大阪にある公立中高一貫校の適性検査対策をお伝えします。
大阪では私立中学だけでなく公立中高一貫校も人気があります。
そこで、この記事では大阪府立咲くやこの花中学校の入試情報を紹介し、適性検査の傾向と対策を説明します。
6年間の教育環境だけでなくその後の進路にも大きな影響を与える受検ですから、しっかり情報収集して対策したいですね。
※関連記事:公立中高一貫校の魅力とは:学校の種類や入試制度について解説
大阪には3校の公立中高一貫校があります。
大阪府立咲くやこの花中学校の入試対策について、概要から紹介します。
咲くやこの花中学校の偏差値は60です(シリタスより)。
ただし、公立中高一貫校の偏差値は参考程度にとどめておきましょう。当日の問題によって大きく得点が変わります。
±10くらいの幅で捉えるほうが良いでしょう。
咲くやこの花中学校の進学実績は下記のとおりです。
国公私立大学(一部) | 合格者数 |
大阪 | 3 |
神戸 | 2 |
大阪公立 | 5 |
関関同立近 | 61 |
※最新の状況はHPなどでご確認ください。
咲くやこの花中学校の選抜方法を確認します。
適性検査と作文の結果で合否が決まります。配点は下記のとおりです。
配点は下記のとおりです。
適性検査Ⅰ(45分):50点
適性検査Ⅱ(45分):80点
作文(15分):20点
3つとも受検してその得点を合計します。
咲くやこの花中学校の適性検査の出題方針は下記のように定められています。
小学校で習得される基礎的・基本的な知識・技能、思考力・判断力・表現力、中高一貫校で6年間学び続けていくことができる意欲・適性等をみること
大阪府教育委員会 府立中学校入学者選抜方針より
概要が分かったところで、咲くやこの花中学校の適性検査対策を問題ごとに見てみましょう。
まず適性検査Ⅰから紹介します。
適性検査Ⅰは国語・算数の融合問題です。
最初に国語の長文読解が1題出ます。
長文読み取りに必要な知識や能力を問う問題で、小学校の国語のテストと大きく変わりません。
初めてみる長文を読み(長さは普通の小学校のテストよりやや長いくらいです)、問題に答えます。
問題は以下のような種類がメインです。
国語の長文につづいて、算数の問題がはじまります。
算数の基礎知識を問う問題が数問つづきます。例えば、5年生・6年生の児童が冬休みに読んだ本の冊数をまとめた表をみて、以下の問いに答えます。
「5冊以上読んだ児童の人数」
「5年生の冊数の中央値」
「6年生の平均値が4.4冊のとき、空欄になっている階級の度数」
小学校でも出題される通常の算数の問題とほぼ同じです。
基礎知識を問う問題が終わると、算数の思考力を問う問題につづきます。
小学校で習う知識で解けますが、問題のパターンが小学校のテストとは全く異なっています。
例えば、図書館のおすすめ本コーナーの看板をつくる作業をするという場面設定で、花の模様(以下の図3)の面積を、図2をヒントにして求める問題です。
さらに、おすすめの本を紹介する記事をまとめた冊子をつくる場面になり、以下のようにページ番号を打つことになりました。
このルールである冊子にページ番号を打ったとき、左のページが「32」ページ、右のページが「9」ページになりました。
この冊子をつくるのに何枚の紙を使ったかを問う問題が出ています。
適性検査Ⅰの国語は通常の長文読解問題です。
問題集を使って「読み方」「解き方」をマスターしておきましょう。
上記のような解き方を身につけておくと、得点を取りやすくなります。
長文問題のなかでも、「記述問題の答え方」は特にしっかり練習しましょう。
記述問題を苦手にしている小学生は多く、しかも学校では「記述問題の答え方」を習わないことが多いです。
問題の問われ方によって、回答の文末を下記のように答えるというルールがあります。
知っておくと正しく答えて減点を防げます。
※関連記事:中学受験国語の記述問題を解くコツと自宅でできる勉強方法
咲くやこの花中学校の適性検査Ⅱは、分野(入学後のコース)によって異なります。
まず、【ものづくり(理工)分野】の適性検査対策を紹介します。
ものづくり分野では、算数の知識を問う問題が多く出ます。例えば下記のような問題です。
いずれも小学校で習う標準レベルの問題です。
こうした問題が数問つづいた後で、オリジナルルールのゲームなどが登場します。
例えば以下のようなカードゲームが出題されています。
