むようにしましょう。
つづいて、適性検査Ⅱの出題傾向と対策を紹介します。
適性検査Ⅱは自然科学や数理的な問題が出てきます。
例えば、1/5や1/12のような「分子が1になる分数」を「単位分数」と言います。
古代エジプトでは分数をすべて単位分数で表していたという解説文と以下のような説明画像が提示されます。
3/5を上記のように「1/2+1/10」で表す方法です。
この説明の後、単位分数で表す問題が数問つづき、「3/7」を表す方法として「1/3+1/12+1/84」以外に3通り考えて書く問題が出ています。
適性検査Ⅱでは資料も数多く提示されます。
例えば、うどんのレシピから材料である小麦に含まれるデンプンやグルテンなどの栄養分の説明資料が4つ続きます。(以下、例)
最終的にこれら4つの資料の内容に当てはまるものを6つの選択肢から3つ選ぶ問題が出ています。
理科的分野についても、対話文と資料の内容を読み取る問題が出ます。
過去に出題されているものとしては、例えばCDプレイヤーでつまみを回して音量を調節している仕組みを解説したうえで、その仕組みを利用して以下の回路における電流の強さを問う問題が出ています。
この問題では、直列つなぎ、並列つなぎそれぞれの場合の電流や抵抗の大きさがどうなるのかが対話文で説明されています。
その説明内容を読み、いくつか練習問題を解いてから上記の回路での電流の大きさを求めます。
適性検査Ⅱでは機械の仕組みや古代エジプトの分数の表し方など、小学生にとってなじみのうすい内容が出題されます。
いずれの大問でも理解を助けるための練習として小問が2-3問用意され、最後にそれらの仕組みを利用して解く問題が出てきます。
各大問のラストの問題は難易度が高いため、練習として出題されている小問を確実に正解できるようにしましょう。
対話文や資料は小学生が理解できるような書き方をしているものが多いため、あわてずに読めば練習問題には正解しやすいはずです。
南高校附属中の適性検査Ⅱで出題される自然科学の問題では、小学校では習わない素材が使われます。
事前に問題集だけで対策するのは少しむずかしいので、日ごろから自然科学の図鑑を読んで「科学の仕組み」や「科学的思考」に慣れておきましょう。
適性検査は解法よりも、その話題に慣れているかどうかが大きなウェイトを占めています。
以下のような図鑑をリビングに置いておくと、子どもが興味を持って楽しく取り組みやすくなります。
適性検査を解くには論理性や科学的思考など、いくつもの能力が求められます。ですが、ベースとして必要なのは基礎学力です。
論理的思考力を問う問題は「考える」「読み解く」に時間とエネルギーを使います。
計算や漢字といった「作業」に時間とエネルギーを使うと、「考える」「読み解く」に回すスペックが小さくなります。
毎日計算、漢字の練習を10分でもいいので続けましょう。
『5分で論理的思考力ドリル』などで練習すると条件を整理する力がつきやすいです。
また、ロジックパズルを使うと空間思考や集中力を楽しく養えます。
※関連記事:子ども向けロジックパズル
公立中高一貫の適性検査と、小学校のテストや私立中学の入試とでは問題のパターンが大きく異なっています。
違いをまとめると2点あります。
まず、小学校や私立中学入試は算数・国語など教科ごとにテストがあります。
算数のテストでは算数の知識や技能が主に問われます。
それに対して適性検査では教科横断です。算数・国語・理科・社会の、複数教科の知識を使って解きます。
欠けている知識があると問題を解きづらくなるので、どの教科も得意にしておく必要があります。
小学校のテストや私立中学の入試は知識の習得が重きをなします。公式や解法の知識があり、その知識を速く・正確に使えるかどうかが重要です。
一方、適性検査で求められる知識は小学校で普通に習う範囲までです。知識を「活用できるレベル」で定着させられているかどうかが重要です。
工夫して何かに取り組むと、自然と知識を活用します。
パズルや難問、工作など、「作り出す」「考えて解く」といった作業を日常生活で取り入れてみましょう。
適性検査の対策に便利な問題集を紹介します。
前述のように適性検査では思考力・分析力・表現力が求められており、それらの力をどう活かせばいいかを、問題演習をとおして身につけます。
算数的分野↓
理科的分野↓
社会的分野↓
出版社:朝日学生新聞社
