英語学習に力を入れているご家庭がとても多くなりました。
2020年から小学校で英語教育が必修化されたことも大きな後押しになっています。
英語検定資格はいくつもありますが、そのなかで代表的なものに「英検®(実用英語技能検定)」があります。
英検®は中学受験をするうえでも有効な武器になります。英検®に合格しておくと入試で得点認定してもらえる学校もあるのです。
そこで今回は、中学受験生が英検®取得で得られるメリットや必要性、入試で英検®が使える神奈川県、埼玉県、千葉県の私立中学校を紹介します。
※関連記事:【中学受験】英語入試の問題のレベルと対策方法
小学校で英語教育が必修化されることが決まって以降、英会話スクールに通う小学生は多くなりました。
以下のグラフをご覧ください。小学生のご家庭を対象に、学校外での英語学習をしている小学生の割合を表しています。
学校外で英語学習を行っている子は、小学校1年生から5年生までは全体の2割前後います。
小学校6年生になると4人に1人(24%)が英語学習をしています。
各社の調査で子どもに習わせたい習い事の第1位に英会話が君臨しつづけていますが、納得の結果ですね。
これだけ勉強をしていると、小学校で習う英語では物足りなくなります。
最近では小学生で英検®を受ける子が多くなっています。
英検®を受ける理由はさまざまですが、中学入試に利用できることと、英語学習のモチベーションにつなげたいというのが多いでしょう。
※関連記事:【中学受験の英語】幼児期・小学校低学年から家庭で始められる英語学習の仕方
英検®の正式名称は「実用英語技能検定」で、国内最大級の英語資格試験です。公益財団法人の「日本英語検定協会」が主催し、文部科学省が後援しています。
英語の試験を受けて合格したら受験者の英語技能の証明書が発行されます。この証明書は生涯有効で、履歴書にも書けますし、中学入試・高校入試・大学入試にも使えることが多いです。
試験は年に3回あり、試験会場は全国にあります。学校で受けることも可能で、総志願者数は250万人を超えています。
ほかの英語資格検定(TOEIC、TOEFLなど)が留学やビジネスなど限定された範囲の英語試験なのに対して、英検®の試験範囲は幅広く、日常生活から大学やビジネスまで多岐にわたります。
合格すると認定される級があり、1級、準1級、2級、準2級、3級、4級、5級の7つです。
受験者は自分のレベルに合いそうな級を自分で選んで申し込みます。5級を飛ばして4級から受けることも可能です。
各級で測定される技能は下記のとおりです。
・1級~3級:リーディング・ライティング・リスニング・スピーキングの4技能
・4級と5級:リーディング・リスニングの2技能
※4級・5級は、受験者自身のパソコン・スマホ・タブレットなどの端末でスピーキングテスト(録音方式)を受けられます。合否には関係しません。
英検®は年3回、毎年同じ時期に開催されています。個人で申し込む際の試験日程を下記の表にまとめています。
受付期間 | 1次 | 2次 | |
第1回 | 3月15日~5月2日 (書店は4月19日締切) | 6月2日(日)本会場 | (A日程)7月7日(日) (B日程)7月14日(日) |
第2回 | 7月1日~9月6日 (書店は8月30日締切) | 10月6日(日)本会場 | (A日程)11月10日(日) (B日程)11月17日(日) |
第3回 | 11月1日~12月16日 (書店は12月6日締切) | 2025年1月26日(日)本会場 | (A日程)2025年3月2日(日) (B日程)2025年3月9日(日) |
英検®は2015年度まで合格率が発表されていました。2016年度以降は不明ですが、それまでは下記のとおりでした。
1級 | 準1級 | 2級 | 準2級 | |
2015年 | 12.0% | 16.0% | 26.4% | 36.7% |
2014年 | 10.4% | 15.3% | 25.1% | 35.7% |
2013年 | 10.4% | 15.3% | 26.2% | 35.9% |
2012年 | 10.0% | 15.1% | 25.0% | 35.8% |
2011年 | 9.6% | 14.5% | 25.2% | 36.1% |
2010年 | 8.8% | 14.4% | 24.9% | 35.1% |
3級(1次) | 4級 | 5級 | |
2015年 | 52.9% | 69.9% | 81.4% |
