高校入試では、学力検査の結果だけでなく、「どのような考えでその学校を選んだか」を書面で問われることが増えています。その代表が「志望理由書」です。ほとんどの都道府県や多くの私立高校で、出願時に提出が求められます。
文章だから「形だけ書けばいい」と思ってしまうかもしれません。しかし、実際には入試担当の先生が一つ一つ読み、受験生の意欲や学校との相性、入学後の成長可能性を見るための重要資料として扱われています。
高校生活は3年間という長い期間です。学校は「本当にこの学校に合っている生徒なのか」を慎重に見ています。そのため、ただ「入りたい」「頑張りたい」と書くだけではなく、“なぜこの学校を選んだのか”が、納得できる形で説明されているかが大切になります。
この記事では、中学3年生と保護者の方が一緒に「志望理由書」を考えられるように、分かりやすく順番にポイントを解説していきます。って面接に臨めるようにしましょう!
志望理由書は、受験生の学力だけでは判断できない部分を知るために役立つ書類です。
具体的には、
といった点を先生が確認する材料になります。
特に重要なのが、「なぜ本校なのか」という理由が具体的に書かれているかどうかです。どの学校にも当てはまるような一般的な内容だと、「うちの学校である必要性」が伝わりません。
逆に、「特色」「教育方針」「部活動」「コース」「設備」「卒業後の進路指導」など、学校の特徴をしっかり調べ、そのうえで自分の目標と結びつけて書いた内容は、先生の印象に強く残ります。
つまり志望理由書は、単なる作文ではなく、学校とのマッチングを示す“自己PR”でもあります。
この記事は、以下の2つの方向から読めるように作っています。
といった「実際の書き方手順」を中心に分かりやすく説明します。
など「見守りとサポートの方法」を具体的にまとめています。
つまり、「志望理由を書くコツ」と「入学後のビジョンを伝える方法」が一度に理解できる内容になっています。
中3生と保護者が一緒に読み進めることで、志望校選びそのものがより納得のいくものになるよう、できるだけ丁寧に解説していきます。
志望理由書で一番大切なのは、「学校についての理解」と「自分(または子ども)の考え」をしっかり結びつけることです。
ここでは、準備の進め方を具体的に示します。中学生本人が一人で取り組めるステップと、保護者がサポートするときに役立つポイントを混ぜて説明します。
※参考:学習プラス+「高校入試の志望理由書の例文と書き方!ラクラク書ける5つのコツとは?」
― 学校の教育方針・部活・校風・進学実績を調べる方法
志望理由で説得力を出すには、学校側の特徴(=その学校でしかない要素)を正確に押さえることが先決です。調べ方とメモの取り方を具体的に示します。
メモは「事実」と「自分の感じたこと」を分けて書く(事実=公式情報、感じたこと=雰囲気や自分の印象)。
― 興味・得意科目・将来の夢・性格と照らし合わせる
自分の“軸”とは、「どんな生徒で、何を大切にしているか」を一言で表すコアです。志望校の特色とつなげるために、まず自分を整理します。
これらに対して短いキーフレーズ(〜〜が好き、〜〜を伸ばしたい)を3つ程度作ります。これが「軸」です。
保護者の価値観や方針は進路選択に大きく関わります。志望理由書に家庭の考えを反映させると、文章に一貫性が出ます(特に保護者の同意が必要な場合)。
ここでは親子で確認すべきポイントを示します。
この短いやり取りを紙に残しておくと、志望理由書に家庭の協力体制を書くとき(例:「家庭でも毎日30分の英語学習を支援します」)に使えます。
この段階で準備ができていれば、「書く」フェーズに入ってから具体性のある説得力ある志望理由書が書きやすくなります。
※参考:進研ゼミ「【大阪府】公立高校入試「自己申告書」の書き方のコツは?受験者は原則全員提出!」
志望理由書の最初の一文は、入試担当の先生が最初に目を通す部分です。ここで「この生徒はきちんと調べている」「入学後のイメージが具体的だ」と思ってもらえると、文章全体が読みやすくなり、評価が上がりやすくなります。
逆に、ありきたりで一般的な言葉だけが並んでいると、「どの学校でも書ける志望理由なのでは?」と思われてしまいます。
つまり、“冒頭からその学校ならではの言葉を入れる”ことが差をつけるポイントです。
私は貴校を第一志望としています。理由は勉強を頑張りたいと思ったからです。
→ 学校を調べた形跡がなく、「この学校である理由」が全く伝わらない。
