中学受験において英語入試を導入する学校は全国的に多くなってきています。
これまでの算数・国語を中心とした受験スタイルでは強みを十分に生かせなかった子が英語入試で難関中学や独自カリキュラムの中学を目指せるようになっています。
そこで、中学受験で英語入試をお考えの保護者の方向けに、幼児期や小学校低学年から家庭でできる英語入試の対策法を紹介します。
英語を得意にして子どもの将来の選択肢を広げられるようにしたいですね!
※関連記事:【中学受験】英語入試の問題のレベル
英語は中学入試で非常に大きな武器になります。
公立中高一貫校でも英語入試が導入されており、文部科学省も英語教育の充実化を大きなテーマとしています(文部科学省「今後の英語教育の改善・充実方策について」)。
そこで、幼児期から家庭でできる英語入試対策の始め方を紹介します。
英語入試の対策をはじめるには、まず英語に触れるところからです。
英語学習は幼児期から始めるほうが発音の覚えも早く、有利とされています(ベネッセ教育情報)。
子どもが小さいうちから、できれば幼児期から英語に触れる機会を日常的につくりましょう。
日常的に英語に触れるのにおすすめなのは英語アプリです。
幼児期はまだ「勉強」に慣れていないため、いきなりドリルを使う勉強には向いていません。
アプリを使えば、家庭のリビングで楽しみながら英語に親しむことができません。
無料のものも多く、有料でも月数百円程度でハイクオリティなものがたくさんあります。
※関連記事:おすすめの英語アプリ
しばらく英語に触れていると、”train(電車)””baseball(野球)”など、日常会話で使う英単語をいくつか覚えてきます。
この頃くらいから英検ジュニアの受検を考えてみましょう。
その名のとおり英検の子ども版で、英単語のつづりを書く必要がなく、音声を聞いて当てはまるイラストを選ぶ試験です。
数年後に英語入試を受けるわけですから、「試験の合格を目指して勉強する」という経験を少しずつ積んでおきます。
小学校では3年生から英語教育がはじまりますが、英語入試は小学校で習う範囲を越えて出題されることが多いです。
1-2年生くらいからは英語の勉強を本格的に始めましょう。
おすすめの問題集もこの記事内で紹介しています。
英語の勉強をはじめるにあたって、志望校(検討中含む)を親子で一緒に見学に行きましょう。
「勉強をがんばったらこんなに楽しそうな学校に入れるんだ!」と、子どものモチベーションアップにつながります。
また、親子での志望校見学は1回きりではなく、6年生まで続けるほうが良いです。
※関連記事:中学受験の学校説明会のポイントと個別相談会で聞くおすすめの質問
志望校が絞れてきたら、過去問を見るなどして入試傾向をつかんでおきましょう。
学校によってリスニングが入ってきたり、英検3級レベルを求められたりと様々です。
出題傾向をみて、「どこまで英語力を伸ばせば良いか」「英語4技能をバランス良く伸ばすのか、リーディング・ライティング中心なのか」を確認しましょう。
志望校を見学してモチベーションが高まってきたら、早速英単語の暗記をはじめましょう。
最初は「机」「エンピツ」「本」など身の回りのもの(名詞)の英単語を書けるようにします。
下記の学研の「英単語ドリル」は、単語学習のスタートにおすすめです。1日5-10分程度でできる分量で毎日実施できる構成になっており、学習習慣もつけやすいです。
英単語を覚えてきたら、次は英文法の勉強に移ります。
小学生で英語の勉強をしている子のなかには、英語を耳学習中心にしている子も少なくありません。
最初はそのやり方で早く英語を使えるようになりますが、英検4級あたりから伸び悩む子も多いです。
be動詞/一般動詞など英文法をしっかり勉強し、「理解して」英語を使えるようにするほうが後で大きく伸びていきます。
※関連記事:be動詞・一般動詞の違いと使い分け方
英単語を覚えてきて、be動詞・一般動詞も理解できてきたら、英語の文章を読んでみましょう。
おすすめは外国の絵本です。イラストが多めで1文1文が短く、英語学習初学者の子どもにも読みやすいです。
子どもに読ませる本ですから、内容も気になります。その点、個人的におすすめなのはElephant and Piggie Bookのシリーズで、特に「Should I Share My Ice Cream?」などは非常に良いです。
ゾウとブタの仲良し二人が主人公の絵本で、このタイトルは大好きなアイスクリームを友だちにもあげるほうが良いかな?と悩みつつ、最終的に二人で仲良くアイスを食べるお話です。
安心して子どもに読ませられるストーリーですし、英文が短くて読み聞かせもしやすいです。
3-4年生くらいになってきたら英検を定期的に受けるようにします。
英検は4技能すべてが求められるバランスの良い英語検定ですし、英語入試では英検などの資格を持っていることで優遇されます。
上記のような優遇措置を得られます。
※関連記事:中学入試で英検®が使える東京の私立中学一覧
※関連記事:中学入試で英検®が使える神奈川、埼玉、千葉の私立中学一覧
※関連記事:中学入試で英検®が使える関西の私立中学一覧
英語4技能の1つであるスピーキング。英語で面接をする中学校は多いですし、入試で求められなくても入学後にどのみち英語のスピーキング能力を高めていく必要があります。