2014年 | 54.6% | 69.4% | 82.0% |
2013年 | 53.4% | 70.1% | 85.0% |
2012年 | 55.3% | 69.8% | 83.0% |
2011年 | 51.6% | 69.9% | 82.5% |
2010年 | 53.1% | 71.4% | 83.1% |
ご覧のように、どの年度も合格率はほぼ同じです。5級は8割、4級は7割、3級は5割ほどです。
2016年以降は英検®がリニューアルされて合格率は非公表になりました。代わりに合格点が下記のように固定されています。
級 | 1次スコア | 2次スコア |
1級 | 2028/2550点(79.5%) | 602/850点(70.8%) |
準1級 | 1792/2250点(79.6%) | 512/750点(68.3%) |
2級 | 1520/1950点(77.9%) | 460/650点(70.8%) |
準2級 | 1322/1800点(73.4%) | 406/600点(67.8%) |
3級 | 1103/1650点(66.8%) | 353/550点(64.2%) |
4級 | 324/500点(64.8%) | – |
5級 | 266/425点(62.6%) | – |
どの級も合格ラインは大体6-7割です。決して高得点が必要なわけではありません。
だからといって、「リスニング苦手だから筆記でがんばろう!」といったことは避けましょう。配点は統計的に処理されるため、毎回変わります。リスニング対策をあまりせずに受けたら実はリスニングの配点が高かった。ということもあり得ます。
満遍なく勉強するようにしましょう。
※関連記事:英検5級の勉強法:5級のレベルやリスニングのコツ、小学生が一発合格できる方法を紹介!
中学入試の必須科目は算数、国語、理科、社会です。英語は入試の必須科目ではありませんが、それでも近年、中学受験で英検®を活用されるご家庭がふえています。
中学受験での英検®のメリットは大きく3つあります。
それぞれ説明します。
英語教育やグローバル教育に力を入れている学校のなかには、英検®〇級以上を取得など一定の条件を満たした子しか受験できないところがあります。かなり特色のある教育をしているため、進学者に英語のフィルターをかけているのです。
こうした学校では、受験資格を得られるだけでかなり合格に近づけます。
また、複数の受験生で入試得点が同じになったとき、英検®取得者が合格になるなどの「考慮」を定めている学校があります。
中学入試ではボーダーラインの1点に10人前後がいると言われていますので、いざというときに助かります。
英語で入試を受けられる中学校があります。そういう学校では、英検®の取得級によって点数が加算されます。加点の大きさは学校により異なります。
主に英検®3級以上を取得していると、英語を試験科目として使用できる学校があります。当日に英語で受験するパターンと、級によっては試験免除のパターンがあります。
これも学校によって何級以上が対象なのか変わりますので、各学校の募集要項を確認しましょう。
※関連記事:【英検3級】一次試験対策の演習問題(リーディング・ライティング)
前述のように、英検®の取り扱いには3つのタイプがあります。
タイプごとに表にしています。
県 | 学校名 (校名をクリックするとその学校のHPに飛びます) | 利用条件 |
神奈川県 | 橘学苑中学校 | 準2級以上:100 点(第5 回英語免除)、3 級:80 点、 4 級:50 点、5 級:25 点 |
神奈川県 | 聖園女学院中学校 | 英検®5級:10 点、4級:15 点、3級:30 点、準2級:40 点、2級以上:50 点 ※素点で合格点未満でも、5級:5 点、4級:8 点、3級:15 点、準2級:20 点、2級以上:25 点を加点して再度判定 |
神奈川県 | 関東学院六浦中学校 | 英検®4級以上 |
埼玉県 | 西武学園文理中学校 | 英検®3級:5点、準2級:10点、2級以上:15点 |
埼玉県 | 浦和実業学園中学校 | 英検®5級:50点、4級:60点、3級:70点、準2級:80点、2級:90点、準1級以上:100点 ※小学校4年生以降の取得 |
千葉県 | 昭和学院中学校 | 英検®の級に応じて加点 |
県 | 学校名 (校名をクリックするとその学校のHPに飛びます) | 利用条件 |
