神奈川にある公立中高一貫校の適性検査対策をお伝えします。
神奈川では私立中学だけでなく公立中高一貫校も人気があり、難易度も非常に高いです。
そこで、この記事では川崎市立川崎高等学校附属中学校の入試情報を紹介し、適性検査の傾向と対策を説明します。
6年間の教育環境だけでなくその後の進路にも大きな影響を与える受検ですから、しっかり情報収集して対策したいですね。
※関連記事:公立中高一貫校の魅力とは:学校の種類や入試制度について解説
神奈川には5校の公立中高一貫校があります。
川崎市立川崎高等学校附属中学校の入試対策について、概要から紹介します。
川崎高等学校附属中学校の偏差値は男子61、女子61です(首都圏模試センターより)。
ただし、公立中高一貫校の偏差値は参考程度にとどめておきましょう。当日の問題によって大きく得点が変わります。
±10くらいの幅で捉えるほうが良いでしょう。
川崎高等学校附属中学校の進学実績は下記のとおりです。
国公私立大学(一部) | 現浪 | 現役 |
東北 | 2 | 2 |
東京 | 1 | 1 |
一橋 | 3 | 3 |
東京工業 | 2 | 2 |
東京都立 | 5 | 5 |
東京外国語 | 4 | 4 |
横浜国立 | 4 | 4 |
横浜市立 | 1 | 1 |
名古屋 | 1 | 1 |
早慶上理 | 84 | 80 |
GMARCH | 170 | 169 |
※最新の状況はHPなどでご確認ください。
川崎高等学校附属中学校の選抜方法を確認します。
調査書と適性検査の結果で合否が決まります。配点は下記のとおりです。
「調査書」:「適性検査」=1:9
調査書というのは、5、6年生の2年間の成績です。
5年生:9教科
6年生:9教科
9教科:国語・算数・理科・社会・音楽・図画工作・家庭・体育・外国語
5-6年生の2年間の成績が合否に関わります。
当日の適性検査は下記の2種類です。
適性検査Ⅰ:45分
適性検査Ⅱ:45分
2つとも受検してその得点を合計します。
概要が分かったところで、川崎高等学校附属中学校の適性検査対策を問題ごとに見てみましょう。
川崎附属中学校の適性検査は2つです。それぞれ、下記のように出題方針が定められています。
適性検査Ⅰ:社会科学的な問題、自然科学的な問題及び数理的な問題について、図・表・データ等の情報を的確にとらえ、整理・分析し、問題解決に向けて思考・判断し、表現する力をみます。
川崎高等学校附属中学校の入学者の募集及び決定に関する実施要綱よ
適性検査Ⅱ:文章の内容を的確にとらえ表現する力をみます。また、作文を通して、自分の考えを表現する力や社会性等の素養があるかをみます。
川崎高等学校附属中学校適性検査の対策方法を見ていきましょう。
まず適性検査Ⅰから紹介します。
川崎附属中学校の出題の大きな特徴として、地元・川崎市を題材にした問題が多いという点が挙げられます。
その一例として、下記の画像をご覧ください。
川崎市は江戸時代に川崎宿として旅人や大名行列の宿泊施設として栄えていました。
江戸時代の東海道五十三次に描かれた当時の絵をみて、その絵が現在の地図上でどの方角に向かって描かれた絵なのかを考える問題が出ています。
対話文には問題を解くためのヒントが2つ書かれています。
この問題を皮切りに、現代の川崎港の輸出入品目を示すグラフ(以下の画像)と対話文などの内容から、現代の川崎港の輸出入の状況を問う選択問題が出ています。
理科や社会の知識を活用する問題以外に、算数の知識を使う問題も出てきます。
例えば下記の画像は川崎市の100周年記念事業ロゴを題材にした問題です。
対話文による説明を交えて、線の太さや長さ、枠で囲んだ部分の面積を求める問題が出ています。
さらに、100周年記念事業ロゴを活用して、文字の間隔や位置を細かくみる問題も出ています。
以下のように、青い棒で文字の位置やバランスを分かりやすくした資料が提示されます。
この資料と対話文をもとに、新たなロゴデザインの文字バランスを整える問題が出ています。
適性検査Ⅰではロゴのデザインなど、小学生になじみのうすい話題も出てきます。
そうした問題では理解するのに時間を取られるため、全問正解をねらうのは時間的にハードルが高くなります。