私は○○高校に入りたいと思っています。なぜならレベルが高いからです。
→ 「レベルが高い」はどの学校にも使える言葉で、志望理由として弱い。
私は頑張りたいと思ったので受験します。
→ どこの学校でも成立する内容。しかも“頑張る気持ち”は当たり前なので評価されにくい。
上の例はすべて
つまり、学校に関係なく書けてしまう文章=とりあえず志望と判断されやすいのです。
冒頭で差をつけたいときに意識するポイントは3つあります。
学校の具体的な特色を1文目に入れること
自分の興味・得意・目標とつなげる
冒頭で“自分の軸”に軽く触れます。
入学したい理由が“未来の行動”につながっている
志望理由は、「入学後に何をしたいか」=行動の意図が見えることが重要です。
貴校の国際交流プログラムに魅力を感じ、英語で発信できる力を身につけたいと考えて志望しました。
→ 特色=国際交流、軸=英語、目的=発信力 がセットで出ている
貴校の理数探究コースでは実験や課題研究が多く行われている点が、将来研究職をめざす私に合っていると考えています。
→ 特徴+自分+未来が一文でつながっている
「本校の〇〇という特色」に魅力を感じ、その環境で「自分の~~を伸ばしたい/挑戦したい」と考え、志望しました。
貴校の~~(特色)が、「私の〇〇したい」という目標と合っていると感じ、志望致しました。
志望理由書の書き出しで大切なのは、
「本校だからこそ実現できること」
この視点が冒頭から見える文章は、入試担当の先生にも強く届きます。
願書のなかで高校側が特に知りたいのが「志望動機」です。書き方を詳しく紹介します。
なお、志望動機で合否が決まることは普通ありませんので、正直にご記入いただいて大丈夫です。
また、事実を多少誇張する程度はOKですが、嘘は書かないようにしましょう。嘘を書いても面接の受け答えでボロが出ます。
面接では、志望動機や高校生活につながる中学での学びについての質問が多いです。受験生の人柄を見ています。
マナーや言葉遣いにも気をつけて、「自分らしさ」を出せるようにあらかじめ面接の流れを把握しておきましょう。
※関連記事:面接の流れとよく聞かれる質問
まず、その学校の何に魅力を感じているか、箇条書きしましょう。
ほかにもあるかと思いますが、まずは思いつく内容を3-4つ、学校ごとに記載します。
次に、学校側が考える「その学校のアピールポイント」を箇条書きします。
先ほどと同じ項目に加えて、学校ごとの指導方針を1-2つずつ書き出しましょう。
下記のようなものが多いです。
自身が志望校に感じている魅力と、志望校側が受験生にアピールしたいポイントを比較しましょう。
「受験生側が感じる学校の魅力」と「学校側が考えるアピールポイント」を並べてみて、共通しているものを1-2つピックアップします。これが志望動機になります。
志望動機は多ければ多いほど良いというわけではありません。1-2つまでにしましょう。
志望動機を書くときは「です・ます」に統一して書きます。
書き方は特に定まっていませんが、下記の3点を書くようにすると書きやすいです。
書き方についてもう1つ、志望先の高校のことを「御校」「貴校」どちらで書けばいいか迷いやすいです。
「貴校」で書くのが正しいです。
「御校」は話すときの敬称です。面接の受け答えでは「御校」と言います。また、「貴学」と迷われる場合もありますが、貴学は大学に対して使います。
志望理由書の書き方はある程度決まっています。最初に結論(なぜその高校を志望したのか)を書きます。
「私は~をしたいと思い、貴校を志望しました。」のような書き出しにすると、その後に続けて書きやすくなりますし、読み手側も読みやすくなります。
志望理由書の文末は「以上より、貴校を志望しました。」とします。
志望理由が何であれ、途中で何を書いていても、文末は必ず、「以上より、貴校を志望しました。」で大丈夫です。
こうした書き方は小論文でも同じなので、ついでに覚えておきましょう。
志望理由を書く欄は9割以上埋めるようにしましょう。空欄が10行あれば、9行以上は必ず書きます。
たくさん書けばいいというわけではありませんが、相手に伝わるように書こうとすると必然的にある程度は長くなります。
半分しか埋まっていない志望理由書だと、「あまり興味がないのかな」と悪い印象にもなります。
文章を書くときは、「書き言葉」で書きます。書き言葉というのは、日常会話で使う言葉を
