「予備校と塾の違いが分からない」
こうした声をお聞きすることがときどきあります。どちらも授業があり、自習室もあり、生徒は勉強しています。
ですがそれぞれの授業目的が違っているため、その特徴やメリットも違っています。
そこで、予備校と塾の違いを説明し、最近の大学入試に対応するにはどちらが良いのかを解説します。
それぞれの特徴を活かして大学受験対策を有利に進めていきましょう。
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予備校と塾はどう違っているのか。どちらも「勉強する」という点は同じですが、違いがいくつかあります。さまざまな角度からその違いを比べてみます。
まず大きな違いとして、「指導目的の違い」があります。
予備校
大学受験対策が目的です。かつては一般入試対策がメインでしたが、今では推薦入試対策として小論文対策にも力を入れてきています。
ただし、あくまで「大学入試を受けるときの対策」がメインです。推薦をもらうためには学校の定期テストで好成績を取ることも必要ですが、定期テスト対策は実施していません。
塾
大学受験対策と学校補習の両方を目的にしています。
学校の勉強はそのまま大学受験対策につながりますし、大学受験対策で実力があがれば定期テストの点数もあがりやすくなります。
どちらにより重点を置くかは、生徒や塾の担当者の判断によって分かれます。
指導目的に違いがあるため、カリキュラムにも違いがあります。
予備校
志望校によるコース制がしかれており、授業内容はコースごとで完全固定です。
難関大学志望者向けの上位コースでは基本的な公式や知識は説明が省略されることもあります。実践的な解法の説明に時間が割かれます。
複数の予備校や塾で授業をしている人も多く、指導方法の引き出しの豊富な講師が多いです。
塾
集団授業を実施している塾では、予備校同様に難易度別にコースが2-3つに分かれています。基本的な内容を中心に授業をしたり実践的な内容中心にしたりと、コースによって授業内容が変わります。
予備校と塾で大学受験情報にも違いがあります。
予備校
入試情報が豊富。偏差値や入試方式など、HPに掲載されている情報以外に「受験するうえで知っておくほうがいい情報」を資料としてもらえます。
また、授業中に講師から有効な一口メモ・アドバイスを時おりもらえます。
塾
一般的な受験情報以外に、その地域の高校生がよく受ける大学・学部の入試情報を予備校とそん色ない程度に持っています。
ただ、あまり受けない大学・学部については一般的な情報にとどまることもあります。例えば東日本にある塾なら西日本の大学入試情報をあまり持っていない、水産学部や航空科の指導歴は少ないといった状況は起こりえます。
予備校と塾の大きな違いの1つが、講師と生徒の距離感の違いにあります。
予備校
予備校の講師と生徒は塾に比べてやや距離があります。1クラスの生徒数が50名ほどになる授業も多く、どの生徒もよく知っているというわけにはなかなかいきません。
その分、大学生チューターが進路相談に乗ったり、講習会で受講するコースを勧めてくれたりします。
塾
塾では講師と生徒の距離感が比較的近いです。集団授業でも1クラスが数名~15名くらいまでが多いため、講師は担当クラスの生徒の様子をかなり細かく見ています。
また、個別授業では講師1人:生徒1~3名ですから、どの問題でつまずきやすいか/得意にしているかまで把握しています。
ただし、個別塾のなかには講師と生徒が友だちのようになってしまうところもあるようです。教室責任者次第なので、通塾する目的を明確にして責任者の人となりや考え方を面談で確認するようにしておきましょう。
予備校でも塾でも、費用は受講する講座数によって大きく変わります。どちらも年間50~100万円ほどの幅で考えておくと良いでしょう。
授業には「毎週の授業」と「季節講習」の2つがあります。金額の幅が大きく変わるのは、「季節講習」での受講講座数が人によって異なるからです。
週2回(英語・数学など2科目)受講して、季節講習を毎回3講座(英語長文読解、数Ⅲ実践対策、現代文読解など)におさえておくと年間で40~60万円ほどに収まります。もし週2回で季節講習を毎回10講座ほど申し込むと、さらに30万円ほど必要になります。
季節講習でどの講座を申し込むかはチューターに相談できますが、チューターによっては「一人で勉強できそうなもの」も受講を勧めてくる場合もあります。
受講した講座の予習・復習の時間や受講していない科目の勉強時間を考えると、予備校の季節講習は「3~5講座くらいまで」が良いとされています。
