最近、公立の中高一貫校が人気になっています。
私立中とは異なる魅力があり、
公立中を第1志望校にするご家庭もふえてきています。
ですが、私立中にくらべて受検を考えている人が少ないため、
普通の公立中とどう違うのか、受検対策はどうすればいいのかがあまり知られていません。
そこで、この記事では
について解説します。
特に私立中入試とどう違うのかをお伝えいたしますので、進路選択の参考になればと思います。
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e点ネット塾 公立中高一貫受検対策公立中高一貫校の魅力とは何でしょうか。
その魅力をまとめました。
何と言っても6年一貫であるという点です。
通常の公立なら中学3年間、高校3年間で別々の方針で教育を受けます。ですが、公立中高一貫校は6年間同じ方針の教育が受けられます。
公立中高一貫校は学校ごとに特色を明確に打ち出しています。
上記以外にも、地域ごと・学校ごとで特色はさまざまです。
私立中学同様に高校受験がありません。
中学生であわてて受験対策にはげむ必要がなく、親子ともに安心して過ごせます。
高校受験がなくても、大学受験は待っています。その大学受験の対策を1年かけてじっくり行えます。
高校受験をして高校に入る場合には高3のギリギリまで授業が進んでいることが多いです。公立中高一貫校なら高2までで英語・数学の必要な範囲はほぼ習い終えているため、高3の1年間は受験勉強に集中できます。
入試(適性検査)を受けて入学している子ばかりです。同じような学力レベルの子が多く、互いに切磋琢磨できます。
公立ですから、私立中にくらべて学費が安いです。
下記の表をご覧ください。中高6年間通ったときの学費の合計をくらべています。
私立にくらべて6年間で300万円も安いです!
勉強に集中するのも良し、
部活に打ち込むのも良しでこの学費はうれしいですね!
人気があるのもうなずけます。
公立中高一貫校は公立ですから、運営母体は各自治体です。
下記の表のように、私立中にくらべれば学校数は少ないです。
公立中学 | 私立中学 | 公立中高一貫校 (連携校除く) | 公立中高一貫校 の割合 | |
学校数 | 9,027校 | 780校 | 143校 | 1.6% |
少ないながらも、毎年数校ずつ全国で開校されています。
500校の設置が目標となっており、全部で3タイプあります。
それぞれのタイプについて解説します。
中等教育学校は、中学・高校の完全6年一貫です。
公立の学校はカリキュラムが中学と高校で別々に存在していますが、
中等教育学校は中学課程と高校課程を入れ替えることができます。
私立の中高一貫教育に近い形です。
6年間で1つの学校という扱いなので、入試は中学入試だけです。
高校入試はありません。
学校の名前に「中等教育学校」とあれば、このタイプです。
中等教育学校同様に中学と高校が6年一貫で、
私立中高一貫校のように中学課程と高校課程を入れ替えることができます。
高校入学時に外部から新たな生徒が入学します。
既存生は入学試験なしで高校にあがれます。
学校の名前に「付属中学校」とあればこのタイプの学校で、
高校からでも入試を受けられます。
※一部、高校入試のない併設型中学もあります
中等教育学校と併設型の運営母体は1つなのに対して、
連携型は複数の学校が連携して運営します。
私立中高一貫校のように中学課程と高校課程を入れ替えることができます。
中学と高校が6年一貫ですが、
連携中学から連携高校への進学時には試験と生活態度による選抜が行われます。
中等教育学校・併設型・連携型をくらべると、
下記の表のように特徴がわかれます。
特徴 | 中学入試 | 高校入試 | |
中等教育学校 | 6年一貫。学校判断で中学課程と高校課程を入れ替えることができる。 | あり | なし (高校からの入学はできない) |
併設型 | 6年一貫。学校判断で中学課程と高校課程を入れ替えることができる。 | あり | あり (既存生は入試なしで高校進学できる) |
連携型 | 6年一貫。ただし、運営母体は複数の学校。 | なし | あり |
すべて6年一貫であり、
公立なので授業料が安いという点では同じですね。
連携校は中学入試がないため、
ここでは中等教育学校と併設型の入試についてお伝えします。
まず公立中高一貫校入試は国語、算数といった名称では行われていません。
「適性検査」「報告書」「面接」などを組み合わせて行われます。
適性検査は思考力や判断力、表現力を中心に、
小学校で身につける総合的な力を問う問題です。
適性検査Ⅰから適性検査Ⅲまで3種類ありますが、