話し言葉」と呼ぶのに対して、書くときに使う言葉のことを言います。
ネットなどの略語も原則NGです。
| 話し言葉 | 書き言葉 |
| だから | それゆえ |
| だって | なぜなら |
| お父さん・お母さん お兄ちゃん・お姉ちゃん おじいちゃん・おばあちゃん | 父・母 兄・姉 祖父・祖母 |
| やっぱり | やはり |
| たぶん | おそらく |
| とても | 非常に |
| もっと | さらに |
| いつも | 常に |
| ちゃんと | きちんと |
| AとかB | AやB |
| スマホ | スマートフォン |
※関連記事:【高校受験】作文・小論文の書き方やルール
願書をポストに投函する前に必ずコピーを取っておきましょう。大事な書類だから控えを取っておくというだけでなく、面接対策で必要です。
志望動機を聞かれたときに、願書の内容と食い違いがあるのはよくありません。願書に記載した内容と面接で回答する内容を合わせるために使います。
志望理由書では「なぜ本校か」を示すだけでなく、入学後に具体的に何をしたいのか(=行動計画)を書けると説得力がぐっと増します。
入学後のビジョンは、学びの姿勢や継続力の有無を推し量る材料になるため、可能な限り具体化しましょう。以下は、書くときの観点と例です。
― 得意科目を伸ばす、苦手を克服する、進学・資格取得など
入学後は、数学で論理的に考える力をつけるために、貴校の少人数指導を活用して定期テストで学年上位を目指します。
英語力を伸ばすために、英語表現の授業や英語スピーチ大会に積極的に参加し、英検2級取得を目標にします。
― どんな部活・委員会・活動でどう貢献したいか
中学ではバレーボール部で副キャプテンを務め、チームの声かけや練習メニュー作りを担当しました。貴校でもバレーボール部に入り、練習の記録をつけて分析し、チームの勝率向上に貢献したいです。
文化祭では舞台制作に携わりたいと考えています。舞台照明や音響の準備を担当して、演出面で仲間を支えます。
― 部活、勉強、ボランティア、資格、進学などを絡めたビジョン
将来は医療の仕事に携わりたいと考えています。貴校の理系カリキュラムで基礎を固めつつ、放課後や長期休暇には病院ボランティアや生物系の研究会に参加し、看護大学進学を目指します。
建築に興味があるため、貴校の技術科の実習を活用して設計の基礎を学び、地域のワークショップや建築コンテストにも参加して実践経験を積みたいです。
家庭でも毎日20分の数学復習を本人と一緒に行い、定期的に進捗を確認することで学習面の支援を行う予定です。
親としても通学面や学用品の準備を支え、部活動と学習の両立ができるよう送り迎えや生活リズムの管理を行います。
※志望理由書自体に保護者の支援詳細を長々と書く必要はありません。だが親子で方針が一致していることを面接等で答えられるよう準備しておくと安心です。
入学後は貴校の○○科目の授業で基礎を固め、放課後は△△部で技術を磨きながら、週末は□□の資格取得を目指して学習します。家庭でも毎日○○分の学習時間を確保して支援を受けられるため、三年間で□□の目標を達成したいと考え志望しました。
「本校を志望した理由」を書く欄には何と書けば良いか、迷います。
そこで、よくある志望動機4パターンについて例文を作成しました。ご覧いただき、ご家庭の志望動機に合わせてカスタマイズください。
例文 「私は何事も積極的に取り組める高校生活を送りたいと思い、貴校を志望しました。
私が学校説明会に参加させていただいたとき、貴校の在校生が活気にあふれているのが印象的でした(①)。在校生の方から私たち/僕たちに挨拶もしてくださったのもうれしかったです。私もこのように自分から積極的に行動できるようになりたいと感じました。
また、私は英語が好きです。外国の人と話をするのは楽しいですし、異なる文化体験から刺激を得られるのもうれしいです。貴校では外国の高校との交流機会や短期留学の機会を多くつくられていると説明会でも伺っています(②)。そのような機会を得られる貴校でぜひ学びたいと考えています。
以上より、貴校を志望しました。」
ポイント ①実際に見た感想を書く
②学校が力を入れている指導(異文化体験)に魅力を感じている点を書く
例文 「理系科目の勉強に力を入れたいと思い、貴校を志望しました。
