夏休みの小学生と親を悩ませる宿題は、自由研究と読書感想文ですよね。
算数や国語とちがって、学校では読書感想文の書き方指導はほとんどありません。
文章を書くには特別なトレーニングが必要です。どう書いていいか・何を書いていいか本当に困ります。
※関連記事:小学生の文章力をアップさせるおすすめのトレーニング方法を紹介!(例文付き)
そこで、小学生の読書感想文の書き方をくわしく説明します。本の選び方から清書までお伝えしますので、ぜひ参考になさってください。
この記事は下記の方向けです。
読書感想文におすすめの本を紹介します。
対象学年:1、2年生
あらすじ:
絵を描くのが大好きな、きつね。上手下手なんて考えもせず、夢中で絵を描いていました。あるとき、先生がきつねに展覧会に絵を出品するように勧めました。きつねは「みんながおどろくような、すごい絵を描く!」と意気込みます。だけど、なにを描いてもすごい絵なのかどうかわからず不安ばかりが募ります。あんなに絵を描くのが楽しかったのに、いまはちっとも楽しくないのです。とうとうきつねは絵を描けなくなって……。
人に認められることは、自信を持つことにつながります。だけれど、認められることばかりに気を取られてしまうと、人の目を気にして、自分自身の気持ちや考えをどこかに置き忘れてしまうこともあるものです。
きつねも、そうでした。ただただ、描きたいものを描きたいように描くことが大好きだったのに、みんなに「すごい絵」と、思わせたいという気持ちが強くなると、描いても描いても満足できず、描いても描いてもこれではいけないような気持になっていました。
そして、だんだん、描くことが苦しくなってしまうのです。この物語は、子どもたちに、あなたはあなたのままでいい、と語りかけます。
Amazonより引用
人の目を気にしないで、やりたいことと、やりたいようにしていいのだ、と。
そのままのあなたが、すばらしいのだ、と。
対象学年:1~3年生
あらすじ:
わたしがパジャマにきがえるころ、ママは、でかける。たいせつな仕事にいくんだ。
町のあんぜんをまもる警察官や、たいせつなニュースをつたえるレポーター。
わたしがねているよるも、たくさんの人たちがはたらいて、みんなのくらしをささえてくれている。私たちが生活する中で、なかなか直接目にすることのない、夜間にはたらく人たちの仕事を、子ども目線のやさしい表現で追いかける絵本です。
Amazonより引用
対象学年:3、4年生
あらすじ:
古い蔵で手作りみそを作る家に生まれたジュンは、
Amazonより引用
お父さんから「もっとみそに興味を持って」と言われるのがいやでたまりません。
そんな時、ロンドンからの転校生、ユキちゃんに「蔵を見せてほしい」とたのまれます。
これがきっかけで、ジュンの心はだんだんと変化して…。
ジュンがみそ蔵で思いついたアイデアとは?
対象学年:5、6年生
あらすじ:
スコットランドの小さな村で、二人の姉と両親と共に暮らす自閉の少女・アディ。昔、「人とちがう」というだけで魔女の烙印を押され命を奪われた人々がいることを知ったアディは、その過ちの歴史を忘れぬよう村の委員会に慰霊碑を作ることを提案するのだが……。
Amazonより引用
「わたしも魔女にされていたかもしれない――」魔女として迫害されていた人たちのなかには、自分のような人が含まれていたのではないだろうか……?
先生や友だちからの偏見、自閉的な姉からの理解と、定型発達の姉との距離、人とのちがいを肯定的に捉える転校生との出会い……。「魔女狩り」という史実に絡めて多様性の大切さを訴えつつ、ニューロダイバーシティの見地から自閉の少女の葛藤と成長を描いた感動作。
読書感想文を書く手順とコツを5つお伝えします。
それぞれ説明します。
本の選び方は2パターンあります。「親が勧める」「子どもが自分で選ぶ」です。
どちらが良いというのはなく、それぞれにメリットがあります。
子どもに選ばせようとして、なかなか選べなさそうなら親が勧めてあげてもいいですね。
親が本を勧めてあげるとき、考えれば考えるほど、調べれば調べるほど「教育的な本」「知識がたくさん身に付く本」を選んでしまいますよね。
そういう本は子どもがなかなか興味を示さないことが多く、読書感想文を書きにくくなります。
下記のような本を選ぶと、子どもが読書感想文を書きやすくなります。
読書感想文は「本を読む」「感想文を書く」という2段階の作業なので、時間がかかるイメージがあります。
ですが、むしろすぐに終わらせている子が多いです。
ベネッセの調査によると、7割以上の子は読書感想文を3日以内に終わらせています。
本を決めたらすぐ読んでしまって、ササっと書き上げようとしている子が多いのでしょう。
本は2回以上読むほうがいいです。
1回だとあらすじがわかる程度で、書くべき感想もあまり出てきません。
本のあらすじをながながと書いている読書感想文がよくありますが、急いで終わらせようとした結果です。
急いでも2-3日はかかるわけです。2-3日かけて本のあらすじを書いて終わりだと、ちょっともったいないですよね。
2回目以降の読書はストーリーがわかった状態なので時間がかかりませんし、内容やセリフで気になる箇所がたくさんみつかります。
気になった箇所に付箋を貼りましょう。ついでに、「なぜ気になったのか」を書いておくと、感想文を書く段階で非常に便利です。
読書感想文は3つの段からなります。それぞれ文例つきで説明します。
「どのような本を読んだか」「なぜその本を読んだか」を書きます。
【文例】
母が子どものころに読んで面白かったという本を読みました。『~』という本で、ネズミの兄弟が旅に出て助け合いながらさまざまな経験をするというストーリーです。
読んでみて気になった内容・心に残ったセリフなどを紹介し、なぜそれが気になったのか、自分がどう感じたのかを書きます。
