「中学受験の算数ができない」と困っている小学生は多いです。
算数は受験の合否に大きな影響を与える重要な科目ですから、苦手克服できればとても大きな武器になります。
そこで、中学受験をする小学生の保護者の方向けに、中学受験における算数の伸ばし方を紹介します。
受験算数を得意にして、第一志望校合格を勝ち取りましょう!
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中学受験の算数を伸ばすにはいくつかポイントがあります。
得意にするためのポイントを紹介します。
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まず、計算問題を毎日解いて計算力をつけましょう。
の両方が求められます。特に重要なのは「正確性」です。
計算問題を毎日10問(ドリル1ページ程度)解きます。
この3点で計算力はかなりついていきます。
各単元の基本的な概念を理解し、公式や解法の意味をしっかりと覚えているか確認しましょう。
応用問題の対策を中心にするまえに、基礎=土台固めが重要です。
一度正解しても、翌日や週末などに解きなおしましょう。
「単元ごとに勉強したら解けるのに、テストになると解き方を忘れてしまう」という人は少なくありません。
理解できていても、まだまだ定着が甘いのが原因でしょう。
繰り返し解いて早く定着させるようにします。
1つの解き方に慣れてきたら「難易度の異なる問題」に挑戦し、「異なる解法(別解)」も試してみましょう。
この繰り返しで柔軟な思考力が養われます。
本当に解けるようになったかどうか、定期的に模試を受けましょう。
模試は下記の2点を重視しましょう。
特に、「不正解だったけれど、解説を見たら解き方が分かった問題」を解きなおしておきましょう。
理解はできていて、定着がまだまだ甘い問題です。
今はまだ不正解になっていても、もう少し演習したら得点化できるようになります。
また、定期的に模擬試験を受験すると実際の試験形式に慣れてきて、「時間配分」や「集中力の向上」が期待できます。
基礎力が養われてきたら応用問題にも挑戦してみましょう。
中学受験の問題はある程度パターン化されています。応用問題に解きなれておくと入試や模試でも点を取りやすくなります。
また、応用問題は基本的な解き方や考え方をベースにしていますから、基礎の確認にもなります。
家庭学習では質の高い問題集や参考書を使うようにしましょう。
解法を復習できるだけでなく、新しい知識や解き方を知ることができます。
複数の教材を組み合わせて使うと、理解がより深まります。
※関連記事:中学受験算数のおすすめ問題集
受験算数の苦手克服には時間がかかります。せっかく勉強をして実力がつきかけても、勉強しない日をつくったり復習しなかったりすると忘れてしまいます。
定期的に復習にする学習習慣の確立が重要です。
毎日少しずつでも継続的に学習することで、確実に算数力が伸びていきます。
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理解できない点や疑問点が出たら、すぐに誰かに質問して解決することが大切です。解決したらすぐ問題を解きなおして解き方を定着させましょう。
解いた問題や模試の結果を定期的に振り返り、間違いの多い箇所やケアレスミスのパターンを自分なりに分析しましょう。
これらを知って同じ間違いを繰り返さないように注意深く学習していくことが大切です。
受験算数の大きな特徴のひとつに「論理的思考力が求められる」という点が挙げられます。
論理的思考力の高い子(早熟タイプの子)は中学受験で圧倒的に有利になれます。
算数をとおして論理性を伸ばすには、「解き方を順に箇条書きする」のがおすすめです。
この2点を両方とも押さえておくのがコツです。
解き方が合っていても理解できていない子は解き方の順番を間違えます。
解き方、順番の両方ともそろえば「なぜその解き方をするのか」についての理解が頭のなかで整理され、論理的に考えられるようになります。
中学受験において算数が苦手になる理由は様々です。
以下に、算数ができない理由のいくつかを挙げてみます。
まず、基本的な算数の概念やルールが理解できていない場合、難しい問題に対応することが難しくなります。
意外と多いのがこのパターンです。
「基礎は分かっているのに応用になると間違う」と言う子ほど、基本問題での間違いが目立ちます。
継続的な学習習慣がない場合、算数の知識が身につかず、定着までに時間がかかります。日常的な学習が不足していると、テスト対策も追いつかなくなります。
勉強が後手後手になってしまう大きな原因のひとつです。
前述のように、受験算数の問題はある程度パターン化されています。同じ種類の問題には同じアプローチで解けます。
