作文は公立中高一貫の中学入試や公立高校入試で必須ですし、
小論文は高校入試や大学入試でよく問われます。
ですが、文章の書き方や目的がそれぞれ異なっており、その違いを意識して書かないと大きく減点される恐れがあります。
そこで、小論文と作文の違いを「書き方」「目的」「構成」「オリジナリティ」の4つの観点から説明します。
入試対策におすすめの参考書も紹介しているので、ご参考ください。
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小論文と作文はどちらも「テーマに沿って書く」という点で共通しています。それぞれ下記のような文章のことです。
小論文は「意見」、作文は「感情」を伝える文章です。
この違いを、例文を使いながら「書き方」「目的」「構成」「オリジナリティ」の4つの観点から説明します。
ここでは、「学校生活における友人関係」をテーマにします。
まず、文章の書き方が異なっています。下記のとおりです。
以下の例文で書き方の違いをご確認ください。
【テーマ:学校生活における友人関係】
小論文:
学校生活において友人関係は重要だ。
なぜなら信頼できる友人を持つ人は充実した学校生活を送る傾向にあるからだ。
作文:
これまでの3年間を振り返って、信頼できる友人がいたおかげで充実した学校生活を送ることができたと感じる。
勉強が上手くいかず落ち込んでいたとき、ある友人の言葉に救われた経験がある。普段は冗談ばかり言っていた友人なのに、このときばかりは真顔で私の目を真っすぐ見つめて励ましてくれた。
上記のように、小論文は「シンプルで、言いたいことがすぐ伝わるような書き方」をします。
対して作文は、「落ち込んでいた」「救われた」のような感情を入れた書き方をします。
「意見」を伝えるのか、「感情」を伝えるのかで文章の目的にも違いがあります。
こうした目的の違いから、小論文では「客観性」が重要で、作文では「主観性」が重要です。
以下の例文で目的の違いをご確認ください。
【テーマ:学校生活における友人関係】
小論文:
学校生活において友人関係は重要だ。
学生を対象にした調査で、「信頼できる友人がいる」と回答した人の9割は学校生活に「充実を感じる」と回答していた。ところが、「信頼できる友人がいない」と回答した人のうち「充実を感じる」と回答した割合は3割に過ぎなかったことが分かっている。
この理由から、私は学校生活において友人関係は重要だと考えている。
※注:調査結果は架空の内容です
作文:
これまでの3年間を振り返って、信頼できる友人がいたおかげで充実した学校生活を送ることができたと感じる。
私には仲の良い友人がいる。いつも冗談ばかり言って笑いあっていた。
あるとき、私は勉強が上手くいかず落ち込んでいた。そんな私の様子をみてその友人は、真顔で私の目を真っすぐ見つめて励ましてくれた。自信を失って目の前が真っ暗になったと感じていたが、この友人の一生懸命なまなざしに私は明るい光を感じられるようになった。
今後は落ち込んでいる友人がいたら、私が励まして元気づけてあげたいと思っている。
小論文は「読み手に賛同してもらうこと」が目的なので、「論理性」や「客観的な根拠」が重要です。上記の例では、架空の調査結果で根拠を示しています。
一方、作文は「読み手に感情を伝えること」が目的なので、「そのとき自分がどう感じたか」「今後自分がどうしていきたいと思っているか」という主観を書いています。
目的の違いは文章の構成の違いにもつながります。
大まかには、小論文は3部構成(序論→本論→結論)です。ですが、細かくみると以下のような違いがあります。
なお、各パートの字数目安も合わせて以下にお伝えします。
序論/起:10%
本論/承と転:70%
結論/結:20%
導入部分は10~15%ほど、本論やメインパートは70%ほど、最後の締めは15~20%ほどの字数にします。
この数字は厳密なものではなく、あくまで目安です。この目安に沿って書くと高得点の小論文・作文を書きやすいです。
以下の例文で公正の違いをご確認ください。
【テーマ:学校生活における友人関係】
小論文:
学校生活において友人関係は重要だ。(序論:意見の主張)
学生を対象にした調査で、「信頼できる友人がいる」と回答した人の9割は学校生活に「充実を感じる」と回答していた。ところが、「信頼できる友人がいない」と回答した人のうち「充実を感じる」と回答した割合は3割に過ぎなかったことが分かっている。(本論:根拠付き)
この理由から、私は学校生活において友人関係は重要だと考えている。(結論:意見の再度主張)
※注:調査結果は架空の内容です
作文:
これまでの3年間を振り返って、信頼できる友人がいたおかげで充実した学校生活を送ることができたと感じる。(起:これから書く内容のあらまし)
私には仲の良い友人がいる。3年間同じクラス、同じ部活に所属して、いつも冗談ばかり言って笑いあっていた。(承:状況説明)
あるとき、私は勉強が上手くいかず落ち込んでいた。そんな私の様子をみてその友人は、真顔で私の目を真っすぐ見つめて励ましてくれた。自信を失って目の前が真っ暗になったと感じていたが、この友人の一生懸命なまなざしに私は明るい光を感じられるようになった。(展:話の転換と発展)