ランダムに並べたカードを以下の手順で並び替えます。
このルールのもとで10枚のカードを並び替えるとき、並び替えた回数が最も大きいときには何回並び替えたかを問う問題などが出ています。
つづいて、理科をメインに算数の知識も使って解く教科横断の問題が出てきます。
例えば植物の葉が取り上げられ、以下の2パターンの問題が出ています。
いずれの問題でも資料が提示され、それらの資料をみながら問いに答えます。
上記画像が「葉の面積を求める問題」で提示された資料で、
下記画像は「出て行った水の量の割合」を求める問題の資料です。
水が出ていった部分 | 出ていった水の重さ | |
X | 「葉の表」と「茎」 | 15.g |
Y | 「葉の裏」と「茎」 | 3.7g |
Z | 「葉の表」と「葉の裏」と「茎」 | 5.0g |
まず、算数と理科で苦手分野をつくらないようにしましょう。
咲くやこの花中学校の適性検査Ⅱは算数と理科がメインです。どちらの分野でも、教科知識を問う問題が出てきます。
特に算数の「資料の調べ方」「図形」「比」「割合」「分数の計算」はスラスラ解けるようにしておきましょう。
これらの問題は思考力問題でもよく使います。
適性検査は問題数が少ないため、1問あたりの配点が大きいです。1つでも苦手なまま入試に臨むと、そこで大きく点数を下げてしまいかねません。
咲くやこの花中学校の適性検査Ⅱでは「条件を論理的に整理して解く力」が問われます。
オリジナルルールのゲームが紹介されたり、複数の実験条件・実験結果から考察する問題もよく出てきます。
初めてみる内容も少なくないため、短時間で状況を整理して答えを導く必要があります。
このときに必要な力が論理性です。
論理性は一朝一夕で身につくものではありません。日ごろから論理的に条件を整理する練習をすると伸びていきます。
『5分で論理的思考力ドリル』などで練習すると条件を整理する力がつきやすいです。
また、数字ロジックやロジックパズルを使うと楽しく論理性や集中力を養えます。
※関連記事:子ども向けロジックパズル
つづいて、【言語分野】の適性検査対策を紹介します。
言語分野の適性検査Ⅱでは、作文が2題出されます。
1題目の作文は、詩や絵本の内容に関する問題です。過去の出題から2つ例として挙げます。
2題目の作文は、図や表を見て自身の意見を書く問題です。
例えば、下記のような体力測定の結果を比較したグラフをみて、「資料から読み取れる内容」と「その内容に対する受検生自身の考え」を380-440字以内で書きます。
作文を書く際にはいきなり書きはじめるのではなく、まずメモを作成しましょう。
作文は下記の順に書きます。
結論 → 本文で理由2つ → 再度結論
最初の「結論」と「理由2つ」についてのメモを作成します。
メモができたらその内容が問題に合っているか確認したうえで、メモを見ながら書きましょう。
作文は練習すればだれでもある程度書けるようになります。
定期的に、月1回ずつや夏休みなどに短期集中で10-15回程度作文を書いて練習しましょう。
※関連記事:【中学受験】作文の書き方やルールとおすすめの対策問題集
公立中高一貫の適性検査と、小学校のテストや私立中学の入試とでは問題のパターンが大きく異なっています。
違いをまとめると2点あります。
まず、小学校や私立中学入試は算数・国語など教科ごとにテストがあります。
算数のテストでは算数の知識や技能が主に問われます。
それに対して適性検査では教科横断です。算数・国語・理科・社会の、複数教科の知識を使って解きます。
欠けている知識があると問題を解きづらくなるので、どの教科も得意にしておく必要があります。
小学校のテストや私立中学の入試は知識の習得が重きをなします。公式や解法の知識があり、その知識を速く・正確に使えるかどうかが重要です。
一方、適性検査で求められる知識は小学校で普通に習う範囲までです。知識を「活用できるレベル」で定着させられているかどうかが重要です。
工夫して何かに取り組むと、自然と知識を活用します。
パズルや難問、工作など、「作り出す」「考えて解く」といった作業を日常生活で取り入れてみましょう。
適性検査の対策に便利な問題集を紹介します。
前述のように適性検査では思考力・分析力・表現力が求められており、それらの力をどう活かせばいいかを、問題演習をとおして身につけます。
算数的分野↓