テストで問題を見たときに「どのパターンなのか」に気づけないと、正答率がなかなか上がってきません。
問題を見たら「問題集のあの問題と同じパターンだな」と気づけるまで繰り返し問題を解きましょう。
中学受験の算数は、小学校までの内容を飛躍的に発展させたものが多いです。これに対応できず、新しい概念を理解するのが難しいと感じることがあります。
概念の飛躍とも関連しますが、過去の不正解や理解できなかった経験から、自信を喪失してしまうことがあります。
これが何度も続くとモチベーションが低下し、学習意欲そのものが失われることがあります。
「どうせ勉強しても解けるようにならない」と思いながら勉強すると、苦手克服にはつながりにくいです。
下の子がさわいでいる、机のうえが取り散らかっているなど、静かで集中できる環境が整っていない場合、学習がうまく進まないことがあります。
適切な学習環境が整っているかどうかも確認が必要です。
※関連記事:集中できる環境の作り方
多くの塾教材の解説はあまりにも簡潔で、自学習には向いていません(授業を受けることが前提になっています)。
そのため、算数の勉強をしようとしても解説が乏しくてひとりで理解が追い付かないケースがよくあります。
解説が理解できない場合、個別に合わせたサポートが必要です。
※関連記事:中学受験算数の成績アップ:塾で勉強しているのに伸びない原因と対策方法(図形、比と割合、速さ)
中学受験の算数を乗り切るためには、以下のポイントが必要です。
四則演算や割り算、分数などの基本的な計算スキルが必要です。
これらの基礎的な能力がしっかり身についていると、応用問題にも対応しやすくなります。
算数の応用レベルでつまずく子には、計算で頭を使ってしまって肝心の応用ポイントを読み取れないケースが目立ちます。
多くの問題パターンを知っていると、テストでも問題を見てすぐに解法が浮かぶようになります。
パターンが分かれば、その問題で問われているポイントを理解し、効果的な解決策を見つけられるようになります。
小学校の算数は暗記と計算で解けますが、受験算数には論理的な思考力が不可欠です。
規則性の問題はその代表格ですが、ほかのタイプの問題でも論理的に考えて解法を導くものが中心です。
前述のように、解き方とその順番を箇条書きすると算数の勉強をとおして必要な論理性を伸ばせます。
中学受験には算数以外にも多くの科目があります。
この両方を意識した学習計画を立てておくと、合格まで最短距離を走れるようになります。
また、「今日何の勉強をすれば良いか?」を考える必要もなくなり、「解くこと」に集中できます。
ここからは、中学受験算数で特に苦手になる子が多い分野の勉強法を説明します。
中学受験の算数で図形の勉強を効果的に進めるためには、以下のステップを踏んでみましょう。
※関連記事:平面図形・空間図形の解き方
まずは基本的な図形(円、四角形、三角形など)の性質や特徴を覚えましょう。
対角線の長さ、角の大きさ、面積の求め方など基本的な性質や定理をしっかり把握することが重要です。
例えば、円の面積の計算、三角形の相似や合同の条件などを学びましょう。
入試に出てくるような図形の問題はたいてい、補助線を引いて解きます。
こうした「線を引けばわかるもの」がどの応用問題にも1つはあります。何らかの図形の定理を使って解くようにつくられています。
補助線を引いて使えそうな図形を探しましょう。
図形の問題であっても、図形が描かれていなかったり問題文中にある条件を一部までしか描いていなかったりする問題もたくさんあります。
図形の問題は頭のなかで図を正確にイメージし、
そのイメージ図を描いて視覚的に確認できるようにすると解きやすくなります。
丁寧に美しい図を描く必要はないので、ある程度正確な図をフリーハンドで描けるように練習しましょう。
多くの応用問題は比を使って解きます。
辺の長さの比を使って別の辺の長さや比を求め、
その比を使って面積や面積比を求める。
「比を使って解く問題かも」と念頭に置いておけば、応用問題を解きやすくなります。
図形の応用問題はパターンがかなり決まっています。
このように、解法パターンは限られています。
問題パターンに熟知するまで繰り返し応用問題を解きましょう。
模擬試験は一番良質の教材です。出題される問題はその単元の理解を問うものばかりで、応用問題も解法パターンの知識を問うものと思考力を問うものとをバランス良く配置しています。
模試の結果も気になるでしょうが、受験直後に解説をみて解きなおしをすれば一気に単元の理解を深められます。
図形で特に厄介なのは「イメージできない問題」です。
例えば、立方体をななめにカットし、カットされた大きいほうの図形の体積を求める問題は多くの受験生の頭脳を混乱させています。
図を正確にイメージできない状態でいくら解きなおしをしてもやはりよく理解できないものです。