今後は落ち込んでいる友人がいたら、私が励まして元気づけてあげたいと思っている。(結:全体のまとめ、今後の展望)
上記のように、小論文では序論→本論→結論と書きます。序論と本論は同じ内容です。
一方、作文では上記のように起→承→転→結の4部構成から「承」と「転」をまとめて3部構成にして書きます。「起」と「結」の内容は違っていることが多いです。
文章の目的や構成の違いから、書き方の「オリジナリティ(自由度)」にも違いが出ます。
以下の例文で公正の違いをご確認ください。
【テーマ:学校生活における友人関係】
小論文:
学校生活において友人関係は重要だ。
学校は勉学の場であり、友人の存在は必ずしも必要ではないという意見もある。しかし、学生を対象にした調査で、「信頼できる友人がいる」と回答した人の9割は学校生活に「充実を感じる」と回答していた。ところが、「信頼できる友人がいない」と回答した人のうち「充実を感じる」と回答した割合は3割に過ぎなかったことが分かっている。
この理由から、私は学校生活において友人関係は重要だと考えている。
※注:調査結果は架空の内容です
作文:
これまでの3年間を振り返って、信頼できる友人がいたおかげで充実した学校生活を送ることができたと感じる。
私には仲の良い友人がいる。3年間同じクラス、同じ部活に所属して、いつも冗談ばかり言って笑いあっていた。
あるとき、私は勉強が上手くいかず落ち込んでいた。そんな私の様子をみてその友人は、真顔で私の目を真っすぐ見つめて励ましてくれた。自信を失って目の前が真っ暗になったと感じていたが、この友人の一生懸命なまなざしに私は明るい光を感じられるようになった。
今後は落ち込んでいる友人がいたら、私が励まして元気づけてあげたいと思っている。
上記の例を説明すると、小論文では、「友人関係は重要だ」という自身の意見を「明確に」述べます。「重要だと思います」「重要なときもあります」といった曖昧な表現はNGです。
さらに、「友人関係は重要ではない」という意見も紹介し、その意見に対する反論を述べています。最後に改めて「従って/この理由より」と付けて自身の主張をもう一度述べます。
これは小論文の定型文で、オリジナリティはありません。内容が同じなら誰が書いても書き方にそれほど違いは出ません。
一方の作文はオリジナリティが重要なので、同じ内容でも書く人によって書き方が変わります。
「勉強のことで落ち込んでいる様子」をもっとリアリティあふれる書き方にする人もいるでしょうし、友人関係がいかに「笑顔であふれていたものだったか」をもっと増しましで書く人もいるでしょう。
どれが正解ではなく、「どのように感情を伝えたいか」で大きく変わります。
入試では小論文や作文の回答を原稿用紙に書くことが多いです。
原稿用紙の使い方を知っておけば、「減点されにくい回答」を書きやすくなります。
学校の宿題で原稿用紙に作文を書く場合、タイトルを書くのが普通です。
ですが、入試ではタイトルは書きません。本文からいきなり書きはじめます。
各段落のはじめの1マスは空けて書きます。
前述のようにタイトルなしで本文から書きはじめるので、最初の1マス目は空けておきましょう。
「、」や「。」の書き方にはいくつかルールがあります。
まとめて紹介します。
まず、句読点には1マス使います。
マスの右上に書きます。
また、行の始めのマスには句読点を書きません。
必ず、行の途中か最後に書きます。
行の最後のマスに文字を書く場合、句読点はその文字と同じマスに書きます。
「~だった。」の「た」で行が終わる場合、最後の1マスに「た。」と書きます。
またこの場合、句読点はマスの右下に書きます。
小さい「ゃ・ゅ・ょ」「っ」も1マス使います。
句読点と同じく、マスの右上に書きます。
ただし、行の始めに小さい「ゃ・ゅ・ょ」「っ」を書いても大丈夫です。行の最後にほかの文字と一緒に書いても大丈夫です。
「~しちゃった。」と書くケースで、行の最後のマスに「ちゃ」と書いても、最後のマスに「ち」で次の行頭に「ゃ」を書いてもOKです。
原稿用紙で使うかっこには2種類あります。それぞれの使い方は以下のとおりです。
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作文に苦手意識の強い子なら「基本編」から始め、
特別苦手意識がないなら「ステップアップ編」から入るのがおすすめです。
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学年別に分かれており、低学年用・中学年用・高学年用に分かれています。説明する言葉のむずかしさや例題のむずかしさ、各ドリルの到達目標の高さが異なります。
作文対策をはじめる学年相当のものからスタートするとはじめやすいです。
また、小学校の国語全般に苦手意識の強い子なら、同じシリーズの「はじめての作文力ドリル」のほうが合うかもしれません。そちらも低学年・中学年・高学年に分かれています。
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いかがでしょうか。
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