塾の場合は集団授業であれば夏期講習や冬期講習も年間のセットで決まっていることがよくあります。個別授業であれば責任者が内容や回数を提案してくるので、それから検討すれば良いでしょう。
国公立を志望しているのか私立を志望しているのかにもよりますので、複数の人に相談しながら決めるようにするのが賢明です。
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受講時間について、個別指導塾と予備校・集団指導塾とで違いがあります。予備校や集団授業をする塾では授業時間が固定です。英語の授業は月曜19:30~20:50、数学の授業は金曜20:00~21:20など、コースごと・科目ごとで決まっています。
それに対して個別指導塾では授業の時間枠は決まっているものの、どの時間枠で受講するかは相談しながら決めます。
例えば下記のように時間枠が決まっているとします。
どの時間枠でどの科目の授業を実施するかは決まっていません。部活などで帰宅が遅くなる生徒なら、20:00開始の時間枠で受けられるでしょう。英語なら火曜日に講師が空いていて数学なら金曜に空いているから「火曜日20:00~21:20に英語」「金曜日20:00~21:20に数学」というように、個別に相談します。
部活や習い事との両立をしやすくなります。
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部活・習い事などとの両立に関して、学習フォローの違いも塾と予備校で違っています。
先述のように塾は生徒との距離感が近く、受験対策だけでなく定期テスト対策を扱っているところも多数あります。
定期テスト対策が近づいてきたとき、大事な模試が近づいてきたときなどに塾で自習していると
「この問題解いておこう!」
と塾の先生から問題プリントを渡されたりします。生徒によって渡すプリントを変える塾もあり、通常の授業や宿題以外に様子をみて細かな学習フォローをしています。
部活などで勉強時間を十分に取りづらい高校生だと、こうした細かなフォローの積み重ねで効率よく勉強が進みやすくなります。
また、受験を意識するようになると、不安感が強くなったり自信を失ったりする場面がたびたびあります。以前覚えたはずの英単語を思い出せなくなったとき、模試の結果にがく然としたときなど。
生徒の心の中はネガティブな声がうずまいていますから、励ましてくれる人の存在はとても重要です。予備校ならそのためにチューターがいますし、塾の先生も相談しやすい距離感です。
まとめると、部活・定期テスト・大学受験の勉強を3つともしたい場合には塾が便利です。
予備校を利用される場合は日ごろから特定のチューターに相談するようにして、志望校の変更や受験の不安なども話せるような関係性を築くようにしておきましょう。
予備校と塾の違いをいくつもの角度から説明しました。では、大学進学を目指す高校生にとって予備校と塾のどちらが良いでしょうか。
まず、塾・予備校の利用率を学習目的別に調べた調査の結果からみてみましょう。
学校の補習目的 | 大学受験対策 | その他 | |
高校生全般 | 40.1% | 49.2% | 8.3% |
偏差値55以上の高校の生徒 | 35.8% | 54.6% | 7.4% |
塾・予備校に通っている高校生のうち4割は定期テスト対策目的で、5割が大学受験対策です。ですが、偏差値55以上の高校(≒大学受験をする生徒が多い高校)に絞ると、学校の補習目的の生徒はやや少なくなり、大学受験対策の生徒がやや多くなります。
学年別にみるとまた異なる状況になるかもしれませんが、高1~高3まで平均すると定期テスト対策の生徒も決して少なくありません。
部活をしつつ勉強もおさえておきたいなら、塾がおすすめです。
予備校は宿題が多く、予習が欠かせない大手もあります。部活をしているとまとまった時間を勉強に回しづらいですし、学校の勉強もおろそかになってしまいかねません。
また、塾を選ぶ場合でも宿題の量や受講時間が自身の都合にあうかどうかを確認しておきましょう。
推薦入試と一般入試の両方の対策をしておきたいなら、塾がおすすめです。
予備校の強みは何といっても「入試対策」です。入試に出てくる問題の傾向から逆算して「今すべき勉強」をピンポイントにおさえてくれます。
一般入試に強い反面、学校の定期テスト対策は自分でする必要があります。
推薦をねらっている人は定期テストで高得点を取らないといけませんから、一般入試の対策に特化しすぎるのは考えものです。
その点、塾の授業内容は入試対策と定期テスト対策の両立をはかるものも多く、定期テストの勉強にもなります。