AIがスピーキングの相手をしてくれるものもありますが、子どもが楽しんで続けやすいかどうかとなると、個人的には「?」です。
オンライン英会話で人間相手に英会話の練習をするほうが続けやすいでしょう。
ただし、日本語が全く通じないと会話が成り立たない場合もあり、繊細な子や人見知りをしがちな子だと嫌がるかもしれません。
そんな場合は日本語の話せる講師のレッスンが受けられるスクールが取っ付きやすいです。
以下は「スモールワールドオンライン英会話」のバナーです。
下記の3点が特徴のオンライン英会話スクールです。
英語のリスニング力を伸ばすにはアニメが便利です。
リスニング教材でよく、「エミリーはお母さんに話しかけた。」「マイクはボールを投げた。」のような、やや面白みに欠けるイラストや音声が使われがちです。
勉強に慣れていない子どもにとってあまり楽しいとは言えず、長続きしません。
勉強をがんばったごほうびとして英語のアニメを毎日1本(15分程度)見せるようにすると、楽しく英語のリスニングができます。
特におすすめなのがAmazonプライムです。
英語のアニメが豊富で、『もしもネズミにクッキーをあげると』などの人気シリーズも無料で見放題です。(個人的に、ヘラジカさんがみんなの前で四苦八苦しながら手品をして最後はみんなが大喝采する話がお気に入りです。)
気に入ったアニメがあれば、それの絵本(英語)を買うとさらに子どもが前のめりで読みます。
以下にAmazon Primeに申し込みができるリンクを載せておきます。
Amazon Prime6年生になれば志望校の過去問や類似する他中学の入試問題を解きましょう。
繰り返し解いて時間配分に慣れておけば、入試当日に緊張しても普段どおりの実力を発揮しやすくなります。
英語入試を実施している中学校は多いですが、試験科目のパターンはさまざまです。
※関連記事:中学入試で英検®が使える東京の私立中学一覧
※関連記事:中学入試で英検®が使える神奈川、埼玉、千葉の私立中学一覧
※関連記事:中学入試で英検®が使える関西の私立中学一覧
算数・国語・英語の3科目を受験する方式です。
英語を得意科目にしておけば、算数・国語のうちどちらかが得意なら合格の可能性がかなり高くなります。
算数・国語・英語のなかから2科目を選択する入試方式です。
英語以外に、算数と国語のどちらか1科目だけで合格を決められます。
下記の3パターンから1パターンを選びます。
英語と国語の2科目で受験する方式です。
先ほどの「2科目選択」との違いは、「国語と英語」の受験に限定されている点です。
英語にかなり力を入れていて、国語力も重視している学校によく見られます。
英語1科目で受験する方式です。
英語以外の科目がないので、ハイレベルな英語力を求められます。
英語1科目入試をはじめ、英語で受験する場合には英語での面接も実施されることが多いです。
面接官から英語で質問され、英語で回答します。
リスニングとスピーキングの両方の試験をかねた面接になります。
英語学習は幼児期から始めるほうが良いとされています。
その利点を以下にいくつか挙げてみます。
幼児期は言語を学ぶのに最も適した時期であり、新しい言語を吸収する能力が高まっています。
3歳前後から英語に慣れる環境をつくっておくと、ネイティブな発音を身につけやすくなりやすいと言われています。
外国語の発音は早いうちから耳に慣れさせることが大切であり、これが将来的な語学力向上に繋がります。
幼児期は言語感覚が急速に発達する時期であり、新しい言語を楽しみながら学ぶことで、コミュニケーション力や表現力が向上します。
日本語と英語では表現方法に違いがあります。
日本語は相手との「暗黙の了解」や「気遣い」を重視しているため、結論を最後に持ってくる傾向があります。
一方、英語は結論ファーストで理由をその後に伝える流れです。
どちらが良いというより、状況に応じて使い分けられる「多様な表現力」を身につけられます。
多様な表現力を身につけると、思考方法も多様化できます。
思考方法は用いる言語の特性によっても変わります。
論理性の高い英語を幼児期から学ぶことで、論理力の向上も期待できます。
幼児期から複数の言語を学ぶことで、将来的に他の言語を学ぶ際のベースができます。
英語に限らず、中国語やフランス語など多言語を扱う能力はグローバル社会での競争力を高める要素となります。
英語は国際的なコミュニケーションの共通言語となっています。
幼児期から英語を学ぶことで外国人との間の垣根を感じにくくなり、さまざまな国の人と知り合いになりやすくなります。
SNSの発達とあいまって、小学生や中学生でたくさんの国の人と日常的にコミュニケーションを取っている子も増えてきています。
言語はコミュニケーションの重要なツールです。子どものころから国際的な人間関係を構築するベースをつくれれば、日本の枠を越えて広い視野で物事を関連付けて考えられるようになります。
幼児期は好奇心が旺盛な時期であり、興味を持って学ぶことでさらなる好奇心の発達を促せます。
英語をゲームや歌、絵本などを通じて楽しく学ぶことで、英語だけでなく様々な学習への興味が促進されます。
最後に、英語入試の対策におすすめのドリル・問題集を紹介します。小学生が取り組みやすいものを選んでいます。
※関連記事:小学生向け英語学習ガイド:おすすめドリルと楽しく上達するコツ!
