「子どもがなかなか宿題をしようとしない」
「受験が近づいているのに、子どもはのんびりしている」
「5年生になって問題がむずかしくなったら、途端にやる気をなくした」
中学受験生の保護者の方からはこのような声をよくお聞きします。
保護者の方が子どもに毎日ヤイヤイ言ってようやくちょっと勉強するなど、受験勉強に対して他人事な雰囲気の子が少なくありません。
また、3年生までは順調に勉強できていたのに、
4年生や5年生になって成績が下がり始める子もたくさんいます。
中学受験は長期戦ですから、上手くいかないときに自分で解決できる力をぜひ子どもに身につけさせたいですね。
そこでこの記事では、下記の3点をお伝えします。
中学受験をとおして子どもが大きく成長できるようにサポートしてあげたいですね!
※関連記事:【中学受験】勉強スケジュールの作成・管理方法を解説
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中学受験をしようと決めたとき、気になるのは
「いつから勉強をはじめればいいか」
だと思います。
1か月やそこらの期間では勉強できる範囲が限られますし、志望校を決めるのにも時間が必要です。
Z会の調査によれば、中学受験を検討した時期は
・小学校3年生までが2人に1人(48%)
・小学校4年年生が28.0%
でした。
受験を決めるのは低学年がほとんどという状況です。
中学受験のために塾に通いだすのはいつからなのかも確認します。
下記のグラフは、偏差値60以上の中学校に通う子どもをもつ保護者を対象に実施された調査結果です。
小学校3年生の終わりから5年生にかけて通いはじめた子がほとんどです。
塾に通いはじめる前から家庭学習をしている人は多いです。
小学生の4人に1人は家庭で通信教育をしています。
塾に通う前に、勉強している様子がわかります。
3-4年生から塾で本格的に勉強するため、
その前に通信教育などの家庭学習で準備をしているのです。
中学受験の勉強がいかに長期間にわたるものなのかがわかります。
※関連記事:小学生向けオススメの通信教育5社
本格的に受験勉強をはじめるとどのような影響があるでしょうか。
中学受験の勉強は精神的にも時間的にもとても負担が大きいです。下記のグラフは中学受験生が平日にどれだけ勉強しているかを調査した結果です。
5年生になると平日でも6人に1人(16.7%)が4時間以上勉強しています。6年生になるとその割合は6割にもなります。
勉強ばかりしている毎日になります。
これだけ勉強時間が長いと、子どもも次第に疲れてきます。モチベーションが下がってきてなかなか宿題に取り掛からずダラダラするようになる子が出てきます。
保護者の方も一生懸命あの手、この手で声かけをしますが、やはり疲れてきて「受験辞めるほうがいいのかも」と1度は考えるときがくるでしょう(エデュナビより)。
そこを乗り越えるとさらに学力アップにつながりますし、別の道を選択してもそれまでの学習経験はかなり役立ちます。
※関連記事:中学受験やめようかなと思ったら
子どものやる気低下に悩む保護者の方は多いです。
下記のグラフは、保護者を対象に中学受験で大切だと感じた要素を聞いた結果です。
・1番多い回答は「子どものやる気」で56.4%
・2番目の回答は「親のサポート」「塾選び」で12.8%
という結果でした。
子どものやる気の必要性を挙げた方が圧倒的に多く、2番目に多い回答の4-5倍もあります。
「中学受験は親の受験」とよく言われますが、
子どものやる気を持続させるのが1番大切であり、1番大変な要素だと実感されています。
紆余曲折を経て最後まで受験をやり切ったらどうなるでしょうか。
これだけの長い時間勉強していますから学力面はもちろん、それ以外にも子どもの成長に影響があります。
下記の表は、中学入試を受け終えたばかりの親子に「中学受験を振り返ってどうだったか」を聞いた結果です。
子どもの回答 | 保護者の回答 | |
精神的成長に役立った | 44.0% | 80.9% |
学力の向上に役立った | 65.7% | 72.1% |
勉強の面白さを学べた | 41.0% | 42.4% |
親子のきずなが深まった | 8.0% | 27.0% |
多くの友達ができて良かった | 19.7% | – |
自由な時間が減って苦しかった | 17.0% | – |
親の経済的負担が苦しかった | – | 15.8% |
親の精神的負担が苦しかった | – | 13.9% |
学力の向上をあげた親子が60-70%います。やはり勉強面でがんばった甲斐があったということですね。
注目は、子どもが「精神的に成長した」
と感じる保護者の方が80.9%もいるという結果です。