私は化学が好きです。普段は目に見えないような小さな分子が結合して新たな性質に変化するのが楽しく、「なぜこのような結果になるのか」「もし条件をこのように変えたらどうなるか」などを想像しながら理科の勉強に取り組んでいます。理科の実験設備を多くそろえていらっしゃること、大学の進学先も理系が多いことを貴校の説明会で伺いました(①)。そのためには理科やほかの科目の知識も欠かせないと説明いただき、貴校では理系科目についてさらに広く、深く学びたいと考えています②)。
以上より、貴校を志望しました。」
ポイント ①説明会や学校HPでみた学校のアピールポイントや指導の特徴を書く
②入学後にしたいことを書く
例文③ 「私は本気で大学受験にチャレンジしたいと思い、貴校を志望しました。
貴校のHPを拝見したとき、東京大学などの有名な大学の合格者数が20名を超えていることに驚きました(①)。なぜこれほど有名大学に合格できるのか不思議に思って説明会に参加させていただいたところ、授業や授業外でも学習指導をきめ細やかにされていると伺いました。先生方の熱心さに心を打たれたのと同時に、東京大学のような有名大学に自分も合格できるのではないかと身近に感じられました。宿題以外にも毎日勉強をして、自分の限界に挑戦したいと思います(②)。
以上より、貴校を志望しました。」
ポイント ①(有名大学への)進学実績を具体的な数字で書く
②入学後の学習イメージを書く
例文④ 「私は将来、プロのサッカー選手になりたいと思い、貴校を志望しました。(①)。
貴校の見学をさせていただいたときに、サッカーグラウンドも拝見しました。泥だらけになりながらサッカーに打ち込む姿を見て、私/僕もこの中に混じってサッカーがしたい、毎日先輩たちと切磋琢磨してもっと強い選手になりたいと強く思うようになりました(②)。
また、見学中の私/僕に声をかけてくださった在校生が、親切にサッカー部や勉強との両立について説明してくれました。サッカーだけでなく、勉強も怠らないことがサッカーの上達にもつながると伺い、私も以前より前向きにサッカーにも勉強にも打ち込むようになりました(③)。ぜひ貴校のグラウンドでも教室でも一生懸命に努力する機会を得たいと考えています。
以上より、貴校を志望しました。」
ポイント ①将来の夢を書く
②在校生について好印象を持っていることを書く
③学校の先生や在校生からのアドバイスをすぐに実践していると書く
志望理由書で落ちやすいのは「伝わらない」文章です。ここでは中学3年生と保護者が一緒にチェックできるよう、具体的な失敗例と改善のコツを示します。書き直し用のテンプレやチェックリストも付けています。
「グローバル」「チャレンジ精神」「人間的に成長したい」など、説明が伴わない抽象語を並べると、入試担当者には「中身が薄い」と判断されます。短い志望理由書では、響きの良い言葉だけでは説得力になりません。
貴校のグローバルな教育に惹かれ、人間的に成長したいと考え志望しました。チャレンジ精神を持って頑張ります。
→ 「何をもってグローバルなのか」「どう成長したいのか」「具体的にどんなチャレンジをするのか」が分からない。
貴校の海外研修や英語でのディベート授業に魅力を感じています。英語で自分の考えを発表できる力を付けるため、授業や放課後の英語クラブに積極的に参加したいです。
→ 「グローバル」の具体例(海外研修、ディベート)、自分の行動(授業参加、クラブ活動)を示している。
志望理由が「教育が充実している」「進学実績が良い」など、どの高校にも当てはまる一般論だと「本校である必然性」が伝わりません。入試担当者は「なぜこの学校でなければならないのか」を見ます。
貴校は進学実績が良いと聞き、進学を目指して志望しました。
→ 具体的にどの進路支援や科目が自分に合うのか書かれていない。
貴校の○○コースでは少人数の演習があり、先輩の進学指導も手厚いと伺いました。私は数学の文章題が得意なので、○○先生の指導を受けてさらに発展的な問題に挑戦したいと考え志望しました。
→ 「進学実績が良い」→「○○コースの少人数演習」「○○先生の指導」と具体化している。
字数制限や提出形式(指定用紙、手書き指定、横書き・縦書き、用紙サイズ)を守らないと、マイナス評価になったり最悪は無効扱いになることがあります。特に私立は細かい指定が多いので要注意です。
この3点を守れば、内容に厚みが出て、入試担当者に「この生徒は本気で考えている」と伝わる志望理由書になります。
願書に書く内容は大きくわけて3つあります。それぞれ説明します。
1つ目は、「受験生の個人情報」です。