そこでおすすめなのがパズル教材です。
受験算数の図形問題を解くのにつくられた専用のパズルを使い、頭のなかでイメージしきれないものを図形ブロックで視覚的に理解を助けてくれます。
下記のパズル教材は受験生に特におすすめです(PRリンクをつけています)。
※関連記事:中学受験算数で図形を得意にできるおすすめパズル教材
中学受験の算数において割合と比は中核とも言えます。
理解を深めるための勉強法は以下のようになります。
※関連記事:逆比、連比、比例式の解き方
※関連記事:割合の問題の解き方
まず、割合と比の基本的な概念をしっかり理解しましょう。
割合は2つの数量の比較を示し、比は2つの数量の比率を表します。
割合や比を身近な実例でイメージづけると理解が深まります。
例えば、食材の配分やスポーツの成績など日常生活での実例を考えると良いです。
今年のトマトは昨年のトマトより3割ほど高い
→昨年のトマト:今年のトマト=1:1.3
問題集や過去問から割合や比に関する問題を多く解いてみましょう。
基本的な計算から複雑な問題までバリエーション豊かな問題に取り組むことで、様々なパターンに対応できるようになります。
このとき、順に解くだけでなく「ランダム(解く順番をバラバラにする)」のはおすすめです。
割合の問題は順に解いているうちに「数字どうしをかければ良い」というように作業的な解き方におちいりがちです。
ランダムにすれば解き方を理解できているかどうか確認できますし、定着も早くなります。
割合や比の問題を解く際、自分の言葉で解き方を説明すると頭のなかが整理されて理解が深まります。
他者に説明できるようになると、自分の理解度も確認しやすくなります。
割合や比を視覚的に理解して解きやすくするために、面積図や線分図を使いましょう。
具体的な図に置きかえることで割合や比を理解しやすくなります。
多くの受験生は売買損益の問題に出てくる用語が苦手です。
「原価」「定価」「利益」「割引」など。
これらは日常的に使って意味をイメージできるようにしておきましょう。
中学受験の算数において、場合の数も重要な分野の一つです。
以下に、場合の数の勉強法を紹介します。
たいていの受験塾で、場合の数は4-5年生で習います。
中学受験算数には専用の解き方があり、スッキリするような解き方になるはず。
という刷り込みがされている頃です。
場合の数も計算で解こうとしがちですが、その前に「ひとつひとつ、全部」書き出しましょう。
時間や手間を惜しまず、組み合わせや樹形図で全部書き出します。
全部書き出すのに慣れると、書き出さなくても計算で求められるタイプの問題を覚えていきます。
数字が書かれたカードを1枚ずつ並べるなど、「同じものがない場合」は計算で求められます。
問題で与えられた条件を逆にして考えると解きやすいことがよくあります。
「8名のなかからクラス委員を6名選ぶ問題」では、「選ばれる6名を考える」よりも「選ばれない2名を考える」ほうが場合の数が少なくすみます。
このように、与えられた条件を逆にして考えると答えにたどりつくまでの手順が少なく済みます。
問題を解く前に、問題文をよく読み、問題を整理しましょう。
前述のように、場合の数の範囲では解き方をひと工夫すると早く答えにたどりつきやすくなります。
やみくもに解くのではなく問題の本質を理解することが、正しい解法を見つける第一歩です。
場合の数の範囲で苦手なタイプの問題をノートにまとめておきましょう。
問題パターンは限られていますし、「全部分からない」という子は非常にまれです。
間違えた問題をノートに書き写し、しばらくたまってきたところで解きなおしてみましょう。
自分が苦手にしているのが同じようなタイプの問題ばかりだということに気づきやすくなります。
タイプさえ分かれば、場合の数はかなり解きやすくなります。
中学受験では「思考力問題」と呼ばれる、思考力を問う問題も多数出てきます。
思考力とは、言いかえれば「さまざまな切り口から考える力」です。
特に受験算数の思考力を伸ばすのには、以下のアプローチが役立ちます。
算数における「思考力」は、特に「ゴールから逆算して考える力」です。
角Aの角度を求めたい
↓
角Dと角Aが同じ角度だと言えたらいい
↓
△ABCと△DEFが合同だと言えればいい
↓
合同だと言うには辺ABと辺DEが等しいと言えればいい
↓
四角形ABDEは正方形だと問題文に書いてある
のように、「角Aの角度」というゴールから考えて、その答えを出すには何が必要かを考える練習をします。
算数の問題では必ず何らかの条件が明確に示されています。
例えば4人でじゃんけんをして、Aくんは「パーを出した」、Bさんは「チョキを出していない」…など。
これらの条件を箇条書きにしたり表にしたりすると整理できます。