最初に紹介するのはすみっコぐらしです。年齢を問わず、大人にも子どもにも大人気ですね!
このシリーズの良いところは、未就学児~小学校低学年の子どもに分かりやすく、なじみやすい説明や構成にしてくれているところです。
英語についても「はじめて英語を勉強する子ども向け」に、「勉強感」をできるだけ感じさせない朗らかな雰囲気にしてくれていて、子どもにとって絵本を読むような感覚の延長線上で英語を学習できます。
ローマ字・アルファベット↓
身の回りにある英単語↓
川など自然の英単語↓
英語の文↓
つづいて紹介するのは学研の「早ね早おき朝5分ドリル」シリーズです。
毎朝、学校に行く前の5分間だけ勉強するというコンセプトで作られています。本当に5分くらいで終わるくらいの分量です。
「5分」なので集中が途切れる前に終わるため子どもにとって負担感が少なく、「続けやすい」というメリットがあります。
アルファベット↓
ローマ字↓
未就学児や小学校低学年向けに、車や電車、果物などさまざまな事物を英語で紹介している英語図鑑と、「楽しい」「悲しい」などの自分の感情を表現する言い方や「あなたは何年生?」のような簡単な会話フレーズをたくさん収録している英会話辞典です。
このシリーズの良いところはすべてタッチペンで発音を聞ける点です。
英語に限らず、タッチペンでなぞると声が聞こえるおもちゃがあると、子どもは興味を持って毎日遊びますよね。
「毎日」「繰り返し」「自分から」の3点がそろうと、英語の学習をはじめやすく、続けやすくなります。
英語図鑑↓
英会話辞典①↓
英会話辞典②↓
こちらは、小学校中学年・高学年向けです。be動詞・一般動詞といった英文法をしっかり学べます。
小学生はまだまだ論理的な言語能力が発達途上なので、大人のように英文法を理解するのは困難です。品詞ごとに色分けするなど、「小学生が理解しやすい説明の仕方」で解説してくれています。
小学生向けの英文法ドリルの定番の1つです。
単語の語順↓
ドリル1:be動詞↓
ドリル2:一般動詞↓
ドリル3:疑問詞↓
ひととおり勉強したら復習+確認テスト↓
単語の語順ルールを分かりやすく解説↓(子どもだけでなく、親が読んでおくと子どもに教えやすくなります)
小学生向けの英文法を学べるドリルです。be動詞・一般動詞はもちろん、助動詞や進行形もあります。
前述の「意味順」とは構成の仕方が異なっており、繰り返し練習して覚えることを目的にしています。
①be動詞・一般動詞・can↓
②三単現・過去・未来・進行形↓(英検5級くらいまでの範囲)
5級の対策に必要な文法をわかりやすく解説し、演習も載せています。
解説のわかりやすさに定評があるシリーズです。4級、3級もあります。
小学生に分かりやすく英検の問題傾向を解説して、演習問題も用意してくれています。
いかがでしょうか。
中学受験で英語入試をお考えの保護者の方向けに、幼児期や小学校低学年から家庭でできる英語入試の対策法を紹介しました。
英語アプリを使って英語に親しみ、英検を受けて「目標に向けて勉強する習慣」をつくりましょう。おすすめの問題集も紹介しています。
また、英語での面接を実施している私立中学も多いです。スピーキングも伸ばしておく必要があります。
This website uses cookies.