理科的分野↓
社会的分野↓
出版社:朝日学生新聞社
特徴:
公立中高一貫校の教育方針に、将来、国際社会で活躍できるリーダーを育てることが
Amazonより引用
あります。リーダーには、身の回りの事象を数理的に分析・考察し、課題を解決する力、
課題を総合的に解決する力などが求められます。
算数分野の適性検査では、ものごとを数理的に分析・考察し、課題を解決する能力の
基礎が問われます。問題を解くためには、次のような力が必要となります。
●問題文を正確に読む力
●条件を整理し分析する力
●問題の本質や着眼点を見つける力
●解き方を工夫する力
●なぜ、そのような考え方、解き方で答えを求められるのか、理論的に説明する力
この本では、全国の適性検査から厳選した過去問をもとに、分野ごとに系統立てて、頻出問題の傾向と対策を伝授します。
中には難しい問題もありますが、これらの問題を解くことによって、一つひとつ求められる力を養ってください。
資料問題編↓
数と図形編↓
生活と科学編↓
出版社:東京学参
特徴:
【 公立中高一貫校適性検査対策問題集 資料問題編 】解答解説付き
●全国の中高一貫校の適性検査の問題から、資料をもとにした問題(理科・社会分野)を選び出し、10パターンに分類。
●地図やグラフ・表の読み取りなど資料を用いた問題対策に。着眼点、考え方・解き方をていねいに示した例題と的確なヒントが参考になる練習問題です。
●各単元ごとに集中的に取り組み、問題のパターンを掴めるようになりましょう。苦手単元の克服にもおすすめです。自分の力で公立中高一貫校適性検査を攻略するための一冊
Amazonより引用
・公立中高一貫校適性検査必須の出題形式「資料を使って解く問題」を完全攻略
・実際の出題から良問を精選
・資料をもとにした問題を選び、10パターンに分類
・例題で考え方・解法を身につけ、豊富な練習問題で実戦力を養う
・複合問題にも対応できる力を養う
問題のボリュームが多く、6年生がさまざまなパターンをしっかり演習するのに適しています。
東京では公立中高一貫校の難易度が非常にたかいです。
塾に行って対策するほうが良いのかなと気になるご家庭も多いと思います。
家庭だけで取り組むことも可能ですが、ラスト1-2年は塾に行くほうが便利でしょう。
子どもが4年生くらいまでなら、まずご家庭で対策しておきましょう。
具体的には下記の3点です。
塾に行く場合でもこれら3点は実施しておくほうが良いです。
算数の先取り学習や国語の長文読解の勉強には市販の問題集も便利です。
解説が丁寧で分かりやすく、繰り返し練習できます。
また、記述問題の解答にはルールがあるので、問題集でしっかり覚えて慣れておくと良いでしょう。
※関連記事:中学受験国語の記述問題を解くコツと自宅でできる勉強方法
※関連記事:中学受験国語の記述対策問題集
家庭学習に取り組まれていても、やはり5-6年生くらいになると塾で対策するほうが安心です。
必要な対策を網羅できますし、受検まで間に合うカリキュラムで勉強に取りくめます。
子どもによって得意・不得意は発生しますから、不得意内容については家庭で特訓するなどすると効果的に合格する力を養えます。
※関連記事:公立中高一貫校に向いている子・向いていない子の特徴:合格できる子になるための対策方法とは?
もし塾には行かず家庭学習のみで受検されるなら、Z会が便利です。
5年生から受けられる公立中高一貫校対策専用コースがありますし、4年生までに受けられる講座でも論理性や課題解決力、作文力を養う内容が豊富です。
Z会 公立中高一貫校受検対策講座のご案内いかがでしょうか。
大阪府立咲くやこの花中学校に合格するにはどうすればいいのか、過去問をもとに傾向と対策を紹介しました。
資料問題や論理性を問う問題が出てきます。日ごろからグラフ・表の読み取りを行い、慣れておきましょう。
また、小学校で習う範囲しか出題されませんが、基礎学力が高いレベルで求められます。
特に算数・理科は苦手分野がないようにしっかり勉強しておきましょう。
以下のリンクは難関公立中受検対策に強いZ会のHPです。リンク先で公立中受検対策講座の詳細を確認できます。
Z会 公立中高一貫校受検対策講座のご案内
※関連記事:Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
This website uses cookies.