一部の学校では適性検査Ⅲは実施していません。
適性検査の内容は下記のとおりです。
適性検査Ⅰ | 国語・社会の組み合わせ |
適性検査Ⅱ | 算数・理科の組み合わせ |
適性検査Ⅲ | 作文や理系問題(学校独自) |
試験範囲はあくまで小学校で習う内容です。
私立中学とちがって入試専門の特別な知識の習得は必要ありません。
適性検査で問われるのは思考力や知識の活用力です。
たとえば、お米の栽培方法を時期ごとに解説しているイラストと、南半球にあるオーストラリアの気温を示すグラフをみたうえで、オーストラリアでお米の栽培を行う時期について解説する文章を記述させる問題が出されます(日能研「公立中高一貫校適性検査対策テスト」ページより)。
この例だと、
理科と社会を組み合わせつつ、
国語の記述力を求めています。
このような、複数の教科にまたがった問題が出題されます。
思考力を問われる問題なため、これだけ勉強すれば合格できるという目安があいまいです。
模試もありますが、結果は参考程度にしておくほうがいいです。
問題が変われば得意・不得意もかわります。
※関連記事:公立中高一貫校の受験対策:家庭でできる勉強方法
※関連記事:公立中高一貫校の適性検査対策におすすめの問題集・参考書
公立中高一貫校の適性検査で特徴的なのは
「作文がほぼ必須」
という点です。
といったテーマで出題されます。
作文は400字ほどのものがメインです。いきなりこれらのテーマで400字作文は厳しいですが、適性検査の得点源は実は作文です。
きっちりと練習すれば高得点を狙えるようになります。
受検対策は1年あれば大丈夫ですが、
首都圏に関しては1年では足りないでしょう。
関西圏含めてほとんどの地域の公立中高一貫校は偏差値50台ですが、
下記の表のように、首都圏の公立中高一貫校はのきなみ偏差値60を超えています。
専門の塾に通ってみっちりと対策しておきましょう。
学校名 | 偏差値 |
小石川中等教育学校 | 70 |
両国高等学校附属中学校 | 67 |
桜修館中等教育学校 | 65 |
武蔵高等学校附属中学校 | 65 |
九段中等教育学校 | 63 |
立川国際中等教育学校 | 63 |
大泉高等学校附属中学校 | 63 |
南多摩中等教育学校 | 63 |
白鴎高等学校附属中学校 | 62 |
三鷹中等教育学校 | 62 |
富士高等学校附属中学校 | 61 |
【公立中高一貫校の適性検査】
①適性検査は複数の教科をまたがって作成されている
②作文のトレーニング必須
③ふつうは1年で間に合うが、首都圏は2年準備しておくほうがいい
報告書とは、受検生自身の小学校での成績や生活態度などを記載した書類です。
小学校の先生に作成してもらい、受検予定の中学校に提出します。
報告内容のなかで中学校側が特に注目するのは下記の3点です。
報告書の対象期間は、
多くの中学校では小学校5-6年生の2年間です。
一部の中学では4-6年生などの3年間になる場合もあります。
志望校の募集要項をみてご確認ください。
報告書の作成には時間がかかります。
通知表のように同じ書式ではないため、1校ごとに作成しないといけません。
さらに担任の先生が作成後、複数の先生が内容を確認することになっています。
報告書の作成は、担任の先生に通常の業務以外に結構な負担をお願いすることになります。
依頼は、願書を入手できる11月頃にはしておきましょう。
できれば、それ以前に受検を考えていることを担任の先生に伝えておくほうがいいです。
先生も人間ですから、丁寧に依頼するほうが、印象が良くなります。
報告書は子どものがんばりを報告する書類です。
先生が書きやすいように、
といった、子どもががんばっている活動を先生に伝えておきましょう。
適性検査と報告書の配点は学校によりけりですが、おおむね、
適性検査:報告書=8:2
と見積もっておいてください。
公立中高一貫校入試では、報告書の配点も大きいです。
学校では授業中に積極的に手を挙げる、元気なのはいいがヤンチャな言動で目立たないようにするといったことを心がけましょう。
【報告書】
①報告書の作成は小学校の担任の先生に依頼する(早めに!)
②報告書対策として協調性・積極性をアピールしておこう
面接がありますが、受検者本人(子ども)だけで保護者の面接はありません。
個人面接と集団面接にわかれており、下記のような質問がよく聞かれます。
ご覧のように、面接の定番の質問が中心です。
奇抜な質問はほぼないので、事前に面接練習に取り組んでおきましょう。
※関連記事:中学受験当日、面接の服装どうする?保護者・女子・男子の気になる服装と費用も解説!