学力の向上以上に精神面の成長を実感している方が非常に多いのです。
かつて、私立中入試は「基本問題」「応用問題」といった、問題の難易度でシンプルに分けらえる問題ばかり出されていました。学習指導要領の改訂で思考力・判断力・表現力が求められるようになり、中学入試も出題傾向がかわってきています。
最近出題されるのはどのようなタイプの問題なのか。教科別にまとめました。
基本問題 | 標準問題 | 応用問題 | |
算数 | 高い計算力を求める問題 | 解き方を知っているかどうかを問う問題 | 問題文の条件を整理して読み解く問題 |
国語 | 知識をつかって解く問題 | 背景知識の乏しい長文問題 | 思考力と記述力が問われる問題 |
理科 | 教科横断的な問題 | 図表を読みとる問題 | 時事問題(記述) |
社会 | 教科横断的な問題 | 資料を読み取る問題 | 時事問題(記述) |
知っているかどうかを聞く単純な知識問題が減り、知識をつかって解く問題やほかの科目の知識も入ってくるような問題がふえてきています。この傾向は高校入試や大学入学共通テストでも同じです。
以前は解法を知っていると解ける問題(知らないと解けない問題)が中心でしたが、現在はこうした問題は少しずつ減少してきています。
代わりに、問題文をながくして読解力をつかって解く問題がふえてきています。
小学生にあまりなじみのない話題(科学、経済、哲学など)の文章が出されるようになり、本文中の流れや説明をしっかり読み解く力が求められるようになってきています。
さらに、記述問題で聞かれる内容も変わってきました。
以前は本文の内容説明や部分要約ばかりでしたが、最近では本文内容をヒントにして自分の意見をその場で考えて書かせる問題がふえてきています。
図表を見て解く問題や時事問題がふえています。
社会で起こっていることへの関心を持ち、
図表から細かい状況を読み取れる力が求められているのです。
2022年から高校で「情報」の授業がはじまり、プログラミングとデータ分析がますます重要になってきています。
データから課題を読み取り解決方法を考える力がいっそう求められるようになっています。
入試問題の傾向や受験の大切な要素をまとめると、
中学入試を成功させるには以下の3つの力が必要です。
長い入試問題を時間内に読んで問題を解き、
知識だけでは解けないような思考力問題が出されます。
それらの問題に取り組みつつ長期化する受験勉強にモチベーションを保つには、興味を持って受験に取り組む姿勢が必要です。
最近の入試では、どの科目にも読解力が求められます。
※関連記事:【中学受験】国語のおすすめ問題集
読解力の基本は語彙力です。
語彙が不足していると文章を読むのも書くのもむずかしくなります。
語彙を増やすには読書をして、
わからない言葉があれば辞書を引く習慣をつくりましょう。
辞書は紙の辞書でも電子辞書やアプリでも大丈夫です。
それぞれメリットが違いますので、上手く使い分けたいですね。
※関連記事:【中学受験】国語辞典を使う習慣をつくって語彙力・読解力を伸ばす方法
語彙力を高めるのにおすすめの本を2冊紹介します。
1冊目の『10才までに覚えたい言葉1000』で語彙に慣れ、
2冊目の『小学3年生から始める!こども語彙力1200』で本格的に語彙を増やす勉強に入るのがおすすめです。
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出版社:永岡書店
値段:990円(税込)
特徴:
「あいにく」「しゃにむに」「立て直す」……小学生には少し難しく感じられる語彙を中心に、ことわざ・慣用句・四字熟語・故事成語・カタカナの言葉・敬語などを、マンガと例文で楽しく覚えます。
永岡書店より引用
クロスワードや線結びなどの「言葉クイズ」で、学習度のチェックもできます。
【おすすめする理由】
語彙を増やすには「繰り返し見聞きする・使う」のが早いです。
マンガなので自分で何度も楽しく読んでくれます。2年生でも十分に読めます。
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出版社:KADOKAWA
値段:1,760円(税込)
特徴:
言葉の伝道師・齋藤孝先生が小学生に教える人生を豊かにする日本語1200
小学校を卒業するまでに覚えておきたい言葉をテスト形式で勉強できる本。教科書に出てくる語彙の定着はもちろん、中学受験を視野に入れた語彙力の増強を目標とし、実学年プラスαのことばを、ちょっと背伸びして勉強できる内容。
KADOKAWAより引用
【おすすめする理由】