論理的に解答にたどりつくには、「とにかく分かりやすい形にすること」が大切です。
問題を解くだけでなく、自ら問いかけ、仮説を立てることで思考力が向上します。「なぜ」「どうして」の疑問を持ち、主体的に学ぶ姿勢を養いましょう。
思考力問題や応用問題が出てくるたびに発問を繰り返すと、しばらくしたら発問しようとしなくても自然に疑問がわいてきて、これまでとは別の角度からも考えられるようになります。
発問と同様の効果があるのが「説明」です。
解答の根拠や手順を誰かに説明してみます。架空の誰かでもいいです。
慣れるまでは自分の説明に「話がつながらない」と感じるかもしれません。論理的につながっていないときや、感覚的な解き方(なんとなくの答えの出し方)になっているとそう感じます。
違和感を感じたらまた問題に戻って発問しながら問題に取り組んでみましょう。
図やグラフは論理的思考を助ける有力なツールです。問題を視覚的に表現し、問題の本質を理解することで、解法が見えやすくなります。
いずれにしても、数学は論理的思考が求められる科目です。
問題に対するアプローチや解法を論理的に整理し、効果的な解決策を見つける訓練が重要です。
思考力問題と言っても、一つ一つの問題がそれほど違っているわけではありません。解き方や考え方が似ている問題が並びます。
同じタイプの問題を反復して解くことで、その問題のパターンや解法を理解しやすくなります。
この繰り返し練習を通じて、思考力を養いましょう。
最後に、受験算数の苦手な人向けのおすすめ問題集を紹介します。
いずれもAmazonのPRリンクをつけているので、リンク先でお得に購入いただけます。
「東大脳」とあるように、東大出身の方々が作成されたドリルです。数の概念や図形をイメージして捉える能力をきたえられます。
基礎、計算、図形、論理・文章題の4つに分かれています。
小学校で習った手順どおり解くよりも「工夫して解く」ともっと速く解ける計算。
集中してじっくり頭の中で図形を動かして解く問題。
これらの取り組みの過程で、「苦労して解けたときの喜び」や「工夫する切り口」を学べるようになっています。
就学前~小3くらいまでおすすめです。単純な計算練習に嫌いな子にもおすすめです。
基礎編↓
計算↓
図形↓
論理・文章題↓
算数・国語といった垣根を越えて必要になる「考える力」を養うのにおすすめのドリルです。
中学受験・高校受験によく出る思考力問題は「解法の暗記」ではなかなか身に付きません。むしろ、3-4年生で算数がむずかしくなってくる時期までに「暗記」ではなく「考えて解く習慣」をつけているかどうかがとても大切です。
パズル的な思考問題が多く掲載されており、言葉や数字だけでなく頭のなかでイメージしながら考える(解決する)力を身につけられます。
特に幼児~低学年におすすめです。
1年生用↓
2年生用↓
3年生用↓
幼児~小学校低学年におなじみの「天才脳ドリル」です。先ほど紹介した「考える力ドリル」と同様に、図形をイメージする力を養えます。
点描写などを通じて図形を「なんとなくの形」ではなく「細かい位置関係」で把握する力が養われます。
「仮説思考」のバージョンもありますが、中学入試の算数で立体図形の応用問題(立体図形の切断面の面積を求める問題など)が合否を分けるポイントの1つになるため、「空間把握力」のほうを特におすすめしています。
初級編(1~2年生くらいまで)↓
中級編(2~4年生くらい)↓
つづいては、中学入試で絶対に落としたくない「一行問題」の対策に特化した問題集です。
過去の入試問題から一行問題をたくさんピックアップして掲載してくれています。問題と解説が対になっていて見やすく、「確実に得点アップしたい人」や「算数が苦手だけど逆転合格したい人」に特におすすめです。
「偏差値55」と「偏差値63」の2種類に分かれています。「偏差値55」でも後半はハイレベルな問題がつづいており、下記のようなレベルの子におすすめです。
「偏差値55」と「偏差値63」の2種類に分かれています。
「偏差値55」でも後半はハイレベルな問題がつづいており、難関中学志望者にも「偏差値55」がかなり役立ちます。
「偏差値63」だと、難関中学志望者で算数のやや得意な子、最難関中学志望者で算数の苦手な子にちょうどいいレベルです。
偏差値55↓
偏差値63↓
いかがでしょうか。
中学受験をする小学生の保護者の方向けに、中学受験における算数の伸ばし方を紹介しました。
計算力や基礎理解で土台を固め、応用問題や思考力問題のパターンに慣れましょう。
図形の勉強法、割合や比の勉強法、場合の数の勉強法も紹介しています。算数の苦手を克服して第一志望校合格を勝ち取れることを祈っています。
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