受験に限らず、何かの申込をするときには個人情報を入力したり記載したりします。それと同じです。
などを記載します。住所は都道府県から書くのがルールです。
なお、性的マイノリティや男女差別への配慮から、性別は聞かないのが一般的になってきています。
2つ目は、受験生が通学にかかる時間や通学経路です。
6年間毎日通う学校ですからあまり遠方からの通学だと、子どもが大変です。片道1時間以内に収まるのが良いでしょう。学校によっては通学時間に制約をかけている場合もあります。
通学経路が複数ある場合は一番時間のかからない経路を書くようにしましょう。
3つ目は、「受験生自身の自己アピールや志望動機」です。受験生の個人情報や通学経路などが「事実」を書くものなのに対して、こちらは「思い」や「受験生の人柄」を伝えるものです。
高校側が知りたい内容もこちらがメインです。
地域によって「自己PRカード」などと名称が変わりますが、内容や目的は同じです。
入試のための願書はいつでも・どこでも手に入るわけではありません。いくつかの注意事項と一緒に願書の入手方法をお伝えします。
※参考:
東京都教育委員会 – 東京都立高等学校入試案内等
公立高等学校入学者選抜 – 大阪府教育委員会 など
願書は9月末から配布がはじまります。
夏の説明会で、参考として昨年度の願書をもらえることもあります。この時点から願書作成の準備に入っておくと、秋・冬にあわてずに済みます。
多くの高校は夏以降に説明会を2-3回実施しています。10月以降の説明会では願書ももらえることがほとんどです。
こうした機会にぜひ受け取って、バインダーやクリアファイルに保管しておきましょう。
ほかの高校説明会やご家庭の用事と重なってしまって日程説明会に行けないときもあります。
そんなときは学校に請求すれば自宅に郵送してもらえます。
HPから請求できる学校がほとんどですが、なかには電話での請求を必須にしているところもあります。
気になる高校はいったんHPをみて確認しておきましょう。
願書は1部出せば十分ですが、もらえるときは念のため2部もらっておきましょう。書き損じるときもありますし、下書き用と清書用にわけられます。
志望校の願書だけでなく、「受けるかもしれない高校」の願書も取り寄せておきましょう。
出願時期の勉強状況や、公立高校入試の結果次第で受験校を変更することがよくあります。受けようと思った高校の願書が手元になく、時間的に取りに行けないときは受験を諦めざるを得ません。
そうならないように、「絶対受けない高校」以外は願書をもらっておくほうが良いです。
「受けたい高校」と「受けるかどうか迷っている高校」については願書を書いておきましょう。
高校受験は公立高校と私立高校を合計2-3校受けるご家庭が多いですから(地域によっては2校まで)、「受けるかどうか迷っている高校」を含めても3-4校までに絞られると思います。
3-4校程度なら願書を書くのにあまり手間もかかりません。
志望動機は書けたけれど自己アピールが書けない。という中学生は少なからずいます。
と思っているかもしれません。
「自分の長所は何?」と改まって聞かれると困る人も、「自分の短所は何?」と聞かれると、スラスラ答えられる傾向が強いです。どちらも答えられるのが望ましいです。
とはいえ日本は「遠慮する文化」なので、日本文化をしっかり身につけた素直な性格と言えるかもしれません。
長所・短所に書きにくさを感じる場合は、「自分の短所」から長所を考えるようにすると書きやすくなります。というのも、自己アピールや面接で聞かれる「長所・短所」は表裏一体のものなのです。
表裏一体というのは、2つの反対のものが1つにまとまっていることです。例えば、下記の表のようになります。
| 短所 | 長所 |
| コツコツ努力するのが苦手 | 熱中したときの集中力は高い |
| 消極的な性格 | 慎重で冷静な性格 |
| 他人に自分から話しかけるのが苦手 | 周囲をよく観察している/相手の気持ちを乱さない |
| 無鉄砲なところがある | 何事にも積極的にチャレンジする |
欠点だと思っている性格も、見方を変えればすべて長所です。
身もふたもないことを言うと、「物は言いよう」なのです。長所・短所の書きやすいほうから内容を考えてみましょう。
長所・短所を書くときは、具体例(できれば中学校生活での具体例)を1つ書くようにしましょう。
「私の短所は、消極的な性格です。その反面、慎重さが長所です。」で終わってしまうと、読み手に内容が伝わりにくいです。