【文例】
ネズミの兄弟が大きな川を渡らないといけなくなり、おくびょうな兄ネズミは川の水におびえて動けなくなったシーンがありました。弟ネズミはこわがっている兄ネズミをはげましてこう言います。
「こわくても前に踏み出さないといけないときがあるんだ!」
そう言われて兄ネズミは「よし!」とがんばって川に飛び込みます。
このシーンを読んだとき、僕が感動しました。僕はドッジボールが苦手です。ボールが近くに転がってきても、ほかの子にボールを預けてしまいます。弟ネズミにはげまされて、がんばった兄ネズミを見習おうと思いました。
本を読んでみてどう感じたかを改めて書きます。読書後にした行動があれば、それも書いておきましょう。
【文例】
身体の小さいネズミの兄弟がお互い助け合いながら大きな世界を旅して成長していく姿をみて、とても感動しました。こわいから、苦手だからとあきらめずに、僕もいろいろなことにチャレンジしてみようと思いました。明日にでも友だちとドッジボールをすることにしました。
上記の文例ではちゃんとした文を書きましたが、
実際にはまだメモ書き程度で十分です。
下記のような感じです。
・兄弟が川を渡るシーン。兄おびえる。弟はげます。兄渡る。こわいのに飛び込むのすごい。ドッジボール。
これをノートにずらずらとメモ書きしていくか、本に貼った付箋にメモしておきます。
いきなり原稿用紙に書いていくのではなく、下書きをつくります。
この段階は保護者の方のかかわりが大きくなると思います。
1回読んだところで子どもに声かけをして、考えるきっかけを作ってあげましょう。
2回目はこうした点を念頭に置いて読むので、本を読みながら読書感想文の内容を考えられます。
ここで感じたことなどをノートや付箋に書いていきましょう。
清書するときは、原稿用紙の使い方を意識して書きます。
原稿用紙の使い方は下記のとおりです。下記のZ会の画像に合わせて説明します。
①右端の行にタイトルを書く、2~3文字空けて書きだす
②2行目に自分の名前を書く、姓と名の間に1文字空ける、1番下の1文字を空ける
③3行目から本文を書く、書き出しは1文字空ける
④小さい「つ」「や」「ゆ」「よ」は1つのマス目の右上に書く
⑤各行の1番下のマス目に句読点がくるときは、最後のマス目と一緒に書く
⑥「」の書き方は新しい行に書く、終わりの句点は「」のなかに書く
毎年夏になるとやってくる読書感想文。
そもそもなんのためにあるのでしょう。
まず読書感想文の目的から確認していきます。
読書感想文の嫌いな小学生は多いです。
夏休みに最後まで読書感想文が残る子は半分近く(47.7%)もいます。「楽しみを最後まで取っている」という可能性もありますが、なかなか手を付ける気にならないのでしょう。
同じ調査で、親が手伝うことになる宿題も聞いています。
自由研究(49.3%)や工作(34.3%)も上位にありますが、
そのなかで読書感想文(39.2%)もしっかり第2位にランクインしています。
自由研究や工作は親もやりたいからというケースも少なくありませんが、
読書感想文にはそういう声はあまり聞こえてきません。
親が乗り出さないと進まないというのが本音でしょう。
あまり人気のない読書感想文ですが、何のために毎年宿題にでるのでしょうか。
目的は2つあります。
本をじっくり読み、じっくり考え、その考えを相手にわかりやすく伝える力を養うのが目的です。
物語文を読んで情緒力を養い、
自分が感じたことを文字にして表現することで論理性の訓練にもなります。
小学校では「1・2年生」「3・4年生」「5・6年生」の3つの段階にわけて、表現力を段階的に伸ばしていく指導をしています。
この目的を意識しながら読書感想文に取り組むと、学習効果をあげるきっかけにできるかもしれませんね。
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近年の中学受験・高校受験では記述問題や作文の出題が増えてきています。
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「思考力・判断力・表現力の育成」が文部科学省の指導方針なので、それに沿って「文章を書く力」がすべての小・中・高校生に求められているからです。
Z会の通信教育でも小学校1年生から作文を書く課題を定期的に出しています。
Z会の通信教育 小学生コース※関連記事:小学生向けオススメの通信教育5社を比較:通信教育のメリットや学習習慣をつける方法
読書感想文を「読解力・記述力をあげるための機会」として捉えると、実はかなり便利な宿題になります。
いかがでしょうか。読書感想文の書き方をお伝えしました。
本を読んでから3日以内に読書感想文を書き終えている子が7割います。急いで書くと本のあらすじを書いているだけになりがちです。
1回読み終わった後に保護者の方から声かけをして、本文の構成をあたまのなかに作る準備をしてあげます。
この準備ができてから、付箋を貼ったりメモをしたりしながらもう1度読むようにしましょう。
このひと手間で読書感想文をかなり書きやすくなります。
文部科学省は小学生の「書く力」を非常に重視しています。文章を書く練習をしておきたい方は、おすすめの市販教材をこちらの記事で紹介しています。
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また、感想が「すごいと思いました」ばかりになっていたら、語彙力がピンチです。
語彙力が乏しいと長文の読み取りもむずかしくなります。国語辞典をつかって語彙力と読解力を上手にたかめましょう。
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