神奈川県 | 橘学苑中学校 | 【第5回入試】 〈国+算+英語インタビュー〉 または 〈国+英+英語インタビュー〉 または 〈算+英+英語インタビュー〉 |
神奈川県 | 清泉女学院中学校 | 【3期試験・3教科試験】 国・算・英(英検®4級程度の内容) 【3期試験・グローバル入試】 英・英語面接(英検®2級程度) |
神奈川県 | 聖セシリア女子中学校 | 【B方式・英語入試】 英語の筆記とリスニング(英検®4級程度) (【B方式・英語表現入試】 英語面接、身体表現(ジェスチャーダンス) |
神奈川県 | 北鎌倉女子学園中学校 | 【英語プレゼン①・②】 英語プレゼン・質疑応答 |
神奈川県 | 関東学院六浦中学校 | 【英語型】 英語 (リスニング・リーディング・ライティング)・ 面接 (英語・日本語) |
神奈川県 | 鶴見大学附属中学校 | 【難関進学クラス入試3次】 算or算+国or算+国+理または社または英 |
神奈川県 | 日本大学中学校 | 【A-2日程】 算+国or英(リスニング含む) |
神奈川県 | アレセイア湘南中学校 | 【グローバル入試】 英+国or算+面接(日本語) |
神奈川県 | カリタス女子中学校 | 【一般入試第3回】 国+算or理or英(スピーキングあり) |
埼玉県 | 西武学園文理中学校 | 【英語4技能入試】 Reading、Writing、Listening、Speaking |
埼玉県 | 浦和実業学園中学校 | 【3教科型】 国・算・英 【英語型】 リスニング・筆記・英語面接 |
埼玉県 | 秀明中学校 | 【一般入試】 国・算・英から2科目選択 面接(本人のみ) 【スーパーイングリッシュコース】 国・算・英の3科目 面接(本人のみ) 【奨学金・スーパーイングリッシュコース】 国・算・英+理or社 面接(本人のみ) |
千葉県 | 昭和学院中学校 | 【第1志願入試】 国・算・英から2科目選択 【一般入試・アドバンストチャレンジ】 国・算・英から2科目選択 または 国・算・英から2科目選択+理・社 |
ご覧のように多くの中学校が英語入試を取り入れています。
「英語入試のレベル」と「どう対策すればいいか」を紹介します。
入試で使えるのは英検®5級からです。各級の目安の学力をお伝えします。
※関連記事:【中学受験】英語入試の問題のレベルと対策方法
級 | 推奨目安 | 出題目安 |
5級 | 中学初級程度 (中学1年相当) | 家族のこと、趣味やスポーツなど身近な話題が出題されます。 |
4級 | 中学中級程度 (中学2年相当) | 出題形式や内容が、より実用的に。 身近なトピックを題材とした読解問題が加わります。 |
3級 | 中学卒業程度 (中学3年相当) | 二次試験でスピーキングテスト。英語で考えを伝えましょう。 筆記試験の題材は、海外の文化など少し視野が広がります。 |
5級は中学初級程度です。中学校の英語を少し先取りした程度です。
記事の前半でお伝えしたように5級の合格率は80%以上です。イチから勉強しても数か月くらいで合格レベルまで持っていけます。
ただ、英語入試では英検®4級以上は取っておくほうがいいです。
下記の3つの理由があります。
【加点が大きくなる】
英語入試を利用するのは、やはり英語教育に力を入れているご家庭がほとんどです。
英検®5級はみんな持っています。
入試ですから、「ライバルに差をつけること」が大切です。5級では差がつきません。
5級だと加点が5-10点程度ありますが、4級になるとその2倍です。この差は大きくて、周りが4級以上を持っているのに自分が5級だと、この時点で5-10点のビハインドが生まれてしまいます。
【入学後の英語力】
入学後にはクラスメートは英語が得意な子が多くなります。
英検®準2級以上を持っている子もいます。授業で初めて習う内容を、3級や準2級の子たちはすでに習得しています。発音も上手ですし。この差は大きいです。
もちろん、学校も英語教育にかなり力を入れていますから、中高6年間で追いつくことも可能です。
それでも、スタート地点でクラスメートとあまりにも実力差があると最初から苦手意識を持ってしまいかねません。
【英語入試は4級レベル】
英語入試を課す中学校では、問題のレベルがおおむね英検®4級程度です。
英検®4級は上記の表で「中学中級程度」とありますが、ひと昔前の基準です。
今は小学校5、6年生で英語を習うので、中学1-2年生くらいの英語力で十分合格できます。