文章を読解するのに必要な語彙がランク分けされており、大人が読んでも勉強になるような語彙がたくさんあります。
中学受験も意識して作られており、
「読解基本語」「感情表現や情景描写の言葉」「論理的な表現や概念の言葉」
のように分かれています。
考える力を伸ばすには以下の3つを伸ばします。
勉強以外に自然とのふれあいや実験など、実体験を豊富に積むようにしましょう。
思考するには頭のなかにある記憶をたどって、適切に選択する必要があります。
触れたり、においをかいだりすると、
それに関しての経験が蓄積されます。
この経験が浅いと、勉強して得た知識も浅いレベルでしか使えません。
例えば「天体」の問題では、
月の満ち欠けや、時期によって星の見える位置が出てきます。
冬に見える「冬の大三角」という星を覚えないといけません。冬に空を眺めてオリオン座を観察した経験のある子なら、「冬の大三角」という知識と「オリオン座=寒かった」という経験をつなげて記憶できます。
※関連記事:中学受験の理科で覚えやすい語呂合わせ
何かの経験とつながった知識は、脳に記憶されやすく思い出されやすくなります。
思い出されやすくなると、必要なときに適切に選択されやすくなります。
など、子どもと一緒に楽しくできる活動をしてみましょう。
中学入試は「問題文が長くなる傾向」にあります。問題文を読むのに時間を取られますから、速く・正確に解く力が以前以上に求められています。
計算方法などの作業で悩むことがないように、基礎力を高めるようにしておきましょう。
長い問題文を読んで内容を理解するには、国語の読解力とは別に「言葉から図を思い描く力」が必要です。
算数や理科は、「条件を整理しながら読む」必要があります。
速さの問題でよく、「兄が自宅を出発して、その5分後に弟が自転車に乗って追いかけて、兄が途中で引き返して~」といくつもの状況が設定されている問題が出てきます。
※関連記事:【中学受験】速さの解き方のコツ
※関連記事:中学入試によく出る「速さ」の問題
「言葉から状況や図形をイメージする力」が高いと、問題文から状況をイメージして、そのイメージを元に「どうすればいいか?」を考えることができます。
5年生や6年生になると、
図形問題なのに図形が描かれていない問題が出てくるようになります。
例えば「1辺が5cmの正三角形の内接円の半径」
と書いているのをみて、
「正三角形」と「そのなかにピッタリ収まっている円」を思い浮かべて紙に描けるようになります。
算数の文章題や図形は実際に紙にその状況や図を描くと非常に解きやすくなりますから、文章から状況や図を思い描ける子は5、6年生の受験算数にもしっかりついていきやすくなります。
※関連記事:【中学受験】平面図形・空間図形の解き方とおすすめの問題集
こうした「イメージする力」は
読書やパズル、ハサミをつかって遊ぶなかで身につきます。手に触れて、手で動かしてその感覚を覚えるからです。
「実体験を積む」のと合わせてとても大切な学習になります。
勉強が「やらされ」ではなく、自分事として捉えられるようになるには、物事を主体的に考えられるようになる必要があります。
そのためのポイントは2つあります。
朝起きる時間、夜寝る前のルーティーン、宿題をする時間、遊び方など、
日常のさまざまなことを子ども自身に考えさせるようにしてみてください。
自分で考える経験を積ませてあげると、
「自分のことは自分でするんだ」
という意識が芽生えます。
この意識があれば、受験勉強で疲れてきても
「親から言われたから勉強する」
ではなく、
「自分の勉強だから自分でする」
という姿勢になります。
子どもに考えさせるわけですから間違うときもあります。
親から口出して正解を教えてしまわずに、たくさん試行錯誤させてください。
試行錯誤の数だけ子どもは賢く、主体的に考えられるようになっていきます。
中学受験の出題傾向は少しずつ変わってきています。
それに合わせて受験対策も変わってきています。
受験勉強を本格的にはじめるのは3-4年生が多いですが、そのための準備を数年前から行っている家庭もたくさんあります。
※幼稚園や小学校低学年向けに楽しく勉強できるアプリを紹介しています
【幼児・小学生の家庭学習向け】算数のアプリをランキングでご紹介!自宅で楽しみながら勉強しましょう!
入試レベルに近い問題を勉強するようになると、
子どもによっては勉強に受け身になり簡単にあきらめるようになってしまいます。
苦しいときに前向きに取り組める子は実力が伸びやすいですし、精神的にも大きく成長できます。
「読解力」「思考力」「主体性」を高めて、
中学入試をぜひ成功させましょう!
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