もちろん、実力をつければ定期テストでも点数を取りやすくなりますが、学校の授業内容に合わせて予習や復習ができる塾のほうがテスト対策はしやすいです。
指定校推薦をねらっている人なら、なおさら塾がいいですね。
※関連記事:指定校推薦とは?校内選考の仕組みと、推薦をもらうための評定の上げ方
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校内(所属コース内)で上位の成績を取っているなら予備校がおすすめです。
学校の勉強はこれまでどおり続けつつ、予備校で「プラスアルファの勉強」をするほうが良いでしょう。
ただし、推薦をねらっている人なら塾のほうが良い場合もあります。
ひと昔前なら大学受験といえば一般入試が大半でしたが、現在は一般入試と推薦入試での入学者数はほぼ同じです。
「学力をつける」だけでなく、推薦入試に向けての対策も重要です。
成績上位者にとっては、学力をつけたいなら予備校がおすすめで、推薦をねらうなら塾もありです。
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推薦入試の重要な対策の1つは評定平均を上げることです。4.0以上を取るようにしておきましょう。
指定校推薦は評定平均で決まりますし、推薦入試に出願するのに一定以上の評定平均を条件としている大学・学部があります。評定平均が出願条件になっていれば、評定平均が条件を下回っていればそもそも出願できません。
公募推薦で求められる数値は大学・学部によって異なりますが、4.0以上あればほとんどの大学・学部に出願できます。最低でも3.5は必要と思っておいてください。
※関連記事:高校の評定の出し方と上げ方
評定平均4.0を取るには、定期テストで70-80点必要です。授業態度や宿題提出の状況などでも変わりますが、普通は70-80点あれば5段階で4もらえます。
ここで、80点で満足せずにさらに90点を目指すようにしてみましょう。
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推薦入試を考えている人でも、一般入試に回ることはよくあります。指定校推薦をねらっていたけど強力なライバルがいて推薦をもらえなかった。学校推薦型選抜や総合選抜で合格を取りたかったが届かなかった。こういうケースはよくあります。
一般入試になっても対応できるようにするため、日ごろの定期テスト対策で実力をきっちりつけておくようにします。
実力を伸ばしていけるかどうかは「基礎=単元理解・知識の土台」を固められているかどうかで決まります。
定期テストには問題集に載っている典型的な問題が多く出てきます。典型的な問題を正しく理解して抜けをなくしておけば、その単元の基礎をしっかり固められます。
評定平均を上げて推薦をねらいつつ・実力アップできる土台を作っておくため、定期テスト90点を目標にテスト勉強に取り組んでみましょう。
塾・予備校のメリットの1つに「自習室」があります。
こういう状況がある人は、塾・予備校の自習室を利用しましょう。
自習室を利用するために塾に通うという人もいますが、それなら予備校のほうが便利です。塾だと週1-2日は閉まっていますが、予備校なら日曜日も開いている場合があります。地域の中心地にある校舎であれば日曜日も大抵開けています。
塾でも予備校でも、夏期講習や冬期講習で受講する講座は慎重に選ぶようにしましょう。本当に自分に必要な内容なのかどうか、受けてみないと分かりません。
可能であればその講座で使用予定のテキストを見せてもらってください。テキストを見て、難しすぎる・簡単すぎるなどがあれば別の講座の受講を検討しましょう。
長期休みは復習に時間をさける大きなチャンスですから、本当に必要な勉強に時間を使いたいですね。
近くに良い塾や予備校がない、部活が忙しくて塾・予備校に通う時間がない。
こういったケースはよくあります。
そんなときは通信教育がおすすめです。
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予備校と塾をさまざまな角度から比べてその違いを説明しました。
授業の目的・カリキュラム・受験情報の網羅性・講師と生徒の距離感・費用・受講時間・細かなフォローなどで違いがみられます。
大学受験には推薦入試と一般入試があります。学校の定期テストを活用してどちらの入試形態にも対応できるようにしておきましょう。
※関連記事:指定校推薦とは?
※関連記事:指定校推薦で落ちるのはどんなとき?
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