ですが途中、対話文や資料を見てすぐに解ける小問がいくつも出てきます。難易度はかなり下がるので、まずそれらの問題を確実に取れるような時間配分を心がけましょう。
理科や社会の知識を使う問題では、地図や資料が良く出てきます。45分という限られた時間のなかで10種類ほどの資料を見て問題を解く必要があります。
地図や資料を見て、その内容を速く・的確に把握する練習をしておきましょう。
地図に慣れるにはgoogle mapと実際の地形とを見比べると良いでしょう。地図の方位表示など表記の仕方も理解しやすくなります。
小学校では地元の地理や歴史も習います。校外学習やグループ学習(相談、発表)など、児童が自分たちで調べ、考える学習スタイルが取られることが多いです。
この授業に積極的に参加しましょう。
前述の出題例では「川崎宿」が出てきています。
川崎宿については、一般的な入試対策問題集にほぼ出てきません。
小学校で習う地元の地理と歴史をよく勉強しておくと、こうした出題にかなり対応しやすくなります。
自然科学の問題では、「条件を論理的に整理して解く力」が問われます。
複数の人物の発言内容といくつかの実験条件・実験結果から考察する問題もよく出てきます。
論理性は一朝一夕で身につくものではありません。日ごろから論理的に条件を整理する練習をすると伸びていきます。
『5分で論理的思考力ドリル』などで練習すると条件を整理する力がつきやすいです。
また、数字ロジックやロジックパズルを使うと楽しく論理性や集中力を養えます。
※関連記事:子ども向けロジックパズル
つづいて、適性検査Ⅱの対策方法を見ていきましょう。
適性検査Ⅱは国語の長文読解と、その内容について話している対話文が出てきます。
長文・対話文それぞれ問題が出ます。
問題の種類は以下のように非常に広いです。
適性検査Ⅱでは作文も出題されます。
「クラス委員になりたかったけれどなれなかった」という状況で、「クラスの一員」としてどのような行動を取ると良いクラスにできるか。
また、希望がかなわない経験を乗り越えるとどのように成長できるか。などのテーマについて300-400字以内で回答を書きます。
複数の文章・対話文を読んで解答を記述するため、文章ごとのポイントを整理しながら読む必要があります。
これらの点を意識しながら文章読解の練習をしましょう。
※関連記事:中学受験国語の勉強法:長文読解を短期間で伸ばす方法を3つ紹介!
また、小学校の国語の授業でも、本文をただ読んで終わりにならず、「その登場人物はなぜそのような言動を取ったのか」「自分ならどうしていたと思うか」を言葉にする練習をしましょう。
前述のように、川崎中では作文が出題されます。作文は定期的に書く練習をすると、安定して高得点を取れるようになります。
作文の書き方やコツを意識しながら定期的に書いてみましょう。
※関連記事:【中学受験】作文の書き方やルールとおすすめの対策問題集
公立中高一貫の適性検査と、小学校のテストや私立中学の入試とでは問題のパターンが大きく異なっています。
違いをまとめると2点あります。
まず、小学校や私立中学入試は算数・国語など教科ごとにテストがあります。
算数のテストでは算数の知識や技能が主に問われます。
それに対して適性検査では教科横断です。算数・国語・理科・社会の、複数教科の知識を使って解きます。
欠けている知識があると問題を解きづらくなるので、どの教科も得意にしておく必要があります。
小学校のテストや私立中学の入試は知識の習得が重きをなします。公式や解法の知識があり、その知識を速く・正確に使えるかどうかが重要です。
一方、適性検査で求められる知識は小学校で普通に習う範囲までです。知識を「活用できるレベル」で定着させられているかどうかが重要です。
工夫して何かに取り組むと、自然と知識を活用します。
パズルや難問、工作など、「作り出す」「考えて解く」といった作業を日常生活で取り入れてみましょう。
適性検査の対策に便利な問題集を紹介します。
前述のように適性検査では思考力・分析力・表現力が求められており、それらの力をどう活かせばいいかを、問題演習をとおして身につけます。
算数的分野↓
理科的分野↓
社会的分野↓
出版社:朝日学生新聞社
特徴:
公立中高一貫校の教育方針に、将来、国際社会で活躍できるリーダーを育てることが
Amazonより引用