※関連記事:【中学入試】面接でよく聞かれる質問例と模範回答例
面接の受け答えの練習は箇条書きがおすすめです。回答内容を文章にしたり箇条書きにして練習しておくと、当日回答しやすくなります。
文章にすると丸暗記になってしまい不自然な受け答えになります。
ただし、緊張してガチガチになりやすい子は文章にして丸暗記しておくほうが失敗しにくいです。
なお、報告書と面接はどうすれば得点がたかくなるかの基準が不明確です。
中学校に問い合わせても「総合的な判断」としか教えてくれません。
適性検査でほかの合格者以上の高得点だったのになぜか不合格になるケースもあります。
報告書対策と面接対策を綿密に行っておくほうがいいでしょう。
【面接】
①面接は定番の質問中心
②適性検査が良くても面接で不合格になるケースが少なくない
適性検査対策の定番の参考書・問題集を3種類紹介します。AmazonのPRリンクをつけているので、リンク先でお得に購入いただけます。
『5分で論理的思考力ドリル』:毎日少しずつ解いて、適性検査で求められる論理力を養います。
『小学校6年生までに必要な作文力』:作文練習に打ってつけです。
※関連記事:【中学受験国語】おすすめの記述・作文問題集:書き方の基本から難関レベル対策まで
『公立中高一貫校適性検査対策問題集』:算数的分野・理科的分野・社会的分野と、適性検査に必要な範囲が網羅されています。
これらの問題集で練習したら、最後は志望校などの過去問で対策をしておきましょう。
通常レベルはこちら↓(中学受験をする4-5年生レベルです)
やさしめレベルはこちら↓(中学受験をする3-4年生レベルです)
むずかしめレベルはこちら↓(中学受験をする5-6年生レベルです)
出版社:学研プラス
特徴:
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「学校では書きかたを詳しく教えてくれなくて、子どもが困っている」
少しでも思い当たるなら、ぜひ本書を読んでみてください。
※関連記事:必見!小学生の文章力をアップさせるおすすめのトレーニング方法を紹介!
※関連記事:小学生におすすめの文章力をトレーニングするドリル・問題集11選
公立中高一貫校の適性検査によく出るタイプの問題(倍数・約数を利用する問題、規則性の問題など)を収録した問題集です。
適性検査対策の定番で、このシリーズの次は銀本(全国の適性検査過去問を集めた問題集)や志望校の過去問を解きましょう。
算数的分野はコチラ↓
理科的分野はコチラ↓
社会的分野はコチラ↓
出版社:朝日学生新聞社
特徴:
公立中高一貫校の教育方針に、将来、国際社会で活躍できるリーダーを育てることが
Amazonより引用
あります。リーダーには、身の回りの事象を数理的に分析・考察し、課題を解決する力、
課題を総合的に解決する力などが求められます。
算数分野の適性検査では、ものごとを数理的に分析・考察し、課題を解決する能力の
基礎が問われます。問題を解くためには、次のような力が必要となります。
●問題文を正確に読む力
●条件を整理し分析する力
●問題の本質や着眼点を見つける力
●解き方を工夫する力
●なぜ、そのような考え方、解き方で答えを求められるのか、理論的に説明する力
この本では、全国の適性検査から厳選した過去問をもとに、分野ごとに系統立てて、頻出問題の
傾向と対策を伝授します。
中には難しい問題もありますが、これらの問題を解くことによって、一つひとつ求められる力を
養ってください。
最後に紹介するのは銀本です。全国の国公立中の適性検査の過去問を集めています。
志望校の過去問以外に、よく似た問題を探して「総合演習」として使うのに便利です。
出版社:みくに出版
特徴:
入学者選抜が行われる全国の公立中高一貫校の2023年度適性検査問題を、1冊にまとめた問題集。
Amazonより引用
一部の作文・放送問題・グループ活動を除き、すべての問題を掲載(一部、素材文・図版等著作権上の都合により削除)。
実際の試験時間を明記。また私立中高一貫校の適性検査型入試問題も同時収録。別冊解答付き。
公立中高一貫校は6年一貫で、学費が私立の3-4割程度という魅力があります。
そのため近年人気が上がっており、特に東京都では偏差値や倍率が非常にたかくなっています。
受検対策は、東京都では2年、ほかの地域では1年ほど見積もっておきましょう。
適性検査と報告書、面接で合否が決まります。面接対策もしっかり行っておきましょう。
※関連記事:公立中高一貫校の適性検査対策
※関連記事:全国の公立中高一貫校偏差値表
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