中学受験生やその保護者の方の悩みのたねの1つが、国語の長文読解ではないでしょうか。
「模試のたびに偏差値がエスカレーターになる…」
「算数は偏差値60近く取れるのに、国語は40台…」
国語は配点が大きいですから、苦手なままだと入試が不安になりますよね。
国語が伸びない原因は読解力だと思っている方、多いです。
実は国語が苦手な原因の多くは、読解力がないからではないんです。
読解問題の解き方を教わっていないだけなんです。
そこで今回は、国語の偏差値を短期間で伸ばすための勉強方法を3つ紹介します。
国語が足を引っ張って、泣く泣く志望校を変更しないといけない…なんてことになる前に、早めに対策しておきましょう!
※関連記事:【中学受験】理科を得意にできる勉強方法
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国語の問題を分析する
国語の偏差値をあげようと思ったら、まずすべきことは「国語の問題分析」です。
- 何が出るのか
- 配点は何点あるのか
- どの問題で何点取ればいいのか
この3点を最初に確認しましょう。
国語の問題の種類
中学入試の国語は、いくつかの問題にわかれています。
種類を確認しましょう。
漢字・熟語 | 文法 | 読解 | |
難易度 | 易しい(★☆☆) | 易しい(★☆☆) | 普通~難しい (★★☆) |
配点割合 | 小さい~普通 (★★☆) | 小さい(★☆☆) | 大きい(★★★) |
漢字・熟語は難易度が低いですが、実は塾によっては配点の2割近くを占めることがあります。
お通いの塾の模試で何点分あるのか・お子様は何点取っているのかを早急にご確認ください。
一方、文法は難易度も低く、配点も小さいです。ここはいったん置いておきましょう。入試でもあまり出ません。
※関連記事:【中学受験】国語の勉強法と入試出題傾向を解説!(漢字の覚え方・長文読解の解き方など)
読解は難易度が高く、配点も大きいです。
「国語=読解問題」という印象を持つ子が多いのもうなずけます。
ですが、短期間で偏差値をあげようと思ったら、漫然と問題を解くのではなく、
「国語のどの問題で点数を伸ばすのか」
を明確に決めておくことが大切です。
漢字であと10点取るのか、
読解問題であと10点取るのか
まずそれを決めましょう。
もちろん最終的には漢字も熟語も、読解も記述も大切です。ただ、満遍なく勉強していて思わしい成果を得られないなら、労力をまず1か所に投下して成果を出すようにしましょう。
そうすれば子どものモチベーションアップにつながり、国語のほかの分野の勉強も成果を出しやすくなります。
そして何より成果が出れば、「それまで成績が伸び悩んでいた原因」がわかりやすくなります。
漢字などの知識が足りなかったから長文の読み取りがしづらかったという場合もよくあります。漢字の知識不足が原因なのに長文読解ばかりがんばっていても、せっかくの努力をなかなか成果に結びつけにくいです。
原因が何かを突き止めるためにも、勉強の方針を決めておきましょう。
国語が苦手な子の特徴5つ
国語の点数が伸びない子には共通してみられる特徴があります。
- 漢字や熟語を覚えていない
- 書き抜き問題が苦手
- 記述問題の答え方を間違っている
- テストで時間が足りず、いつも最後まで解けない
- 国語をセンスで解こうとしている
それぞれ説明します。
漢字や熟語を覚えていない
先述のように国語が苦手な子に多いのが、漢字や熟語といった知識の軽視です。漢字を読めないとそれだけで長文を読みづらくなります。
また漢字・熟語は中学受験では珍しい、「知っていれば解ける問題」です。
「暗記教科」と言われる理科や社会も、丸暗記ではあまり点数にならないのに対して、国語の漢字は丸暗記で点数になります。
※関連記事:中学入試によく出る漢字・熟語・慣用句・ことわざの問題
ここを押さえておかないのは本当にもったいないです。
書き抜き問題が苦手
受験国語の書き抜き問題は、実はボーナス問題です。
国語が得意な子はほとんど100発100中で正解しており、「書き抜きは確実に得点できる問題」だと思ってます。
ところが、国語が苦手な子は書き抜き問題の解き方を知らず、1つ解くのに非常に時間をかけてしまっています。
記述問題の答え方を間違っている
記述問題は「~こと」「~から」など、終わり方が決まっています。
決められた終わり方以外だと、解答内容が正しくても減点されます。これも、偏差値が伸びない大きな原因になっています。
テストで時間が足りず、いつも最後まで解けない
国語が苦手な子がそろって口にするのが、
「時間が足りなかった」
です。
どの教科でも時間が潤沢にあるわけではありませんが、とりわけ国語は苦手な子ほど時間が足りなくなる傾向が強いです。
原因は「長文を何度も読んでいるから」です。
もちろん、長文を読むのは大事です。1度は全文に目をとおしておくほうがいいです。
ですが、下記のようなことをしていると、時間がどんどん足りなくなってしまいます。
- 長文と設問を何度も往復している
- 長文の同じ箇所を何度も読み返している
理想的な説き方は、本文を1度読んだら後は設問をサラっと解いて終わり、です。
国語をセンスで解こうとしている
国語が苦手な子に1番多くみられる特徴がこれです。