特徴:
公立中高一貫校の教育方針に、将来、国際社会で活躍できるリーダーを育てることが
Amazonより引用
あります。リーダーには、身の回りの事象を数理的に分析・考察し、課題を解決する力、
課題を総合的に解決する力などが求められます。
算数分野の適性検査では、ものごとを数理的に分析・考察し、課題を解決する能力の
基礎が問われます。問題を解くためには、次のような力が必要となります。
●問題文を正確に読む力
●条件を整理し分析する力
●問題の本質や着眼点を見つける力
●解き方を工夫する力
●なぜ、そのような考え方、解き方で答えを求められるのか、理論的に説明する力
この本では、全国の適性検査から厳選した過去問をもとに、分野ごとに系統立てて、頻出問題の傾向と対策を伝授します。
中には難しい問題もありますが、これらの問題を解くことによって、一つひとつ求められる力を養ってください。
資料問題編↓
数と図形編↓
生活と科学編↓
出版社:東京学参
特徴:
【 公立中高一貫校適性検査対策問題集 資料問題編 】解答解説付き
●全国の中高一貫校の適性検査の問題から、資料をもとにした問題(理科・社会分野)を選び出し、10パターンに分類。
●地図やグラフ・表の読み取りなど資料を用いた問題対策に。着眼点、考え方・解き方をていねいに示した例題と的確なヒントが参考になる練習問題です。
●各単元ごとに集中的に取り組み、問題のパターンを掴めるようになりましょう。苦手単元の克服にもおすすめです。自分の力で公立中高一貫校適性検査を攻略するための一冊
Amazonより引用
・公立中高一貫校適性検査必須の出題形式「資料を使って解く問題」を完全攻略
・実際の出題から良問を精選
・資料をもとにした問題を選び、10パターンに分類
・例題で考え方・解法を身につけ、豊富な練習問題で実戦力を養う
・複合問題にも対応できる力を養う
問題のボリュームが多く、6年生がさまざまなパターンをしっかり演習するのに適しています。
東京では公立中高一貫校の難易度が非常にたかいです。
塾に行って対策するほうが良いのかなと気になるご家庭も多いと思います。
家庭だけで取り組むことも可能ですが、ラスト1-2年は塾に行くほうが便利でしょう。
子どもが4年生くらいまでなら、まずご家庭で対策しておきましょう。
具体的には下記の3点です。
塾に行く場合でもこれら3点は実施しておくほうが良いです。
算数の先取り学習や国語の長文読解の勉強には市販の問題集も便利です。
解説が丁寧で分かりやすく、繰り返し練習できます。
また、記述問題の解答にはルールがあるので、問題集でしっかり覚えて慣れておくと良いでしょう。
※関連記事:中学受験国語の記述問題を解くコツと自宅でできる勉強方法
※関連記事:中学受験国語の記述対策問題集
家庭学習に取り組まれていても、やはり5-6年生くらいになると塾で対策するほうが安心です。
必要な対策を網羅できますし、受検まで間に合うカリキュラムで勉強に取りくめます。
子どもによって得意・不得意は発生しますから、不得意内容については家庭で特訓するなどすると効果的に合格する力を養えます。
※関連記事:公立中高一貫校に向いている子・向いていない子の特徴:合格できる子になるための対策方法とは?
もし塾には行かず家庭学習のみで受検されるなら、Z会が便利です。
5年生から受けられる公立中高一貫校対策専用コースがありますし、4年生までに受けられる講座でも論理性や課題解決力、作文力を養う内容が豊富です。
Z会 公立中高一貫校受検対策講座のご案内いかがでしょうか。
横浜市立南高等学校附属中学校に合格するにはどうすればいいか、過去問を使って紹介しました。
他中学の適性検査と比べても資料が多く、統計資料や地図、写真なども多数出てきます。高い論理力と多角的な科学的思考力が問われる問題です。
小学校の地域学習や基礎学力の向上に積極的に取り組みましょう。地図やグラフも見慣れておきましょう。
以下のリンクは難関公立中受検対策に強いZ会のHPです。リンク先で公立中受検対策講座の詳細を確認できます。
Z会 公立中高一貫校受検対策講座のご案内
※関連記事:Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
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