大学受験において、日本史の文化史は得点源として重要な役割を果たします。時代ごとの文化や芸術の変遷を理解することで、単なる出来事の暗記ではなく、歴史全体の流れを深く理解することが可能です。
しかし、文化史は範囲が広く、複雑な背景も含むため、適切な参考書を使って効率よく学ぶことが大切です。
そこで、大学受験に向けた文化史のおすすめ参考書と、選び方のポイント、そして文化史がなぜ重要なのかについて解説します。
※関連記事:【大学受験】日本史文化史の覚え方:文化史が苦手でも捨てないほうがいい理由を紹介
文化史は人物名、作品名、建築物、宗教や哲学といった幅広い分野の知識が必要な上に、それぞれを時代や背景と結びつけて覚える必要があります。
そのため、以下の理由で苦手意識を持つ受験生が多いです。
しかし、文化史は通史と比べて「単純暗記」に頼りやすい分野でもあります。正しい参考書と学習法を使えば、効率よく高得点を狙える得点源に変えることが可能です。
文化史を学ぶ際には、最初に時代ごとの特徴を把握します。
なお、平安時代末期の文化史について、以下の記事でくわしい解説と一問一答問題を紹介しています。
日本史の一問一答:院政期文化のまとめ(平安時代末期:浄土教、軍記物語、説話集、歴史物語、絵巻物など)
飛鳥時代から奈良時代の文化史については、以下の記事でくわしい解説と一問一答問題を紹介しています。
飛鳥時代の解説と飛鳥文化・白鳳文化などテストによく出る問題
日本史の一問一答(奈良時代の文化の問題や解説):天平文化、古事記・日本書紀・風土記、塑像・乾漆像など
文字だけでなく、視覚記憶も活用しましょう。人間は五感の中で視覚記憶が最も発達している生物です(Dynamite Brothers Syndicate)。以下のような方法で、視覚機能を刺激する覚え方を試してみましょう。
参考書には「文化史に特化したもの」と「通史と併用するもの」があります。例えば、以下のような参考書です。
これらを活用して、「インプット→アウトプット」のサイクルを回すことが重要です。
暗記に苦手意識を持つ受験生は多いです。人によって覚えやすい方法は異なります。いくつかの方法を試してみて「これなら覚えやすい!」と感じる方法を早く見つけましょう。
例えば、以下のような覚え方が文化史では定番です。
以下、興福寺仏頭です。立体感のあるふくよかな顔をしています。この特徴と「仏頭」というワードをセットで覚えると、テストでも思い出しやすくなります。
定期テストや大学入試では「時間制限のある状況」でも「早く・正確に」思い出す必要があります。日本史の文化史を覚えるときには、「思い出す」=アウトプットを重視した勉強がおすすめです。
大学受験に向けて日本史の文化史には「限られた時間」しか回せない人が多いと思います。週3時間×4週間を目安に取り組むと、重要ポイントを網羅できます。
第4週の「過去問演習」では、苦手な時代を発見できたら問題集に戻って覚えなおしましょう!
日本史の文化史は覚えることが多く、モチベーション維持が課題になりやすいです。そこで、以下のような工夫をして肩の力を抜き、モチベーションを維持しやすくしましょう。
文化史を効率的に学ぶためには、「参考書」「勉強法」「反復練習」の3つが重要です。正しい方法を実践すれば、苦手意識を克服して確実に得点につなげられます。
日本史文化史の勉強におすすめの参考書を4冊紹介します。
最初に紹介するのは文化史のマンガです。
無味乾燥な文化史を少しでも「好き」「楽しい」という印象を持てるようになります。
文化史対策の導入としておすすめです。
出版社:KADOKAWA/中経出版
2冊目は、「安定の山川出版」です。タイトルどおり、30日間という短期間で文化史を一気に勉強できる問題集です。
文化史の重要事項(人物名、作品名、時代など)が網羅されており、分かりやすく表で示してくれています。
ひととおり覚えたら確認問題でアウトプットができます。
時代別に掲載されているので、定期テスト対策にも使えます。
出版社:山川出版社
文化史の問題には図やイラストが出てきます。図をみて何の作品なのかを考えたり、どの時代の作家なのかを考えます。
この参考書は図版やイラストが豊富に載っており、くわしい解説と一緒に「理解しながら」インプットできます。
出版社:教学社
4冊目はZ会の参考書です。MARCHや関関同立以上をめざす受験生なら解いておきたいレベルの問題です。
解説が簡潔かつ適切なので、ある程度歴史の流れを把握し、それなりに暗記が進んでから取り組むと非常に重宝します。
出版社:Z会
日本史の文化史は範囲が広く、各時代の文化を細かく学ぶ必要があります。効率的に勉強できる参考書の選び方を紹介します。
まず、資料や図解の多いものを選びましょう。
入試では資料が掲載されて、その資料に関して問う問題が多くでます。有名な(=よく出る)資料は見慣れておき、見てすぐに何の資料なのか(元寇の竹崎季長など)を把握できるように練習しておく必要があります。
入試の出題頻度が高い資料を網羅しているものを選ぶようにしましょう。
初めてみる資料だと、それが何の資料なのかを考えるのに時間がかかります。出題頻度の高い資料で時間を取られるのは効率的ではありません。