国語をセンスで解こうとしています。
プロの小説家のような素晴らしい文章を書くにはセンスも必要でしょう。(小説家は膨大な量の練習をされているので、センスだけで文章を書かれているわけではありませんが。)
ですが、ただ問題を解いて正解・不正解を決めるだけなら、センスはなくても問題ありません。
ちゃんとした読み方・解き方があります。それを身につければ国語の偏差値を押し上げられます。
短期間で国語の偏差値をあげる方法
国語は2か月もあれば偏差値をあげられます。そのヒントが前項でお伝えした
「国語が苦手な子の特徴」
です。
これらの特徴のうち、以下の2つの条件を満たす特徴をつぶします。
- 知っていれば正解できる
- すぐに解決できる
前述の5つの特徴を、この条件に合うかどうかで表に分類しなおしました。
漢字や熟語 | 書き抜き問題 の解き方 | 記述問題 の答え方 | テストで 時間切れ | 読み方・ 解き方 | |
知っていれば正解できる | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ |
すぐに解決できる | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 |
◎がその条件にとても当てはまるもので、
〇はまあまあ当てはまるものです。
短期間で偏差値をあげるには、
「知っていれば正解できる」「すぐに解決できる」の両方で◎がついているものを克服しましょう。
- 書き抜き問題の解き方
- 記述問題の答え方
の2つです。
偏差値をすぐに5ポイントあげる方法
前述のように、
「書き抜き問題の解き方」「記述問題の答え方」の2つがわかれば、すぐにでも偏差値があがります。
多少の個人差はありますが、偏差値5ポイントは上がります。
書き抜き問題の解き方を覚える
まず、書き抜き問題の解き方から解説します。
書き抜き問題はふつう、本文中のある言葉を別の言葉で言いかえているか、説明している言葉を書き抜く問題です。

の□内に入る言葉を探します。
解答条件として、下記のような字数制限がされています。
- 〇文字で書き抜きなさい
- 〇文字以内/程度で書き抜きなさい
この解答条件はそのまま「解答のヒント」になります。
上記の例でいうと、下記の3つの条件をすべて満たす言葉でないといけません。
- 「私は」からはじまり、
- 「~だから」につながる
- 10文字でひとまりの意味になっている
これらの条件すべてに該当する言葉は非常に少ないです。3つくらいでしょう。
その3つを1つずつ解答欄に入れてみて、「私は~だから」で話がつながればそれが答えです。
記述問題の答え方を覚える
記述問題は文末の書き方が間違っていると減点されます。
文末の書き方には以下の3種類あります。3つとも覚えておきましょう。
- 「どういうことか説明しなさい。」
→ 「~ということ」で終わる - 「どういう意味か説明しなさい。」
→ 「~という意味」 - 「理由を説明しなさい。」
→ 「~(だ)から/~ため」で終わる
解答内容を正しく書けるようになるには2か月かかりますが、文末の書き方だけなら明日からでも修正できます。
国語のテストがある人は、そのテストから修正しておきましょう。
2か月後に偏差値15上げる勉強方法
つづいて、2か月後に偏差値を15上げる勉強方法をお伝えします。
前述の5つの特徴のうち、下記の2つの対策です。
- テストで時間切れ
- 読み方・解き方
この2つを克服すれば国語の偏差値を大きく上げられます。
2つとも勉強方法は同じです。
読解問題を解説から読む
読解問題を解くときは、まず解説から読みましょう。
国語の勉強というと、ほとんどの子はいきなり問題にとりかかります。勉強の順番を逆にします。
下記の順番に演習しましょう。
- 本文の解説を読む
- 本文のポイントを頭に入れる
- 本文を読んで問題を解く
本文のポイントをある程度把握した状態で長文を読みます。
解説の内容をイメージしながら読めるので、論旨の展開の仕方や物語文の表現方法を確認しながら読めます。
国語は、ほかの教科と同じく解法を身につけて解く教科です。本文のテーマが変わっても書き方は同じです。
どういう書き方をしていれば(論旨の展開をしていれば)、次にどのような内容が来るかを予想して読めるようになります。
予想どおりの内容がくれば問題はスラスラ解けますし、予想と違っていても「どこがどう違うのか」を把握しながら読み進めます。
何度も本文を読み返して時間をロスすることもなくなります。
「何が書かれているのか」「どうしてその答えになるのか」
がわかっている状態で問題を解けばすらすらと解けます。
そのために、読解問題はまず解説を読むところからはじめます。
同じ問題を3回以上解く
1題解けるようになっても、これで終わりではありません。
同じ読解問題を3回以上は解きましょう。できれば5回解くほうがいいです。
算数や理科・社会なら、同じ範囲の問題を繰り返し解きますよね。かけ算の問題も何十回・何百回と解いたはずです。
理科の電流も社会の鎌倉時代も、宿題やテスト勉強などで3~5回は解いているはずです。
- 1回目:解き方を知る
- 2回目:解き方の確認
- 3回目:ようやく解き方の定着スタート