そこに具体例が1つ加わると、「どう消極的なのか」が伝わりやすくなります。
あくまで1つです。2つ3つも書くと、エピソードが豊富になりすぎて何を伝えたいのかがわかりづらくなります。
短所を書いたら、それを克服しようとしている(高校生活で克服に取り組むつもり)という内容を書き添えるようにしましょう。
「高校では周囲の人に自分から話しかけて、積極さも身につけたいと思います。」
のような内容で十分です。
例文 「私の長所は何事にも積極的にチャレンジする点です。
私の中学校では毎年、運動会で応援団が活躍します。中学校1年生から3年生までの学年混合で1つの応援団になり、3年生が団長になって運動会の雰囲気を盛り上げます。
クラスメイトが遠慮するなか、私は応援団の団長に立候補しました。みんなの力になりたいという気持ちと、「やってみたい」という気持ちの両方ありました。
実際に団長をやってみると、定期テストの勉強、受験勉強、部活に団長の仕事が加わるので、とても大変でした。
「やってみたい」という軽い気持ちで挑戦する性格は、応援団の団長のように後で苦労してしまうという短所でもあります。もし団長の仕事が十分にできなかったら、みんなに迷惑をかけてしまうかもしれませんでした。
高校では、「本当にできそうか」「周囲のサポートを得るにはどうしたらいいか」を考えながら、私の長所である積極性を大切にして過ごしたいと思います。」
ポイント 志望理由書は生徒が書くものですが、提出前の最終チェックは保護者の視点が入ると完成度が一気に上がります。
特に「読み手は大人」であることを意識すると、文章の伝わり方が変わります。
以下のポイントを、提出直前に親子で一緒に確認してみてください。
中3生はどうしても「型通り」に書きがちです。その結果、本人の気持ちが十分に表現できていないことがあります。
チェックする視点
志望理由書では、学校側の特徴を理解していることが重要ポイントです。
チェック観点
「本校でないといけない理由」が明確なら強い志望理由になります。
志望理由書は「入学願望を書くもの」ではなく、入学後の行動計画を書くものです。
チェック観点
【×】将来役に立つと思う
→
【〇】○○の資格取得を目指し、そのために××の授業を活用したい
最後に確認すべきは“形式”。
どれだけ内容が良くても、誤字脱字や字数オーバーは評価を下げてしまいます。
チェックするポイント
文章は声に出して読むとミスが見つかりやすいので、提出直前に必ず読み上げてチェックすると安心です。
この章は「親子で見てください」が最重要ポイントです。
この4つが整っていれば、入試担当の先生に「この生徒は本気だ」と伝わります。
志望理由書の提出はゴールではなくスタートの一歩です。ここでは、面接で話せるか/入学後に本当に行動できるか/保護者とどう共有するかを中心に、具体的な準備と心構えを説明します。入試は「書いたことを言えるか」「約束を守れるか」を見ています。
最後まで一緒に整えていきましょう。
志望理由書に書いた内容は、面接で必ず深掘りされる可能性があります。書いたことが「ただの文字」で終わらないよう、口に出して説明できるレベルにまで落とし込んでおくことが必要です。
志望理由書は「入学後にこうします」という宣言にもなります。書いたことが実現可能であるか、家庭で支えられるかを考えておきましょう。入学後に実際に行動できる計画であるほど、面接でも説得力が出ます。
保護者の理解と協力は、入学後の学習習慣や部活動との両立をうまく進めるうえで不可欠です。提出前に確認した支援方針を具体化し、合格したら速やかに実行に移せるようにしておきましょう。
志望理由書は、過去の実績だけを書き連ねるものでも、未来の理想だけを掲げるものでもありません。今の自分の思いを、具体的に誠実に伝えるための文章です。書くことで自分の目標が明確になり、親子で話し合うことで計画が実行力を持ちます。
本記事で整理した手順(学校調査 → 自分の軸整理 → 魅力的な冒頭 → 入学後のビジョン → 最終チェック → 面接準備)は、本人と保護者が一緒に取り組むことで何倍も効果的になります。
志望理由書作成は受験の重要なプロセスですが、同時に「本人が将来を考える良い機会」でもあります。丁寧に準備して、自信を持って出願してください。
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