あります。リーダーには、身の回りの事象を数理的に分析・考察し、課題を解決する力、
課題を総合的に解決する力などが求められます。
算数分野の適性検査では、ものごとを数理的に分析・考察し、課題を解決する能力の
基礎が問われます。問題を解くためには、次のような力が必要となります。
●問題文を正確に読む力
●条件を整理し分析する力
●問題の本質や着眼点を見つける力
●解き方を工夫する力
●なぜ、そのような考え方、解き方で答えを求められるのか、理論的に説明する力
この本では、全国の適性検査から厳選した過去問をもとに、分野ごとに系統立てて、頻出問題の傾向と対策を伝授します。
中には難しい問題もありますが、これらの問題を解くことによって、一つひとつ求められる力を養ってください。
資料問題編↓
数と図形編↓
生活と科学編↓
出版社:東京学参
特徴:
【 公立中高一貫校適性検査対策問題集 資料問題編 】解答解説付き
●全国の中高一貫校の適性検査の問題から、資料をもとにした問題(理科・社会分野)を選び出し、10パターンに分類。
●地図やグラフ・表の読み取りなど資料を用いた問題対策に。着眼点、考え方・解き方をていねいに示した例題と的確なヒントが参考になる練習問題です。
●各単元ごとに集中的に取り組み、問題のパターンを掴めるようになりましょう。苦手単元の克服にもおすすめです。自分の力で公立中高一貫校適性検査を攻略するための一冊
Amazonより引用
・公立中高一貫校適性検査必須の出題形式「資料を使って解く問題」を完全攻略
・実際の出題から良問を精選
・資料をもとにした問題を選び、10パターンに分類
・例題で考え方・解法を身につけ、豊富な練習問題で実戦力を養う
・複合問題にも対応できる力を養う
問題のボリュームが多く、6年生がさまざまなパターンをしっかり演習するのに適しています。
東京では公立中高一貫校の難易度が非常にたかいです。
塾に行って対策するほうが良いのかなと気になるご家庭も多いと思います。
家庭だけで取り組むことも可能ですが、ラスト1-2年は塾に行くほうが便利でしょう。
子どもが4年生くらいまでなら、まずご家庭で対策しておきましょう。
具体的には下記の3点です。
塾に行く場合でもこれら3点は実施しておくほうが良いです。
算数の先取り学習や国語の長文読解の勉強には市販の問題集も便利です。
解説が丁寧で分かりやすく、繰り返し練習できます。
また、記述問題の解答にはルールがあるので、問題集でしっかり覚えて慣れておくと良いでしょう。
※関連記事:中学受験国語の記述問題を解くコツと自宅でできる勉強方法
※関連記事:中学受験国語の記述対策問題集
家庭学習に取り組まれていても、やはり5-6年生くらいになると塾で対策するほうが安心です。
必要な対策を網羅できますし、受検まで間に合うカリキュラムで勉強に取りくめます。
子どもによって得意・不得意は発生しますから、不得意内容については家庭で特訓するなどすると効果的に合格する力を養えます。
※関連記事:公立中高一貫校に向いている子・向いていない子の特徴:合格できる子になるための対策方法とは?
もし塾には行かず家庭学習のみで受検されるなら、Z会が便利です。
5年生から受けられる公立中高一貫校対策専用コースがありますし、4年生までに受けられる講座でも論理性や課題解決力、作文力を養う内容が豊富です。
Z会 公立中高一貫校受検対策講座のご案内いかがでしょうか。
川崎市立川崎高等学校附属中学校の適性検査について、過去問をもとに傾向と対策を紹介しました。
資料問題や論理性を問う問題や地元を題材にした問題がたくさん出てきます。
日ごろから地図やグラフ・表の読み取りを行い、慣れておきましょう。また、身近なものをよく観察し、ものの仕組みを考えるようにしましょう。
以下のリンクは難関公立中受検対策に強いZ会のHPです。リンク先で公立中受検対策講座の詳細を確認できます。
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※関連記事:Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
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