ただし、慶應湘南藤沢のような難関校や、国際色のとても強い中学校だと3級~準2級程度は必要になります。
まずは志望校に合わせて、4級以上の取得を目指すようにしてみてください。
4級あるいは3級程度の英語入試の対策はどうすればいいのか、対策方法をまとめました。
※関連記事:【中学受験】英語入試の問題のレベルと対策方法
まず、志望校の入試問題の傾向を調べましょう。
中学校のHPに過去問を載せていることがありますので、それをみて問題傾向をチェックします。
など、筆記問題でも中学校によって傾向が異なります。
さらに、リスニングや英語面接を課す学校もあります。
例として、いくつかの中学校の過去問を載せておきますので、参照ください。
すべてリンク先は各学校のHP上にある過去問です。
清泉女学院中学校の過去問
西部学園文理中学校の過去問
浦和実業学園中学校の適系検査出題意図
中学によって入試傾向はさまざまですが、まずしておくべき対策は英単語の暗記です。
必要な英単語数の目安を下記の表にまとめています。
学力目安 | 必要英単語数 | |
5級 | 中学1年生程度 | 600語 |
4級 | 中学2年生程度 | 1200語 |
3級 | 中学3年生程度 | 2000語 |
準2級 | 高校2年生程度 | 3500語 |
2級 | 高校3年生程度 | 5000語 |
級が1つ上がるごとに必要な英単語数は2倍近くにふくれあがります。
小学校6年間で習う漢字は1026字ですから、4級ですでに漢字以上に覚えないといけなくなります。
英単語は効率のいい方法できっちり暗記しておきましょう。
※関連記事:英単語の暗記方法
三人称単数や時制(現在・過去・未来)など、覚えないといけない文法はたくさんあります。
難関校では長文や英作も出てきますから、毎日1時間ずつ勉強するなど演習量をこなして問題に慣れておく必要があります。
中堅校であっても、穴埋め問題などはきちんとした文法の知識と問題への慣れが必要です。毎日問題を解くようにしましょう。
また、文法問題を解く前に「文法理解」を深めておきましょう。
などを把握してから演習問題に入るのがおすすめです。
※関連記事:be動詞・一般動詞の違いと使い分け方を例文付きで説明
※関連記事:中学英語の文法一覧:中学までに習う英文法の総まとめ
文法を理解するには下記の問題集がとてもわかりやすいです。この問題集を読んで理解しておいて、ほかのドリルや問題集を3周以上すると、かなり実力を伸ばせます。
小学生向けの英文法ドリルとして、下記のシリーズがおすすめです。
一部の学校では英語面接もあります。英語で質問されて英語で答えます。
英語の知識がいくらあっても使い慣れていないと、とっさには英語が出てきません。
英語を話す機会をつくるようにしましょう。
すぐできるものとしては、上記のような方法があります。それぞれ説明します。
CDやアプリの英語音声の原稿をみながら、ネイティブの1-2秒後につづいて自分も発音します。
最初は字を追うだけになるかもしれませんが、同じパートを繰り返し練習すると
「今どういう内容を言っているか」
をイメージしながらリスニング+スピーキングできるようになります。
この繰り返しでリスニング・スピーキングの能力がかなり上がります。毎日10-15分でいいので続けるようにしましょう。
こういうときは、オンライン英会話が便利です。自宅で受けられるので送迎も必要ありませんし、出かけるための準備も、他人を家に迎え入れる準備も不要です。
しかもリビングで受けられるので、子どものレッスン中の様子を見ながら家のことができます。
いかがでしょうか。首都圏は東京で英語利用入試が急激に増加しています。
ただ、東京に出なくても地元の県でも英語利用入試を導入している中学は多数あります。
英語利用入試を導入している多くの中学は外国語教育に力を入れているので、英語学習に力を入れているご家庭と教育方針がマッチしやすいでしょう。
※関連記事:【英検3級】一次試験対策の演習問題(リーディング・ライティング)
利用できる優遇制度をご確認いただき、ぜひご家庭にとって良い中学校を選択ください。
※関連記事:英検®対策問題集:5級~3級まで
※関連記事:英検®対策問題集:準2級~1級まで
※首都圏にあるほかの私立中学をこちらの記事でも紹介しています。
※首都圏の大手中学受験専門塾をこちらの記事で紹介しています。
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