国語の読解問題も同じものを3~5回解いて、「こういう読み方をする」「こういう解き方をする」と定着させましょう。
読解で頻出の4テーマに慣れる
まったく同じ文章は二度と出てこないでしょうが、似たような文章や同じテーマの文章は何回も出てきます。
国語の読解は、下記の4テーマがよく出てきます。
- 友情
- 親子
- 自然(環境)
- 科学
読み方・解き方を身につけていけば、テーマごとのポイントや論旨の展開の仕方が身に付きます。
何回も解いて、読み方・解き方を定着させるようにしましょう。
希学園の子で、1か月で偏差値が20以上上がった子もいました。これはさすがにレアケースですが、2か月で10以上は上がります。
前述の「書き抜き問題」「記述問題の答え方」で5ポイントあがりますから、
この2つの勉強方法で偏差値15は上がります。
漢字や熟語を継続的に覚える
ここまで紹介した2つの勉強法と並行して進めてほしいのが、「漢字・熟語の暗記」です。
5年生終わりまでには全部覚えられるペースで勉強しましょう。
いずれも出題は「学年別漢字配当表」という文部科学省の学習指導要領で定められた範囲からです。
これは小学校で習う1,026字の漢字からなっており、小学校の内容を超えたむずかしい漢字は出ません。
ただし、問題にはならなくても本文中に小学校で習う以上の漢字が出てくることがあります。
その場合、漢字にルビはふってくれていますが、ルビがないと読めない小学生は不利になります。
その語彙の意味を知らないでしょうから、本文の内容もずいぶん読み取りづらくなるからです。
いくら読み方・解き方を身につけても、「書いてある内容がよくわからない」と大まかなところまでしか理解できません。
5年生の途中まではそれでもなんとかなりますが、6年生ではさすがに太刀打ちできません。
漢字・熟語のインプットが進むと、「長文の読み方・解き方」も精度が上がっていきます。
偏差値がさらに上昇して、最終的に60くらいまではいきます。
下記の漢字ドリルが定番です。
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ほとんどの受験生は偏差値60あれば十分でしょうが、
60以上にするには記述力をかなりきたえるようにしましょう。
※関連記事:【中学受験】国語の記述勉強法・記述力アップの問題集
国語は苦手教科第1位
中学受験生にとって国語は1番苦手な教科です。
下記のグラフは中学受験生対象に不得意教科を調査した結果です。
国語は40%以上の中学受験生から「不得意」とされています。

国語の配点は大きい
苦手にしている子が多い国語ですが、入試での配点は算数と並んで最大です。
配点パターンはいくつかありますが、下記のようなパターンが多いです。
算数 | 国語 | 理科 | 社会 | |
均等配点 | 100点 | 100点 | 100点 | 100点 |
算・国重視 | 150点 | 150点 | 100点 | 100点 |
算・国偏重 | 100点 | 100点 | 50点 | 50点 |
国語の配点は、
- 均等配点で25%
- 算・国重視で30%
- 算・国偏重で33%
です。1教科がもつ配点としては大きいです。
国語の得意・不得意の差は大きい
中学入試の合格ラインは大体6割ですから、国語が苦手な子は入試で4-5割くらいしか取れないでしょう。
国語が得意な子と苦手な子ではかなり大きな差が出ます。
例えば、算・国偏重型の入試だと下記の表のようになります。
算数 | 国語 | 理科 | 社会 | 合計 | 合否 | |
国語得意 | 40/100点 | 80/100点 | 30/50点 | 30/50点 | 180/300点 | 合格! |
国語苦手 | 60/100点 | 40/100点 | 30/50点 | 30/50点 | 160/300点 | 不合格… |
国語が得意な子だと、算数が苦手でも合格ラインを越えられます。
国語が苦手な子だと、算数が普通にできても合格ラインに届きません。よほど算数が得意にならないといけないのです。
「国語のセンスがないから勉強しても無理」とあきらめてしまっている子もいますが、国語をあきらめるということは志望校をあきらめることに等しいと言えます。
短期集中で国語を特訓
まずは2か月、集中的に国語に取り組んでみてください。前述の勉強方法3つのうち、
- 書き抜き問題の解き方と記述問題の答え方
- 読解問題を解説から読む
の2つを実践してみてください。
これだけでもかなり国語の偏差値をあげられます。
また、読解力は訓練をすれば伸びやすく、一度伸びれば長期間安定します(つまり、読解力はめったに低下しません)。最近では中学受験に「速読」を取り入れているご家庭も増えてきており、専門の塾を利用されている方も増えてきています。

まとめ
いかがでしょうか。
中学受験の国語を苦手にしている子は多いですが、読解が苦手なのではありません。
解き方や国語の勉強の仕方を知らなかったことが大きな原因です。
記事内で紹介した勉強方法はいずれも家庭学習で取り組めるものです。
国語を得意教科にして、得点源にしたいですね!
※関連記事:【中学受験】国語の読解力を訓練するためのオススメのドリル・問題集10選

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