よく出る資料は事前に何度も見れるよう、出題頻度の高い資料を多く掲載しているものがおすすめです。
各資料の配置や分類について、覚えやすい工夫がほどこされているものを選ぶようにしましょう。
多くの資料はそれぞれ関連性があります。歴代の徳川将軍が発布してきた武家諸法度の名称と内容、ロンドン・ワシントン海軍軍縮条約など。
そのような関係性のある資料をまとめて紹介している参考書だと勉強が効率よく進みます。
日本史の文化史を得意にするには、やはり参考書を最大限活用できるほうが良いです。その方法を紹介します。
日本史文化史を勉強する際には参考書と資料集を併用しましょう。資料集に載っている図表や文化財の写真を見ながら勉強することで視覚的に覚えやすくなり、知識の定着を早められます。
資料集を活用する際の具体例を挙げると、以下のようになります。
【天平文化】東大寺大仏や正倉院を資料集でみる。
東大寺大仏の画像や正倉院の建築図を見ながら、仏教の伝来や蘇我氏と物部氏の争いを思い出す。
【鎌倉文化】運慶作の金剛力士像や法華堂をみる。
造形の特徴(力強さやリアリズム)を具体的に記憶。将軍・足利義満もついでに思い出す。
【室町文化】銀閣や枯山水庭園を図解で理解し、日本独自の美意識(わび・さび)を視覚と結びつける。
これにより、文字情報だけでは得られない「見た瞬間に思い出せる知識」を蓄積できます。
問題集は、「インプットとアウトプットのバランス」を意識して使いましょう。「インプット:アウトプット=3:7」が黄金比と言われます(スタディハッカー)。
かつては「インプット重視の勉強法」(10回ずつ書くなど)が主でしたが、最近では「インプット重視」が主流です。
【インプット(知識を学ぶ段階)】
【アウトプット(知識を使う段階)】
インプット・アウトプットの両方のサイクルを繰り返すことで、単なる暗記が「使える知識」に変わります。
問題集や参考書を使って文化史を勉強する際には、各章の「勉強を進める順序」と「復習のタイミング」が重要です。
【進める順序】
【復習のタイミング】
問題集をひととおり解いたら、過去問を解きましょう。過去問を解くことで、以下の効果が期待できます。
過去問はただ解くだけでなく、以下のように活用するのがおすすめです。
ここまでお伝えしてきた日本史文化の勉強法をスケジュールにすると、以下のようになります。
こうした方法で文化史の勉強を進めると、参考書や資料集の効果を最大限に引き出し、文化史で効果的に得点を重ねられるようになります。
文化史は大学受験において重要です。その理由はいくつかあります。
文化史は、他の分野に比べて出題される範囲が比較的狭く、またパターン化されているため、しっかり学べば得点源にしやすい分野です。
特に、寺院の建立や文学作品、絵画や書道などの文化的事象は、繰り返し出題されることが多く、出題傾向を掴んで対策することで高得点が狙えます。
文化史は政治や経済、社会の動きと密接に関連しています。例えば、平安時代の貴族文化や、江戸時代の庶民文化など。
その時代の文化を理解することで、時代背景や社会構造への理解も深まります。文化史を学ぶことで、時代ごとの特色を把握しやすくなり、日本史全体の知識を強化することができます。
※関連記事:日本史の時代区分と各時代の特徴:入試に出やすい年号や出来事、歴代首相などを時代別にまとめました
特に難関大学二次試験や共通テストの日本史の入試問題では、文化史に関する深い知識が要求されることが多いです。
単に年号や出来事を暗記するだけではなく、文化的背景やその影響を考察する力が試されます。文化史に対する理解が深いと、論述式の問題にも対応しやすくなります。
※関連記事:東大の日本史の勉強法:合格するための勉強法を過去問を使って解説
日本史の試験では、時代ごとの文化の変遷が問われることが多く、特に平安、鎌倉、江戸、明治時代などの文化の特色や変化がよく出題されます。
これらの時代の文化を理解することは、大学受験での高得点を狙ううえで重要なポイントです。
なお、歴史上の出来事を時代順に覚えるには年表が便利です。以下の記事で日本史の年表を古代から現代まで載せています。
日本史の年表:縄文時代から昭和までの重要な出来事を年代順に一覧で紹介
A: レベルや目的に合わせた参考書を選ぶのが重要です。以下が特におすすめです。
A: 全体像をつかむことが最初のステップです。
A: 時代別や関連付けを意識して記憶するのがポイントです。
A: インプットとアウトプットのバランスを意識してください。
A: 基礎知識が定着してからが効果的です。
A: 短期集中で取り組むようにしましょう。以下のスケジュールで「1日30~60分」を文化史学習に充てるのがおすすめです。
A: 反復学習とアウトプットを習慣化することが鍵です。
高校生向けに日本史文化史の参考書を紹介しました。
日本史の文化史は、受験における得点源となりやすい分野であり、全体の歴史理解を深めるためにも重要です。適切な参考書を選び、効果的な学習を進めることで、文化史の出題に対応できる力を養うことができます。
自分の学習スタイルや志望校に合った参考書を活用し、日本史の文化史を確実に得点源にしましょう。
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